環境コラム

<軽油とディーゼルエンジンの将来>

av4月号 ヨーロッパとアメリカは、2007年をメドに硫黄含有量10ppm以下の超クリーンな軽油を流通させるべく動き始めている。ヨーロッパの場合『ユーロ5』という厳しい排気ガス規制を施行させるために、超クリーンな軽油が絶対必要。アメリカの真意は不明なれど、政治的な狙いもあるんだと思う。日本はどうかと思っていたら、どうやら2008年から欧米並のクリーン度持つ軽油を導入する雰囲気になってきた。東京都の石原知事が大々的に環境問題を取り上げてから、わずか2年。本来なら2007年から開始する予定だった硫黄含有量50ppmの軽油(現在は500ppm)を、あっという間に2年短縮。すでに2005年から販売することをが決め、さらにその上を目指すべく動き始めているのだから驚く。

 石油会社は2005年から50ppmの軽油を供給すべく精製施設のリニュアルを行いつつあるが、その先の指針も決まれば一段と弾みが付くんじゃなかろうか。メーカーによってはイッキに10ppmを目指すかもしれない。参考までに書いておくと、10ppmと言えばガソリンのハイオク程度の硫黄含有量。極めてクリーンな燃料だと思っていいだろう。また、2006年からは天然ガスをベースとするディーゼル燃料である『GTL』や、同じく天然ガスから精製する『ジメチルエーテル』(常温では気体。LPGのように特殊タンクに入れれば液体として扱える)の供給も開始される。ジメチルエーテルを使ったディーゼル車は、鉄鋼メーカーであるNKKがテスト走行を開始させた。

 興味深いことにGTLもジメチルエーテルも、硫黄含有量ゼロ。硫黄に変わる潤滑物質を加えてやれば、これまた超クリーンなディーゼル燃料になります。ちなみに10ppmの燃料を使うと、ガソリン車並にクリーンな排気ガスのディーゼルエンジンが可能。トヨタの超低燃費車、ES3だって夢のクルマじゃなくなるのだ。おそらく2006年あたりから新しい世代の「環境にやさしいディーゼルが」登場し始め、2008年になるとイッキにディーゼルエンジンは増えるだろう。この年までにクリーンなディーゼルエンジンを作れない自動車メーカーは生き残れないかもしれない。ディーゼル(の排気ガス)嫌いのレポーターだが、すでにES3を仮予約。ES3の排気ガスレベルは、ガソリンの☆二つと同レベルが目標だという。

<軽量化と燃費の関係>

av2月16日 二酸化炭素の排出量を削減は(燃費向上と同じ)、もはや21世紀のクルマにとって最大の課題と言えよう。実現するためには、ハイブリッドシステムに代表されるパワーユニットの熱効率向上と並び、車重低減が非常に効果的である。1500kgのレガシィの車重を10%落とせれば1350kg。20%落としたら1200kgとなり、こらもう軽く20%以上燃費良くなること確実。しかし車重低減は、パワーユニットの効率向上と同じくらい難しい。航空機のようアルミやジュラルミン、マグネシウム、チタン、カーボンといった高価な素材を使えば20%以上軽くなるだろうが、アルミでさえコスト的に折り合わない。チタンやカーボンなど、とてもじゃないが量産車じゃ無理。トヨタの省燃費車、ES3もアルミだ。

 このあたり、鉄鋼メーカーも真剣に考えていたらしく、世界鉄鋼協会が中心となり世界の鉄鋼メーカー33社(うち日本は3社)は、1999年から超軽量スチールを使ったアドバンスモデルの開発を開始。2002年1月30日に、成果発表となった。内容を読んでビックリ! アルミさえ凌ぐ軽量化が安価なスチールで可能となっている。説明しよう。開発したのはウイングロードクラスと、ステージアクラスの2モデル。開発当初の低減目標値20〜30%とした。使った素材は、いわゆる「ハイテン」と呼ばれる高張力鋼板で、同じ強度ならより薄い鋼板で作ることが可能。また、ボンネットは軽量化と歩行者の頭部傷害低減のため開かない構造(メインテナンス用のカバーはある)。サスペンションなどにも軽量素材を使用している。

 これらの総合的な重量軽減設計により、ウイングロードクラスが1147kgから19%減となりヴィッツと同等の933kgに。さらに思い切った低減設計を行ったステージアクラスは、1470kgから32%も軽くなった988kgまで落ちた。これだけ軽くなると、現行エンジンのまま10・15モード燃費が20km/L以上になるから凄い! さらにエンジン側も燃費向上技術を入れると、ステージアやレガシィでリッター25km/L走ると言うこと。気になる衝突安全性は、2004年から始まる今より厳しいユーロNキャップのレーティングで☆5つ目標とか。この技術、7月23日からパシフィコ横浜で行われる自動車技術展に展示されるそうな。いやぁ将来は明るいです。

<リアシートの安全性>

av2月16日 最近「リアシートの安全性はどうなっているのか?」という質問を受けることが多い。確かに衝突試験の写真で、リアシートにダミーが座っているようなシーンなど無い。果たしてリアシートの安全性はどうなっているのだろうか? 先日ある自動車メーカーの衝突安全関係部門の方に聞いてみた。すると驚くことに「後席より前2席の方が安全なケースが多いかもしれません」という。なぜか聞いてみたら、納得することしきり。紹介してみよう。認識が一変します。まず最新モデルの場合、前2席は非常に性能の良いベルトが装着されている。衝突のショックを関知するとベルトの緩みを一瞬で巻き取り乗員を拘束。さらに衝突後一定の力が掛かると、ジワジワ伸びていく。

 これを『プリテンショナー&フォースリミッター』機能付きシートベルトと呼ぶ。その上、ショルダーベルトの位置は、乗員の体格に合わせ上下にセレクトが可能。エアバッグまで付き、乗員のショックを和らげてくれる。逆に考えると、そのくらい入念に衝突安全対応しない限り、現在の厳しい衝突安全基準をクリア出来ないのだ。後席はどうだろう。後席には衝突基準がないため『プリテンショナー&フォースリミッター』付きリアシートベルトを装備してるのは、セルシオやボルボの上級車種などごく一部の車種。もちろんショルダーベルトの上下調節機能も、まず付いていない。さらにエアバッグは無いため、シートベルトが伸びきった時のショックを和らげてくれる装置だって無し。もちろん中央席の3点式シートベルトは任意。

 後席にもダミーを乗せ、衝突試験したらどうかと聞いてみたら、大半の車種が前2席より大きな障害値になるだろうと言っていた。ではどこのシートが最も安全か? J−NCAP(自動車事故対策センターの公開試験結果)の衝突試験のデータを分析する限り、助手席である。ほぼ全モデルで助手席のレーティングの方が良好。キチンとシートベルトを着用し、ショルダーベルトの位置を合わせて乗っていれば、そのクルマで最も高い安全性持つシートだと考えてよかろう。となるとチャイルドシートの装着位置だって後席が絶対有利と思えぬ。追取材してみます。ちなみにオフセット衝突に対応していない旧型車(カタログにオフセット衝突対応を表記していないタイプ)は、後席でシートベルト締めているのが安全だ。

<シリーズハイブリッドとは>

av2月16日 スバルが2006年にシリーズハイブリッド車を販売する、と発表した。このタイプのハイブリッド車は、プリウスのようにエンジンとモーター両方のパワーを得意分野で使うシステムじゃない。ちなみにプリウスの場合、スタートはモーターで行い、速度が上がるにしたがってエンジンの駆動力を増やしていく。シビック・ハイブリッドはさらに簡易で、電動補助付き自転車のごとく、モーターでエンジンの補助をするシステム。

 シリーズハイブリッドって何か? 簡単に説明すると「電気自動車に発電機を積んだもの」となる。電気自動車の決定的な弱点は二つ。バッテリーを大量に積むと重くなってしまうことと、バッテリーが上がると動けなくなること。これ、自動車という移動手段にとってみれば、両方極めて厳しい。
 電気自動車に発電所を積んでおけば、いつでもバッテリー充電が可能。バッテリーの積載量だって少なくて済む。300kgのバッテリーを積むより、100kgのバッテリーと重量50kgの発電機積んだ方が有利です。また、発電機を稼働するのはどんな動力源でもOK。燃料電池でもいい。実際、トヨタのクルーガーVベースの燃料電池車は、電気自動車に燃料電池の発電機を積んだシリーズハイブリッドである。だからFCHV(フューエル・セル・ハイブリッド・ヴィークルの略)と呼ぶ。その他、灯油を使うガスタービンだってOK。ディーゼルというチョイスだってあろう。ガソリン使う場合も、一定の回転数で発電機を回せばいいだけだから、驚くほどクリーンかつ燃費の良いエンジンが作れると思う。

 スバルはどんなパワーユニットを使うか発表していないけれど、そのあたりに「大きな秘密」があるんじゃなかろうか。効率の良いガソリンエンジンかもしれないし、ガスタービンのような従来の自動車用と全く違うタイプのパワーユニットを投入する可能性だってある。シリーズハイブリッドの特徴をもう一つを挙げておく。それは純粋な電気自動車としても使えること。前述のようにバッテリーを100kg積んで置けば、50kmくらいの距離まで電気自動車として走れる。自宅で充電すると、近所の買い物や短距離の通勤なら発電機を使用しないで済むワケ。現時点じゃ全く不明ながら、スバルにゃ画期的なパワーユニットを期待しておく。ちなみに東京都内のような交通モードだとシリーズハイブリッドが最も燃費効率良いそうな。

<ZEVについて>

2003年11月 燃料電池車の普及が一段と遠くなった。なぜか? あまり知られていないことながら、燃料電池車を開発するきっかけとなったのは、カルフォルニア州の『ZEV法案』である。大気汚染防止のため、2004年から販売台数の10%を排気ガスの出ないクルマ(ゼロ・エミッション・ヴィークル)にしなければならない、という内容。これに該当するのは、電気自動車と燃料電池車しかない。だから自動車メーカーは採算を度外視して燃料電池の開発をしたワケ。

 しかし昨年あたりから法案の成立自体、怪しくなってきた。燃料電池車の大量生産にメドを付けた自動車メーカーが出てこなかったからだ。作れなければ法案など作っても意味無い。一方、ガソリンエンジンの技術は劇的に進化。大気と同等レベルのクリーンな排気ガスしか出さない『SULEV』(日産がトップでクリア。今やホンダもトヨタも開発に成功した)さえ登場。こうなると「大気汚染しなければ別にZEVじゃなくていいじゃないのか」的意見が強まる。

 かといって法案を作った州側のメンツもあるから、おいそれとZEVを引っ込めることもできない。どうするのかな、と興味深く見ていたら、ついに最終的な結論が出た。内容を見てビックリ! 凄い「大岡裁き」なのだ。あまりに見事なので大笑いしてしまったほど。クルマの達人なら知って置いて損はないです。まず販売台数の10%を無公害車にするというZEV法案そのものについちゃ「3年後の2005年から施行する」ことに決まった。
 内容を”翻訳”すると、10%のうち、6%分は日産セントラ(ブルバードシルフィと同じエンジン)やアコードのようなSULEV仕様のレシプロエンジンでOK。残る4%分をハイブリッドかCNG(圧縮天然ガス)にすればよろしい、となる。これだけ見ると「州側の負け」に感じるだろう。しかし上記は基本原則であり、様々な条件が付加されているから興味深い。1台当たりの換算率をエンジンタイプによって区分。コストの掛からない技術ほど、大量に売らなければならないのだ。
 SULEVは、販売台数5台でZEV1台分と換算される。カルフォルニア州で年間20万台売るメーカーなら、6%分の5倍の6万台をSULEVとしなければならない。プリウスのような本格的ハイブリッドは10台でZEV7台分の換算。したがって4%だと1万1430台だ。つまり20万台のウチ、実質的に7万台少々を「大気と同等のクリーン度のクルマにしなさい」ということ。こらもう大気汚染防止といった観点に立てば、州側の大勝利だろう。


 シビれたのが燃料電池車の扱い。現在サクラメントで燃料電池車の集中テストを行っている。このプロジェクトに参加しているメーカーのみ「ZEVをSULEVやハイブリッドに置き換えることが許される」と明記された。つまり燃料電池車の開発はムダにならない、ということ。ちなみにZEV法案は「カルフォルニア州で年間6万台以上3年間売っているメーカーに5年後から適用」される。対象となる日本のメーカーは、全て燃料電池車の集中テストに参加済み。
 この法案、技術の無いメーカーにとってみると大きなカベになるだろう。というのも燃料電池車はバラード社からスタックを買えば、何とか動く。しかしSULEVやハイブリッドとなると、高度な技術を安価に作れないとダメなのだ(VWはここ数年、あえて6万台を越えないようにしている)。かくして日産やGM、フォード、クライスラーは、あと3年でハイブリッド車を開発しなければない。  ベストカーコラムより

<二酸化炭素とアイドリングストップについて>

 98年に京都で開催された地球温暖化防止会議で、二酸化炭素の排出量を減らすことが決められた。日本の場合、計算方法にもよるものの、実質的には現在より20〜30%程度クルマの燃費を向上させないといけない。それを受け、自動車メーカーは本気で燃費改善に取り組み始めたている(実は95年あたりから燃費改善に向けての基礎開発は進んでいた)。燃費の改善は環境にやさしいだけでなく、ユーザーの財布にもやさしい。しかも低燃費カー=メーカーのイメージアップにも結びつくため、今や燃費改善勝負みたいな様相を呈している。こうなると技術の進歩は急。
 ヨーロッパでは『3リッターカー』というコンセプトの低燃費カーがテーマ。100kmの区間を3リッターの燃料で走るという意味で、日本式に表現すればリッター当たり33,3km走るクルマのこと(日本と若干燃費計測モードが違うので、いわゆる10・15モード燃費と違う)。現在2車種がこのハードルを乗り越えることに成功している。ホンダのインサイトとVWルポがそう。ルポは日本でいうリッターカークラスの量販車で、極限まで軽量化したボディに効率の良いディーゼルエンジンを積む。インサイトも軽量化ボディと、効率の良いハイブリッドで走らせる。
 この勝負、燃費はルポがリードしているけれど、二酸化炭素の排出量でインサイトの勝ち。ディーゼルの燃料である軽油は、同じ消費量ならガソリンより12%多くの二酸化炭素を出す。したがって現時点で世界一環境にやさしいクルマはインサイトとなる。このクルマ、100kmで高速巡航すると確実にリッターあたり30q走るし、少し丁寧に運転すれば普通の交通モードでも楽々リッター25kmくらい走ってしまう(ATを選ぶと乗り方にもよるが5〜10%くらい燃費ダウン)。通勤で長距離を走るような人なら、多少高い車両価格でもガソリン代の節約でモトは取れるだろう。
 直噴エンジンという技術もある。通常のエンジンより薄い混合気を燃やすシステムで、エンジン単体で評価すると20〜30%も燃費低減可能。ただ車両重量が重いと、燃費悪化をくい止めるので精一杯になってしまう。一番効果的なのは軽量化と空気抵抗の低減。トヨタが積極的に取り組んでおり、ヴィッツは普通のエンジンなのにリッター20km近く走る。昨年デビューしたセリカやMR−Sといったスポーティカーの燃費も素晴らしい。現在多くのメーカーが軽量化と空気抵抗の削減、効率の良いエンジン開発に取り組んでいる。2年くらいすると、平均して20%くらい燃費が良くなるのではないだろうか。

「ディーゼルは燃費がよく環境にやさしい」という意見を述べる識者も多い。確かに熱効率的に見るとディーゼルはガソリンより優等生で、結果的に燃費もよくなる。しかし地球にやさしいかもしれないが、人間を含む生物にとって極めて厳しいと言わざるをえまい。というのも「ディーゼルエンジンの排気ガス中に含まれる物質は人間にとって有害である」という実証がドンドン進んでいるためだ。これまでディーゼルの排気ガスは吸っても死なないため、人体への影響が少ない、とされていた。実際、強烈な毒性を持つ物質はなく、短時間なら平気。
 でも低濃度であったとしても、長時間に渡って吸うと、いろいろな問題が出てくる。Noxと呼ばれる窒素酸化物は呼吸器を鬱血させゼンソクやアレルギー性疾患の原因となるし、PMと呼ばれるススを吸うと、短期的にはアレルギーを。長期的にはガンの心配をしなければならない。特に日本の軽油(ディーゼルの燃料)は先進国で最も硫黄分が多く含まれており、最近ダイオキシンやダイオキシンに匹敵する発ガン性を持つ『3ニトロ・ベンゾ・アントロン』という有害物質まで検出された。加えて硫黄が多いと、排気ガスを浄化する触媒も使えない。


 ちなみに硫黄分を除くことは技術的に難しくなく、石油メーカーも「すぐ対応する」と言っている。ところが精製コストは当然高くなり、軽油の価格アップに結びつく。値上げは困る、と軽油を多く消費する業界が反発。政界との関係も深いらしく、依然として開発途上国並みに多くの硫黄を含む軽油を使っている状況。東京都の石原知事はこの状況に反発。次から詳しく紹介する『ディーゼルNo作戦』でも、軽油から硫黄分を可能な限り除くよう、国に対して要求している。そんなこんなで、ディーゼルエンジンは環境問題の大きなテーマだと思う。
 さて『東京都のディーゼル車No作戦」である。この作戦の根拠は「人間が密集している地域でのディーゼルエンジン使用は好ましくない」というもの。東京の大気をみれば、誰だって納得するだろう。魚を焼いても「煙い」とか「臭い」などと言われる中、黒い煙をモクモク出し騒音をまき散らすディーゼルエンジンが存在すること事態、不思議かもしれない。青島前知事は問題を先送りにしたけれど、石原知事にとっちゃ辛抱たまらなかったんだと思う。客観的に判断しても、東京の大気は汚れる一方。このあたりで対応すべきように感じる。

 具体的な法案は現在まとめつつあるようだ。おおよその最終地点として、ガソリンやその他の燃料に代替出来る小型トラックについてはディーゼルエンジンを無くす。代替が難しい大型車については有効な排気ガス浄化装置を装着する、というもの。すでに東京都は排気ガス浄化装置を全ての都保有車両に装着すべく、来年度の予算に組み入れた。すなわち本気。運送業界などは猛反発しているらしいが、ディーゼルからLPガスなどのトラックに換えたとしても宅配便一個あたり100円の値上げくらいで済むそうな。それだけの出費で健康が確保出来るなら安いと思う。
 この運動、どうなるか? 石原知事がいる間は間違いなく進む。東京都の方針になってしまえば、そのまま進む。ということで、少なくともディーゼルエンジンの乗用車(RVを含む)は存続が厳しくなるだろう。東京都がイヤだと言えば、その他の大都市だってNoとなる。こうなると中古車の価値も下がるので、結果的にリセールバリューまで下がることに。もしこれから新車を買おうとしているのなら、酷寒地など例外を除き、ディーゼルでなくガソリンにすべきだろう。持っている人も早めに下取ってもらえば、まだ高い値が付く。

 アイドリングストップ運動が盛んになってきた。私の家の前は西武線の踏切で朝晩激しく渋滞するけれど、半分くらいの西武バスがアイドリングストップしてくれる。依然として平気でエンジン掛けっぱなしの運転手もいるが。大型ディーゼルのエンジンが止まった瞬間、文字通り「シーン!」とするから、いかにウルサイことか。ちなみに私はアイドリングの無いプリウス(ハイブリッドカー)に乗っていることもあり、普通のクルマでも踏切待ちなどでエンジンを止めてしまう。
 そんな御時世の中、警察が突如「アイドリングストップが社会悪」という趣向の発表をした。調べてみるとコンピューターでシュミレーションしたら、渋滞が増え結果的に燃料消費量は増えるという。なぜ渋滞が増えるか? 信じられないことにコンピューターのシミュレーションは、前のクルマが動き始めてからエンジンを掛けて走り出すというモードになっている。恐ろしく幼稚なシミュレーションの結果が「渋滞増える」の理由。アイドリングストップやってる人には言うまでもないことながら、数台前が走り出した時点でエンジンを掛ける。
 この報道でアイドリングストップが無意味と思っている人は増えたようだけれど、やっぱり環境問題を考えると有効。ただし全ての信号でエンジンを止めていたら、セルモーターが壊れるなど悪い影響も出てしまう。踏切などの長い停車や、買い物や人待ちといった場合の無用なアイドリングをしない、というだけで十分。特にディーゼルエンジン車に乗っている人はエンジンを止めない傾向。コンビニの近所に住んでいる人は非常に迷惑です。

  <環境にやさしいとは?>

 スキー場やキャンプ場など行くと、エンジン掛けたクルマの側に子供が居たりする。もちろん自分の子供だ。ディーゼルエンジンの排気ガスには発ガン性物質やアレルギーを引き起こす物質が多数含まれているし、ガソリンエンジンでも始動直後の排気ガス中には有害な物質あるから怖いこと。そういった親、もしかするとチャイルドシート使わなかったり、子供車内に入れたままパチンコ屋に行ったりするような輩で、RVマガジン読むようなタイプでないかもしれない。ただ環境問題について知っておくべき点は多くなってきたのも事実。燃費がいいから、と迂闊にディーゼル買うと、突如厳しい排気ガス規制が始まる可能性だってある。
 それにしても最近よく『環境にやさしい』という表現を使うし見かけるようになった。でもナニをもってやさしいのか、となると途端に難しくなるんじゃなかろうか。中には人間に無害な二酸化炭素(CO2)さえ危険視するようなケースも見かける。つまりどんな物質がどんな害を与えるのか知らないまま、環境問題に突進してしまってるということ。今回の特集、最後まで読んでいただければ最新の環境問題とその対応策が解るよう努力してみた。環境問題なんて面白くないかもしれないけれど、間違った認識や新技術についての過剰な期待なども数多い。とりあえず21世紀のために、最後までおつきあい願いたいです。


   <エミッション> 

 人間を殺したり健康に害を与えるのが「エミッション」(排気ガス)と呼ばれるもの。生物に有害なガスのことである。黒煙の中には未だ解明されていないような毒性を持つ物質が多数含まれているそうな。ダイオキシンに匹敵する毒性ある物質も発見されているし、ダイオキシンそのものも排出されているから怖い。「アトピー性皮膚炎やゼンソク、花粉症を引き起こす要因にもなっている」、という学説は多数出始めており、今や人類にとって最も身近かつ危険な物質になった感がある。黒い煙を撒き散らしながら走るディーゼルは、健康の敵だと思う。
 黒煙(専門的に言うとPM)の他の排気ガスは、一酸化炭素(CO)と燃え残りの燃料(HC)、そして窒素酸化物(NOx)の三つ。PMを除く排気ガス成分は、ガソリンエンジンにも共通するので皆さん覚えておくといい。COは不完全燃焼した時に発生する物質で、人体に極めて強いダメージを与える。そのムカシ、練炭などの暖房が一般的だった頃、一酸化炭素中毒で亡くなる方も多かった。COを含む空気を吸うと、体内に酸素が回らなくなってしまうのだ。エンジン始動直後に出やすく、CO多い排気ガスを吸うと脳細胞を殺す。背の低い子供は排気管に近いため特に濃いガスを吸いやすい。


 次の<HC>はハイドロカーボンといい、いわゆる燃え残りの燃料。無臭のCO(だから危険)と対照的に激しく臭う。HCも人体に有害で、アレルギー疾患の要因になったり、光化学スモッグを発生させたりする。新しいガソリンエンジンの中にはほぼHCを出さないタイプも出てきた。ブルーバードシルフィの新エンジンはHC濃度3ppm。こらもう東京の大気や、普通のオフィスの空気(禁煙区域)と同等レベル。全く臭いなどせず、大気を汚さないで済む。いや、交差点など汚染された大気を吸い、クリーンな排気ガス出すのだから環境にめちゃ優しい。
 よく話題に上がるのが<NOx>。ノックスとも呼ばれる。この物質、太陽光線を浴びることによって光化学スモッグとなり、これまた有害。「一応人体に与える害は低いとされています」というので一度NOxを嗅いでみたが、なんだかノドがヒリヒリして「2度とゴメンだ!」と思った。都市部の大気汚染の指標になるということで、日本政府はNOx濃度に対し神経をとがらせている。ただNOxを抑えるとPM濃度上がるという相関関係にあるので、NOxに厳しい日本は欧米と比べPMに対し甘い規制。だからこそPMが問題になっているワケ。


 これらの排気ガス、ディーゼルエンジンでは人体に有害でないレベルまで落とすことは出来ない。一方、ガソリンエンジンの場合、いわゆる『平成12年度規制』をクリアしていれば、とりあえず人体に与えるダメージを無視出来るレベルまで落とせる。リアガラスに☆一のステッカーが張ってあれば12年度規制の25%減。☆二つだと50%減。このレベルが理想。そして75%減の☆三つなら、交通量の多い道路上の空気よりクリーン。走ると空気を浄化してくれるレベル。買うなら☆2つ以上を狙いたい。


   <二酸化炭素>

 もう一つの『環境』は地球温暖化ガスの一つである二酸化炭素(CO2)。人体に対しての毒性は全くないが(植物を含め全ての生物が排出する)、地球を温室のようにしてしまい南極などの氷を溶かす。近年、ジワジワ地球の平均気温が上がってきているのも、二酸化炭素濃度上昇のためだと言われている。海面下の国土が多いオランダなど、海面の上昇は死活問題。太平洋地域も1m海面が上昇したら国土の半分水の中、という国があるほど。オランダのあるヨーロッパなどでは極めて深刻に受け止められており、燃費の良いディーゼルが売れている。
 ただ人間の健康を取るか地球の温暖化を取るかは、国や地域によって異なると思う。人工が密集していなければ地球だろうし、都市部であれば人間に与える害を主に考えるべき。しかしエミッションと二酸化炭素を同じレベルで考える有識者(ジャーナリストを含む)も多い。日本のような人工密集国でもディーゼルの普及を唱えているから驚く。二酸化炭素の排出量は、燃費と考えてもよい。燃費の良いクルマ=二酸化炭素の排出量少なく地球にやさしいということ。理想的には人間と地球にやさしい、低燃費で低排出ガスのクルマということになろう。



 ここで問題となってくるのが熱効率。燃料エネルギーを、どのくらいクルマを動かすエネルギーに変えられるか、ということ。一般的にガソリンエンジンが20%台中盤。ディーゼルは30%台中盤といわれており、やっっぱりディーゼル有利(燃費が良いということ)。しかしハイブリッドという技術を使うと、ガソリンエンジンでも熱効率を高められる。プリウスはディーゼルと同等レベルに達しており、ストップ&ゴーの多い都市部であれば回生エネルギーも使えるためディーゼルを凌ぐほど。日本の道路環境ではハイブリッドがベストだと言われ始めた。
 だからこそトヨタは将来的に30〜50%がハイブリッド車になると公言しているし、ホンダも必死で開発をすすめている。しかもハイブリッドは現在幼稚園児レベルの成長過程にあるため、将来一段と熱効率を高められる潜在能力を持ってると思う。となると気になるのが他のパワーユニットの熱効率。理想のパワーユニットみたいに紹介されている燃料電池は純粋な水素を燃料にしない限り(現在はガソリンやアルコールを積み、車載の改質機で水素を作りながら走る方式)、熱効率40%が限度。しかも重くなってしまうため、クルマとしての効率が悪くなる。
 電気自動車は電気をどうやって作るかによって決まってしまう。火力発電所の熱効率を55%とすれば、送電や変電ロスで40%くらいまで落ち、さらに電気自動車の効率も80%程度。最良で32%くらいにしかならない。つまり二酸化炭素ベースで考えるなら、ハイブリッドかディーゼルがベストということになるのだった。ただ現時点ではディーゼルじゃ「人間にやさしい」クリーンなエンジンを作ることが出来ない。ということで地球と人間にやさしいのは、クリーンなガソリンエンジンを使うハイブリッドということになります。

   <傾向と対策>

 ジドウシャが無くなってしまったら、もうメチャクチャ困る。少なくともワタシは仕事無くなるから深刻だ。自動車メーカーだって同じこと。環境問題のため自動車の使用を大幅に制限されることになったら、会社そのものも存続しなくなってしまう。逆に考えると、環境に優しい自動車さえ作ることが出来るなら、将来もこの便利な文明の利器をみんな使えるということに。だから各社真剣に新技術の開発に取り組んでおり、雑誌も後押しするという図式。というのは半分以上ウソで、取材すると環境問題に取り組む皆さんの多くが、素直にクリーンな乗り物を作りたいと思っているように感じる。嬉しいことに技術の進化は急。10年前なら「そんなモンできっこない!」と言われたものが、ここにきてバシバシ実用化されてきた。
 その筆頭は「超クリーンな排気ガスの自動車」であろう。大気汚染が改善されないアメリカは、90年代に入るとトンデモナイ規制を発表した。最も厳しい『ULEV』の排気ガスレベルたるや、ロスの市街地の大気よりクリーンというレベル。自動車メーカーの多くが「そんなモン無理!」と主張したものの、突如ホンダが「対応可能」と公言。モーターショーに現物を出してしまった。こうなればイヤでも他社も追随せねばなるまい。そうこうしているウチ、カルフォルニアは一段と厳しい排気ガス基準を発表。いわゆる『SULEV』と呼ばれるもの。このレベルになると平均的な都市部の大気と同じで、排気ガスを出さないといっても良いくらい。日産とホンダがすでにこのタイプのエンジンを発売しており、トヨタも追随している。
 もう一つが二酸化炭素を削減する技術。このジャンルは依然として様々なアプローチをしてきているように思う。ガソリンエンジンのまま燃費をよくすることに始まり、ハイブリッドやクリーンなディーゼルエンジン、そして燃料電池や天然ガス車などバラエティに富む。残念ながらメリットあればデメリットもあるという状況で、メーカーごとに主張が違うといってもよい。欧米のメーカーは燃料電池とディーゼル。日本のメーカーがハイブリッドとディーゼルを真剣に考えているようだ。個人的な見解を述べると、日本の技術が先行してると思う。



   <燃料電池>

  水素と酸素(空気でもいい)を反応させると、電気と純粋な水が出る。これを「燃料を使う電池=燃料電池」と呼ぶ。排出されるのは飲めることも可能な水だけだから極めてクリーン。燃料となる水素も地球上で最も多い元素だから、資源にも困らない。だからこそ燃料電池が高く評価されているのだ。燃料電池そのものの技術はすでに確立されており、数年経てば実用に耐えるレベルになると言われているほど。しかし燃料電池には決定的な弱点を持つ。そいつぁ水素運ぶのが極めて難しいということ。気体のままだと、圧縮しても大量に運べない。加えて水素は爆発する危険性が大きいから困る。
 かといって液体で運ぼうとすると、量的には十分ながらマイナス200度を下回る温度にしなければならず、大量のエネルギーが必要。また気体でも液体でも、水素分子は極めて小さいので鉄のタンクからさえ漏れ出てしまう。そこでガソリンやメタノール(アルコール)から水素を取り出すというアプローチもあるのだけれど、これじゃ熱効率40%に達せず、水素を作るときに二酸化炭素も出す。すなわち純粋な水素を安全に運べるようになるまで、燃料電池の量産化は難しいということとだ。水素を運ぶのは常温超伝導と同じくらいの難易度の技術だと言われている。量産化は50年くらい先か?


   <ハイブリッド>

 平均走行速度が低く、渋滞の多い日本では最も有望な技術だと認識され始めた。全く普通のガソリンを使え、排気ガスは大気レベルのクリーン度が実現可能(すでにアメリカ仕様のプリウスは大気レベルのSULEV)。燃費も現時点でディーゼルを凌いでおり、数年後には完全に優位にたつと思う。トヨタが熱心に取り組んでおり、奥田会長は将来的にハイブリッドが半分くらいを占めることもある、と発言しているほど。RV車への投入も間近。来年2月にハイブリッド仕様のエスティマがデビュー。ホンダもハイブリッドシステムを採用したミニバンの開発を行っているらしい。弱点はコスト。ただここにきて大幅に下がっているようで、数年後はガソリンの使用量分くらいの価格差になってくるだろうと言われる。走ればモト取れるくらいの差だと思えばいいだろう。


   <電気自動車>

 クルマからは排気ガスを全く出さないため、限られた地域内で使うなら最適だと思う。すでにヨーロッパアルプスには電気自動車しか進入出来ない地域がいくつかある。弱点は皆さんも解っている通り、満充電あたりの走行距離に制限あること。バッテリーを大量に積むと、重く高価になってしまう。近所しか走らない時まで重いバッテリーを積んでないとイケナイのだ。また、火力発電所で作った電力を使うとなると熱効率はハイブリッドより低くなるので、日本の場合、二酸化炭素の排出量を削減しようとすれば原子力などに頼らなければならない。これをよしとするかどうかの議論も必要。ただ半径20km程度の移動手段として考える将来性ある。走行距離50kmくらいのコミューターであれば、バッテリーの搭載量も少なくて済む。日産のハイパーミニを安く作れば売れるのでは。


   <SULEV>

 SULEVとは「有害な排気ガスをほぼ出さないクルマ」のこと。例えばHCレベルで言うと3ppm。これは東京の平均的大気のHC濃度と同じで、人間の臭覚では全くニオイを感じることは出来ない。無臭の家の中と同じだと思ってもらってもいいと思う。凄いのは、汚染された大気を吸入しても排出ガスがクリーンになってしまうこと。濃いHCを吸ってもエンジンで燃焼され、触媒を通過することによって3ppm以下になってしまうのだ。日本ではシルフィに搭載され発売された。現在、日産の他、ホンダとトヨタがSULEVの技術を持つ。


   <次世代ディーゼル>

 ハイブリッドと共に期待されているのが、次世代のディーゼルエンジンだ。現在のディーゼルエンジンは、最新のタイプでさえ27年前に定められたガソリン車の1973年規制すらクリア出来ないほど汚い。73年規制の約70%減とした平成12年規制のクリアなど、夢のまた夢。しかし技術は進む。ディーゼルエンジンでもガソリン並みにクリーンな排気ガスにしようという研究が盛んに行われているようだ。トヨタなどもハイブリッドと並行し、真剣にディーゼルの開発を行っているし、ホンダだってディーゼルは重要な新技術と捉えている模様。
 問題となっているのが軽油中に含まれる硫黄分の含有量。排気ガスを浄化させる触媒をキチンと働かせるには、硫黄分あると厳しい。かといって日本では500ppmとされている硫黄濃度を下げようとすると、精製コストかさむ。ヨーロッパではすでに50ppmという含有量の軽油に切り替わりつつあり、日本もつい先日「2004年までに50ppmとする」という目標を立てた。でもガソリン並みのクリーン度をディーゼルで実現しようとすれば、10ppm程度の良質な軽油じゃないとダメと言われる。
 50ppmで精製コストはリッター当たり10円増と言われるから、10ppmならもっと高くなること必至。となるとガソリンのハイブリッドと同等の燃料コストになってしまうかもしれない。ちなみに1リッター当たりの炭素分はガソリンより軽油の方が12%多い。すなわち同じ燃費なら軽油は12%多くの二酸化炭素を排出するということ。地球温暖化という観点に立つと、ディーゼルはガソリンより12%燃費良くて同等。もしガソリンエンジン並みにクリーンで、ハイブリッドより12%燃費よいディーゼルが作れれば、最も環境にやさしいと言える。


   <圧縮天然ガス>

 CNGと呼ばれ、天然ガスを圧縮したもの。タクシーなどに使われるLPGと同じような成分と考えればいいだろう。不純物がないので排気ガスは極めてクリーン。SULEVレベルも十分に可能。ディーゼルエンジンの代用になるため、トラックなどに採用することを考えているようだ。弱点は燃費が悪いことと、CNGを充填するスタンドと車載タンクのコスト。やはり爆発物ということで、安全性確保にお金掛かる。ただ水素と違って漏れにくいから(水素は鉄などの金属さえ通過してしまう)注意して扱えば大丈夫。ディーゼルの代替として有望だと思う。


   <ソーラーカー>

 1平方m当たりの太陽エネルギーは、最高でも1kw。発電効率20%とすれば0,2kwである。普通のクルマを上から見た時の面積は7平方m前後なので、最大1,4kwが太陽からもらえるエネルギー量。1,4kw=約1,9馬力分のパワーしか出せないということだ。1,9馬力じゃソーラーカーレース用の車両みたいなクルマしか走らせられない。遠回しな証明になってしまったけど、クルマのエネルギーとしちゃ物理的に無理だということ。ただハイブリッド車に使うエアコン用の電源の足しに使ったりすることは出来ると思う。


   <近未来の自動車像>

 今回はパワーユニットと環境問題の関係を考えてみた。しかし自動車ってボディでも環境対応が出来る。いや、エンジンと同じくらい重要かも。もし車重を10%減らせるのなら理論上燃費も10%近く削減できるから大きい。高速域であれば最も大きな抵抗は空気によるもの。こいつを減らすことが出来れば、やっぱり燃費は良くなるワケ。そう考えると、現時点で最も意欲的なのはトヨタだと思う。ハイブリッドシステムを完成させ、新型車についていえばライバル車より平均10%の軽量化を実現。空力も軒並みCD=0,30近辺に抑えるなど、やるべきことをキッチリと抑えているのだった。
 もう少し具体的に考えてみたい。現在、車重1340kgのプリウスは1500ccで最高速160km。加速も2000tクラスのミニバンと比べ負けて速さを有す。燃費は街中でリッター15〜18km。90kmでの高速巡航で24kmくらいだ。この数値をベースにノアクラスのRVなどイメージしたらどうか? 現在1500cc程度ある車重を10%落とすと、すでに1350kg。おいおい、もはやプリウスと同じレベルになってしまう。トヨタがその気になれば、RVも現行プリウスと同等の燃費を引き出せるワケです。イプサムも同じ。プリウスのシャシベースで作れば、トンデモナイ燃費になる。


 排気ガスレベルも満足行く。現行プリウスは☆三つのULEVだが、触媒一つ追加したアメリカ仕様になると、大気レベルの排気ガスしか出さないSULEVになる。SULEVならいくらクルマが増えても大気を汚さないばかりか、汚染された大気まで浄化してくれることだろう。エアクリーナーを街中に設置するようなもの。電気自動車や燃料電池車と同じくらいの熱効率で、しかも大気を汚さないというRVを現在の技術で販売出来るのだから嬉しいではないか。とりあえず来年の2月、大型RV初のハイブリッドであるエスティマが発売されるので楽しみにして欲しい。ワタシも買おうかな。
 軽油の脱硫黄進み、クリーンは排気ガスになればディーゼルも有望。ハイブリッドとの相性は良くないけれど(ディーゼルは構造上エンジンの始動と停止の時、不快な揺れが出る)、組み合わせなくても燃費はいい。2005年くらいになれば新世代のディーゼルが登場してくるかもしれぬ。その後は純粋な水素を運べるようなり燃料電池が実用化されるまで、ハイブリッドとディーゼルの時代になるだろう。いやディーゼルのハイブリッドも実用化されるに違いない。そうなれば熱効率50%近辺に到達するため、ますます燃料電池の実用化は難しくなっていく。石油がなくなる頃になれば(50年以上先か?)、純粋な水素を使う燃料電池の時代到来だ。

 排気ガスの規制は、悲しいことに日本人が決めているワケでない。日本の政治や行政は、自主的に規制値を定めることが出来ないからだ。1973年規制もカリフォルニアで決められた『マスキー法』をベースとし、極めて近い数値を日本の規制値としたし、今回の平成12年規制もカリフォリニアの新規制がベースとなっている。☆一つはアメリカの『TLEV』だし、☆二つが『LEV』。そして☆三つで『ULEV』と同等。したがって明確な理由などは無い。衝突安全性も全く同じ。とりあえず世界的な流れなので、それを参考にしただけと考えればよかろう。ただアメリカはキチンと根拠があり『LEV』なら混んだ交差点の大気よりクリーンというレベル。『ULEV』は普通の道路上と同等。『SULEV』になると大気レベルになる。とりあえず日本の規制は環境庁と運輸省が決めることになっているけれど、どうやら運輸省の意向強いらしい。アメリカの厳しい排気ガス基準を定めているのは、カリフォリニア州の大気局だ(東京の環境部門みたいなもの)。


   <熱効率とは?>

 燃料が持っているエネルギー量を、どの程度有効に使えるかという指数。ガソリンエンジンで20%台。ディーゼル30%台となる。最も効率良いのはモーターで90%以上を誇るタイプもあるそうな。ただ『電気自動車』という乗り物となると、モーターの他、インバーターなどの制御装置で10%減。しかも常時重いバッテリーなど運ばなくてはならず、ガソリン車より効率は悪くなってしまう。さらに電気をどうやって起こすかという問題も大きいため、一般的には「クリーンながら熱効率悪い乗り物である」と位置づけられる。燃料電池はガソリンやメタノール燃料使えば、理論上で40%。今のところ20%台だという。純粋な水素を使うと80%弱に達し電気自動車より10%落ちくらいの熱効率となるも、水素をどうやって作るかが問題。水素作るのにエネルギーを必要とするからだ。今の技術で最も熱効率良いのはガソリンのハイブリッドとディーゼル。どちらも30%台中盤といったレベルに達するから凄い。しばらく化石燃料の時代が続く。


   <いつまで石油は掘れるか>

 これは誰も答えられないと思う。今のコストで生産可能なのは30年くらいだと言われているものの、原油価格が上がれば深い井戸を掘ったり、海中の油井の開発も可能になってくる。カスピ海の下や、カラフト近辺の埋蔵量は予想外に多いそうな。もし生産コストが上がったとしても、日本など技術のある国は困らない。ガソリンが2倍の200円になれば、燃費半分のクルマを作ればいいだけだから。家庭用電力には、それこそソーラー発電とか石油より豊富にあるCNG使う火力発電もある。加えて日本より先に「高い石油」を使えなくなる開発途上国の方が多いだろうから、原油高騰=原油消費量の減少となり、さらに可採年数は増えることになろう。長い年月を考えると、間違いなく無くなるものだと思うが、おそらく50年くらいは今と同じような感覚で使えるんじゃなかろうか(もちおろん値上がりするだろうけれど)。ただ極力節約するべきだと思う。

 最近よく「地球温暖化といっても50年後に海水面が1mくらい高くなるだけでしょ?」みたいな意見を聞くようになった。これ、環境問題にあまり熱心でない自動車メーカーの代表的思想。だから巨額の開発費をつぎ込んでハイブリッドに代表される新技術などやらなくてよいのでは、ということなんだと思う。一方、トヨタは本気で二酸化炭素の削減(燃費向上)に取り組んでいる。
 始めに地球温暖化について説明したい。確かに「海水面の上昇」という観点からすれば、少なくともワタシが生きている間くらい、大それたことにならないだろう。しかも過去の大気の二酸化炭素濃度を調べてみると、今よりずっと高い時期があった。「地球」という偉大なる循環系には自律作用みたいなものもあるらしく、二酸化炭素増えれば減る方向の流れが出てくるようなのだ。


 したがって二酸化炭素で地球がダメになることはない、と考えてよいです。だからといって二酸化炭素を多少排出してもいいでないか、とはならない。以下理由をツラツラ述べよう。地球の温度分布からすると、亜熱帯から熱帯に掛けては今以上に温暖化することはないと言われている。「海」という偉大なる温度の媒体があるからだ。二酸化炭素による温暖化も、さすがに海水温を極端に上げるほどではない、ということ。
 じゃドコが温暖化するか? 顕著なのは高中緯度の地域である。例えばシベリアのツンドラであり、カナダの北部であり、北米や欧州、中国の穀倉地域など。このあたり、微妙な大気の流れとバランスで成り立っており、ホンの少し大気の流れが変わっただけで気象は激変する可能性大。極端なことを言えば穀倉地域に全く雨が降らなくなり、その雨はシベリアやカナダ北部に雪でなく雨で降ったりする。


 するどどうだ! 畑は砂漠化し、それまで冬に積もった雪でバランスされていた地域も、降る時期は洪水。夏渇水期、みたいな状況に。こういった気候の変化、ユックリ起きればニンゲンも対応できよう。少しずつ畑の場所を動かせばよいし、ダム作ってもよい。でも数年単位で気候の変化があればどうか? こら厳しいです。穀倉地域で凶作続きとなったらどうなると思いますか? 
 日本もそう。今はキチンとした四季を持つ。梅雨前線が日本列島で停滞するから夏の渇水期の前に雨を降らせ、田植えも出来る。秋には太平洋高気圧の勢力が弱まり、日本本土に台風もやってくるワケ。少し太平洋高気圧の勢力が強まれば、西日本の梅雨は短く、台風だって接近しなくなるだろう。すでに西日本は渇水傾向にあるといわれているほど。


 諫早湾の干拓工事によって有明海全体がバランスを失っている状況を見れば、自然の自律作用がどれほど大切か判ると思う。地球だって同じ。これまで隕石の落下や大きな噴火などにより激しく地球が温度変化したことはある。その度にいろいろな地域で生物系の激変(絶滅)をもたらせたらしい。人類が排出する二酸化は、大きな火山の噴火に匹敵する速さで地球環境を換えようとしている。
 御存知の通り日本は食料の自給率が極めて低い。穀倉地帯で2年続いて凶作ともなれば、非常に厳しい事態になるだろう。そういったことなどアタマの片隅に入れつつ、二酸化炭素の排出量削減を考えて欲しい。残念ながら「2010年までに1990年比6%の二酸化炭素排出量削減」は絵に描いたモチとなりつつある。むしろ90年当時より10%近く増えた、という統計もあるくらいだ。鬱だ。