このページのテーマは「CVTはナゼ燃費がいいか?」だけれど、個人的にゃ「ホントに燃費いいの?」というあたりに興味ある。例えば”エコ”を全面に押し出すトヨタは、現時点でCVTを使っていない。本来ならCVTが有利とされる軽量のヴィッツあたりで採用しても良かったの思うのだが、トヨタのテストによれば「CVTも4速ATもネンピはほとんど同じ」だったそうな。だったら高い生産コストや、発進時のギクシャク感といったマイナスポイント持たないトルコンタイプのATの方がユーザーにとっても有り難いこと。
ホントにCVTはネンピいいの? 正直なハナシ、現時点じゃ「解らない」が正解だと思う。理論からすればCVTの有利であること間違いない。トルコンによる滑り損失ないし、変速レンジが広いので、巡航時の回転数を5速ATの5速ギアより落とすことが可能。常に最適なギアレシオを選ぶことによりエンジンの効率的な使い方も出来る。登り坂など4速だとパワー足りず、かといって3速に落とせば回転数上がりすぎて効率悪い、みたいなこともないのだ。だからこそ自動車メーカーは必死でCVTの開発を進めている。
弱点は? これがけっこう多かったりするのだな。最大のネックとなっているのが、ベルトとプーリーの間で発生するフリクション(摩擦だと思えばよろしいです)。ベルトもプーリーも金属。ユルユルで接触させているだけだと、当然ながらスリップ。金属と金属でスリップすると、イッキに発熱して壊れちゃう。かといってオイルで潤滑させようと思ったら、もっと滑るワな。ブレーキにオイル塗るようなモンだから。そこで必要とされるより大きめのチカラ掛けてプーリーを引っ張っている。ここで大きなパワーロスが出るのだった。
自転車のチェーンだって張りすぎると重くなるでしょ? 同じコトはプーリーとベルトの関係で発生する。さらにプーリーを張るために油圧を使うが、この油圧を作るためにポンプ使う。このパワーロスも非常に大きく、トータルすると10%前後にも達するとか。トルコンATの伝達ロスも10%くらいだと言われているので、ほとんど変わらないということになってしまう。CVTのロスは大きな排気量になるほど大きくなり、だから2リッターを超えるクルマとCVTの組み合わせはない。今後も2リッターがベルト使うCVTの限界だと思う。
ちなみに今年中には2リッター以上のCVTが日産から発売されるが、こいつは『トロイダルCVT』と呼ばれ、金属ベルトを使わない新形式。マカ不思議なメカニズムを持っており、ここで説明することは難しい。なぜTV映るのか、と同じです。実力は相当なモノらしく、3リッターターボ280馬力エンジンと組み合わされるというウワサなので、このCVTが実用化されれば大型クロカンや、ミニバンにも採用出来るようになるだろう。もちろん燃費が良くなるかどうかは、これまた別問題。トロイダルCVTも、油圧ポンプやフリクションある。
も一つの難問がスタート時のスムースさをどうやって確保するか、という点。CVTを初めて採用したスバルや日産は、スタート用に『電磁クラッチ』を使った。電流を上げるとクラッチが繋がるというシステム。これだとスタートは出来るも、スムースたぁ言い難い。ヘタクソのクラッチミートよりマシながら、少し慣れたドライバーよりヘタ。ギクギクしちゃうのだ。ワタシなどはスタート時のスムースさを追求するタチなので、もう辛抱タマラなかった。その後だいぶ改良されたが、依然として嫌うヒトは多い。マーチもキューブもCVTとトルコンAT両方を設定してるほど。トルコンATの人気が高いらしい。
第2世代がホンダ式。クリープ(コーヒーに入れるミルクでなく、アクセルを踏まなくても少しずつ前に進む現象。トルコンATはクリープする)を付けた。キューブはアクセル踏むと唐突にスタートする感あるのだが、クリープ付けたホンダ・キャパとかHR−Vなどに乗ると、けっこうイケる(初期型のロゴは多少乱暴気味)。この段階になってくると、普通の感覚の持ち主だとギクシャク感じないだろう。ワタシでさえHR−Vくらいの滑らかさがあれば、CVTでもいいかな、と思う。
しかぁし! 電磁クラッチやホンダのような油圧式クラッチでイケる限界が1、5リッタークラス。それ以上大きいエンジンだと、耐久性などで苦しくなってしまう。そこで日産は第3世代のCVTとして発進にトルコンを使うCVTをデビューさせた。すなわちギクシャクする発進はトルコンで滑らかにし、20q以上になったらCVTで変速していく、というシステム。今のトコロ、CVTではこのタイプが最も良いとされており、スバルなんか軽自動車のプレオにも使ってきた。間もなくデビューする次期型セレナもトルコン+CVTは使われているらしい。今後の主流になることは間違いない。
近い将来、ハイブリッドシステムを採用するクルマが増えてくると、CVTはイッキに主力となる。ティーノなど見ても、スタートはモーター使うので超スムース。高速巡航はギア比を変えやすいメリット活かし、80q走行時1400回転という超ハイギアレシオになるという。こらもう普通のトルコンATだと使えないワザ。その他、直噴エンジンとの相性もバッチリ。両方の良いブブンを引き出せる。結論を出すなら、ネンピに限って言うと現時点でトルコンとイーブン。今後は有利になる、だ。
ちなみにCVTで燃費をよくするには、タコメーターの針の3千回転に黄色いテープを張るだけで良い。ここまでの回転数で走るようにすれば、後はクルマが自動的に最良の燃費を引き出してくれるのだった。トルコンATと違い回転数が上下しないから、全くストレスなく走れるだろう。スポーツ走行の時は、Sレンジをセレクトし、ガムシャラにアクセルを開ければOK。これまたクルマが持てる最高の加速力を発揮してくれる。簡単だぁね。
トヨタもCVTを開発してることは間違いない。プリウスも当初はCVT+直噴エンジンの組み合わせで開発されていたのだから。しかし今のところはメリットがデメリットを超えられないのだろう。CVTに切り替えると新しい生産整備が必要だし、コストアップに繋がる。大幅なネンピ向上や、ドライバビリティの向上、スムースさを得られるならそれでも採用するだろうけれど、今の段階じゃそこまで期待出来ない。今後は、ということで考えるなら、CVTの採用は大いにありうる。いや、もしトヨタがCVTを使い始めれば、数多くの車種で採用するに違いない。