新馬力表示 何だか突然エンジン出力の表示が『馬力』から『kw』になってしまった。世界共通のスケールにしよう狙ったものだけれど、厳格に守ろうとしているのは日本くらいかもしれない。というのもアメリカも一時はフィート&ポンド表示とm&s表示をカタログに併記していたが、どうにもユーザーの評判良くなかったようで、最近は止めてしまっている。ワタシらだって突如馬力の表示をkwにしましょう、と言ったって納得出来ないでしょ?したがってkw表示を定着させるのは難しいと思う。EUはすでにkw表示になっているが、依然として馬力表示もしているのだ。ちなみに1kw=1,36馬力と覚えておけばよろしい。日本でもモーターの出力表示はkwで行っており(プリウスやインサイトのモーター)、電気関係は問題ないようだ。ようするにユーザーの支持が無い限り、馬力表示をkwに切り替えるのは難しいということです。みんなで抵抗しましょう。
新トルク表示 トルクも馬力と同じでスケールを変えようとしている。こちらは『N・m』(ニュートン・メーター)と呼ばれる単位。kw表示と違い、ほとんど従来のsmと同じような数値宇になるため(10sm=***N・m)、もしかすると違和感なく受け入れられるかもしれない。でもそれだとトルクだけ違う表示方法になってしまうのでおかしいか? そういえば気圧も従来の「ミリバール」から「ヘクトパスカル」に呼び方を変えたけれど、数値は全く同じ。こういった変更なら受け入れられるんだと思う。しかし馬力とトルクの表示方法変更は、自動車評論家はもちろん、読者の皆さんだって受け入れがたい。少なくともココ10年くらいはN・mよりsmが単位になるんじゃなかろうか。面白いことにプリウスに使われているモーターのトルク表示は、smになっている。トルクって解りにくいが、おおよその目安として、NAエンジンの排気量100cc=1sm程度。
CD値 コンスタント・ドラッグの略。空気抵抗係数を示す。測定は空洞で実車を使って行う。少し前までは一般的なセダンだと0,33切れば立派なモノだと言われたが、ここにきて競争激化。Cd値よいほど高速走行時の燃費を向上させられるためである。今やセダンボディでさえ0,27あたりまでCd値を下げられるようになってきた。次期型セルシオは0,25と発表されており、驚異的なデータ。なにしろ2シーターとし、ボディ後半を大幅に絞ったインサイトでさえ0,25なのだから。トヨタの風洞は甘い数値が出る、と主張するライバルメーカーも出てきた。基本的に長くて低いボディ形状のクルマが有利。背高く短いボディでCd値良くするのは困難だ。
CL値 CLはコンスタント・リフトの略。すなわち走行中、ボディを持ち上げる空気のチカラを示す。レーシングカーなどだと『ダウンフォース』と言って車体を地面に押しつける役割を果たす空気ながら、普通のクルマの場合、逆に持ち上げるチカラになってしまう。CLの後のfはフロント。rはリアのこと。普通リアのリフト量の方が大きいため、高性能車だとリアに浮き上がり抑えるスポイラーを装着する。最近になって空力の研究が進み、市販車でもリフトでなくダウンフォースを発生出来るようになってきた。ダウンフォース出すクルマは、CLの次に(−)マイナスを入れて表示する。GT−Rなどがマイナスリフト(ダウンフォースのこと)の市販車。
G Gとは重力のこと。普通の状態を1Gと表示する。体重70sのヒトだと70sということ。コーナリングで横方向に1G発生させたらどうか? この場合、横方向に70s分の重力が掛かる。横に寝転がり、マクラ使わず頭を水平にしたのと同じ。2Gだと頭の重さは倍に。上と同じ状況で7〜8sのオモリを頭に乗せたと思えばよろしい。3Gだと15s前後のオモリを乗せたのと同じ。普通のヒトだと限度か? 真空状態でものを落下させた時の加速度も1G。したがって1Gで加速したら、モノが落ちるときと同じくらい速いということでもある。市販スポーツカーの横Gと減速Gは1G程度。加速で0,7Gくらいだと思えばよろしい。
パワーウエイトレシオ 1馬力当たり何sの重さを走らせるか、ということ。8s/psくらいを境に、ソコソコ走るという印象からスポーティという印象になる、と言われている。1000sのボディに100馬力エンジンを積めば10s/psだ。8s/psなら1000sのボディに125馬力のエンジン積まなければならない。MR−Sとかロードスターなどがこの程度。5s/psにもなると強力だ。NSXやインプレッサWRXなどを想像してもらえばよかろう。F−1は600sで800馬力。燃料やドライバーの重さなど考慮すれば、1s/psあたりか? s/smは「トルクウエイトレシオ」と呼ばれる。トルク1smは排気量100ccに等しい。同じ表示馬力だとNAよりターボ車の方が速いのは、トルクウエイトレシオ良いため。今後出力の表示方法が変わると、1s/kwという表現になるのだろう。解りにくい!
燃費 1リッターの燃料で何q走るかを示す。カタログに表示されている10・15モード燃費とは、一般道での燃費を想定したもので、信号待ちやノロノロ走行など15種類の走り方を組み合わせている。60qの一定速で平坦地を走る『定地燃費』は、あまりにもアテにならないということで考えられた燃費表示ながら、これまた一般的な使い方だと絶対に出ない数値。プリウスは28q/リッターだけれど、街中じゃ絶対そんな燃費出ない。カタログデータの60〜70%だと思えばよかろう。郊外の流れの良い道で10・15モードと同じくらいだ。ちなみにヨーロッパやアメリカの燃費表示とは全く違うモードだから、外国のデータと比べても意味無い。g/ps・hは、1馬力出すのに1時間当たり何グラムの燃料を使うかというもの。おおよそ200gくらいである。ただそんなこと知っていても何の役にも立たないからご安心を。ワタシも普段考えたことさえないデータ。
重量 簡単に言うと車両重量は「クルマがキチンと走るために必要な油脂類を入れた状態での重さ。バイクの場合『乾燥重量』といって、油脂類ナシの重さで表示する。車両総重量とは、乗員&荷物を規定量乗せた時の重さ。乗員1名55kgで計算するので、6人乗りだと車両重量に330kgが加算されるワケ。普通、車重と言うと車両重量のこと。カタログに記載され、重量税の基準となるのも車両重量である。
前後の重量配分 4輪車は前輪と後輪の荷重が違う。前に重いエンジン搭載していれば前重くなり、逆にリアにエンジン積むクルマだと後輪が重くなる。例外を除くと、FFは前輪重く、ミドシップやRRだと後輪重い。FRの多くが前輪重いけれど、スポーツモデルになると意識して前後同じくらいになるよう設計する。コーナリング性能を考えれば前後同じくらいが理想。レーシングカーはリアが重いこと多いけれど、空力を使って荷重配分を変えるから、あまり気にしない。それより重量のあるエンジンなどを車体の中央部に集め、機敏に動くようにする方が大切。したがって前後の荷重配分は大切なのだけれど、だからといって絶対的なモノでもなかったりする。
最小回転半径 ハンドルを一杯に切ってUターンした時の半径。前輪の軌跡で計測するため、バンパー先端はそれ以上大回りになる。つまり前輪からバンパーまで(フロントオーバーハングと言う)が長いクルマだと、最小回転半径小さくても小回り利かない感じ。フロントを駆動するタイプのクルマ(FFや4WD)は、ドライブシャフトなどの取り回しの都合上、ハンドルの切れ角を大きくすることが困難。FR車などだと小回り利く。大きなボディのクラウンで5,*m。bBが5,*mといった具合。タイヤサイズは細い方が小回りじゃ有利だ。一昔前は後輪を逆方向に操舵する「4WS」というシステムが流行り、これ付けると50pくらい小回りが利くようになる。
0〜400m なぜ400mかという意味はない。定説としちゃアメリカで流行したドラッグレースと同じ距離(4分の1マイル=400mよりホンの少し長い)をメートル法に換算したものだということになっている。確かに加速力を示すにはちょうどよい距離かもしれない。これ以上長くなると空力が重要になるし、短ければひたすら軽いクルマ有利となってしまう。0〜400mで12秒台に入ると「猛烈に速い!」と感じるレベル。15秒切れば高性能車に分類してもおかしくない。国産の市販車で最も速いインプレッサは12秒台。モノが落下する時の加速度で400m走ると、8秒少々になる。F−1のタイムは6秒くらいだと言われているが実測データ無し。
0〜100キロ これまた明確な意味はない。定説としちゃ、アメリカの性能判断基準だった0〜60マイル(約96q)加速をメートル法に換算したものとなっている。アメリカのフリーウェイに入る時の加速を想定したもの、と考えればよかろう。低速トルクが太いエンジン積んだクルマだと、0〜400m遅いのに0〜100q速い、ということもある。標準的な速さは10秒くらい。6秒台に入れば高性能車に分類。5秒台になると「速い!」と感じる。
圧縮比 ピストンが一番下になった時の容積と、一番上になった時の容積の比率。10対1と言えば、2000cc吸った空気を200ccまで圧縮して点火させるということ。レギュラーガソリンをキチンと爆発させるには、11対1くらいまでが上限とされる(それ以上高いとノッキング=異常燃焼してしまう)。ハイオクで12対1くらい。レーシングエンジンになると15対1近い圧縮比のエンジンもあるようだ。ターボやスーパーチャージャーで過給するエンジンは、過給する分を考慮しなければならないので、NAより1〜2くらい低くする。また、ディーゼルは空気を圧縮して着火させるという構造なので、20対1以上の高い圧縮比を持つ。
ボアストローク比 ボア=ピストンの直系。ストローク=ピストンが上下する長さを示す。ボアとストロークの数値が近いと「スクエア」(四角という意味)。ストロークよりボアが大きいとショートストローク。ボア小さいエンジンをロングストロークと呼ぶ。ロングストロークのエンジンは熱効率を高めやすく、低速トルク稼ぐのに有利。ただ回転数を上げにくい。物理的な限界はピストンが動く速さで1秒間に20m程度とされている(それ以上速く動かすと、いろんなトコロに無理が出る)。高回転まで回そうとすれば、ストロークを小さくしなければならないのだ。最近は効率を上げるためロングストロークタイプのエンジンが流行始めた。トヨタの新しいエンジンなど、大半がロングストローク。最高回転数200回転くらいの船舶用ディーゼルエンジンは、超ロングストローク。
ギア比 カタログに出ている変速比からクルマの性能を推測することはほとんど出来ないと思って良い。ワタシら専門家だって解らないのだから。また、ミッションの変速比だけでなくデフにもギアが使われている。ここの変速比を『最終減速比』と呼ぶ。したがってエンジンから出力された回転数は、ミッションで落とされ、さらにデフで落とされるワケ。一段と解りにくくなってしまうでしょう。クロスレシオというのは、ギアとギアの感覚が狭いタイプを。ワイドレシオは広いタイプを言うのだけれど、特に決まった基準というのもない。パワーやエンジン特性によって決まってくると思えばよかろう。また、乗ったヒトのイメージも重要。ただ一般的な尺度としては、トップギアで最高速出るクルマをクロスレシオ。それより低いギアで最高速に達するクルマをワイドレシオと分ける。マニュアルだと6速。ATは5速以上のミッションがないのは、性能向上に結びつかないためだ。
CdA Cd値は空気抵抗を示す”係数”であって、絶対的な空気抵抗でない。いくらCd値小さいインサイトも、むちゃくちゃCd値大きな原付バイクの伏せ姿勢より空気抵抗は大きいのだ。つまり絶対的な空気抵抗はボディサイズ(正確に言えば前面投影面積となる)とCd値を掛けたモノになる。コレがCdA。本当に空気抵抗を減らしたいなら、Cd値を小さくした上、ボディをコンパクトに作らないとダメなのだ。スポーツカーみたいなボディ形状が、最も空気抵抗を減らすのに有効。インサイトもCd値だけでなくCdAを少なくすることに神経を使っている。次期型セルシオはCd値低いものの、全面投影面積大きいためインサイトより空気抵抗は大。
YM これまた空力分野の表示方法。YMとはヨーイングモーメントの略で、横から風を受けた時の対応能力に関係する。CYMを優秀な数値にしようと思えば、横方向からの風に対するCd値を向上させた上、空力重心(空力的な車体の中心)を真ん中にしなくてはならない。強い横風を受けた際、なるべく流される量少なく、さらに前後バランスよくないとダメ。前だけ強く風を受けたり、後ろだけ強く受けたりするとバランス崩す。ただ市販車程度のCYM値だと、それほど神経質にならないていい。けっこう高性能なクルマでもCYM値は計測しないし、カタログにも記載しないのが普通。自動車評論家もCYMまでは気にしていない。