Vクラスがデビューした時、真剣に買おうと思った。当時、家族で乗れるミニバンが欲しかったからだ。理由は2点。まずカッコよかったこと。大人6人ユッタリ座れ、荷物も積めるサイズのクルマって、日本車だとハイエースとキャラバン。輸入車ならVWバナゴンかアストロくらいしかチョイスがない。この5車の中じゃ、一番カッコいいでしょう! 特に日本のミニバンのスタイルときたら全然ダメ。VWバナゴンとアストロなら納得出来るも、両車デビューから時間が経ってる。
二つ目は価格。230Eと同じ2,3リッター4気筒を搭載して400万円を切っていた(デビュー当時395万円)。C200のステーションワゴンより安いのだ。ベンツジャパンがつけた価格としちゃ、かつてないくらい良心的。アストロも決して高くないけれど(現在は一段と安くなった)、やっぱりアメリカ車の仕上がりやハンドリングはヨーロッパ車と違う。そして決定的だったのが衝突安全性。基本設計古いので、オフセット衝突に対応していない。バナゴンはV230より割高に思える。
しかもV230の実車を初めてパリサロンで見たら室内抜群に広く、もはや95%くらい買うつもりになってしまう。しかし断念したのである。理由は簡単。遅くてどうしようもなかったから。実際、2トンもあるボディに143馬力の2,3リッターは厳しい。なんせ車重的にゃSクラス級。そいつを2,3リッターエンジン走らせようというのだから当然か? 軽自動車より遅いベンツ買うほどベンツ好きじゃないということです。結局、VWバナゴン買ったのだが、とても良いミニバンだった。
その後、V280が追加される。このグレードはVWバナゴンと同じVW製の2,8リッターV6を搭載するため、けっこう走ると言われていたのだ。そんなこんなで、最近またもV280に魅力を感じ出したりして。となれば試乗するしかあるまい。スペックは2060mmのボディに最高出力174馬力と、日本に正規輸入されたことある先代のS280とイーブン。装備も充実しており、本革シートやクルーズコントロール、クールボックスまで付く。価格は410万円のV230より110万円高の520万円。
では試乗といこう。最初からガックリ来たのがシートの調節レバー。座面の高さをセレクトするレバーは右側面に2つ付いているのだけれど、いかんせん安っぽい! 妙に堅いのでツメを割りそうになるワ、レバー形状もカドがシャープで指痛くなるワでたまげる。何とか合わせ、Dレンジをセレクトすべくブレーキ踏むと、なんだなんだなんだぁ〜! めちゃくちゃペダル重いじゃないの! リターンスプリングが強すぎるらしい。
Dレンジをセレクトし、走り出す。すると今度はアクセルベダル渋いのなんの! 微妙なアクセルワークを受け付けてくれず、ギクシャクしてしまう。おそらくブレーキもアクセルも、右ハンドル化による弊害だと思う(V230はここまでひどくない)。こんな操作フィールをヨーロッパのユーザーが認めるワケない。ボンネット開けてチェックしてみたら、V6エンジンを横置きにしたためギチギチに詰まっている。おそらくブレーキのマスターバックもアクセルケーブルもタイトな取り回しになっているのだろう。
肝心のパワーはどうか? この点についていえば、満足出来るレベル。アクセル全開にすると「おお! けっこう走るね!」と感じる。イメージ的にはVWゴルフの1,6リッターとか、BMW318iツーリングといった程度。これでアクセルさえスムースに動けば、けっこういいのに。いかんともしがたいのがブレーキペダルの重さ。信号で止まった際、20秒くらいなら何とか踏んだままでいられるものの、1分になると辛抱タマらなくなってくる。誇張大ゲサ抜きに重いのだ。
右足疲れたのでNレンジに戻してサイドブレーキ引っ張ったら「ギャギギギギ!」だと。こんな大きなガギガギ音出るサイドブレーキなど生まれて初めて。隣に乗せたヨメが(次期購入対象車なもので)ぶったまげたほど。もっと根本的に書いてしまうと、ボディ剛性感なく、常にミシミシしてる上、乗り心地も悪い。一昔前の日本車みたいだ。VWバナゴンの方が500倍くらい良いと思う。もしV280を買おうと考えているなら、試乗して以上のポイントを確認して下さいな。
2日間ほど試乗して「そうだったのか!」と思った。Vクラスはベンツといっても商用車ディビジョンが開発し、スペインの工場で作っている。つまり高級感など関係ない商用車に、ベンツのエンブレムを付けただけなのだ。ベンツだと思って買うと、絶対ガックリするだろう。こうベンツ仲間に言ったら「今頃解ったの?」だって。ベンツに詳しいヒトの間じゃ、とっくに「だめだぁ〜」というレッテル張られているそうな。かくなる上は、ぜひ左ハンドルのまま輸入して欲しい!