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<新型プリウス>
世界初のハイブリッドカーということもあり、従来型のプリウスは「もう少し待った方がいいかな」的なイメージがあったように思う。何しろ低速域はモーターをメインの動力源として使い(走り出しはモーターのパワーだけで行う)、徐々にエンジンパワーを加えて行き、高速域になるとエンジンパワーだけで走るという複雑なシステムを採用している。
故障にまつわるよくある質問
そんなことから「毎日バッテリーを充電しなければならないのか?」といった質問を多かったそうな(ちなみにバッテリーの充電はエンジンパワーで自動的に行われるから不要)。また、初期はトラブルも少なからず発生した。ただトヨタは万全の体制を敷いたらしい。筆者のプリウスもインバーター(電気系の大物部品)のトラブルで充電不能になったものの、すぐキャリアカーが来て翌日には治ってきた。
バッテリーの不具合も多数発生したが「初期型プリウスのバッテリーは全て改良型に交換しました」という意気込み。公式に表明していないけれど、初期型のプリウスを新車から乗っているユーザーについては、廃車になるまで事故などの破損を除きバッテリーを保証してくれると言う。ただ少なくとも7〜8年は無交換で大丈夫(平均して10年くらい持つだろう)。
マイナーチェンジ以降のプリウスは飛躍的に性能が向上したバッテリーを採用しているため、トラブルの発生率事態激減している。知る限り、事故などの破損以外で有償交換したユーザーは居ない。新型プリウスは、従来型プリウス以上の信頼性を確保しているという。「2回目の車検でバッテリー交換が必要。40万円掛かるらしい」といった流言も聞くけれど、ライバルメーカーが苦し紛れに流した情報だと思う。
ちなみにメーカー保証は他のトヨタ車に合わせた5年/10万km。同じバッテリーを使うアメリカ仕様が7年半/16万kmなので、普通に使っていれば10年/15万kmくらい使えるハズ。トヨタに聞くと「開発目標はクルマと寿命と同等にしました。ただどんな使われ方をするか解らないので、一応基準を設けさせて頂いてます」。
7〜8年後、万一バッテリー交換となった時のコストだが、数万円のオーダーになると思う。(註:2003年11月現在では約13万円)大量生産によってコストダウンするためだ(寿命になったバッテリーはリサイクルされる)。ハイブリッド関係の前置きが長くなったけれど、この手の質問をよく頂くのでしっかり説明しておいた次第。いずれにしろ信頼性については、普通のクルマと同等だと考えていいと思う。
新型プリウスは果たして魅力的なのか?

先代より積極的にカッコよくなったと思う
クルマ自体も大幅に魅力的となった。従来型プリウスは、このところ人気薄のカローラ級4ドアセダン。スタイルだってイマイチである。新型プリウスは人気のミニバン風。ボディサイズだって二回りくらい大きくなり(3ナンバーになった。自動車税額は後述)、広いラゲッジスペースもあり、使い勝手は大幅に向上。スタイルも好ましい。誰にでもすすめられるクルマになったと思う。
従来型のプリウスの大きな弱点が動力性能だった。停止状態から時速100km/hに達するまでの加速タイムを計ると、1300kgのカローラ並。最高速も160km/hというデータ。200万円以上するクルマとして考えれば大いに物足りなかったと思う。そんなことから新型プリウスの開発目標の一つが「動力性能の大幅なアップ」だったそうな。
乗るとどうか? トヨタの社内データによれば、0〜100km/h加速タイムで10秒4。この数字、2000ccのプレミオ(コロナの後継モデル)ばかりか、2400ccエンジンを搭載するカムリと同等。試乗してみたが、これだけ速ければ「スポーティである」と評してもいいくらいだった。そう遠くないうち、ハイブリッドカー=遅いというイメージは無くなるだろう。
気になる燃費は、まだしっかりしたデータを取るまでに至っていないものの、渋滞した街中で16〜18km/L。高速道路を100km/h巡航すると22〜24km/L。高速道路7割。一般道3割といった通常のドライブなら20〜22km/Lくらいだと考えればよかろう。燃料を満タンにすれば1000km近く走るということ。
新型プリウスは高い?安い?
3ナンバーだから税金も高い、と考える方も多いようだが、排気量で税額は決まる。プリウスは1500ccなので年額3万4500円。正確にはECOカーのため登録年度の次年度が半額という優遇措置を受けられる。その他、購入時に最大21万円の補助が出る場合もあるので(通勤などでクルマを使っており、代替えするケースなら可能性大)、購入時に相談してみよう。
グレードは標準の『S』が215万円。VSC(スピン防止装置)やクルーズコントロール付きの『G』で241万円。上記二つの装備を除けば決定的な差は無いので、御予算に合わせて決めればいいと思う。それぞれに16インチタイヤを履くスポーティグレードが設定されているけれど、燃費は悪くなるため推奨しない。燃費を追求することにプリウスの価値はある。
プリウス唯一の難点が値引き。本体値引きゼロ。用品値引きで5万円しかしてくれない。しかし、気になる方はぜひともディーラーで試乗してみたらいかがか? モーター走行状態の時の気持ちよさ(驚くほど静かでスムース)を味わうと、一発でプリウスファンになると思う。
ウワサの自動バック装置とは!?
新型プリウスが売れている。トヨタの目標である月販3千台に対し、10月下旬時点で2万台のオーダーを受けてしまった。電気系の部品の増産が難しいということで、今注文しても2月以降になるという。人気の理由は「環境にやさしいクルマである」という点だけれど、ディーラーに取材してみるとインテリジェントパーキングシステム(以下自動バック装置と略)がダメ押しになっているケースも高いそうな。
確かに自動バック装置の反響は大きい。ジャーナリスト向けの発表会(ホテルの大イベントホールで行われた)で実演すると、終了後大拍手! 20年以上ジャーナリスト向けの発表会を見ているが、大きな拍手が出たことなど無かったこと。トヨタに聞くと「新型プリウスを買うお客様の9割がインテリジェントパーキングシステムを付けているようです」。確かにインパクトがある。
どうやって使うのか?
最初に自動バック装置のインプレッションからお届けしよう。このシステムを使えるのは、いわゆる「車庫入れ」と呼ばれる写真のようなバックと、ニガ手なドライバーが多い「縦列駐車」の2タイプ。まず車庫入れから。入れたい駐車スペースを見つけたら、運転者自身が空いたスペースの中央になる位置関係で一旦停車する。この時、駐車スペースの基本情報を車載コンピューターが記憶するのだという。
続いて前に進み、若干ハンドルを切り、ハンドルを真っ直ぐに戻して停車。バックギアをセレクトすると、液晶画面に「縦列駐車」と「車庫入れ」の選択指示が出るので車庫入れをタッチ。すると入れようとしている駐車スペースが、緑色のワクで表示されていることだろう。さらに確定と確認のため液晶画面を2回タッチすれば準備完了。
後はハンドルから手を離しブレーキを離すのみ(ハンドル持ったりアクセル踏むと自動的にキャンセルされる)。ブレーキでスピードを調整するだけで、自動的にハンドルが切れて見事車庫入れ完了! その手際たるやお見事。ムダなハンドル操作が無い。一発で右や左にハンドルを切っていく。ベテランドライバーより上手だ。
縦列駐車はどうか? スペースを見つけたら、止めたい場所の前に止まってるクルマの後端部で一旦停車。そこからクルマ一台分くらい前に進んで停車。この後は車庫入れと同じ操作でOK。唯一の違いは液晶画面のセレクトを『縦列駐車』にするということのみ。やっぱり見事な縦列駐車のテクニックを見せつけてくれることだろう。
こう書くと簡単なようだが皆さん初めて操作すると、なかなか上手くいかない。バックギアに入れた時の緑色のスペースを出せないのだ。その場合、画面の表示で駐車スペースの指定が必要となってしまう。こうなると、緑色のスペースにするのはなかなか難しい。上手な「コーチ」に教えてもらえば簡単だが。
ブレーキは自己操作です
ちなみに駐車位置となったら、ブレーキは自分で踏む。技術的にはブレーキも自動的に掛けられるそうだけれど、国交省が自動停止ブレーキを認可していないため実現できず。また、バックする時の速度が高すぎると、警告出たあと、自動バック機能はキャンセルされてしまう。もちろんバックする際は、人の有無など常時確認すること(障害物を感知してブレーキを掛ける機能も付いていない)。
新型プリウスに乗っていると、自動バック装置について聞かれたり「ぜひとも見せて欲しい」とリクエストされる。すでに100回以上実演したが、まぁ皆さん驚くこと驚くこと! 当然かもしれないけれど、運転に自信のないビギナーは「このクルマなら安心して乗れる」と言う。価格はナビゲーションシステムとセットで23万円。ナビを選べば無料で付くのだから売れて当然か。
自動バック装置は普及するだろうか? 自動バック装置だけで10万円するなら普及しないだろうが、新型プリウスの場合ナビに含まれて23万円。なぜそんなに安いか。新型プリウスは、最初から電動パワステ(モーターの力でハンドルを切る)が付く。したがってリアのカメラとコンピューターさえ付け加えてやれば、簡単に付いてしまう。
一方、ビギナードライバーにとってみれば素晴らしい味方といえよう。アメリカのように広い駐車スペースを確保できれば前進で駐車し、バックで出られる。しかし日本の駐車場は、たいていギリギリ。バックで入らないと駐車スペースから出られない。縦列駐車も同じ。パーキングメーターなど、狭いスペースに多数の駐車台数を確保するため、ギリギリの長さ。
ある程度のテクニックがないとキッチリ使いこなせない、日本特有の駐車場事情と言い換えてもよかろう。自動バック装置は、そういった問題を解決しようというもの。普通の”バック”をマニュアルミッション車の運転だとすれば(クラッチ付きの車を上手に運転するのは難しい)、自動バック装置付きはAT車だと考えればいい。電動パワステタイプのクルマは自動バック装置付きになるのが常識になるかもしれない。
操作だが、慣れれば非常に簡単。自分で上手にバックするテクニックを覚えるより、圧倒的に早い。携帯電話のメールを使いこなしている世代なら、極めて容易にマスターできるハズ。こう書くと「この装置無しではバック出来なくなってしまう」と警鐘を鳴らす人も出るだろうけれど、それならAT車だって同じこと。マニュアルミッション車に乗れない人は多い。時代の流れには逆らえない。
新型プリウスの乗り味は!?

新型は先代より走りでも圧倒的に優位
いよいよ日本仕様のプリウスに試乗出来る時がやってきた! まずワタシが買ったのと同じ15インチの『G』から乗ってみよう。Dレンジをセレクトしアクセルを踏み込むと、モーターで加速。ワンテンポ置いてエンジンも掛かるというプリウスの「味」はそのまま。先代より50%増しとなったモーターのパワーは、ハッキリ解る。スタートの瞬間からチカラ強いのだ。アクセルを踏み込む量が少なければ、けっこう長い距離をモーターだけで走ってしまう。試しに街中でインパネの右にある『EV』ボタンを押すと、フル充電状態なら1kmほど電気自動車状態が続く。深夜や早朝、扉の閉まるガレージ、クルマを少し動かす時など大いに有用。このモード、けっこう使うかも知れぬ。
絶対的な動力性能は「もはや十分!」と感じた。個人的にゃ従来型(後期モデル)だって不満を感じなかったけれど、新型は一段と速い。いや「速さ感」からすればあまり変わらないのだけれど、車速の乗りが全然違うのだ。高速道路の追い越しといった高速域での追い越し加速だってグイグイ行くから驚く。テストコースでアクセル全開にしてみたら、140km/hくらいまではイッキに達した。新型プリウスをスポーティカーだと思わなければ(おそらく速いと期待しちゃってるヒトも多いと思うのだ)、大満足してくれるに違いない。気になる燃費だが、試乗車は走行距離少ないこともあり、従来型+5%といったイメージ。街中20km/L。高速道路の100km巡航で25km/Lくらいか。慣らしが済むと、もう少し伸びると思う。

CT誌より テストコースにて撮影
ハンドリングもチェックしてみた。ステアリング連動VSC付のプリウスで、思い切り姿勢を崩す操作をしたのが上の写真。この時点で早くもVSCは作動しており、テールの流れもここまで。確かに姿勢制御機能は万全だと関心しきり。こいつさえ付けておけば(Gグレードに標準装備)、ドライビングミスによるクラッシュを大幅に防ぐことが出来るだろう。16インチ仕様にも乗ってみた。明らかに違うのが乗り心地。プリウスと思えないハードさである。もちろんトヨタとしちゃワザと狙った硬さだと思う。というか、走りの写真を見れば解るとおり(これで限界のコーナリングスピード)、標準のプリウスだって足回りはシャッキリしている。16インチ仕様を履くなら、このくらい硬くてもいいかもしれない。
新型プリウスを見ると、トヨタはホンキでハイブリッドの普及に取り組み始めたことを強く感じる。最も「すごいな」と思うのが価格設定。初代プリウスは、カローラの1500ccと同等の動力性能と車格で215万円だった。これ、どう考えても高い。だって燃費の改善分で車両価格分を浮かすの、無理だったから。しかし新しいプリウスを見ると、完全に2リッター級の動力性能と車格を持つ。最も近いライバルはOPA。ボディサイズや室内のキャパシティを比べてみたら、ほとんど同じ。強いて言えばプリウスの方が品質感高い。
オーパと競合します
エクステリアのレベルだけでなく、インテリアの仕上げからシートのクオリティ、オーディオ、サスペンションのスペック、さらにはガラスの素材(プリウスはフロントに高価な断熱ガラスを使う)などOPAより上。マーク2クラスと言ってもよかろう。もちろん動力性能は最高速以外、OPAを凌ぐ。特に追い越し加速などは、トヨタ式CVT特有のモタツキを感じるOPAに対し圧倒的優位。で、価格を見ると2リッターのOPA220万5千円。プリウス215万円である。値引きを考慮すればもう少し価格差あるも、この金額差なら納得できるんじゃなかろうか。
大雑把に新型プリウスの生産コストを分析してみると、普通のクルマよりミッションが大幅に安い。4速ATやCVTは高価なトルコンを使う上、変速機の組み立てにもコスト掛かってしまう。近い将来、ミッション分でモーターを含む駆動システムをカバーしてしまえるだろう。当初は高価だったインバーターも、電気製品だけに量産すればコストダウンしていく。残る最大のテーマがバッテリーなれど、これまた当初と比べれば驚異的に安くなったそうな。おそらく5年もするとハイブリッドの製造コストはディーゼルターボエンジンくらいになるんじゃなかろう。こうなるとイッキに普及し始めると思う。
第二世代ハイブリッドシステムについて
新型プリウスに採用された第二世代ハイブリッドシステムの「凄さ」は、バッテリー電圧を自由にコントロール出来るようにした点にある。ちなみに初代プリウスのバッテリーは274V。これをダイレクトに使っていた。新型プリウスに搭載されているバッテリーを見ると202V。初代より低いのだ。そいつをコンバーター(電圧可変装置)という技術で、500Vまで持っていった。電圧が高ければパワーも出せます。結果、初代の1、5倍近い出力を出せるようになったワケ。こう書くと「電圧って何じゃい?」と思うだろうから、簡単に説明しておく。
電気を川の流れに例えれば、電圧は流れの速さ。電流(バッテリーの容量と考えればよい)が川の幅になる。コンバーターは川の幅を変え、流れる速さをコントロールする技術。川幅を狭くすれば、流れる量が同じでも流れのイキオイは強くなります。500ボルトという電圧を使えるようになったおかげで、プリウスのパフォーマンスは大幅に上がった。参考までに書いておくと、鉄道車両のモーターで1500V。新しいプリウスって、その3分の1まで迫ったのだから驚く。あと200Vくらい上げれば、本物のスポーツカーだって作れるだろう。
また、今度のシステムならボディ重量が大きくなっても対応できる。まもなくハリアーのハイブリッドもデビューしてくるけれど、システムはエスティマと違いプリウスと同じである、とワタシは予想しています(ハズレたら丸刈りになってもいい)。それくらい今度のハイブリッド技術の奥行きは深い。今度もトヨタからたくさんのハイブリッドモデルが出てくるだろうけれど、プリウスと同じシステムを採用してくると思う(4WDの後輪はエスティマと同じシステム)。驚くべきはバッテリーの寿命。近々アメリカじゃ24万km/10年を保障するようになるそうな。日本仕様も同じバッテリーを使っている。
ということで、プリウスを買う場合、23万円ナリのDVDナビ(自動バック装置が漏れなく付いている)のオプションは必ず装着したい。グレードはクルコンやVSC、革巻きハンドル標準装備の『G』がおすすめ。241万円+23万円で264万円ナリ。もちろん215万円のベーシックグレードだって燃費のよさはしっかり標準装備されている。16インチ仕様の『ツーリングセレクション』はお好みでどうぞ。HIDランプがどうしても欲しいなら、ツーリングセレクションじゃないとダメ。でも新型プリウスになってヘッドライトがグンと明るくなりました。燃費の落ちは5%といった感じか?
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