シートに座った瞬間からHR−Vはちょっと楽しい。クロカンと違い、ドライビングポジションは乗用車的。それでいて目線が高いのだ。HR−VのHRはハイ・ライダーの略。アメリカ西海岸で流行った乗り物(車高を下げるのがシャコタン。その反対だと思えばよろしい)だけれど、雰囲気を上手に出せていると思う。感心しつつキャパなどと同じCVTのDレンジをセレクトしてアクセルを踏む。するとどうだ。キャパより一段とスムースな味付けになっているでないの!
CVT最大の弱点である「スタート時の違和感」は完全に姿を消しており、もはや良いトコロだけになった。ユックリ走りだそうとすれば2千回転くらいを保ち、スムースに速度だけ高まるし、元気良いダッシュが必要ならアクセルをば深く踏み込むと最大出力回転数のまんま加速する。ホンダの常で、エンジンはたいへんにスムースだ。絶対的な加速力もなかなかのレベル。2リッタークラスのミニバンやCR−Vあたりならイーブンの走り。1、6リッターの4WD車とは思えない。いやぁイイです。
JS4のCVTは四つのモードが選べる。簡単に説明すると1)<D>。燃費やスムースさを最優先したモード。通常これを使う。2)<S1>街中用。速い交通の流れに乗るべくDより高めの回転数を使い、エンジンブレーキも効きを良くしている。3)<S2>スポーティドライビング用。回転数をS1より高くキープし、一段と活発な走りが可能。4)<L>普通のATのローレンジと同じような設定。急坂の登降坂用、といった具合。四つとも試してみたが、街中用のS1モードを積極的に選ぶと乗りやすい。
HR−Vの開発テーマは「キビキビ走ること」だったそうな。乗ってみると狙いがよ〜く解る。ホントにキビキビしてるからだ。一般的に『RV車=走りはイマイチ』という方式が成り立つ。よってユーザーサイドも最初から走りをあまり期待しない傾向。それじゃホンダらしくない、ということなんだろう。ただ車高の高いクルマでキビキビ走らせようとすると、足回りを硬くしないとならない。ハンドルを切った時のフラツキを押さえるには、硬くするしかないからね。
でもHR−V、乗り心地いいです。もちろんフカフカでないものの、コメカミにアオスジ入るような「若けりゃガマン出来る」ような安直な作りでないのだ(ホンモノのハイライダーは激しく硬くピョコピョコする)。このあたり、足回りに使われているパーツの精度など関係してくるのだが、案外としっかり作ってあるな、と思う。高速道路を使った300qくらいのロングクルージングだって平気でこなす。スキーやスノーボードの足として考えているヒトも多いだろうが、期待を裏切ることはなさそう。
それでいて「今日は元気良く走りたいぞ!」と決めれば、ほとんどスポーツカーみたいに楽しい。ファミリードライブでガンガン走るヒトはいないと思うけれど、ゴルフや出張などで一人乗りだったら遊んでもいいでしょ? そんなバアイ、下手なスポーティモデルよりハンドリングいいとくる。高速道路のインターチェンジのカーブ区間など走る度、HR−Vのハンドリングに感心すると思う。
4WDは滑った時だけ後輪に駆動力を伝えるスタンバイ方式。CR−Vやオデッセイなどと同じタイプだ。雪道並に滑る濡れた草地を探して走ってみたが、よほどの急坂でない限り簡単に走ってしまう。少なくともスキー場に行くような道であれば、スタッドレスタイヤを履くだけでOK。どうしても極悪路を走りたい、というヘビーユースでなければ満足できる走破能力を有する。ABSの制御もキチンとしており、雪道は大得意といったところ。
ホンダとしちゃメインを125馬力エンジン搭載の『JS4』と考えているようだが、105馬力(HR−Vは全て1、6リッター)エンジンの『J4』というグレードも用意されている。20馬力違えば走りもずいぶん変わるだろう、ということで試乗してみたら、意外や意外。それほど遅くない。ホンダのヒトに聞くと「CVTを使っているので、J4でも相当オイシイ回転数が使えるんです」だって。最高速も5qくらいの違いとか。
強いて言えば「高回転のパンチがホンの少し足りない」とか「エンジンフィールがやや劣る」になるが、これだって乗り比べて解る差。J4にしか乗っていなければ、満足しちゃうと思う。実質的な違いは5速マニュアルミッション仕様を選べる(JS4は全部CVT)あたりか? ちなみに20馬力分の金額差は6万4千円と、案外安い。というワケで、マニュアルに乗りたければJ4。CVTだったらJS4を選ぶべきだろう。
その他、J4のFFバージョンである『J』というグレードがある。エンジンは105馬力のままFFにしたもので、J4より60s軽く18万円安い(CVTで138万4千円)。乗ってみると125馬力のJS4よりキビキビ走る感じ。60sと言えば車重の5%。消費税分安くなるのと同じで、けっこう効く。雪道を走る機会の少ないヒトだったら、Jがイチバンお買い得である。
FFのJをベースに、キーレスエントリーと電動格納式ミラーなどがセットになった5万円の『Lパッケージ』と、ナビ+オーディオがセットの『ナビパッケージ』(22万円)をメーカーオプションして165万4千円。支払い総額200万円を下回る予算で、フル装備の魅力的な新型RV車が買えれば安いと思う。書き遅れたが衝突安全性はユーロNキャップ64q対応。このクラスのRV車で最も高い衝突安全性を持つ。
HR−V唯一の弱点、というか残念な点は年齢対応度。ワタシも欲しいと思うけれど、やっぱし若すぎるような気がする。いろんなヒトに聞いてみたトコロ、「30歳代前半までか50歳以上」がHR−Vに似合いそうだという結論になった。というのも40歳前後はドアが4枚必要だからだ。ウチの使い方を見ても、コドモまで乗せようとしたら狭い。
ただこのハイライダー路線、案外と当たりそうな気がする。HR−Vの売れ行き絶好調となったなら、2リッターエンジンで4ドア200万円級のアコードクラスなど考えたらいいんじゃなかろうか。4ドアセダンだと魅力薄いも、HR−V的なクルマだったら欲しくなる。いずれにしろ興味のあるヒトはディーラーに行ってみるといい。試乗車もタップリあるそうだ。