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<3代目レガシィ>・<新型レガシィはこちら>
初代も二代目もそうだったけれど、レガシィはドンドン良くなって行く。最終バージョンの完成度ときたら、もう「素晴らしい!」としか言えない。なかでも二代目の最後を飾ったイエローのGT−Bは「こいつぁスポーツカーか?」と思えるようなボディ剛性&ハンドリングを持っており、フルモデルチェンジしなくていいんじゃないかとさえ思った。実際、三代目の初期モデルに乗ると「二代目の最終バージョンに勝てていない点も多いのね!」である。
同じことが三代目にも当てはまる。追加された『Sエディション』でコーナー攻めたらビックリ!おそらく毎年地道に改良してきた成果なんだろう。文字通り、意のままに走ってくれるのだ。ハンドル切れば忠実にフロントノーズは向きを変え、オーバースピードでコーナーに進入しブレーキで前輪に荷重掛けながらハンドル切ると、ドライバーが望む通りテールのスライド量をコントロール出来てしまう。

3代目レガシィで最も煮詰められた乗り味のSエディション
ちなみにA型と呼ばれる三代目の初期型は強めのアンダーステア。アルミボンネット採用のB型で大幅に改善され、マイナーチェンジするや自由自在となった。この時点で二代目レガシィを完全に凌いだと思う。最終スペックは、マイナーチェンジモデルを一段とコントローラブルにした感じ。その上で、ボディの剛性感や質感まで上がっている。これぞスバルが得意とする「磨き込み」という作業。ここまでやる日本のメーカー、ありません。
以前も書いたとけれど「最終モデルを狙う」という輸入車ファンは多い(ワタシもそうです)。極めて完成度高いからだ。5月下旬には次期型レガシィがデビューしてくる。おそらくavも次号で新しいレガシィの最終スペック&情報をお届けできるだろう。一方、現行レガシィの生産はすでに終了しており、在庫が無くなれば販売もストップ。もはや完売してしまっているグレードも出始めているそうな。
そんなタイミングでお届けするのが今回の企画。間もなく無くなってしまう広報車を全部借り出し(普通ならとっくに広報車など無くなっている時期なのに6台もある、というのがスバルらしい)、再評価してみようというもの。三代目レガシィのファンなら、ぜひとも今月号を保存しておくべきだと思う。もう二度と生きの良い三代目レガシィ(BH)をズラリと揃えることなど出来ないのだから。ワタシもBHを堪能させていただきましょう!
レガシィの代表 ターボの乗り味
レガシィの看板車種と言えるのが、GT−B系。今回は最も売れたAT仕様の他、280馬力の5速マニュアルと、最後に追加されたブレーキ強化型『Sエディション』を味わってみた。3モデルに共通するのは、非常に高い次元での「バランス」である。決してコーナリング速度が遅いワケでない。なにしろ215/45R17というポテンザRE040を履くのだから、けっこう踏ん張ってくれます。よって本来ならピーキー(気難しい)な限界特性になっても不思議じゃない。
レガシィGT−Bの場合、容易にコントロール出来てしまう。今回写真を撮影したテストコースのコーナーは、3速全開。速度にして120〜130km/hくらい出ている。そこでタックイン使って姿勢を自由にコントロール出来るのだ。もちろん「怖さ」など全く無し。というよりコントロール出来なくなるような兆候すらない。テールの流れ出しはとってもマイルドだから、カウンターステアだって簡単。いわゆる”オツリ”も気にしなくて大丈夫。
参考までに書いておくと、写真撮影は時間の関係で1回ずつのみ。1ラップ走るだけで性能の全て引き出せるということ。前述の通り三代目の初期型は強めのアンダーステアだったものの、徐々に改善されマイナーチェンジ以降は完成されたハンドリングとなった。最終スペックになってハンドリングだけでなく、安心感まで加わったと思う。むしろ今回3つのバリエーションに乗り「次期型はこれ以上の仕上がりになるんだろうか?」と心配になりました。
落ち着いた大人の乗り味3リッター フラット6
途中からラインナップされたのが『EZ30』と呼ばれる3リッター水平対向6気筒を搭載した『GT30』。一般的に6気筒エンジンは4気筒エンジンより大幅に重くなるけれど、ターボを持たないフラット6ということもあって重量ハンデ無し。内容的にはGT−B Eチューンのエンジンをフラット6に換装したと思えばよかろう。ビルシュタインのダンパーや、タイヤサイズまで同じ。したがってハンドリングはGT−Bと非常に似ている。
明らかに異なるのはエンジンフィールだ。GT−Bだとアクセル踏んでからパワー盛り上がるまで若干のタイムラグ感じてしまう。その変わり過給圧掛かれば太いトルク出したまま(途中でレガシィ最大の弱点であるトルクの谷あります)レッドゾーンに飛び込んでいく。絶対的なパワーでも40馬力勝るGT−B優勢。GT30の良さは、アクセル開けた瞬間のトルク感である。素晴らしくレスポンスいい。
街中のようにアクセル開度少ない使い方だと、むしろGT30がパワフルに思えるほど。ワタシのような「落ち着いた人柄」(なぜかヒトは認めてくれない)だと、GT−Bより快適である。また、1次振動も2次振動も出ない完全バランスの水平対向6気筒だけあり、全回転域でスムース。これでエンジン回っているのか? と思っちゃう。とは言えフラット6の魅力をキッチリ引き出しているかとなれば、まだ物足りない。もう少しキャラの濃さが欲しいです。
決して侮ってはいけないノンターボ
久しぶりにTS−Rのハンドルを握った。以前乗った時はパワーが物足りなく感じたこともあり「レガシィを買うならやっぱりターボでしょう!」と思ったけれど、今回乗って「あれれれ?」。考えてみたらターボ無しDOHCエンジンも途中でリファインを受けていたのである。これだけパワーあれば十分。フォレスターにも言えるコトながら、スバルってターボの存在感が強過ぎ。せっかく良いノンターボエンジン作っても目立たぬ。
それにレガシィシリーズの中じゃ地味なモデルだが、ライバル車と比べればなかなかの実力を持つ。テストコースに持ち込めば、160km巡航さえ可能。アコードワゴンの160馬力仕様やアテンザワゴンの2リッターと乗り比べても遜色無し。次期型レガシィはTS−R系の存在感を強く出そうと頑張ったというウワサ(TS−Rというグレードになるか不明)。どういった味付けになっているか楽しみにしたい。
ハンドリングについちゃキッチリとレガシィ一族である。オーバースピード気味にコーナーへ進入。荷重移動使ったタックインでテール流してやると、見事に「姿勢を変えると同時に減速する」というレガシィの得意技をしっかり使えた。これまた久々にTS−Rで限界まで攻め込んでみたが、フロント荷重軽いためか(ターボ2個分とインタークーラー分)、GT−B系より軽快。絶対的なアンダーステアの量も少ない。予想外に面白かったです。
もちょっと頑張って欲しかったランカスター
ランカスターは最初にフラット6を搭載したモデルであると同時に、レガシィの仲間じゃ唯一の「頑張りましょう」評価となった。具体的にどこが不満かと言うと、質感です。フラット6はとっても静かなのだけれど、エンジン以外の騒音がけっこう大きい。例えばフラット4だと気にならないポンプ系の音など、フラット6だと聞こえてしまう。澄んだ音でなくいろんな不協和音が混じるのだ(GT30はそれほど気にならない)
乗り心地もイマイチ。ランカスターには2,5リッターモデルがあるのだけれど、乗り心地からすればフラット6より質感高い。なぜか? フラット6のエンジン重量はフラット4より重いため、硬いバネやダンパーを採用しているんだと思う。GT−Bのようにビルシュタインのダンパーでも採用していれば、硬くした「副作用」が出なかったろう。でもフラット6のダンパーって、質感を出しにくいカヤバ製なのだ。これ、ワタシは失敗だったと考える。
本来なら質感で勝るべきフラット6なのに、フラット4よりハーシュネスきつい。左右方向のロールだって不自然。今回最終スペックのランカスター6に試乗したが、やっぱり乗り心地やハンドリングは厳しいと思った。レガシィらしくない、と言ってもよかろう。もしランカスター6に乗っていてワタシと同じ不満を感じるなら、ビルシュタインなどに交換することをすすめたい。イッキに印象が変わり、質感も出ます。次期型ランカスターに期待したい。
ターボ車はトルクの谷が・・・
レガシィで最も売れているのが2リッターツインターボである。低・中速トルク重視型のAT仕様で260馬力。中・高速型のマニュアル仕様だと280馬力に達する。GT系エンジンの弱点は、一つ目のタービンから二つ目のタービンに切り替わる時に発生する「トルクの谷」。280馬力仕様の方が顕著に出るのだけれど、誰にだって解ります。ワインディングロードのタイトコーナーなどで速度落ちると、ここの谷に引っかかってしまう。
二代目は車重軽かったため「少ししか」気にならなかったが、現行モデルで「う〜ん!」。その後少しづつ改良され、260馬力仕様だと何とか納得できるレベルになったと思う。対応策で最も効果的なのはアーシングだと思う。気になるなら試して欲しい。長所は「どの回転域でもスムースなこと」だ。その割にエンジンの存在感あるのが面白い。高回転域の絶対的なパワーは2リッタークラスのライバルを寄せ付けない。次期型のタービン、1つみたいだ。

アクティブビークル誌より テストコースにて撮影
NAの残課題
現在育成中なのがフラット6。スバルとしても、どう育てていいのか迷っているんじゃなかろうか。今のところ「スムースで存在感薄い」というキャラ。良いエンジンなんだけれど……。もう少しパワー出せば味も出てくるだろう。250馬力くらいまでチューンしたら面白くなってくるか。ノンターボのフラット4は、これまたスバルにとって宿題。燃費や環境の時代となれば、優れた2リッター級のノンターボエンジンが欲しいところ。これまた次期型でどんな進歩をさせてくるか楽しみ。
レガシィといえばビルシュタイン!?
レガシィと言えばビルシュタイン製ダンパーである。興味深いことにカヤバ製ダンパーを使うGTって、GT−Bよりダンピングレシオは柔らかい設定。よって本来ならGTの方が乗り心地良いハズ。でも乗ってみると、GT−Bの圧倒的な勝ち。「ハーシュネス」と呼ばれる路面からの細かいツキ上げ少なく、質感まで高い。GTとGT−Bを乗り比べると、ハッキリとカヤバ製ダンパーの弱点が分かります。ビルシュタイン製ダンパーとレガシィは、良い組み合わせだと思う。
カヤバとしちゃ面白くなかったのだろう。いや、スバルの開発担当者だって「どうせなら日本製のダンパーを使いたい」と考えたに違いない。カヤバでビルシュタインそっくりの構造を持つダンパー作ってTS−Rに採用した。ダンパーの構造など簡単。同じように作れば性能だって出せる、という判断であろう。同じモノになったか?
いいえ、であります。ノーマルのダンパーより若干良いが、ビルシュタインにゃ遠く及びません。
ランカスターのダンパーはカヤバのノーマルタイプ。広く日本車に使われているものと同じタイプと思えばよかろう。ランカスターに乗ると、なんだかしっくりこない。GTと同じような質感無い乗り心地なのだ。このあたり、MOMOのハンドルやブリヂストンのタイヤ、マキントッシュのオーディオと同じく「良いモノは良い」。スバルは一流ブランドを使いこなすのが上手である。その対極にあるカヤバのノーマルダンパーと言えよう。
芳しくない成績に見えるブレーキだが・・・
初代レガシィはブレーキ自慢のクルマである。当時少数派だった4チャンネルのABSを採用し(ライバルは前輪2系統。後輪1系統の3チャンネル)、どんな路面状況でも優れた姿勢制御と短い制動距離を高い次元で両立していた。二代目から一段とブレーキ能力を上げたため、ライバルと比べても優勢を保てるだけのキャパシティや効き味をキープ出来ていたと思う。しかしこのあたりから「ブレーキが鳴く」というクレームも多くなって行く。
ブレーキの「鳴き」と「効き」は密接な関係にあって、鳴かなくすれば効き&寿命を諦めなければならず、効くようにすると鳴き&寿命が犠牲になる。日本車の場合、鳴き&短い寿命は必ずユーザーからクレーム出るため、どうしても効きを妥協しなければならぬ。車重増えた三代目になると、ついの効きの物足りなさが顕在化してしまった。avでブレーキテストを行ったけれど、レガシィは芳しく無い成績。ま、減りの早いパッドに交換すると、効きは良くなるが……。
スバルも認識しており、最後になって対向ピストンのキャリパーを採用した『Sエディション』をデビューさせてきた。興味深いことにカタログ見たら「ブレーキ鳴きやブレーキダストが出やすい」と書いてある。他のメーカーならモデルチェンジまで無視してるだろうけれど、最後の最後になって、こういったスペシャルモデルを出してくるあたりがスバルらしいじゃないの。Sエディションのブレーキフィールと効き、美味だと思う。
見た目あまり変わらないが大きな変更を繰り返す。
現行レガシィがデビューした時、最も多かった不満はエクステリアだった。特にフロント。ヘッドライトやグリル、ボンネットのキャラクターラインの使い方など、微妙にバランス悪かったんだと思う。しかしマイナーチェンジの際、イメージを全く変えずにフロントのボディパネルを全部変更するとい荒技を使った。ここまで変えるなら、普通だとガラリとイメチェンするもの。しかしレガシィユーザーでなければ、前期型と後期型の見分けは付かない。
でも前期型を見るとバランス悪く、後期型はとっても端正。長持ちするデザインだと思う。最後まで評判イマイチなのがランカスターのデザイン。アメリカやオーストラリア市場向きと割り切ったためか、日本人からすれば大味に感じてしまう。なかでもグリルとリアバンパーのボッテリ加減がいけません。ランカスターのユーザーは満足しているけれど、売れ行き伸び悩んだ事実を考えれば、普遍性のないデザインだったと評価せざるを得まい。
シートの座り心地も、ブレーキと並んで数少ない弱点。こいつも改良している。カタログやプレス資料などには一切書かれていないが、2002年*月から販売されている最終バージョンから改良型シートに切り替わった。シートフレームなどは同じで、仕上げだと改良したそうな。シート以外も最終バージョンの改良点は多い。ISO−FIXチャイルドシート用アンカーまで付いていて、ビックリしました。その他インテリアの評価=普通。ラゲッジスペース=使いやすい、という声が多い。
あまり注目されないNAは?
アメリカ仕様のメインエンジンである2,5リッター4気筒を搭載するモデル。太い低速トルクが魅力ながら、日本だと価格的にGTと極めて近くなってしまい存在意義は薄かったようだ。もう少しパワフルで、もう少しリーズナブルな価格設定だったら売れたと思うのだけれど。走りはTS−RとGT30の中間くらい。ノーマルのカヤバ製ダンパーを使っているため、乗り心地に難あり。前期型の250T−Bは良かったです。
お買い得だと思うのがSOHCの2リッターエンジン搭載車。なんせフル装備の4WDで200万円前後なのだ。雪の降る地域に住んでいる人の相棒としちゃ万全である。気になる動力性能も、車重1400kg前後と軽いため流行のミニバンより圧倒的に元気。速い流れの追い越し車線だって軽々乗っていけます。ハンドリングはレガシィ家族とあって不満無し。むしろフロント軽いため軽快に曲がってくれる。雪道も強い。
ランカスター6以外のモデルに搭載されるのは、250Sと同じ170馬力の2,5リッター。最高出力こそ高くないが、最大トルクは24,3kg-mと太いため必要にして十分の走りを見せてくれる。また、乗り心地とハンドリングのバランスで言えばフラット6搭載モデルより良い。何年か経って中古車を買うなら、積極的に2,5リッターエンジン搭載車をすすめておく。相当の悪路だってガンガン走れます。
三代目レガシィの新車インプレッションをお届けするのは最後になると思う。個人的なハナシで恐縮ながら、三世代とも購入した。初代はマニュアルしかなかった時の『GT』。そして二代目が2,5リッター+ビルシュタインの『250T−B』。三代目は『GT−B Eチューン』A型である。どのレガシィにも共通していたの、極めてコントロール性の良いハンドリングだ。仕事柄、いろんなクルマに試乗するけれど、レガシィほど自由に振り回せるモデルって無いです。
今回も最終型の足回りをチェックすべく6車種全て攻めてみた。ランカスターのみVDC付きだったためテールスライドさせられなかったが、残る5モデルは文字通り意のまま。カメラマンのレンズに合わせ、注文通りの場所でテール流せるのだ。今月号を何年か後に読んでいる方に一言アドバイスしておきたい。もしレガシィの良さをフルに味わいたいなら、純正の足回り&タイヤサイズを試してみたらどうか。きっと「なるほど!」と思うだろう。
なかでも最終バージョンの完成度ときたら「究極のBH」といった感じ。ちなみに最終バージョンの見分け方は、ISO−FIXチャイルドシートのティーザーアンカーのキャッチャーの有無。付いていれば究極のBHです。こうなると気になるのが次期型。究極のBHを超えることなんか出来るのだろうか。と言うのも試乗後の率直な印象を書くと「モデルチェンジする必要なんかないじゃん!」。きっとBHを圧倒するのに、2年は掛かると思う。
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