ワンプライス値引き無しでクルマを買うと、もうイライラしてバクハツしそうである! 以下、つらつら理由を挙げてみよう。まず諸経費。クルマを買う際、普通は納車費用というのを上乗せされる。引き取りに行くからカットして欲しい、と言ってもたいてい断られてしまう。ま、値引きをタップリしてくれるなら、多少不透明な経費あっても見逃してやろうか、という気になります。でも値引きゼロとなれば、そうもいかんでしょう! 納車費用の根拠をセールスマンに聞くと「洗車などの手間」と答える。だから取りに行く場合でも必要とのこと。
 おいおい! 自転車屋サンだってメーカーから運ばれてきたときは、箱に入っている。ペダルなどもついていない。だからといって組み立て費を取るか?コンビニがジュースやお菓子などを店頭に並べる費用を要求するか? 自動車は平均すると15〜18%の販売マージンがある。200万円のクルマなら30〜36万円。それだけ儲かるなら、洗車費用出せとか言わないで欲しい。今まで払ってきたのは「値引きを限界までしてくれるならそのくらい払いましょう」というのが暗黙の了解事項だったと思う。
 値引きゼロなら当然カットだ。いや、そんな費用、最初から計上するな。まだあるぞ。クルマ買うと、当然のごとくフロアマットを見積り書に乗せる。しかもなぜか高級タイプの方。これまた値引き販売の名残であろう。タップリ値引きしてくれたんだから、相場より高い純正フロアマットを買いましょう、という流れ。やっぱり値引きゼロで販売するなら、こういったセット販売は止めて欲しい。愛車セットなど、カー用品店で買えば3分の1だ。
 下取り車の扱いも腹立つ! 一生懸命値引きしてくれると、多少のことは許せる。でも値引きゼロとなれば、コッチだってシビアに行きたい。以下、ワタシのケースで爆裂します。マイナーチェンジしたプリウスがあまりに魅力的だったもので、乗り換えることにした。下取り査定してもらうと、116万円ナリ。こら安いでないの! だって新車は232万円。2年半で半額になってしまったことになる。「少し査定が低すぎると思いますが」と言うと、232万円くらいのクルマだと半額が相場です、という。
 確かにそうかもしれない。でもな、ハリアーなどを232万円で買えば、25〜30万円くらい値引きしてくれる。となると205万円のクルマが116万円だから、まぁ40%くらいの値落ち。一方のプリウスは定価。両方とも、新車時の定価をモトに査定するから、値引きしない車種の方が不利でしょ。なのにトヨタとしちゃ、値引きしない車種についての下取り査定優遇ソチない。高く売って、普通に査定する。どう考えてもズルいではないか! いっそ下取りに出すのやめようかとも思ったが、ハイブリッド買う時の補助金は下取り車ないとダメ。
 一旦疑問を感じると、ドンドン不思議なこと出てきます。年間3千万円以上の売り上げある業者は、消費税が掛かる。ワタシから下取った中古のプリウス買ったヒトも、当然ながら5%の消費税を払うだろう。でもな、ディーラーはワタシからクルマを買ったのに、5%の消費税を払わない。消費税を払わず仕入れ、売る時は取る。どう考えてもおかしい! ワタシから下取ったプリウスを140万円で売ったなら、消費税の7万円分は丸々儲かるってことか?
 このようにワンプライス販売という文字を見た瞬間、なぜか気合い入ってしまう。知っているヒトもいるだろうけど、ワタシはこの販売方法が大嫌いなのだ。したがって今回の原稿、もはやオーバーヒートするのを抑えつつ書いている。ここで原点に戻ろう。ワンプライスとはなんぞや? これまで自動車を買う際、値引きしてくれるのが常識だった。だからこそ雑誌でも値引き情報掲載したり、値引き交渉のテクニック紹介するなど、少しでも安く買えるようアドバイスしてきたのである。
 しかし残念なことに、交渉の上手下手で購入する価格は違ってしまう。Aというヒトがカローラ買ったら23万円引き。なのにBというヒトは28万円引き、ということも珍しくない。23万円引きで買ったヒトにとっちゃ面白くないハナシです。ワンプライス発祥の地、アメリカはさらにヒドかったりして。例えばbBのように人気あるクルマのバアイ、アメリカのディーラーなら定価で売らない。つまらない用品など付け、定価より高く売る。いわゆるプレミアムというヤツだな。逆に人気無いとなるや、次の日買ったヒトは10万円安くなっていることも珍しくない。
 そんなこんなで、アメリカ人はディーラーを嫌っている。アメリカ人が嫌う3大業種は、自動車ディーラーと歯医者、靴屋。いずれも価格不明確で、しつこい。じゃ公明正大にしましょう、という方針を打ち出したのがサターン。いつどこで誰が買っても、値引きしないかわりプレミアムを付けない。これがアメリカで大いに評価され、サターンのイメージを向上させた。コンピューターのマッキントッシュなども、ワンプライス販売で有名だ。
 アメリカで流行るモノは日本でも流行る、と考えたのがトヨタ。プリウスで試したトコロ、まぁまぁの成功を見た。以来、ヴィッツ兄弟、アルテッツア、RAV4、OPAと次々にワンプライス販売車種を増やしている。三菱も取り入れ、ディオンが対象車種。ワンプライスならお客さんも公平だと主調。ま、ホンネはディーラーの利益をキチンと確保するためだろうけど。いずれにしろ、これまでワンプライスで販売してきたクルマは成功しているように思う。さらに次期型カローラまでワンプライスにするらしい。
 ジツは二つのワンプライスといっても2つのタイプがある。一つは今まで説明してきたような「値引きゼロの定価で売るワンプライス」だ。アメリカで大成功したサターンがそう。トヨタもこの方法を取り入れたいらしい。も一つは「値引きをするけど、みんな同じ金額」というワンプライス。例えば誰がドコで買っても20万円引き、という方法。とはいえ後者はすでに値引きしてしまっているので、交渉次第じゃ値引き上乗せが出来るし、用品サービスも割と気軽に対応してくれる。
 問題はガチガチの値引き無し販売。ファンカーゴやヴィッツ、プリウス、アルテッツァを買ったヒト(または買おうと思って商談したヒト)なら、ガードのキツさに驚いたハズ。とにかく値引き出来ないの一点張りなのだ。ヴィッツとかファンカーゴのように軽自動車から乗り換えるユーザーが多ければそれほど気にならないかもしれぬ。軽自動車も値引き渋いから。普通のクルマ買ってきたヒトにとっちゃ、あのガンコな値引きしない宣言は抵抗あるんじゃなかろうか。だからアルテッツァの売れ行きも伸びない。
 ということで、もしワンプライス値引き無しのクルマがイヤなら、買わなければいい。しかし、だ! このワタシでさえ、プリウスの魅力に勝てなかった。そこで様々なアプローチを試す。最初にトライしたのは、最近急増しているインターネット販売。人気バクハツで納期待ちになっているような車種だと、ネット販売業者もお手上げ。でも生産に余裕が出てくれば、メーカーだって一台でも多く売りたい。そこで「業販店」という販売網にクルマを卸す。業販店とはいろいろなメーカーのクルマを扱う小規模のディーラーのこと。
 正規ディーラーほどマージンは大きくないけれど、それだって12〜15%くらいの利益率がある。150万円のファンカーゴなら、17〜22万円くらい儲かる計算。ネット販売は、こういった業販店と組んでクルマを仕入れる。すると値引きゼロのクルマでも値引き出来るという寸法。ファンカーゴをネット販売業者で探すと、平均して*万円くらいの値引きだった。同じく値引きゼロのアルテッツァは**万円引き。ヴィッツも*万円引きくらいで買えると思う(相場は表を参照のこと)。
 エスティマのような高額車になると、すでに値引きゼロ販売が通用しなくなっている。このクラスのクルマは、付き合い長いユーザーが多い。突然「値引きしない」といっても、お客さんは納得しないワな。そこで下取り査定を相場より20万円以上高くしたり、用品を値引き相当分くらい付けるような販売方法になりつつあるようだ。先日も値引きゼロ対象車種のRAV4を、実質的に27万円値引きさせて買ったというヒトからメールもらった。参考までに書いておくと、エスティマですら20〜25万円引きが普通。

 値引き販売だと、お客はセールス氏から少しでも値引きを引き出そうとお茶出したりしてくれるのだそうだ。でも値引きゼロ車種だと、もうセールス氏をおだてても意味無い。ワタシだって今回みたいに納車費用カットさせたり、フロアマット買わないんてこと、したことないです。他のメーカーに聞いてみたところ、スバルは「今のところ考えてません」。ホンダも「インサイトとかS2000といった例外を除けば難しいでしょうね」。値引きゼロ販売は、優秀なセールス氏を育てられないんじゃなかろうか。