190EとW124を並べて写真撮ってたら、なぜかW126(2世代前のSクラス)も入れたくなってしまった。この3モデル、若いオジサンにとっちゃ、憧れの存在だったように思う。いやいや、ベンツというメーカーにとっても、格別の存在じゃなかろうか。例えば190E。こいつぁベンツが生き残りを掛けて開発したモデルとして有名。なんたってSクラスのボディ構造のまんま小さくしたような作り方してるのだから、コスト掛かってるの何のって! Sクラスの「5分の4」のミニカーだな。
 ボール&ナットのステアリングに始まり、凝った構造のマルチリンクサス、Sクラスと同じ構造と品質持つシートやウッドパネルを使う。84年式くらいまでの初期モデルこそ不良個所を多く出したが、90年代に入るとグングン完成度を高め、93年の最終年度に至る。85年頃くらいだったか、マニュアルの190Eに乗ってる知人がいた。乗せてもらうと、あまりの質感に圧倒されちゃいました。残念ながら90年にピーク迎えたバブル景気の際、あまりに売れたため高級車のイメージを喪失。「コベン」などと呼ばれるハメになってしまう。

 W124は最後まで名声を保つ。このクルマがデビューしたのは忘れもしない84年秋。86年式から日本で正規販売されるのだけれど、当時、自動車ヒョウロンカでいながら、ベタ誉め状態だった雑誌の記事読んで230E買った。駆け出しジャーナリストにとっちゃ、ベンツって縁遠い存在。乗ってなかったのだ。するとどうだ! 面白くね〜! 一週間で飽きたぜ。考えてみるに、アクセル床まで踏んでもトロい230E選んだのが大失敗だったように思う。翌年から販売される6気筒の260Eに乗ると、もうてんで違うクルマだもんなぁ〜。
 アクセル踏めばちゃんと加速する。しかもエンジンは4気筒より圧倒的にスムースだし。Eクラス買うなら絶対6気筒をプッシュしておきましょう。ま、230Eの中古車なんかもう流通してないから関係ないか……。その後、230は220になり、260が280に。300は320となり最終を迎えるワケ。さすがに190Eより高価なクルマだったこともあり、バブル時期も名声や評判を落とさず通過。1991年を過ぎると急に景気悪くなったので、高級車としてのポジションをキープした。

 ハードも万全。W124は究極の乗用車と評価されており、古き佳き時代のベンツらさしさ(過剰品質。ムカシのベンツはコストより性能を重視していた)を持つ。なんたってボディ剛性が素晴らしい! 90年にデビューするセルシオはW124を目標にしたほど。W124を最初に見たときは、ぶっといAピラーとCピラーにタマゲたもんだ。現行Eクラスとクラウンの差と、現行EクラスとW124の差は同じくらいだと考えてよろしい。ドアのしまり方から違うのだから。
 参考までに書いておくと、W126も旧世代ベンツの最後。W140になると多くのパーツがアッセンブリー交換になってしまう。W126なら全ての部品をバラし、悪くなったブブンだけ修理出来る。今回はW126の特集でないから多くを書かないが、いや〜ホントに良いクルマだと思う。もし気合いの入ったクルマ好きなら、ぜひとも濃い味持つ世代のベンツに一度は乗っておくことをすすめたい。そう考えると、売り物まだ多く、予算的に手軽な190EとW124の最終はヒジョウに魅力ある!

 と、長い前置きになった。「最終完成型はどうか?」という本題に入ろう。まず190Eだけど、残念ながらベンツとしてのステータス感に欠ける。前述のようにバブル経済で普通のクルマになってしまったし、スタイル自体、押しが利かないと思う。小さ過ぎるのだ。おそらくベンツも「高級そうに見えるデザイン」というのが解ってなかったに違いない。Cクラスと比べると、なんだか薄っぺらいのだ。どうやら皆さんそう感じているらしく、中古車相場もお手頃。
 でも「100万円少々で買えるクルマ」だとしたらどうか? イマドキ100万円といえば軽自動車だ。割合に流通台数多い92年式の190Eは新車価格491万円。もちろんコンディション最悪でボロボロの中古車なら、んなモン価値無いワな。いや、買った途端に修理で大出費。ちっとも安かない。でもコンディション抜群だったらどうよ? 繰り返すが、190EってSクラスをまんま小さくしたと思ってよかろう。乗るとしっかりムカシのベンツしてる。

 ここまで書けば解るだろう。190Eというクルマ「見栄を張るために買うベンツ」じゃない。ベンツの味をお手頃の予算で知りたいヒトが買うクルマなのだ。もちろん予算さえあれば、見栄も張れるW124やSクラスのW126もイイ。けれども大きなベンツになると、中古車相場だけでなくメインテナンスコストだってタイヘン。190Eであれば、国産車買うような感覚で維持出来る。嬉しいことに190Eの中古パーツはグングン安くなってきたし。
 しかも今年はコンディション良い190Eを買える最後のチャンス。予想以上に安い(並行輸入車なら2リッターで350万円程度)新型Cクラスがデビュー。従来型Cクラスから乗り換えるユーザーも多いだろうから、中古車相場はグッと下がる。その余波を受け、190Eの相場まで低くなるという寸法。ヤナセでキチンとメインテナンスされていたような190Eなら、程度も抜群。走行距離少ない中古車を探すと、トラブルだって心配ない。個人的には2,3リッターや2,6リッターをプッシュしときます。

 W124はどうか? こらもうベンツの味濃厚で、見栄も張れる。クルマ好きにとっちゃ格好のアイテム。最近雑誌の企画などで「200万円台で味の濃いクルマを買いたい」という原稿頼まれれば必ずベスト5の中に入れちゃいますから。しかも最終なら95年式で、まだ5年しか経っていない。この世代のベンツは必要以上のクオリティを持っており、5年くらいだと新車みたいなコンディションをキープ出来る。ワタシのSクラスは9年選手だけど、新車みたいです。
 95年式は今年2回目の車検時期を迎える。新車でベンツ買うようなユーザーにとっちゃ、まさしく乗り換え時期。中古車も豊富に揃うってことだ。95年式のワンオーナーで車庫保管、こんなベンツは珍しくない。少し粘れば探せると思う。注意して欲しいのが、インテリアのコンディション。本革シートのバアイ、使い方が荒いとヒビ入ってくる。こうなると高級感に欠けるし、見てくれも良くない。インテリアが汚い高級車もな〜。

 ワタシなら革にこだわらず、積極的にファブリックを選ぶ。ベンツに限らず、革のインテリアのコンディションをキープするのは難しい。幸いベンツのファブリック超丈夫。その他、ウッドパネル傷だらけだったり、全体的に汚れていたりする中古車はすすめない。ただ難点がウッドパネルだけなら、取り外して磨くことも可能。ワタシのHPから『ポリッシュファクトリー』という磨き屋さんにリンクすれば、ウッドパネル磨きの情報あり。
 排気量は2,8リッターがオイシイ。一般的なベンツ好きだと、とりあえず320を欲しがる。したがって中古車相場も高くなりがち。E280は同じコンディションなら40万円くらい安い。したがって「相場より少し高めのE280」を買えば、たいてい素晴らしいクルマだと思う。ちなみに92年式の300Eは最高速225q。E280が230qだから、むしろ速い。E320だって5q速い235qだ。性能的にも不満ないでしょ?
 そんなこんなでコンディションの良いW124は、今イチバン美味しい中古車輸入車かもしれぬ。250万円くらいの予算さえあれば、220q以上出る高性能が手に入り、さらにムカシのベンツの味を骨の髄までシャブれます。ステアリングも現行Eクラスになって、そこらのクルマと同じラック&ピニオンになっちゃった。程度の良いW124なら長く乗れるし、良いコンディションを保ち続けていれば手放す時もキチンと値が付く。ここらでベンツ、一発いっとく?