「どうしちゃったの?」でございます。BMWジャパンと言えばベンツ、ボルボと並び「不当に高いプライス」を付けてきたインポーターだった。なのにZ3ときたら、オペルやローバーも真っ青になるくらい良心的な価格設定なのである。なかでも今回試乗した『アニバーサリー』モデルは、アメリカだと3万3千ドルくらいする1、9リッターのハイパワーバージョンに、本革シートや16インチのアルミホイールを履いて378万円! おいおい。アメリカより安いかもしれないぞ。
 さらに97年から販売されるノーマル仕様は、上記装備が落ちるだけで348万円。15インチながらアルミホイールも付くし、BMW版VSC(スピン防止装置)まで標準となる。何の不満もないZ3が、アメリカより安く買えるという寸法だ。他のBMWもZ3みたいな良心的プライスを付けたなら(例えば318tiなら248万円くらい。318iで298万円くらいだな)、イッキに今の2倍くらい売れるんじゃなかろうか。



 しかも、だ。安くてもクルマは抜群によろしい。軽いクラッチを踏んでローに入れる。回転を上げつつクラッチをリリースすると、MGFと同じくらいのパワー感。1200sを少し切る車重に140馬力エンジンなので、まぁこんなものかな。たださすがにエンジンフィールは抜群に良く、6千チョイから始まるレッドゾーンまで気持ちよく回る。低回転から高回転まで振動は、およそ4気筒と思えないくらい少ない。ホンダのエンジンが世界一だと思ってたけど、Z3にゃ負けるかも。最高速はヨーロッパで見たカタログによると205qだった。これだけ走れば十分でしょう。
 感心したのがボディ剛性。トヨタのGOAや三菱のライズもそうだけど、新しい基準をクリアしてるボディって凄くガッシリしてる。Z3も正しく新世代のロードスターであった。荒れた西相バイパスを走っても、スカットルシェイク(フロントウィンドゥがブルブル震える現象。ロードスターだと避けられない)は無いに等しい。聞けばAピラーにぶっとい鉄パイプが入っているそうで、横転した時はロールバーになるほどの強度を持っているとのこと。技術点は高い! 

 ハンドリングはどうか? ワインディングロードを攻めてみたが、結論から言えば「標準的テクニックを持つドライバーならとても素直に感じる」と思う。前後の重量配分はBMWの文法にしたがって50対50。ハンドルを切ると16インチタイヤらしく瞬時に横Gを発生させ、思い通りの走行ラインを描ける。ただホンキで攻めてみたら多少不満もあった。完全にタイヤが足に勝っているのだ。いわゆるカックンロール状態。限界域でのコントロール性はいいんだけど、ちょいと野蛮だな。おそらく今回乗ったアニバーサリーモデルより、15インチを履くノーマルがZ3に合ってると思った。