従来型オデッセイは2,2リッター4気筒でデビュー。最初から4WDも選ぶことが出来た。しかし途中で追加されたV6の3リッターを搭載する『エクスクルーシブ』はFFのみの設定。というのも3リッターという大きなパワーに見合う4WDシステムがホンダに無かったからだ。いや、もっと言えばオデッセイ自身、3リッターエンジンを積む計画を持っていなかったことを覚えているだろうか? オデッセイの人気が炸裂した結果、3リッターを出して欲しいという要求多く出たので急遽開発に取りかかった次第。
 新型オデッセイの開発にあたり、今度は最初から3リッターV6モデルのラインナップを決定したそうな。となればV6+4WDの設定も当然のこと。メカニズムそのものは4気筒の4WDと共通。ただ30%近くアップするパワーに対応するべく駆動容量を大きくし、最適のセッティングとしている。気になる重量増(重くなると燃費や性能に悪い影響がある)も70sと最小限。このクラスの平均的FFと大差ない性能を可能とした。価格はFFの25万円高。


 ホンダの4WD方式は『デュアルポンプ』と呼ばれるタイプ。基本的に前輪駆動で、雪道などで前輪がスリップすると後輪にも駆動力を伝えるようになっている。こう書くと軽自動車などと同じビスカスカップを使った簡易式のように感じるかもしれないが、デュアルポンプはビスカスより反応が早いため、前輪滑ると即座に後輪へ駆動力を伝えてくれる(ビスカスカップは若干タイムラグあるので小さい排気量向き)。クロカン4WDが走るような本格的悪路を走らない限り、全く問題ない。
 この4WD方式、4気筒と同じなのだが、3リッターモデルは2速発進モードを追加している。排気量大きなエンジンだと1速のトルクが大きく、4WDでもホイールスピンすることがあるほど(特にブラックアイスと呼ばれる立てないほどツルツルの氷)。そこで3リッターモデルにはスムースなスタートを簡単に実行出来る2速発進モードを設けたのだ。使ってみたトコロ、通常の1速スタートより大幅にホイールスピンすることが少なくなった。本当に滑りやすい路面を走る時は、2速発進モードをセレクトすることを推奨したいと思う。


 舗装路面の加速と制動性能については先月号で試乗レポートしたFF仕様のV6と、ほとんど変わらなかった。というのもエンジンやミッション、サスペンションといった基本コンポーネンツは共通だからだ。単純に車重が70s重くなったと考えればよかろう。70sと言えば成人男性と同程度。一人乗りでオデッセイに乗っているか、二人乗りで乗っているかの差ということ。V6エンジンを搭載するオデッセイならパワーに余裕あるから、あまり気にならないと思う。ブレーキも新型になって絶対的な性能が大幅に向上。これまたFFと変わらない効き具合。
 肝心の雪道ではどうか? 従来型だとV6選ぶとFFだけになってしまう。一度FFのV6で雪道走ったことあるが、けっこう気を使いながらでないと簡単にホイールスピンした。といったことからすると4WDになったというだけで大いに有り難いと思う。また、デュアルポンプ式は滑るまでFFだから、センターデフを使った完全な4WD(スタート時から前後50対50の駆動力配分)と比べ若干不利だという意見あるものの、少なくとも普通の雪道やアイスバーンを走っている限り問題ない。今回も深雪やアイスバーン走ったけれど、ガンガンいけます。
 雪道でのブレーキングは、デュアルポンプ式4WDの良いブブンを出せる。前輪と後輪それぞれ最適な制御が出来るので、停止距離という点でも回避能力という点でも優等生なのだ。特に高速走行時のブレーキングは、優れたバランスを持つ。最近のホンダ、ABSの制御を含めたブレーキ性能は非常に良くなった。性能良いスタッドレスタイヤと組み合わせれば、かなり悪条件下の雪道だって平気で走れてしまう。ブレーキ応答性が良くなった結果、微妙なブレーキのコントロールも出来る。現在販売されているミニバンじゃ、トップクラスと言ってよかろう。


 冬になると毎週のように雪道を走るが、滑りやすい道でイチバン嫌なのは「曲がらないこと」である。ハンドル切って真っ直ぐ行ってしまうと、もはやお手上げ。特にFFは前輪にしか駆動していないため、アクセル踏むと曲がらず真っ直ぐ行こうとする傾向出やすい。4WDでもこういった特性出るクルマが多いのだ。カーブでアクセル踏むと、真っ直ぐ行こうとするワケ。ホンダのデュアルポンプ式はこういった特性が出ないよう、仕立てられている。ジツは今から10年くらい前、ディアルポンプ式4WDのテスト車両を雪道で試乗した。
 その時、ホンダのエンジニアが最も気にしていたのが「素直に曲がりますか?」ということ。当時から「曲がり易さ」を大きなテーマだと考えていたらしい。といった具合で従来型オデッセイもキチンと曲がるクルマだったけれど、新型もなかなか。本来なら重くて大きなV6をフロントに搭載し、パワーも4気筒より大きいため「曲がり易さ」という性能からすると不利。でも雪道で走って全然違和感無かった。アクセルを踏みながら雪道のコーナー曲がると、キチンとフロントはハンドル切った方向向いてくれる。4気筒の4WDも素直だと思う。
 舗装路面のコーナリングはFFより素直だった。おそらくリアデフやドライブシャフトなど重量あるパーツがボディ後半にあるため、前後の荷重配分からすると「曲がる」のに有利なのだろう。今回はスタッドレスタイヤを履いての試乗になったけれど、それでも手応えはシャッキリしており、高速巡航時の安定性良い。ちなみにデュアルポンプ式4WDは高速走行になると後輪への駆動力をカットする。急に後輪にトルクが伝わるとバランス崩す。そいつの防止策。性能や走行安定性など総合的に評価すると、オデッセイの4WDはミニバンと相性イイと思う。


 先月神戸で試乗した際「新しいオデッセイは燃費自慢です」とホンダのヒトが言ってた。そんなら試してみようじゃないの! ということで東京から新潟県の越後湯沢まで高速道路を”流れに乗って”走ってみた。メーター読み110q程度の巡航を想像してもらえばよかろう(速度計の誤差は車検でも10qくらい許容されている)。やや登り勾配多く、冬場は向かい風気味の行きがリッター1*、*q。下りで追い風気味の帰りでリッター1*、*qとなった。平均すればリッターあたり1*、*q。
 このデータ、どう思うだろうか? オデッセイの中で最も燃費悪いと考えられるV6の3リッター4WDに、走行抵抗が大きなスタッドレスタイヤ履かせ3名乗車。で、これだけ走れば十分じゃなかろうか。強いて言えば従来型に設定されていたオートクルーズが無くなったの残念。あれば90q巡航だって楽に実行出来るから(オートクルーズ無しだと90qの一定速走行は苦痛)、さらに燃費は伸びるハズ。乗り方次第で燃費は延ばせるだろう。


 今回の試乗はスタッドレスタイヤ。ノーマルタイヤと全く状況が違うことを前提にハナシを進めたい。スタッドレスタイヤを履いた時の静粛性は「けっこう静か」と評価しておく。おそらく遮音材の使い方が上手なのか、じゃなければタップリ使ってあるのだろう。道路からの騒音を室内に伝えないし、タイヤからサスペンションを伝わって室内に入ってくる音も少ない。こちらは足回りに使われている「ブッシュ」と呼ばれるパーツの使い方に工夫があるんだと思う。
 高速走行で最も大きな震動源になるのはエンジンだが、オデッセイのV6に組み合わせてあるATは5速タイプ。4WDとFFでギアレシオ同じだから、100q走行時の回転数はわずか2200回転くらい。スムースなV6エンジンを低い回転数で使えば、ウルサクなる理由がない(同時に燃費を稼げる)。300万円級の乗用車と比べても平気なレベルだと言える。残念ながら試乗車にゃボーズのオーディオ付いてなかったけど、静かな室内でお気に入りの音楽聞きながら長距離ドライブするのも気分良い。


 乗り心地の重厚さ、ということを考えると、理想的には重いボディに軽い足回りを組み合わせるのがベスト。だからこそ高級車は軽いアルミホイール選ぶ。もっと解りやすく例えると、新幹線みたいな鉄道車両を考えてもらえばよい。オデッセイシリーズの中で最も重い1740sあるV6の4WDは、最も乗り心地良くて当然というものだ。FFのV6だと「少しスポーティかな」と思える堅さも、4WDになるとちょうどいいレベル。イッキに180q走って全然疲れない。トイレさえガマンできれば、もっと走れる。
 帰りはセカンドシートを試してみた。「可能な限り実際の使い方をしよう」という狙いだからして、日が傾き写真取れなくなったのでスキー場で修行。クタクタになってセカンドシートに乗り込む。ジツは新しいオデッセイのリアシートを初めて長時間座ってみたのだけれど、予想外に快適。関越トンネル入る前に意識薄れ、気が付いたら間もなく練馬だったくらいだ。セカンドシート3人座れる仕様だと真ん中キツいだろうが、二人で座るなら適当なホールド感もあってイイと思う。騒音レベルは前席と同じ。
 自宅までの40分をサードシートで味見する。さすがにセカンドシートより狭くなるも、身長160pを超えず体重55sに達しない体型であれば、長時間のドライブだって平気。前2列と比べ、やや上下方向の揺れが大きくなるが、今回は3人乗車だったためかも。定員乗車の時のサードシートなら、もう少し乗り心地良くなるだろう。以上、新型オデッセイのV6、4WDに500qほど試乗してみたが、良くできたクルマだと評価しておく。もし欲しいと考えているなら、大きな弱点ないと思います。