アメリカという国は、基本的に「大きなコトはいいコトだ!」みたいなコンセプトが大河のように存在する。フォードの売れ筋モデルとして知られる『リンカーン・ナビゲーター』というSUV、日本で見たらバケモノのようにデガい! 全長5202o×全幅2029o×全高1943oもあるのだった! こらもうマイクロバスのサイズだぞ! 逆に考えると、これまでの日本製SUVって、大きいと思えるハリアーでさえ、アメリカじゃCR−Vのようなライトウエイトモデルに属したワケ。RAV4とかCR−Vになると、軽自動車クラスでしょう。
このあたりの事情、ホンダだってよく解っている。大きなクルマ作り、アメリカのメーカーと勝負することは長年の夢でもあったそうな。しかもミニバンジャンルにアメリカ勢と比べたって負けないサイズのラグレイトをデビューさせ、いまだに生産が追いつかないほどの大ヒットになった。となれば次はSUVである。ジツはラグレイトの開発がスクープされた時点で「大きなSUVも開発しているらしい」という情報が飛び回っており、ライバルメーカーは神経を尖らせていた。ラグレイトもライバルからユーザーごっそり奪ってるし。さてさて、どんなクルマなのか?
ボディサイズを見ると全長****o×全幅1***oで、ラグレイトを**p短くした感じ。モンク無しにデガいです! 搭載されるエンジンはラグレイトと同じ3,5リッターのV6ながら、トップエンドのパワーも重視。最高出力2**馬力というスペックを持つ。ライバルであるアメリカ勢のSUVは5リッター前後のV8エンジンを搭載するが、最高出力チェックするとフォードのV8で215馬力。むしろMDXの方がパワーで勝っている。実際の動力性能じゃMDX優勢。トドメに燃費良い。アメリカも昨今ガソリンが高騰しており、燃費悪いSUVは問題になりつつあった。
MDXは同じクラスのアメリカ車と比べると20〜30%燃費がよく、しかも衝突安全性でナンバー1。その割に魅力的な価格設定という次々繰り出すパンチによってライバルをやっつけようという作戦だ。気になる4WDシステムは、かなり特殊。常時リア車軸まで駆動力を伝達しており、必要に応じてクラッチで制御するというもの。スタート時はクラッチ繋いで4WDとなるも、舗装などグリップしていればすぐクラッチ離して燃費良いFF走行に、滑りを関知したらクラッチ繋いで後輪にも駆動力伝える。悪路走破性と燃費低減が可能な知的4WDだと思う。
ウンチクはこのあたりにして試乗と行きましょう! CTらしくまず筑波サーキット的なテストコースでオンロードのハンドリングをチェック。第一コーナーを全開で立ち上がり、ブレーキングしつつハンドル切り込んで次のコーナーに飛び込む。SUVだからしてソフトなセッティングだが、予想外に素直。アンダーも出ず、キチンと曲がる。多少ロールは大きいものの、まだイケそうな雰囲気。そんなら思い切って攻めようか、とやったのが走りの写真。キッチリとテール流れます。強いて言えば、も少しロールを抑えてくれると安心感格段に上がると思う。
エンジンはラグレイトより高回転域での元気がイイ。大柄なボディを全く感じさせないくらいのパワー持っており、これならアメリカ勢と比べても負けないだろう。その割に低速トルクが太く、アイドリングより少し高いくらいの回転数で極悪路走ったって不満ない。むしろ、これ以上パワーあってもホイールスピンするから無駄だ。新しい4WDシステムを試してみたが、これまた上々。左右の後輪の駆動力を別個に制御出来るから、理論的にはランクル・プラドやディスカバリーと同じレベルに達している。その気になれば負けないもんね、というあたりが非常にホンダらしい。
現在ラグレイトがアメリカで爆発的売れ行きとなっている。全く生産追いつかない状態。その上MDXをラグレイトと同じ生産ラインで流すのだそうだ。「ラインはすでにパンクしている!」って感じ。といった事情を鑑みれば、日本に輸出するクルマを作ることなど当面難しい。ただ並行輸入なら入ってくる可能性大。
MDXに感心してたら「こっちも乗ってみて下さいよ」という。何でもアメリカで開発したアキュラCLに、260馬力の3,2リッターエンジン積んだクルマだという。『ユーロR』じゃなく『アメリカンR』だな。それにしてもFFの260馬力って凄いぞ! 理論的には公道用タイヤ履いたFFのバアイ、一輪あたり120馬力までというのが限界とされる。それ以上あったら、トラクションコントロールでパワーダウンさせないと暴れまくるワケ。ムカシあったディアマンテの280馬力、全開するとメロメロになっちゃいましたから。
興味津々で高速周回路に出てアクセル全開! すると速い速い!ホンダのエンジンらしく「クォーッ!」という気持ちよい音を出し、低いギアだとイッキにトップエンドまで回りきる。面白いの何のって! 調子よく全開していたら、150マイル=240qの速度リミッターにガツンと当たってもうた。S2000の最高速が240qなので、間違いなくそれ以上のパフォーマンスを持つ。世界的見ても最速のFFかもしれぬ(キャデラックのセビルも240qでリミッターとなる。カットするとドッチが速い?)。いずれにしろアメリカンRの名に恥じないエンジンだと思う。
ハンドリングはどうだろう。引き続きロードコースに入り、写真のごとくガンガン攻める。アクセル全開でコーナー立ち上がり、激しくブレーキング! そしてハンドル切り込んでタイヤの限界を探りつつコーナリング。クリッピングから再びアクセル全開ざんす。予想していた以上に剛性感高い。後でボンネット開けてみたら、ストラットタワーバーなどキッチリ入ってる。やるべきことは全てやってありますな。このクルマを仕上げたのはHRA(アメリカにある開発セクション)の米人という。ま、クルマを速く走らせるという目的で開発すれば、アプローチは世界共通。
ただ260馬力はやっぱり限界を少し超えているように思う。危険ということでなく、フルにエンジンパワーを伝えられないのだ。インテRやユーロRのように「常に全開で攻められる」というのと若干違う。直線なら勝負したろうじゃないの! 的な迫力を持つが、コーナーで全開にするとイッキにアンダーってしまう。でも直線のキモチ良さったら抜群! インテRを「スポーツ」とすれば、ユーロRが「大人のGT」。で、このCLは「気合いのGT!」といった味わい。どうせやるなら300馬力くらいにすると一段とアメリカンになるかぁ?
アメリカでは依然としてクーペ人気が高い。大人4人で移動する機会をあまり持たないアメリカならではの状況なんだと思う。次期型シビックにクーペがあるのは公然の秘密だし、プレリュードとインテグラを統合し、ミドルクラスのクーペとする、という動きもあるらしい。レジェンドのクーペもリクエストが多いとか。