ダイハツ ミラ ジーノ

ダイハツ工業

ミラ ジーノ

平成16年11月29日

《ミラジーノ発表速報》

ダイハツの山田社長(中央)とCMに出演された森山未来さんとアストリットさん

 昨年の東京モーターショーのダイハツブースに『XL−C』というコンセプトモデルが出品されていたのを記憶している人は多いと思う。当初より、次期型ミラジーノだという噂も上がっていたが、新型ミラジーノのスタイルを見ていただければ、それが単なる噂ではなかったということが分かるだろう。改めて伺ってみると「実はあの時既にデザインはほぼ完成されていたんです」とのこと。来場者の方々からの注目も高く、取材中のボクも売り出せば必ず人気が出ると思っていた。
 ところがである。「販売会社の方からは、あのデザインなら要らないという意見が多くて・・・・・・」だったらしい。想像するに、デザインを頑張りすぎたせいで、レトロなイメージがウリのジーノらしさが無くなってしまったと捉えられたのだと思う。それから丸1年。ライトやグリルなどを中心に手直しされ、より表情豊かな顔の新型ミラジーノの誕生と相成ったのだ。雑誌などでは8月ぐらいから先行スクープされ、それを見たディーラー関係者からは「もっと早く出してくださいよ」という声も聞かれたというから、東京モーターショーで指摘されたポイントは、よりユーザーの声に近い形でリファインされたということだろう。

美しく発色する塗料(クリアー)を使用している。是非とも実車で確認して欲しい。

 初代ミラジーノの誕生は1999年3月。旧型ミラをベースに前後意匠を施した外観は、MINIを思わせるクラシカルな雰囲気を持ち、メッキや木目パネルなどを使った内装も、それまでの軽自動車とは一線を画す質感を備えていた。販売実績は周知の通り。ノーマルのミラに比べてかなり割高な価格設定にもかかわらず、ダイハツの予想を上回る大ヒット。本家本元のミラがモデルチェンジしても旧型シャーシのまま昨日(11月28日まで。ジーノ1000も新型ミラジーノのデビューと同時に販売停止)まで継続販売を続けていたほどだ。
 新型ミラジーノのベースとなっているのは、ムーブに始まるダイハツの主力プラットフォーム。現行ミラもこの土台を基本に作られているから、タントも含めダイハツの主力車種は皆兄弟車ということになる。だからと言って決して手抜きというわけではなく、各車に共通している部分はアンダーボディ部のみ。つまり、ライトやフェンダー等を変更して見た目を変えた“衣替え”的な旧型ジーノと異なり、新型はアッパーボディそのものから作り変えた、よりオリジナリティあるミラジーノになっているのだ。実車を見れば誰もが納得すると思うが、そこにベースモデルの面影はない。

Aピラーを立てたデザインなので、ミラよりも乗降性に優れる。

 3分の2が女性運転者という軽自動車ユーザーだが、その中でも特に『ミラジーノ』は女性からの注目度が高い。新型が想定ユーザーとして掲げているのは、「友達感覚の仲良し親子(M&D=マザー&ドーター:母と娘)」だという。これはどういうことかというと、免許を取り立ての若い人はもちろん、子育ての一段落したベテランドライバーにもマッチするクルマに仕上げたということらしい。そして、ここで押さえておきたいのは、“子供”や“家族”の存在を強調していないということ。
 商品企画の方によると、「ミラジーノのターゲットはムーブラテを持て余してしまうユーザー層です」。ムーブラテは軽自動車の主流となった背の高いスタイルながら、空間的なアドバンテージを前面に押し出すのではなく、ファニーなエクステリアとこだわりの作り込みをアピールしている点が大きなポイント。このコンセプトは、新型ミラジーノの特徴として謳われている「こだわりの新上質感」ということに非常に近い。発表会の壇上で「ムーブラテに続き、感性を追求したクルマ作りを行った」という山田社長の言葉もあったが、この2モデルは共通のテイストを持っているのだ。

この角度から見るとやっぱりMINIに似てます。グレード名まで“ミニライト”ときた!

 具体的に言うと、軽自動車を選ぶ上で「こだわりのあるクルマに乗りたいけど、子供や家族も視野に入れないといけない」という人はムーブラテ。「とにかくオシャレなクルマに乗りたい」とか、「遠出の時は旦那のクルマがあるから、品の良いセカンドカー的なクルマが欲しい」というのならミラジーノということ。年齢構成で見ると、20歳代までと50歳代半ばあたりがミラジーノ(当然ながらこの年齢差でM&Dは多く存在する)。その間に挟まれる30歳代から50歳代半ばくらいまでをムーブ(ラテ、タント含む)でカバーしていくことが理想だということだった。自宅の近くにミラジーノとムーブラテが並んで展示されているディーラーがあれば、そのテイストの“差”を感じ取ってみるのも面白いと思う。

インテリはムーブラテと酷似。シート表皮の肌触りはなかなか。

 使い勝手はミラ、装備はムーブラテを踏襲していると言っていいだろう(ミラジーノムーブラテのサイトでご確認を)。注目すべきは安全性能で、軽自動車で初めて国土交通省の定める「歩行者頭部保護基準(2005年9月から適用開始)」の認可を取得。ボンネットフードや、ワイパー装着部などを衝突時に凶器となりにくいものにするなど、高級乗用車並みの取り組みが図られている。エンジンは58馬力のNA一本。ミッションも4速ATのみというシンプルさ。しかし、「ターボは?」との声が予想以上に多く、「さすがに考えないといけないかもしれません」とのこと。5速MTも設定されれば、更に販路が広がる可能性は高いと思う。

スポーティな外観に仕上げられるので、元気なモデルが出れば男性にも受けるハズ。

 月間販売目標は3500台。この数字、個人的には相当順調に推移するのではないかと思う。その理由は、「ライバル? 強いて言えばですけど・・・・・・、ラパンですかね」というダイハツの方の自信の言葉。確かに、ラパンは“カワイイクルマ”という点ではミラジーノと同様のコンセプトを持っている。ただ、ラパンのシャーシは旧型のアルト。静粛性や、衝突安全性もやや古いと言わざるを得ない。それでいて売れ筋グレードのX(エックス、4AT・2WD)の価格は112.14万円。しかも、ABSはオプション。対するミラジーノはと言うと、前述の安全ボディはもちろん、ABSやプラズマクラスターエアコンなどを装備する標準グレードのX(エックス、4AT・2WD)が、111.3万円。ラパンではフロントドアガラスにしか採用されないUVカットガラスを全面に採用しているところも、女性(もちろん男性にもだが)にはうれしいポイントだ。
 今年前半のシェアと売り上げで過去最高を記録したダイハツ。勢いのある会社から、魅力的なクルマがデビューしたと言って間違いない。

Report:山崎 裕正