ここ2〜3カ月というもの、自動車専門誌の話題をさらっていたビートがついに発表された。しかも実車は予想をはるかに凌ぐ魅力を持っており、またまた「納期1年」という事態になりそう。早速詳細を解説したい。
まずはスタイル。スクープ記事に出ていたイラスト等ではボッテリしたイメージを受けたが、実際は案外シャープ。もちろん軽自動車ワクに無理ヤリ納めたこともあってか、やや窮屈な感がないわけではない。でも思ったより車高は低く、キッチリとスポーツカーしている。
事実、重心高は440mmと、ドライバーの腰あたりにあるという。従来のハイパワー軽自動車は重心が高いため、コーナリングで横転しやすいという弱点を持っているが、ビートくらい低ければ普通のスポーティーカー的な素行安定感を出すことが可能であろう。
オープンということで気になるボディ剛性も充分配慮されているようだ。というのも多くのオープンモデルは屋根付きで設計されたボディをカットしている。もちろん補強しているとはいえ、これでは完全な剛性を確保出来なくて当然。ビートはオープンしかないので、最初から強固なボディ剛性を持つように設計されているのだ。
また、現代のクルマらしく風洞実験をしっかり行っており、オープンにしたとき風の巻き込みも最小。常時オープネアモータリングが楽しめると思う。
ちなみに幌は非常に軽くできており、女の子でも簡単に開けることが可能。劣化は覚悟しなくてはならないけれど、幌(パーツ代)はあまり高くないというから交換すればいいと思う。
そうそう。最近話題の安全性もぬかりなく対策してある。ビートには軽自動車で初のエアバックが設定されたのだ。これはトヨタのような簡易型(普通は床にセンサーが張り巡らされるが、簡易型はステアリング内に全システムが収まる)。プライスを低く押えてあるのが有難い。
足回りはストラット式。絶対的なパワーが低いため、凝ったシステムではないものの、NSXのノウハウを元に味付けされているということ。しかし伝え聞く情報では強いアンダーステアという。最近ハンドリング面で遅れを取っているといわれるホンダがどのくらい頑張ったかが楽しみ。
タイヤはフロントが13インチ(155/65)。リア14インチ(165/60)と、前後でサイズが異なる。しかもブレーキを奢っており、4輪大径ディスク。高速からのブレーキ制動距離は2リッタークラスのスポーツカーを凌ぐデータ。こいつもNSXコンセプトだ。
エンジンはホンダらしくノンターボにこだわりつつ、軽自動車の自主規制ワクいっぱいの64馬力をマークしている。とはいってもまったくの新設計ではなく、ベースになったのはトディ用の4バルブ3気筒。ただ大幅に手が加えられた。
最大のポイントは吸排気を徹底してリファインした点。まず吸気系では、3連スロットルチャンバーの採用が効いている。3連スロットルチャンバーといってもピンとこないかもしれないが、ようするにキャブレターが3つ付いているのと同じ働きをする。
普通だとスロットル(アクセル弁)は一つしかなく、空気はそこから3つに別れ各気筒に送られる。したがってスロットルを通過した後の空気の流れには抵抗が発生するし、レスポンスも悪い。3連タイプはコストが上がるものの、空気がダイレクトにシリンダーまで行くのだ。
排気系もほとんどレーシングカーのようなエキゾーストパイプの取り回し方をしており、このあたりはF−1テクノロジーが生かされている。
さらに驚くのはガソリンがレギュラーでOKなこと。ハイオクを使えば高出力を得るのはさらに簡単だっただろうが、安いガソリンでいいならこれまたランニングコストを下げることが可能。
エンジンをしっかり作ったため燃費も非常によくなっており、10モードで27km! 普通はここまで伸びないにしても、高速道路の法定速度クルージングなら20km程度は走るだろう。
組み合わせられるミッションは5速マニュアルだけ。操作フィールはNSX譲りだそうなので、こいつも試乗が楽しみな項目である。
装備はどうか? これは思ったよりシンプル。標準なのはディーラーで付けるのが難しいエアコン(ミッドシップは配管が長くなるため)とパワーウインドゥだけ。エアバックや、必ず欲しくなるオーディオ、アルミホイールはすべてオプションになってしまう。
このうちエアバックはリセールバリューや任意保険(搭乗者保険が10%安くなる)を考えると付けて置くことをすすめたい。しかも軽自動車は物理的に弱いため、エアバックの効果は大きいと思う。
オーディオは自動ボリューム(走り出すと自然にボリュームが上がる)付きの専用タイプを始め、各種用意される。どれも相当凝ったシステムみたいなので、これまた試乗でチェックしよう。
アルミホイールは1本2万7千円もするオプション(4本だと10万円を突破!)。ここまで高いと社外品を考えたほうがいいかもしれない。
トランクスペースは写真のように最小限。2人で旅行する荷物を積むとなると、オプション設定されるトランクキャリアを付けるべきだ。
このクルマ、生産台数は月間2500台程度。それなのに人気は凄く早くも納期は半年とかいわれる事態になってしまった。もし欲しければこの本を見た直後にディーラーに行き、予約を入れることをすすめたい。躊躇していると、すぐに1年になってしまう。
もし近所のディーラーで納期がかかるといわれたら、他地区のディーラーに問い合わせるのも手。これまでの例でいえば地方に行くと(特に雪が降るような地域)意外に早いようだ。
同クラスのライバル車であるマツダとスズキのミッドシップはどうやらデビューが来年にもつれ込みそう。この2車が「出たら決める」と思っている人は、とりあえずビートを購入し、デビューした時点で売るのもいいのではないかと思う。ビートのリセールバリューは絶対に高いはずだ。