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クロスロード発表会
1)ホンダらしい提案?
一昔前はオデッセィ、CR−V、SM−Xといったモデルで数々の「新しい提案」をしてきたホンダから、“今までに見たことがないタイプのクルマ”といえるクロスロードが発表された。クロスロードを予備知識なしで見ると「どんなクルマなんだろう?」と気になる方も多いだろう。果たしてクロスロードはどんなクルマなのか? 詳細まで紹介していこう。(永田)
2)“Active Life Navigator”って?
クロスロードは“Active Life Navigator”というコンセプトの元に開発された。このコンセプトは「SUVの機動力も備えながら、ミニバンのように7人乗りもできる。でも、サイズは大きくなくて使いやすいクルマを目指した」ということ。つまり、いろいろな場面でマルチに使えるかなり欲張りなクルマなのである。そういった意味では、奇しくも先月末に発表されたデリカD:5のコンセプトが「ミニバンとSUVの融合」だったのと似た部分もあるのかもしれない。
これまでにないタイプのクルマなので「どんなユーザーをターゲットにしているのか?」が気になったので、商品企画に携わられた北條さんにいろいろ伺ってみた。北條さんによると「特定のユーザー向けということはなく幅広く受け入れられると考えていますが、どちらかと言えばやはり若いアクティブな方(所帯持ち、独身どちらも含む)が多くなるでしょう」。スキーやアウトドアなどを趣味にしている方にはピッタリのクルマとなりそうである。また、個人的には「もう子育てを終え大きなクルマは不要、でも便利に使えるクルマが欲しい」と考える年配のユーザー層にも受け入れられるのではないか? とも思う。なお、ライバル車については「直接的なライバルというのはないですが、あえて名前を挙げるならエクストレイルでしょうか」とのことだ。
生活を豊かにしてくれるクルマになりそう!
ちなみに、“クロスロード”という名前は以前ランドローバー社からホンダへOEM供給されていた車種で使われていたが、このことについては「かつてのクロスロードを意識したところはまったくありません。車名を選定しているときにこのクルマにはクロスロードの名前がピッタリだったので命名しました」との回答。かつてのクロスロードはかなりマニアックなモデルとなってしまったが、今度のクロスロードはメジャーな車種となるだろうか?(永田)
3)機能美を感じさせるスタイル
クロスロードのスタイルをご覧になって読者の皆さんはどう感じられただろう? 最近ここまでボクシーなスタイルはなかったせいか、「個性的でカッコいい」と思う方も多いかもしれない。ガラス面積の小さいところや実際の寸法(全長4285mm×全幅1755mm×全高1670mm)以上に大きく見える点などハマーH3の弟分風。また、クロスロードのデザインはキズが付いても目立たず、補修もしやすいバンパー下部とオーバーフェンダー(1.8リッターモデルに採用)、フロントのバンパーの角を絞り込んで取り回しをしやすくしているところなど機能を追及している点も特筆できる。
クロスロードのデザインについて、デザインを担当された所さんによると「とにかく存在感とSUVらしい力強さをデザインに盛り込むことに重点を置きました。イメージとしては鉄の塊から削り出しながら造形するような感じですね。苦労したのはCピラーとリアゲートをつなぐ部分の傾斜をどの程度にするか? ということでした。ここを寝かせてしまうと3列目の居住空間が狭くなります、だからといって立ててしまうとデザインの流れをそこで立ち切ってしまうことになりますので」。
後ろから見ると、以前ホンダにあったHR−Vに似た感じもあるか?
なお、クロスロードはスペース性や軽量化の目的からスペアタイヤを持たず、パンクの際
はパンク修理キットで対応する。このことはデザイン面でも好影響を与えているようで所さん曰く、「背面スペアタイヤも考えましたが、背面タイヤにするとリアゲートを重さの問題で跳ね上げ式に出来ないことやデザインの面からもクロカンSUVのようになってしまうので反対でした。」とのことだった。
各部に恩恵が大きかったパンク修理キット
この機能を追及したデザインは市場からどんな評価を受けるだろうか。(永田)
4)道具として、ガンガン使えるインテリア
インテリアはベースとなったストリームと似た造型だ。もちろん、ミニバンのストリームとSUVとしても使われるクロスロードと差別化を図るため、エアコン周り(ストリーム:液晶パネル、クロスロード:ダイヤル型)、メーター(タコメーターやスピードメーターが1つにまとまっているストリームに対し、独立しているクロスロード)、収納スペースの増加といった変更が加えられた。道具っぽさを強調している、といったところだろう。
SUVらしい冒険心を感じさせるインテリア
助手席前のモノ入れはストリームにはなかったもの
運転席に座ってみると、着座位置が高いため非常に見晴らしがよく感じる。見晴らしのよさやボクシーなデザインのおかげで実際のサイズよりも運転しやすそうである。この面からもSUVの資格は十分といえるのではないだろうか。(永田)
5)3列目は予想以上に使えます
運転席に続いて、2列目以降を見ていこう。まず2列目はストリームとほぼ同じ広さだ。足元空間も広く、シートの作りもいいので快適なドライブが楽しめそうである。
続いて、2列目以上に注目されている方が多いと思われる3列目の居住性をお伝えしよう。クロスロードの全長は4285mmと3列シートを有するクルマの中ではカローラ・スパシオ(4260mm)が一番近く、スパシオの居住性を考えると「補助席くらいの感じではないか」と予想されている方が多いかもしれない。しかし、実際に座ってみると3列目も十分に使える広さが確保されている。もちろん、ストリーム(4570mm)のような「長距離ドライブも可能」と感じるほどの広さではないが、シートクッションも予想以上に厚く、体育座りになるようなこともないので1時間から2時間程度のドライブなら十分こなせそう。この広さなら、「月に1回くらい7人フル乗車をする機会があるから」という理由でクロスロードを選んでも後悔することはないのではないだろうか。
予想以上に使える3列目
ラゲッジスペースは3列目を畳んだ状態ならステーションワゴンに近い広さが確保されており、スキーなどに使うケースでも不都合はない。しかし、3列目まで使うとさすがに狭くなり、ほとんど荷物を積むことは不可能と考えた方がいいだろう。(永田)
ラゲッジスペースも全長を考えれば◎
6)パワートレーン系はストリームからの流用
エンジン、トランスミッション、4WDといったパワートレーン系はストリームとほぼ同じものを使う。ここではエンジンとトランスミッションについて紹介しよう。
まず、エンジンはストリームやシビックにも搭載される1.8リッター(R18型)と2リッター(R20型)の4気筒。VTEC(可変バルブタイミング機構)を利用し、低負荷時には吸気バルブの閉じるタイミングを遅らせる「可変吸気量制御」(燃費向上に大きく貢献する)を大きな特徴とする。ストリームのエンジンからの変更点について、担当の綿引さんに伺ってみると「エンジン本体に変更はなく、違いとして挙げられるのは燃費重視に振ったセッティングと吸排気系がデザインの関係(吸気は空気の入り方、排気は2本出しになったマフラーの影響。2本出しマフラーは自体は主としてデザインのために採用されている)でストリームより有利になっているくらいですね」。
写真は1.8リッター。熟成に期待!
デザイン、性能の面でもメリットの多い2本出しマフラー
続いて、トランスミッションだ。トランスミッションは全車5速ATとの組み合わせとなる。ギアレシオ、ファイナルは1.8リッターがストリームの1.8リッターと同じもので、2リッターはヨーロッパ向けのCR−Vと共通のギアレシオとファイナルとなっている。ストリームの2リッターはCVTを使う(FFのみ)が、このあたりについてはATの開発担当の方に聞いてみると「CVTは重さ、サイズの面で不利な部分があります。性能とそのあたりをトータルして考えると、クロスロードには5速ATで十分かなと判断しました」とのこと。また、パドルシフトの用意がないことについても「SUVとして使われるクロスロードの性格を考えると不要と判断し、初めから設定する考えはありませんでした」。
CVTやパドルシフトがないのは残念かもしれないが、冷静になればこのエンジンと5速ATの組み合わせだって相当贅沢なものといえる。クロスロードはどんな走りを見せてくれるか?(永田)
7)新兵器「ヒルスタートアシスト機能」にも注目!
4WDシステムはストリームと同じ「新リアルタイム4WDシステム」(03年登場のオデッセイから使われている)を使う。通常走行時はFF状態で走行し、前輪と後輪で回転差(=滑りやすい状態)が起きると瞬時に後輪にも駆動力を伝えるシステムである。新リアルタイム4WDになってからは後輪に駆動力を伝えるまでの時間が大幅に短くなっている上、クロスロードの4WDは全車にVSA(横滑り防止制御)も標準装備となっているので、雪道での走破性も相当期待できそうだ。
クロスロードの4WD車には「ヒルスタートアシスト機能」というデバイスも装備される。これは坂道発進の際にブレーキを約1秒間クルマ側で掛けておいてくれるもので、なかなか強い味方となりそう。ちなみに「ヒルスタートアシスト機能はどうやって坂道を判断するのか?」、気になる方もいるかもしれない。個人的にも興味があったので調べてみると、このシステムはVSAのGセンサーを使って坂道を検地するのだという。そのため、ヒルスタートアシスト機能はVSAが付く4WDのみの特権となるのだ。出来れば、VSA、ヒルスタートアシスト機能のFF車への採用(現状ではFF車にはオプション設定もなし)も願いたいところである。(永田)
普段のドライブでも役立ちそうです
8)SUV化も視野に入れられたシャーシ
シャーシもストリームのものをベースに使う。「ミニバンというより乗用車の走り」、「非常にスペース性に優れている」などと評価されるストリームのシャーシは、クロスロードにもピッタリだったのではないだろうか。
シャーシについて、開発を担当された第1商品開発室の岡野さんの話を伺うと「このシャーシは初めからSUV化も想定して設計したものです。大変だった点は車高が上がっているという要素がある上、オンロードからオフロードまで上手にこなすようセッティングすることでした」。
低床、低重心に期待!
また、クロスロードはタイヤにもなかなか面白い工夫が施されている。ショルダー部とセンター部で異なるコンパウンドを採用しているのだ(2リッターに標準装備される17インチタイヤ)。「部分によって違うコンパウンド」というとピンと来た方もいらっしゃるかもしれないが、このタイヤは東洋タイヤの作品(トランパス)である。具体的にはセンター部に転がり抵抗低減に寄与するコンパウンド、左右のショルダー部に制動性能向上(=グリップ力重視)に寄与するコンパウンドを使い、燃費と制動性能の高次元での両立に成功した。具体的な数値としては10・15モード燃費で0.2kmほど向上しているという。0.2kmと言えばクロスロードの10・15モード燃費の1.5%ほどにあたるのだから、相当のものといえるだろう。
なお、クロスロードは3ナンバー幅となっている好影響でトレッドがストリームより広がっているものの、ハンドルの切れ角を大きくしたためか最小回転半径も小さくなっている。予想以上の安定性と取り回しのしやすさも期待できそうだ。(永田)
3分割されたコンパウンドの効果はいかに?
9)価格帯もニッチ狙い!
クロスロードのグレード設定&価格を紹介していこう。まず、ベースとなるのが「18L」(193万3200円)だ。このグレードはキーレスエントリーやホイールキャップも付かないため、営業用などに使うグレードと考えた方がいいだろう。実質的に選択肢となってくるのは、下から2番目となる「18L Xパッケージ」(199万5000円)以上のグレードだ。「18L Xパッケージ」なら一般的なフル装備状態(オーディは除く)となるので、それなりに高い満足感を味わえるだろう。
「18L Xパッケージ」の4WD仕様となるのが「18X」(225万7500円)である。このグレードの価格を見ると、「18L Xパッケージ」の26万2500円増しという比較的少ない割り増しでヒルスタートアシスト機能を含むVSAと4WDシステムを手に入れられることが分かる。SUV的な性格を持つクロスロードなので、どうせ買うなら4WDにしておくべきなのかもしれない。なお、メーカー側では全体の6割程度が1.8になると予想しているそうだ。
2リッターは「20X」と「20Xi」(それぞれFFと4WDの設定あり)の2グレードが用意される。「20X」(FF:222万6千円、4WD:248万8500円)は「18L Xパッケージ」、「18X」に対して2リッターエンジンの他、17インチアルミホイール、イモビライザー、ボディと同色のバンパー下部とオーバーフェンダーなどが追加される。内容に見合った差額と言えるだろう。
最上級の「20Xi」(FF:245万7000円、4WD:291万9000円)はFF車同士で比べると「20X」に対しHIDライト、熱線入りのミラーとフロントウィンドウの付く「コンフォートビューパッケージ」が加わる。4WDになると300万円近い価格となるが、これは4WDの特権であるVSA、先行車追従型クルーズコントロールHICC、追突低減ブレーキCMBSが標準装備となるためだ(HICCとCMBSは4WDの18X、20Xならオプション設定もあり)。
直接的なライバル車がないため、ライバル車と価格設定を比べるのは難しいが比較的近い存在といえるエクストレイルやSX4と比べるとやや高い感じ。しかし、その代わりクロスロードには3列目シートという強力な武器があるので、トータルすると「価値に見合った価格」と言えるのではないだろうか。(永田)
こんな使い方も含め、いろいろ使えそう
10)新しい提案は受け入れられるか?
今回のレポート読んでいただくと、クロスロードがいろいろな要素を詰め込んだクルマでよく見る「中途半端な性格」ではなく、SUV、ミニバン、コンパクトカーそれぞれの持つ良さを相当高いレベルでバランスさせているクルマに仕上がっていることが分かってもらえると思う。もしかしたら、大ヒット車になる可能性も十分ありそうだ。現状では輸出の計画はないそうだが、SUVやクロスオーバータイプのモデルが人気となっている最近のトレンドを踏まえると、世界的に見ても大きな需要があるのではないだろうか。クロスロードはそんなことを考えさせるくらい、新しさに満ちたクルマだった。まずは日本市場でどのような評価、売れ行きを見せるか注目したい。
(永田)
モデューロ仕様のクロスロード。モディファイするベース車としても活躍しそうです
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