新型Cクラスのハンドル握って5分。「こらマイッた!」とココロから思ってしまいましたね。日本の自動車メーカーもワタシも、最近の日本車の仕上がりや質感は、もはやベンツやBMWといったドイツ製プレミアムカーに追いつく寸前だと認識していた。BMWの3シリーズで、もう半歩。従来型のCクラスレベルなら、カンペキに並んでます。なのに新型Cクラスときたら、またもや3歩くらい先に行ってしまった感じ。
具体的にドコが凄いのか? とにかく剛性と精度の鬼みたいな乗り味である。拙い筆力じゃ表現しにくいけれど、アクセル踏んでスタートした瞬間から、ボディは存在さえ忘れるくらい自然に堅いのだ。そして足回りが信じられないくらいスムースに動く。ナニかに似てるな、と考えたら、オートバイレースの最高峰、GP500tクラスのワークスマシン、ホンダNSR500だった。
NSRの車体は、もちろん多少の入力じゃ微動だにしない。そいつに、どんな細かい入力でも動く精度の高いダンパーを組み合わせている。つまり細かい路面の凸凹で、足回りだけ動く。乗ったことないけど、F−1やWRCのワークスマシンなども、きっと猛烈に剛性高いシャシと、精度の高いダンパー組み合わせているんだと思う。NSR500質感たるや、どんな高級車より素晴らしかったです。
新型Cクラスは、その延長線にある。きっと日本のメーカーの目標値より圧倒的に高いボディ剛性を有し、細かい動きもキチンと追随するダンパーと組み合わせているのだろう。日本の自動車メーカーにとっちゃ「必要以上の剛性」だと判断されるかもしれない。実際、こんなに強固なボディは、意味無いとワタシも思う。そう言えばムカシ、ほとんどの自動車メーカーが、ベンツを「必要以上の内容を持ってる」と言ってた。
結局、日本車もベンツと同じくらいの剛性を持たせなくちゃならなかったのだが、少なくとも15年前までベンツは「過剰品質」だと評価されていたのだ。新型Cクラスも、おそらく日本のメーカーが評価すると「過剰なボディ剛性」ということになる。実車見てタマげたのは、思いっきり太いサイドシル。4ドアセダンでこんな太いサイドシル、見たことないぞ! 衝突安全性対応だけなら、ここまで太くなくていい。
新型Cクラスの弱点だと言われるブブンの一つに「従来型より大幅に重くなった」がある。2リッターの4気筒エンジン搭載するC180で1455s。これは同じエンジンの従来型C200より***sも重い。もし衝突安全性対応だけなら、ここまで重くならなかった。だって従来型も60qのオフセット衝突や、アメリカ基準の側面衝突に耐えるのだから。30〜50sも補強すれば十分か?
なのに100sも重くなった。このあたりにベンツの”過剰品質”があるような気がしてならない。ちなみに衝突安全性については万全の備え。スピン防止装置を標準装備し、運転席と助手席のエアバッグは衝撃力によって2段階の強さで膨らむ。もちろんサイドエアバッグを装備した上、ピラーから展開するカーテン式エアバッグまで付けてきた。これらの安全装備、上級グレードだけでなく、ベーシックグレードのC180クラシックも同じ内容。
能書きはこのあたりにして試乗レポートに戻る。新しいCクラスで最も意外だったのは、ムカシのベンツに戻っていること。近頃のベンツ、どうにもセルシオコンプレックスから抜け出れないようなモデルばっかり。特に現行Eクラスときたら、乗り心地フワフワ。ハンドルも軽いのなんの。Sクラスもハンドル軽く、セルシオになりたがっているようにしか見えぬ。だったらセルシオ買った方が安いし、もっと快適だ。
新しいCクラスは硬派。やや堅めの足回りを持つ『アバンギャルド』など、堅すぎると感じるくらい堅い。ほとんどポルシェ911だ。200q近くなってくると適度の堅さになるものの、街中だと揺すられる揺すられる。現行モデルのAMGに近いかも。ベーシックグレードのクラシックでもスポーティ。さらにハンドルもふにゃふにゃでなく、キッチリ重くなった。ベンツはこうでなくちゃ!
ベンツの新型車に乗って、ココロからイイと思ったの、ヒョウロンカとして評価すると先代のEクラス以来。個人の趣味性からすれば、先々代のSクラス=W126以来だ。今回同乗させていただいた黒沢元治師匠は(クルマの評価という点で間違いなく日本一だと思う。いや、世界有数か)歴代のベンツを乗り継いできたが「これは本当にいい!」とコメントしてたのが印象的です。
ハンドリングも当然のごとく限界まで味見してみました。残念ながらウエットコンディションだったのだが、ワインディングロード風テストコースでテール流れるほど攻める。こらもうベンツの定石通り、最初は弱アンダー。攻めたりタックイン仕掛ければオーバーになるというもの。ここでも変わったな、と思ったのが、スピン防止装置EPSをオフに出来るようになったこと。今まではカット出来なかった。
ドライビングプレジャーを追求しようとすれば、やっぱりカット出来るようにすべき、という意見が勝ったのだろう。かくして3,2リッターエンジン搭載する最強モデルは、攻めて楽しいクルマになった(LSDを標準装備。残念ながら正規輸入はされない)。おそらくベンツがやれば、トヨタや日産もマネするに違いない。悲しいことに日本のメーカーは、こういったブブンで主体性に欠ける。
パフォーマンスはどうか? 最初に試乗したC200コンプレッサーは、2,4リッターNAくらいの性能を持つ。Cd=0,26(ただしC180の数値)のボディに助けられ、最高速227q! しかし1490sの重いボディに足を引っ張られ、0〜100q9,7秒と平凡なデータである。日本車だとアコードの2リッターとイーブンの加速だ。
C240と呼ばれる2,6リッターのV6エンジン搭載車も、最高速232qの0〜100q9,5秒。これまた加速は強力と言えず。3,2リッターのC320になると0〜100q7,8秒で、やっと満足出来るレベルとなる(最高速は245qも出る!)。試乗できなかった2リッターNAのC180は、207qの11,67秒。乗れば明らかに遅いだろう。
気になる価格は従来型とほぼ同じ。お金掛けてるように見えるのに、キチンとコストダウンもしてるということだ。日本での価格も、装備の向上分くらいの値上げしかしないそうな。アコードのユーロR乗って「日本車も素晴らしい!」と思ったけど、やっぱりテキも然る者(サルモノと読む)。ただ今度はベンツと真っ向から勝負すべきかどうか、考えた方がいい。例えば極限まで軽量化してライバルがマネ出来ないほど燃費向上させる、といった違う価値観を打ち出すなんてのも面白い。