初めてガイシャの中古車を買う、というヒトからすれば、E36って相当魅力的なんじゃなかろうか。VWゴルフあたりだとシャバイし。どうせガイシャに乗るなら、それっぽい方がいいでしょ? かといってアルファあたりに行くには気合いが必要になってくるからね。しかも同格であるベンツCクラスよりリーズナブルときた。加えて新型が出たから、今後は一段と軟調な相場となろう。すでに150万円くらいの318iなど出回り始めたほど。このネダンでBMWのイキの良いのが買えれば大いに魅力的でしょう。
ところがE36にゃコワいブブンもあったりする。これ有名なハナシだが、91年式と92年式はマイナートラブル多く、信頼性にイマイチ欠ける傾向。さらにBMW全てに共通することだが、いわゆる”ヤレ”も気になってくる。確かにBMWはベンツと違って低年式の中古車の数が少ない。ウラ読みすれば中古車相場より、修理に必要なコストの方が高いということだぁね。一方で「E36以降のBMWは案外とタフなボディを持ってるよ」という声も聞いたりするようになってきた。
ま、見るからにヘニャチョコの先々代モデルと違い、E36は丈夫そう。エンジンだって耐久性とパワーを増した。何せ同じ320iでも先々代の最高速195qに対し、E36は214q。ほとんど別のモデルといえるくらいの差を持つ。最もトラブるATミッションもZFからジャトコに。これだけで大出費に直結するATを心配しないで済む。果たしてホントのところはどうなんだろう? どこまで掘れるかワカランけど、今月号はE36のヒミツを探ってみたい。
今回撮影に借り出したのは、178万円というプライスタッグが付けられた93年式320i。中古車相場を調べてみたら、この年式でイチバン安い部類だと思われる。ちなみに93年式の中心価格帯は188〜198万円くらいだ。もちろん安いにゃ理由があって、ワタシも実車をチェックしてすぐ「なるほどね」と理解した。どうやら長期間、屋外に駐車されていたクルマらしく、外観のコンディションがイマイチの状態。具体的に挙げると、ゴム類やプラスティックパーツのツヤが失われつつある。
タイヤは残りミゾがなく、スリップサイン(使用限度を示す)も出ていた。インテリアのクリーニングだって必要かと思うし、リアシートにゃシートカバーまで掛かっているでないの! 参考までに書いておくと、今回の撮影車は仕入れたままということで、お店で売るときは全面的なフレッシュアップを行うらしい。つまり今回のクルマは”素”の中古車だと思ってよかろう。考えようによっちゃ、今回の企画にピッタリかもしれぬ。ここからどうやってモトのコンディションに戻すか?
やることは大きく分けて三つ。とりあえず内外装を後回しにして、足回り優先にフレッシュアップを進める作戦。コンディションのいい中古車なら、ここから攻めよう。二つ目は細かいキズや内装のヨゴレをどうやってカバーしていこうか、というもの。一般的な中古車なら、このあたりのコンディションが多いと思う。そして今回みたいに「程度よりネダン重視」で買ったような場合。全面的なコンディションの判断から入らねばならないだろう。とりあえず第一段階から行こうか。
運良く購入したE36がコンディション良し子ちゃんだったとしよう。となると新車時の乗り味を知りたくなってくるな。そこでプッシュするのが、足回りのフレッシュアップだ。BMWに限らず、クルマでイチバン早くヘタるのは足回り。ここにはヘタるパーツが山のように使われているのだった。筆頭はタイヤ。E36の中古車を見ると半分以上がインチキなタイヤを履いている。例えば先日知人が買ったクルマにはポテンザRE010など装着されていた。
このタイヤ、性能的には素晴らしいのが、いかんせんスポーツカー用に出来ている。いくらBMWが「4ドアのスポーツカー」と言われても、カンペキに負けちゃう。さすがにボディ剛性は追いつかんじゃいらしく、ドッシンバッタンした乗り心地に。ハンドリングもタイヤが勝ちすぎ、切った瞬間にカックンとロールする傾向を示すから困ったもの。クルマの能力以上のタイヤを履いてもいいことありません。ダンパーを交換しボディ補強まで行わないと高性能タイヤはムリだ。
逆に「安いから」とトーヨーやオーツといった国産安タイヤを装着されてしまっているクルマも多い。これまたBMWの足にはマッチせず、イメージを悪くする。もしタイヤが減ってるようなら、即刻交換を考えて欲しい。銘柄グリップ走行を好むならBS。ウデに自信があり、たまにゃリアを滑らしたスポーティドライビングもしたいなら、ピレリをすすめたい。個人的にはミシュランだと硬すぎると思う。長持ちさせたいなら乗り心地を少し犠牲にミシュランもいいが……。タイヤ交換で劇的に乗り心地は良くなる。
ダンパー交換もヒジョウに有効なフレッシュアップのテクニック。ダンパー=一生モンだと思っているヒトが多いけれど、こいつぁ消耗品。ガイコクだと3〜5万qくらいで交換すべきブヒンなのだ。タイヤを換えたのに荒れた道でドッタンバッタンするようになったら、もう寿命だと思ってよろしい。今回のクルマも走行距離4万*千qだから、取り替えることを前提にすべきだな。最近になってE36のダンパーも安くなってきており、ビルシュタインなどの高級品にこだわらなければ10万円も掛からないようだ。
同時にサスペンション部分に使われているゴムパーツ(ブッシュと呼ばれる)を可能な限り新品に換えること。足回りに使われているパーツのなかで消耗品はタイヤ、ダンパー、ブッシュのみ。ってことはこの3点を交換したら、新車と同じ乗り味を楽しめるワケ。サスペンションアームの中に封入してあるブッシュは交換するのに苦労するが、簡単に入れ替えられるトコロだけやれば十分効果あり。レーシングカーなども、オーバーホールの時にこの3点セット(ブッシュを使っていないことも多いけど……)を新品にする。
仕上げがアライメント。タイヤの向きをキチンと調整するということだ。アライメントを計ってみると、ほとんどクルマはメチャクチャ。車検の時にサイドスリップだけチェックするが、そんなことやってもダメ。ワタシは中古車を買うと、必ずアライメントを取る。キチンと調整出来ないクルマは事故車の可能性があるだけでなく、真っ直ぐ走らなかったり、タイヤが段減り(偏摩耗と言う)するなどいいことない。アライメント調整は2〜4万円くらいだ。
外観にやや疲れが出ているような時は、二つの方法から選ぶとよかろう。まず「なるべくお金を掛けたくないんですけど」というケース。とりあえずカンペキ一日時間を取って、超激入念大掃除だぁね。サクサクと大型カー用品店の洗車コーナーに行く。するとあるワあるワ。最近、もの凄い数のケミカル用品が出回っている。効能を見ると、もはや不可能などないように感じてきちゃうほど。ケチらずボディ用からプラスティック用まで、1万5千円をメドに買う込もう。
ボディはコンパウンド入りの液体水垢落としで攻めまくる。いつも使うと塗装が薄くなるも、薄汚れたクルマならコレでないとダメ。イチバンのチカラ仕事となるけど、素晴らしい威力を発揮してくれるだろう。コツは50p×50pくらいの小さな面積単位で作業するということ。ボディパネル1枚分のサイズになると、もう集中力が落ちてくるのだ。この作業でツヤ出ればシメシメシメ子のウサギちゃん。テッパン部分はビカビカになる。中古車買うとき洗車用具を持っていき、一部を磨いてみてOKなら買う、という作戦を取るヒトもいるらしい。
ボディ磨きの時に気を付けて欲しいのが、ドアを閉めた時に隠れる場所や、トランク、ボンネットの隙間などの掃除。今回のE36も屋外に駐車されていたらしく、腐葉土のようになった葉っぱ類がタップリ詰まっていた。最初にコイン洗車場にある高圧水で汚れを吹き飛ばし、その後で割り箸にウエスをカマしてホジッたり、ハブラシに水垢落としを付けて磨いたりするとウソのようにヒカる。隠れた場所の手入れでクルマは印象まで変わってくるのだ。試して欲しい。
案外と難しいのがツヤの無くなったプラスティック&ゴム。特にプラスティックって、表面に樹脂コーティングをしているケースが多い。これ剥がれると見事に安っぽく見えてしまう。どうしたらいいか? なるべく目立たない場所のプラスティック部分に様々なケミカル製品をブツけてみる。で、最低で2〜3日放置。即座に判断を下さいのがコツですな。必ずイケそうなのヤツを探せると思う。ピカピカになりすぎたりするのもパス。これまた安っぽく見えるから。
インテリアは洗濯しない洋服みたいなモンで、すっごく汚れていると思ってよかろう。健康のためにも即刻クリーニングすること。内装用のクリーナーを吹き付け、入念に作業すればよろしい。フロア部分については、家庭用の絨毯クリーナーを使おう。床下に電気系統がなければ、水を使っても大丈夫だ(あとで入念に乾燥させないとカビるけど)。繊維素地がスリ切れていない限り、インテリアも予想外にきれいになってくれるだろう。仕上げにエアコン回りの除臭&除菌スプレーを掛けて○。
二つ目はプロの手に委ねる作戦。洗車も室内クリーニングも、洗車業者に頼めばやってくれる。外装3万。インテリア3万の6万円くらいが相場か?しっかりしたテクニックを持ってる業者に頼むのが鉄則。なかにゃ脱サラしたばかりの”シロウト”も混ざっている。もしボディ面に小さな凹みがあったり、フロントガラスの石ハネなど発見したら、これまた専門業者に。ボディ面の凹みなどはデントリペアなるワザがある、板金塗装しなくても見事に直る。
最後におネダンを最優先し『現状渡し』みたいな状態でE36を買ってしまったようなケースを考えてみたい。最初にしなければイケないのは全体のチェック。業者に出すとお金を取られるから、車載の整備手帳にある項目を片っ端から調べて行くとよかろう。また、油脂類に代表される消耗部品は、可能な限り「前回いつ交換したのか」を調べること。解らないと、次にどのタイミングで交換したらいいか迷うことになる。E36に限らずBMWって案外と神経質。交換すべき消耗品をそのまま使うと大きなトラブルに結びつくケースが多い。
その上で整備プログラムを組む。最初は10万円くらいの予算で、消耗部品のフレッシュアップを計りたい。とりあえず前述の油脂類に狙いを定めたらよかろう。明確に交換した証明がないブブンについちゃ積極的に攻めて吉。しかも油脂類を交換することによってコンディションまで判明する可能性あり。エンジンオイル抜いて激しく汚れてれば、満足にメインテナンスを受けていなかった証明。抜いたオイルに水が混じっていたり金属カスでも含まれている相当アブナイ。
デフオイルやATF(ATのフリュード)、クーラントも交換しよう。これまた液の状況をチェックすれば、トラブル発生の予兆が掴めると思う。人間ドックで血液やウンコ、オシッコ調べるようなもんだね。その際、走行距離距離が多かったり、ややヘタりの兆しを感じたりしたら、人間で言うビタイミン剤みたいな製品使うといいでしょう。ATの強化剤や、エンジンオイルに入れる潤滑強化剤など思ったより効果ある。上手に使えば寿命を伸ばせ、パワーアップにもなるのだった。
次にしなくちゃならんのが、最初に取り上げた足回りのリフレッシュ。ダンパー交換とタイヤ交換を後回しにしても、アライメントは絶対に取って欲しい。このチェックをすると、足回りの確認まで出来てしまう。ジャッキアップして作業するので、危険な状況になっていれば必ず見つかる。万一、大切なアーム等にクラック(ヒビ)でも入っていたら、アライメントが合わないのだ。油脂類の交換とアライメントチェックで10万円もあればよろしい。最初のステップとすること。
ブレーキを掛けた時、ペダルにガクガクと反動が伝わってくるようだと、ブレーキローターの偏摩耗でOHしなくちゃならない。ローターは2回くらい削れるので(ディーラーだと新品に交換されること多し)、あまり怖がらずに整備に出すこと。4〜5万qごとに1回の削り出しが必要だと思って欲しい。その際、ブレーキパットも交換するので、全部作業すると5万円少々ってとこ。さらにタイヤとダンパー交換すれば、もう足回りカンペキ。ガンガン走れるようになる。
残るはダメになってきたのコンディション。シートなど薄くなってきたら、社外品のスポーツタイプに交換するのもよかろう。アフターマーケットだって多数出回っているし。E36なら中古パーツも多数揃うに違いない。マフラーがサビていると、早晩穴あく。これまた純正でなく社外品を基本に考えるとよろしい。200万円を大きく下回るE36の3年後リセールバリューは、良くて50万円くらい。交換パーツで純正にこだわることもないと思うのだ。お金を掛けずに楽しむことをすすめたいです。