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<新型レガシィ>・<3代目レガシィはこちら>

 これまでのレガシィは「乗れば良さが解る!」と言われてきた。これを裏返すと「スタイルに問題を抱えていた」となります。実際、先代レガシィのスタイル、デビュー当時から厳しく評価してきましたから。マイナーチェンジで大幅にフロント回りのバランスを向上させたと言え、依然として「カッコいい!」に遠かったと思う。それでも先代レガシィを買ったのは、乗れば凄くいいから、だ。加えてクルマやバイクって、多少カッコに問題抱えていても、買えば慣れるもの。これ、ワタシが持っているクルマに関しちゃプリウスにも当てはまること。

 従来型レガシィもプリウスも、買った人は「本質的な良さ」を重視する目利きと言えよう。いやぁエラいエラい! といった「広いココロを持つ」ワタシだが、新しいレガシィを見てビックリ! これスバルのクルマか? パンと張ったボディパネルといい、ドッシリとしたボリューム感じるフェンダーといい、とうてい先代レガシィの1世代後のモデルとは思えぬ。この間に1世代あっておかしくないです。それだけデザイナーが頑張ったということなんだろう。思わずスバルのデザイン陣をホメて上げたくなった。「そうか?」と思う読者諸兄も、ジワジワと高い評になっていくことだろう。

妥協しない軽量化

 スタイルだけでも凄いが、内容を聞くとさらにウナる! 衝突安全性の向上や車体の大型化のため本来なら100kg程度重量増えておかしくないのに、そいつをチャラとし、おまけに最大で90kgの軽量化をしてるのだ。ベーシックグレードの2,0iまでボンネットとリアゲートはアルミ。フロントの構造材にまでアルミを使う。ターボもチタン製ブレードだけで1万円高いそうな。仕入れ値で1万円! 10円単位で削減する自動車の部品代として考えると、天文学的だ。平滑度の高い鉄板を使ったため、質感だって向上。

 等長のエクゾーストパイプは、WRカーのインプレッサと全く同じ形状したステンレス製。これまた純正部品と思えない美しい仕上がり具合である。新しいレガシィのスペックを見ていくと、クルマ好きなら誰もが「そこまでやるか?」と思う。何より嬉しいのが実用燃費の向上か。短い試乗だったけれど、燃費計でチェックしたところ、ターボでも大人しく走ればリッター12km/l程度。ノンターボなら14km/lに届く。新しいレガシィはターボでないモデルを買ったって満足出来るだろう。いや、むしろベーシックグレードの2,0iを積極的にすすめたいくらいだ。正統派の「いいクルマ」だと思う。


          テストコースにて撮影(アクティブビークルより)

気になる乗り味。果たして?

 初めて新型レガシィのハンドルを握ったのは、世界屈指の高速コースと言われる富士スピードウェイだった。2つのシケインで2速に入る他、1コーナーもヘアピンも3速。300Rと呼ばれる高速コーナーに至っては、180kmの速度リミッター効いた状態で曲がるというシビレ度である。よくぞ市販車の試乗会などするな、と思う(インプレッサもここで試乗会やったが、その時はストレートの真ん中付近にパイロンで減速用シケインを作った)。今回はクリーン状態のフルコースです。

 ウォームアップ兼ねて軽く1ラップ。コースに異常無いのを確認し、全開! まず驚いたが先代レガシィの弱点だったブレーキである。新しいレガシィ、先代の集大成と言うべき対向ピストンタイプのブレーキを装備する『Sエディション』より効く! ブレーキペダルのタッチがいいだけでなく、絶対的に大きいキャパシティを持つのだろう。取材のため2人乗りで3ラップ攻めまくったのにフェードせず。従来型だったら「売り切れ」てたと思う。

 エンジンも良くなった! これまでは「トルクの谷」がはっきり存在し(こらもう誰でも解る)、谷の回転域を通過する時にイラついたものである。一つ目のタービンから二つ目のタービンへのバトンタッチに問題を抱えていたワケ。新型レガシィは大型のタービン一つになったため、トルクの谷も無い。普通、大型タービン一つだとアクセル開けてからパワー出るまでタイムラグあるけれど、新型レガシィはチタン製を採用。従来のツインターボよりレスポンス良くなったと思う。

 ハンドリングはどうか? 低速コーナーであるシケインから、4速全開の300Rまで攻めてみたが、結論から言えば「従来型レガシィを一段とリファインした感じ」。おそらく軽量化と同時に前後の重量配分も考えたのだろう。絶対的な”アンダーステア量”が少なくなっている。ハンドル切った分だけ曲がります。また、荷重をジックリ掛けてやるとテールのスライド量が自由にコントロール出来から面白い。安定性と楽しさを両立してるのだ。

17インチか18インチか迷うところ

 17インチと18インチを試してみた。サーキットを走った限りシャープさや絶対的なコーナリング速度は当然のごとく18インチ優勢。ただ限界を超えた時の挙動が若干シビアである。17インチに乗り換えると、グッとマイルド。車体の挙動が穏やかになり、これなら多少オーバースピードでコーナーに入っても余裕持って対処出来そう。ハンドリングで選ぶとするとレース派なら18インチ。ラリー好きなら17インチをプッシュしたい。

 続いて公道を模したテストコースで試乗する。18インチから走り出すと、硬い! 路面のデコボコを積極的に拾う感じ。開発担当者によれば「先代レガシィを買ってローダウン。18インチタイヤなど履いていたヤングアットハートなユーザーを意識しました」。このくらい硬くないと気合い入らないのだろう。15年前までのワタシなら、この硬さで全く苦にならなかったと思う。しかし今やキビシイです。確かにシャープで面白いですが……。

 17インチに乗り換えると、これだって先代のGT−B Eチューンよりハード目。今回からビルイシュタインが「こんなんでいかがでしょうか?」とばかりチューニングを変更し、微低速時の動きまで抑えたそうな。確かにハンドリングは一段と良くなった。SWボディなのにサーキット全開で走って全く平気なほどですから。ワインディングロード攻めてみたら、もはやロードゴーイングレーサーじゃないの。「すっげ〜速い!」だ。

 レガシィというよりインプレッサWRXの速さである。考えてみたらマニュアルミッションのツーリングワゴンGTとインプレッサSTiバージョンは車重同じ。タイヤサイズだって同じ。17インチで必要以上に速い、と思ってよかろう。しかも凄いコーナリングスピードながら、テールのコントロールが自在。撮影車はオプションのVDC付きだったけれど、無いタイプであれば一段と深いドリフトアングルを簡単に付けらる。
 以上ザッとGT系の紹介をしてみた。ワタシのおすすめは17インチのGT。スタイルで選ぶなら18インチもいいと思うけれど、走りの質からすれば17インチの方が上だと思う。「クルマ通なら17インチ」と言い換えてもいい。ミッションも「楽しさ」を第一に考えるならマニュアル。ただ新型レガシィのATはクロスレシオの5速タイプなので、予想外に楽しめた。GTカーというポジショニングだと考えるならATで何ら問題無し。17インチの5ATが、バランス良いチョイスです。


あまり注目されないNA車なのだが

 すでに葛生のテストコースや富士スピードウェイで先行取材会を開催している新型レガシィだが、なぜかシングルカムエンジン仕様車はどこにも用意されていなかった。「売る気ないんじゃないの?」とか「まだ☆三つエンジンが仕上がっていないらしい」みたいなウワサまで広がる始末。広報も「じゃ何とか用意しましょう!」と、東京スバルからクルマを借りてきたそうな。もちろんキチンと販売されており「売る気だって満々す!」(広報担当)。

 実車を見て驚いた。だって装備や外観がGTとあまり変わらないのだ。エクステリアはタイヤ径の差くらい。16インチのアルミホイール標準装備し55タイヤまで付く。レガシィの特徴であるヘッドライトやフォグランプ、ドアミラー部のウィンカーまで同じ。ドア開けると、インテリアだって手抜き無し! オーディオはMDが無くなるも、ツイーター有り。メーターも上級グレードと一緒。オートエアコン、革巻きハンドルが付いているのは笑いました。これで十分じゃないの!

 Dレンジをセレクトして走り出すと、パワーについちゃGTと比べモノにならないけれど、ライバルの2リッターFFワゴンとイーブンの加速感。なにしろ軽量化の恩典をタップリ受けており、4WDで1350kgしかないのだ。アテンザの2リッターFFが1370kg。一回りコンパクトなカルディナの2リッターFFで1310kg。普通に乗っている限り、何ら不満無し。強いて言えばライバルの4気筒と同じくらい騒音出すエンジン音くらいのもの。

積極的にNAもオススメ

 これまでレガシィと言えば「クルマ好きのための乗り物」だったように思う。理由は簡単。普通の人から見ると、スタイルに魅力なかったからだ。だからこそ突出した走りを持つGTしか売れなかったワケです。新型レガシィなら誰でも「乗ってみようかな」になるんじゃなかろうか。レガシィとしちゃ「まぁこんなもんでしょう」と感じるパワーの2,0iながら、平均的なクルマだと考えれば「十分走る」。スキーの相棒として使うなら「これでいい!」と思います。

 気になる燃費はどうか。山中湖近辺のアップダウンある道を30kmほど走りスタート地点に戻った時のデータをチェック。2回ほど計ったけれど、燃費計による計測で13,2km/lと13,8km/lだった。平坦路の90km/h巡航は14〜16km/l。ECO運転を心がければ、10・15モードの14km/lに届くだろう。ハンドリングはGT譲り。205/55 R16というスポーティモデル並のスペックを持つのだからポテンシャルあって当然である。

「安い」レガシィではなく「ECO」なレガシィが欲しい

 ここまできたら完全なECOバージョンなど作ったらいいのに。驚くことに2,0iも電子スロットル仕様(アクセルワイヤーが付いていない)。その気になれば部品代千円程度のスイッチ部分だけでクルーズコントロールを装備可能。ミシュランのグリーンタイヤや、空気抵抗減らすため20mmくらいローダウン&空力デバイス付け、専用のボディカラーで差を付ける、なんていかがか? 安いレガシィだと魅力薄いけれど、ECOなレガシィなら欲しい。

2.0Rはまたひと味違う

続いて40馬力&約30万円高の2,0Rに乗る。4千回転くらいまでのパワーは2,0iと同じなのだが、そこから上でパワーダウンせず逆に盛り上がって行くという特性。絶対的なパワーだけでなく、エンジンフィールもスポーティで気持ちよい。街中を普通に走っている限り、動力性能は2,0iと変わらず。4千回転以上まで回す機会など、ほとんど無いか。今回の試乗コースのようにアップダウンあると、ヒンパンに4千回転以上使うから2,0iより頼もしかった。

 エンジンフィールまで従来型の155馬力仕様と全然違う。やっぱり等爆&等長エクゾーストを採用したのが効いているのだろう。従来型はボディが重い感じだったのに、新型に乗ると軽快。従来型のエンジンフィールを「個性的で良かった」と言う熱烈なスバルファンも少なくないけれど、これだけパワー上がるなら「普通のエンジンフィール」でガマンすべきかもしれない。今回試乗出来なかったマニュアルミッション車をぜひ試してみたい。

 ハンドリングは2,0iと同じく素直。GT系と違い「適度にスポーティ」なサスペンションセッティングを持つ。カヤバ製のダンパーを採用しているものの、けっこう”良い仕事”していると思う。「ハンドリングと残り心地のバランス」は国産車じゃ最高レベル。もちろんベンツやBMW、アウディが採用している欧州製ダンパーの仕上がりにゃ届かず。これで『ザックス』あたりのダンパー使えば文句無し。今度のレガシィ、NAも大おすすめです。