最近「ヨーロッパではディーゼルが主流になろうとしているのに、どうして日本じゃ嫌われるのか?」という質問を受ける。ベンツのML270に搭載されている2,7リッターの最新式直噴ディーゼルを例に挙げてみよう。このクルマに搭載されているエンジンは、コモンレールと呼ばれる超高圧燃料噴射システムを採用しており、従来のディーゼルより圧倒的にクリーン。黒煙出ず、ニオイだってほとんど気にならないレベルだ。
 しかし日本で乗ると、臭くて黒い排気ガス出すごく普通のディーゼルになってしまう。なぜか? 最大の要因は軽油の中に含まれている硫黄分である。数年前、若干改善されたというものの、日本の軽油は平均して500ppmもの硫黄分を含む。参考までに書いておくと、ヨーロッパで販売されている軽油の硫黄分は平均50ppmでしかない。10倍汚い軽油を売っているワケ。有鉛ハイオクみたいなもん。

 ちなみに日本で販売されているガソリンは、世界一良質だと言われている。ヨーロッパのガシリンって、依然としてメタノール(アルコール)を10%以上含んでいるものもあるし、ハイオクのオクタン価だって100に届かない。だから日本で280馬力を発生するインプレッサも、ヨーロッパだと220馬力程度しか保証できないのだ。アメリカもカリフォルニア州を除くと、日本ほどガソリンの質が一定でないそうな。
 つまり軽油の質が悪いのは、石油会社の責任でないということ。石油会社側の言い分によれば「技術的には硫黄分を大幅に除去することが可能です。ただし販売コストに転科しないと困ります」。軽油の大口使用者である建設や運輸業界は、政治家と太いパイプを持つ。値上げなど許さん、ということなんだろう。住民の健康より、カネ儲けが重視されてきたのだ。カネカネカネカネ。情けない。

 ヨーロッパでも、2005年からディーゼルの規制値が一段と厳しくなる。「ガソリンと同じクリーンさじゃないといけません」になるのだ。これに対応するため、現在50ppmの硫黄分を10ppmまで下げる必要があるという。日本の500ppmって、いかに途方もない汚さなのか解っていただけるだろう。こういった軽油を使っている限り、クリーンな排気ガスのディーゼルなど実現できるワケない。
 ただ日本でも動き出しているようだ。2007年から硫黄分を減らすことになっていたのが、石原東京都知事の動きで2005年に前倒しとなった。現在のヨーロッパ並みの基準にするというのだけれど、どうせ石油精製装置を変えなくちゃならないなら10ppmとかにしたらどうだろうか? そしたら日本でもガソリン並みにクリーンなディーゼルが実現できるかもしれない。

 文頭のテーマに戻る。東京都と埼玉県(罰則まで定めるそうだ)が2003年から順次DPFと呼ばれる黒煙除去フィルターの装着を義務づける法案を審議中。さらに大阪府や兵庫県、京都府でも検討し始めたという。神奈川県や千葉県も追随しそうな雰囲気。となると、ここに住んでいるヒトはもちろん、通過する際もDPFが必要だ。トラックだけでなく、乗用車にも適用される。
 現在販売されているディーゼルエンジン車は、全て規制の対象になる予定。DPFがいくらになるか不明だし、2005年からは軽油の価格も上がること間違いない。規制区域や、その隣接地域に住んでいるヒトでこれから新車を買うなら、とりあえずガソリン選んでおくべきだと思う。そうそう。人口密集地域でない場所であれば、2005年から販売される硫黄分低減軽油入れると排気ガスがググッと臭くなくなります。