ハイオク100円にレギュラー88円。そりゃハイオクがいいのは解っちゃいるけど、50リッター入れれば615円の差になる。スポーツカーならハイオクだって納得するも、ワタシのディスカバリーなんて、4リッターで182馬力しかないショボイエンジン。ホントにレギュラー入れたら壊れるんかぁ? ハイオク仕様が多い輸入車ユーザーにとってみると、スタンドに行く度に考えちゃうことだろう。今回はガソリンについてジックリと検証してみたい。最後まで読めば上記の疑問の答えも出てます。
最初に「なんでハイオクなの?」からいく。エンジンパワーを追求しようとすると、圧縮比を上げて爆発力を高めないといけない。ゴム風船は空気を溜めれば溜めるほど爆発エネルギーも大きくなるが、エンジンだってそれと同じ。なるべく多くの空気をパンパンに圧縮させて火を付ければ、景気よくドカ〜ンと燃えるのだ。ただ普通のガソリンを使うと、圧縮する手前で火が付いてしまったり、一部だけ燃えてしまったりする。ところどころゴムが薄くなった風船みたいなモン。
パンパンに膨らむ前に割れたり漏れたりしてしまうワケ。この現象、ギョウカイじゃ『ディトネーション』(異常燃焼)とか『ノッキング』と呼ぶ。低回転ならカリカリと音を立てる程度だが、高回転全開時に発生すると一瞬でエンジンを壊すほどアブナイ。壊れないにしても、長い期間ディトネーションを起こしたエンジンは、クランクまでガタガタになるぞ。そこで登場するのがハイオク。強い風船のゴムだと思えばよろしい。高い圧縮比にしても、キチンと耐えてくれるのだった。
ハイオク仕様車は、ハイオクを使うことを前提に高い圧縮比としているので、レギュラーガソリンを使うエンジンより10〜15%くらい高い馬力&トルクを実現できる。したがって日本車やアメリカ車でハイオク仕様となっているエンジンは、高性能を追求したスポーティエンジンだと思えばよろしい。また、ヨーロッパ車の多くはトルクを太らせるため低中回転域での圧縮比を高めており、この場合、最高出力の低い実用的エンジンであってもハイオクを要求する。ワタシのディスカバリーが好例。
じゃ、ハイオク仕様のエンジンにレギュラーを入れたらどうなるか? 昔のエンジンであれば答えは簡単。ディトネーションを起こして壊れた(壊れるまでの時間は使い方による)。しかし日本やアメリカのクルマでそんなことになったら大変だ。PL(製造者責任)を喰らうか、クレームの山になっちゃうからね。そこで『ノックセンサー』という聴診器みたいな機械を使い、ディトネーションしたら異常音を察知。即座に点火時期を遅らせて風船が破裂する前に空気を抜いてやるようにしている。
点火プラグに火を飛ばさなければ爆発も起こらず、結果的にディトネーションを防止出来るワケ。ただ点火時期を遅らせると、馬力も落ちる。したがってハイオク仕様のクルマにレギュラーを入れると、壊れない代わりパワー&トルクが10〜15%落ちてしまう(燃費はあまり変わらない)。逆に考えると、ディトネーションさえ起こさなければハイオクでもレギュラーでも全く同じということになる。ディトネーションを起こすのは高回転域が多いので、普通の回転域で使っていればハイオクもレギュラーも同じだと思ってよろしい。
問題はヨーロッパ系輸入車。未だにノックセンサーが付いていないエンジンも多く、この場合、レギュラーを入れてアクセル全開走りをするとディトネーションを起こして壊れる可能性大となる。輸入車ユーザーなら、ぜひとも自分のクルマにノックセンサーが付いているどうか確認を。付いていれば、レギュラーを入れても大丈夫。トップエンドのパワーと、アクセル全開時のトルクが10〜15%落ちるだけだ。もし付いていなければハイオクを入れるか、以下の方法で逃げるかの選択をすること。
ここで裏ワザを紹介しとく。一口に『ハイオク仕様』と言っても、ジツは要求オクタン価に差があるのだった。例えば日本で売られているガソリンの場合、レギュラーで92オクタン。ハイオク100オクタンというのが平均値。ヨーロッパ車の大半は、96オクタンのガソリンを基準としているため、ハイオクじゃないと対応出来ないというワケ。ちなみにアメリカのハイオクは97オクタン程度。日本で売られているガソリンは、市販タイプで最も強力なのだ。
しかぁし! 日本のガソリンのトコロに”平均値”と書いたように、オクタン価にゃ幅がある。また、ハイオクと言いつつ98オクタンのガソリンを売っている系列も。90オクタンを切るレギュイラーもあるそうだ。いずれもレギュラーとハイオクの基準値ではあるけれど、こんだけ違うと聞けば驚いてしまう。
自動車メーカーに問い合わせたところ、メーカーを名を出さないことを条件にいろいろ教えてくれた。内容をまとめると「同じガソリンでもオクタン価はバラバラ。季節によって違うこともあるほど。したがって余裕を持ってガソリンの指定をしている。96オクタン指定のヨーロッパ車も、ジツは93〜94オクタンあればキチンと回るし、壊れない。ただレギュラーの中には89オクタンくらいのヤツも混ざっていて、コレを入れられちゃったら一発でドカンです」。心配ならタンクが半分くらいになった時点で、レギュラーとハイオクを交互に入れればよろしい。そうすればオクタン価が上がり安全圏内に。ワタシのディスカバリーは、この方法。考えてみると、ムカシはそうやってたなぁ。
そうそう。安売りの無印ガソリンスタンドだけれど、ああいったトコロで売られているのは『業転モノ』と呼ばれるガソリン。系列大手の業者が精製したものの、売れずに余ったガソリンをナイショで安く横流ししているのだ。したがって基本的には大丈夫、だと思う。やや自信の無い書き方なのは、やっぱり最終的な保証がないため。少なくともワタシは高校生の時に2ストロークバイクに入れたっきりで、それ以来使っていない。