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ユーザー車検レポート
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 ハッキリ言って少々肩透かしを食らったような気分で車検場を後にした。終わってみるとなんともあっけないのだ。普通、車検でディーラーや町工場にクルマを持ち込むと、最低でも1日は代車生活になるくらい時間が掛かるのだから・・・。正味1時間で終了してしまうなんて思ってもみなかった。

 というわけで今回は、ユーザー車検初体験のボクが感じた「車検」について、費用と時間を追いながらレポートしたいと思います。

 この度車検を迎えたクルマは師匠所有のセルシオ(UCF30型)で、新車登録後3年経過の初車検。さすがにメンテナンスが行き届いているし、走行距離もわずか6300kmとあって状態はカンペキ。ユーザー車検には事前予約が必要なのだが、師匠がすでに電話で取っており、予約番号をメモしていざ出発。師匠は「簡単!かんたん!」と言っていたが、テスター上でしっかり操作できるかメチャクチャ不安です。

 まずは近所のJAで自賠責保険の更新。車検を受けるためには現在有効な証書と次回車検まで有効な証書の計2枚が必要なので、この先24ヶ月分の保険料2万7630円を払って新たな証書を受け取る。窓口で現在の証書と車検証と印鑑を提出するだけで後は待つのみ。

支払額・・・2万7630円(法定費用)  所要時間・・・約15分

 次ぎに向かったのが一般的に「テスター屋さん(予備車検屋さん)」と呼ばれるお店。テスター屋さんには本番の車検場と同じような計測機器が整っており、実際の車検と同様の流れでクルマをチェックする。ユーザー車検初体験のボクのような人にとっては予行練習の場となると共に、ヘッドライトの光軸やスピードメーターのテストなど、一般人では調整しにくい箇所の調節や確認はここでできるのだ。率直な感想としては、少しでも不安のある人は絶対利用すべき。なぜ絶対かというと、光軸はわずか6300kmしか走っていないセルシオでさえ調整が必要なほど狂うものだから。つまり、多くのクルマがこの項目が怪しいと言えるのだ。これにより車検不合格になる確率は非常に高く、専用の測定装置でないと調整が難しい部分なだけに、テスター料4000円を払って車検合格がほぼ確実になるのならば使わない手はない。ほかの項目ついては係員さんの指示通りに操作すればOK。セルシオはトラクションコントロールがついているので、これをOFFにしないとスピード計測ができず注意を受けたが、ブレーキなどは意識してしっかり操作すれば問題なし。テスター屋さんはどの地方に関わらず車検場周辺に点在しているのですぐに見つかると思います。

支払額・・・4000円  所要時間・・・約10分

 テスター屋さんを後にすると、次はいよいよ車検本番です。ドキドキしながら車検場に到着すると、いかにもクルマ屋さんというツナギを着た人が行き交っており、なんだかとても混んでいる雰囲気。駐車場の端の方に遠慮がちにセルシオを止め、いざ車検!と言っても手順がわからない。とりあえず「検査」と書いてある建物に入ると、運良く「予約確認」の窓口があった。ラッキー!と思い「ユーザー車検を受けたいのですが」と言って予約番号を係員に告げると、「じゃあ書類を揃えてきてください」と言われ『ユーザー車検(継続審査)検査申請の手続き順序(例)』と書かれた紙を渡された。

 早速その順に乗っ取って申請開始。始めに必要書類となる用紙を揃えることからだが、@車検証とA定期点検記録簿とB自賠責保険証書はすでに持っているので、そのほかの用紙を集めるべく行動開始。C自動車検査表(検査ラインで使用)とD自動車重量税納付書は先ほどの窓口にあったのでそれを貰い、唯一E継続審査申請書を30円で購入。記入事項と方法は見本があるのでその通り書けば問題なし。これらの書類は代筆してもらうことができ、うまい具合に近く(ほぼ隣と言ってもいい)にある行政書士事務所で書類入手から自賠責保険の更新までのできるのだが、代筆料(1000円位)を払うほど量が多いわけでも特別難しいものでもないので、見本を見ながら自分で書くことをオススメします。残る書類はF納税証明書だが、手元に無かったので新たに取ることに。これも所定の場所で用紙に必要事項を書いて提出すれば簡単に発行されました。必要事項の記入が済んだ書類が揃ったら自賠責保険料以外の法定費用の支払いです。書類を持って各印紙購入窓口に行き、普通車の検査手数料として1500円分。それと、巨体セルシオの自動車重量税5万400円(2万5200円×2)分の印紙代を支払いました。これで書類は全て揃ったので、再び予約確認窓口に行きそれらを提出。係りの人がチェックしている間はドキドキしたが、確認印が押されて一安心。これで書類関係は無事終了となり、対象の検査ラインに並ぶように言われました。いよいよ受験です。

 ちょうど休憩時間中でだいぶクルマが並んでいたので、普通車ラインの最後尾にセルシオをつけエンジンストップ。待機している間は基本的にアイドリングストップです。15分ぐらい止まっていたので、少し落ち着きを取り戻すことができました。検査が再開されると検査官の人達が建物からゾロゾロ出てきて、1人1台づつ並んでいる状態のまま外回りの検査開始。場の雰囲気が一気に緊張感のあるものになります。ボクの所には30代中盤と思われる検査官がやって来て、機械的にいろいろと指示を出してきたので、言われるがままに全ての灯火類の点灯確認や外回りとエンジンルームのチェック。ボンネットの開閉などはユーザー自信が行います。異常なしとの判断が下り検査表にサインを書いてもらうと、ついに検査ラインに突入です。

 しかし、ここで面食らってしまった。テスター屋さんでは係員の人が操作を言葉で指示してくれて、その通りにやれば良かったのだが、実際はライン上に設置されている検査項目ごとのスイッチを自分で操作しながら、前方上にある電光掲示板に従って進んで行かなくてはならないのだ。初めてのボクはこの事実に相当ビビってしまい、こりゃ厳しいと近くの検査官を呼んでラインを通過するまで指導してもらうことに。まず始めはサイドスリップの検査で、検査ラインの入り口付近の停止線から進入ラインのペイント上をゆっくり前進するだけ。サイドスリップという言葉が聞き慣れなかったので尋ねてみると、前後のタイヤがきちんと一直線で、路面に対して垂直になっているかどうかの検査だと教えてくれた。続いて前後ブレーキとパーキングブレーキの検査。数十分前にテスター屋さんで予行練習してきているので難なくパス。少し緊張したのがスピードメーターの検査。もちろん、テスター屋さんでは40km/hになったところでライトが光って知らせてくれたので、その時の針の位置はしっかり覚えていた。でも実際の検査では40km/hになったと判断した次点で、手に持ったボタンを押さなくてはならないのだ。たかだかボタン操作が増えるだけだが、初めてだと何かとドキドキしているのでおそるおそる右手にボタンを握りメーターを睨んでアクセルを開ける。おっとトラクションコントロールをOFFにするのを忘れました。メーター読みで42km/h位でスイッチON。「ハイOK」という検査官の声。「ホッとしました」。排気ガスの検査は自分で棒状のセンサー(プローブと言う)をマフラーに突っ込まなくてはならないので一旦降車。HCもCOもテスター屋さんで基準値の最低以下という優秀な結果だったので問題なし。光軸はテスター屋さんで調整してきたばかりなので自信満々でクリア。最後の下回り検査も点検整備の行き届いているクルマにとっては恐れるに足らずです。

 最後に総合判定として検査申請書類の全てを審査されるのだが、全ての項目で問題なしなのでめでたく合格。検査官にハンコを突いてもらい検査ラインも終了です。

 駐車場にセルシオを止めて、検査標章等の交付窓口に書類一式を提出。長椅子に座ってしばらく待っていると「トヨタのクルマでお越しの国沢さん」とお呼びが掛かり窓口へ。新しい車検証とフロントウィンドウに貼る検査標章を受け取る。一緒に提出した納税証明書と自賠責保険の証書と定期点検の記録簿はこのときに返却されたのだが、少々不安だったボクは窓口の人に「これで終わりですか」と確認。「ハイ終わりです」。何ともあっけない終了だった。

支払額・・・5万1930円  所要時間・・・約70分(書類関係約40分・ライン約8分・その他約22分)

 ユーザー車検という言葉が一般的になってからだいぶ経つけれど、それまでの車検は点検項目も多く、なかなかプロ以外の人がやろうとしても時間的な制約などで取っ付きにくかった。それが1995年の法改正により、6ヶ月点検の廃止や12ヶ月点検の簡素化と同時に車検制度も大きく簡略化。もちろん24ヶ月点検はしっかり行わなくてはならないのだが、そもそも車検制度が簡略化されたのは、最近のクルマは故障しないのであまり過保護に点検をしなくても良いということではない。それよりも、ユーザーによって使用頻度にばらつきの大きいクルマというものの特性上、一律に何年に1回という車検を通ったから「良し」とするのではなく、マイカーの状態を一番良く知っているユーザーが積極的に点検整備するように呼びかける意味が大きい。

 登録後10年以上経過したクルマの車検期間が2年に延長されたことからもわかるように、自己責任を大きくすることでユーザー自信がもっとクルマに気を配ることが求められている。欧米で車検制度がない国があるのはこういった意識が当たり前とされているからで、単純に家計に負担を掛ける車検がないということだけを見て羨ましがるのは大きな認識違いなのだ。

 ボクも今回初めてユーザー車検を経験したことで、今まで以上に自分のクルマに対する責任感が大きくなったような気がするし、マイカーを常に健康に保つことも、運転免許を持つ人の社会的責任の1つだということを改めて勉強できた。日頃からクルマに気を使ってメンテナンスをしている人にとって、ユーザー車検で最も注目されるポイントは料金的なメリットだということは間違いない。でも、それ以上にボクの心に残っているのは、今まで以上にクルマを労ろうという思うことだ。初めてだとカナリ緊張の連続だけど、平日に半日時間を作ることが可能であれば、是非一度挑戦して頂きたい。きっと、クルマに対する何か新たな感情が芽生えると思います。ボクも愛車の車検はユーザー車検に挑戦することに決めました。きっとまたドキドキの数時間を過ごすことになると思うけれど、一度経験すると不思議とまたやってみたくなるのだ。今度はスムーズにクリアが目標です。

費用合計・・・8万3560円  所要時間合計・・・約95分(+移動時間約100分)

レポート/山崎