いよいよ待ちに待った新型オデッセイの試乗、である。最初にハンドル握るのは、やっぱ売れ筋となる2,3リッター4気筒モデルでしょう! 今までよりずっと操作しやすくなったセレクトレバーでDレンジを選び、アクセルを踏み込む。するとどうだ。けっこう元気でないの。ジツは試乗する前、カタログなど眺めていて「ありゃりゃ!」と思った点があったのだ。そいつぁ重量。従来型オデッセイは、7人乗り中間グレードの『M』で1520s。なのに新型見たら1610sと、90sも重くなっている。従来型の4WD(1590s)より重い。こうなると心配なのが走り。
 従来型の場合、FFと4WDを乗り比べると、どうしても4WDの方が厳しい。となれば新型は従来型の4WDより動力性能が悪いと言うこと。いくら衝突安全性向上のためだと解ってても、動力性能落ちるのって気になる。ま、エンジンパワー上がったりしてれば、重くなった分を吹き飛ばしてくれるのだけれど、これまたカタログ見ている限り150馬力で同じ。そんなことから、動力性能に関しちゃ全然期待してなかった。いや、正確に表現すると「どのくらい遅くなったんだろう?」というのが気になるポイント。



 その答えは、前述の「ありゃりゃ!」なのだ。意外なことに動力性能で見劣りしないのだ。登り坂などでデータ取れば、もしかしたら遅くなっているのかもしれないけど、少なくとも普通の道だと気にならないレベル。試乗後、不思議に思って聞いてみたら、エンジンを改良したそうな。カタログに記載されている最高出力こそ150馬力で変わらないものの、3千回転チョイのブブンにあったトルクの谷間(パワーが若干落ちる回転域)を少なくし、全般的にトルクも太らせたのだという。こういった改良、案外と効果的。
 考えてみれば従来型に搭載されていたVTECエンジン、デビューから3年経つ。その間、エンジン屋サンだって遊んでたワケでなく、キチンと進化させていたということなんだろう。車重は6%重くなっても、エンジントルクの出方特性6%増加させれば動力性能の悪化を防げるワケ。そんなこと出来るのか? オデッセイに乗ると、しっかり解る。90s重くなってるのに、遅くなっていないのだ。もっと言えば、重くなったのに燃費が悪くなっていない。重量増は大きく不利な材料となる10・15モードで0,2q/リッター良くなっているほど。

 ハンドリングはどうだろう? ホンダによれば「新型オデッセイで一番気合い入れたのが乗り味です」。従来型のオデッセイも、デビュー当初は「まるで乗用車。非常にハンドリング良い」などと評価されていた。しかしライバルメーカーが独走を許すハズなく、次々とハンドリング自慢の対抗馬を送り込む。イプサムもオデッセイから乗り換えると、目が覚めたようにシャープなハンドリングだったなぁ。シャリオ・グランディスもシャッキリしてるし、最後発となったプレサージュになると「こらスポーティモデルみたい」。
 別にホンダの言い訳を代弁するんじゃないけれど、基本的にオデッセイはアメリカで売るミニバンだった。日本の市場なんか重視してない。そのアメリカで販売してるミニバン達をホンダは分析&試乗したんだろう。つまりオデッセイの競争相手、フニャフニャサスペンションのアメ車だったのだ。当然のごとくオデッセイはライバルより優れたハンドリングである、と当時評価されたと思う。繰り返すけど、オデッセイがデビューした時、日本でもこのクルマよりハンドリング良いミニバンなど存在していない。

 以後5年。よく頑張った。新型オデッセイを作るにあたって設定した目標は「乗用車より良いハンドリング」だったとか。気持ちイイ走りを追求するため、いろいろな部分に見直し入れている。例えばサスペンション。形式こそ従来型と同じだが、ボディとの取り付け部の剛性を大幅アップ。その上でロールセンターやトレッドの見直し、シャシの基本性能から変えてきた、また、精度の高いダンパーを採用することにより、乗り心地落とさずハードなスプリングを使えるようになったのも大きい改良点。細かい改良の積み重ねだ。
 足回りと同じくらい”乗り味”に影響するのがステアリングフィール。これまた旧型は、後発のライバルと比べると負けていた。アメリカでの評価を考え、ソフト傾向にしていたからだ。新しいオデッセイは乗用車並にするということで、アコードなどに採用されて好評のVGR(可変ギアレシオ)や、VFV(急なハンドル操作に対してしっかり感を出すための装置)など組み合わせ、さらに剛性アップして採用している。ステアリングフィールの向上は、走り出した途端に解るだろう。乗用車と変わらないハンドリングは、キチンと実現していると思う。

 こういった乗用車風の乗り味、最高速に至るまで変わらない。「ユックリ走っている時だけスムースで高速域になるとミニバンの悪いトコロが顔を出す」じゃなく、テストコースを全開で走ってもアゴ出さないのだ。その証拠、といっちゃヘンだけれど、走りの写真を見て欲しい。ラリーのように真横向いているようなカットあるけど、この状態で不安無し。ロールセンターや重心がしっかりしているため、どんなに攻めてもコケる感じしなかった。こういったタイプのミニバンで、新しいオデッセイほど気持ちよく&コントローラブルに振り回せるモデルは無いな。
 そうそう。静粛性やスムースさも格段に進化している。エンジン振動を抑えるため、電子制御の液封マウント(エンジンと車体の繋ぐ部分に液体を使う)使い、床下のほぼ全域とドア回り、ダッシュボードなどに隙間無く遮音材や吸音材を敷き詰めたとか。従来型オデッセイを「乗用車ベースのミニバン」だとすれば、新型オデッセイは乗用車そのもののボディ設計であろう。ちなみに限界特性は「良くできた乗用車」レベル。軽い4気筒エンジンのためハンドル切った時の反応良く、アンダーステアは極めて少ない。峠道では乗用車と同じ感覚とスピードで走れることを保証しておく。

 価格はベーシカルな『S』が従来型と全く同じ212万5千円! こら安いぞ! 装備だってデュアルエアコンやオーディオ、ABS、両席エアバッグ、キーレスエントリーと、必要なモノは全部付く。時節柄、御予算も限られているだろうから、とりあえず『S』で十分満足出来ると思う。ただ自分で買うなら『L』を選ぶ。23万円ナリのナビゲーションシステムや、2ランクくらい豪華なインテリア、アルミホイールまで標準装備になって259万5千円。これに7万円のBOSEサウンドシステム加えればカンペキだ。


 お次は3リッターV6を搭載車といく。従来型で『プレステージ』と呼ばれていたモデルだ。あまり知られていないコトながら、従来型には当初V6エンジン積む計画が無かった。しかしアメリカで発売したところ「V6ないの? じゃ買わない」というユーザー続出。かといって簡単には搭載出来ず、わざわざボンネットを延ばして無理矢理対応している。つまりイレギュラーだったということ。足回りの仕上がりもベストと言えなかったと思う。本来なら4気筒より乗り心地良くしたいのに、むしろ堅い。ホンダもそのあたり、よ〜く解っていたろう。
 新型のV6はボディ剛性から足回りのセッティングに至るまで基本から設計変更し、ベストなバランスとした。ホントかどうか乗ってみましょう! 走り出すと、4気筒と同じく重くなったのに(7人乗りのVGで80s増)これまた全然遅くなっていない。むしろ速くなかったかもしれぬ。V6のスペック、従来型の200馬力から210馬力に向上してる。さらに細かい改良も受けているのだから、速くなって不思議ないかも。10・15モード燃費や、高速巡航燃費の参考になる60q定地走行燃費も上がっているので、おそらく実用燃費はキチンと向上してるだろう。



 エンジンの回転フィールも一段とスムースになり、もはや高級車と表現しても怒られまい。100q巡航してると、エンジン音はほとんど気にならないレベル。そこからアクセル踏み込むと、十分な手応えと共にチカラ強い加速が始まる。書き遅れたが、ATはホンダ初の5速タイプ(アヴァンシアでデビュー)。キッチリと煮詰められており、変速ショックも普通に入っていると気づかないんじゃなかろうか。絶対的な動力性能は「スポーティモデル並」と評価しておこう。ちなみに2,3リッターの最高速、速度リミッター無いとして190q前後。3リッターになると軽く200qは超える。
 先日『オデッセイ・プロト』に北海道のテストコースで試乗したが、この時も高速走行性にタマげた。空力良いためか(Cd=0,33とミニバンとしちゃ極めて空気抵抗少ない)、スピードの延びがイイ。もしヨーロッパ仕様など設定したら、最高速210qくらいのデータをカタログに載せると思う。とにかくV6搭載車は、大人しいスタイルと動力性能のギャップに驚かされる。唯一残念なのは、従来型に設定されていたクルーズコントロールが無くなったこと。燃費を延ばそうとすると、クルーズコントロールって便利。最近のホンダはクルーズコントロールを嫌っているらしい。他のメーカーは装着可能車種を増やしているのに……。

 ハンドリングも限界までチェックしてみました。従来型はフロントが極端に重かったかためか、コーナー攻めると大アンダーステア。加えて乗り心地も悪い。重いエンジンに対応すべく、堅いバネを使ったんだろう。ロール方向にピョコピョコしちゃうのだ。新型オデッセイは悪いクセをほとんど消すことに成功している。4気筒車と比べてもスムースな乗り心地だし、アンダーステアだって大幅に少ない。少し飛ばしたくらいじゃ、アンダーステアと感じないレベル。もちろん最終的には4気筒よりフロント重く感じてしまうけれど、そいつぁ写真みたいな走り方をした時のもの。常識的な速度なら非常に素直。
 おすすめグレードは『VG』で267万5千円。45万円高い『VZ』というグレードもあるけど、VG買って主な装備差である22万円のナビと7万円のBOSE、6万円のアルミ付けても35万円。アルミ諦めれば29万円なので、やっぱりVGがお買い得だと思う。ホンダもそのあたりは解っているようで、試乗車は4気筒がLで6気筒VGだった。今回試乗出来なかったけれど、新型になってV6と4WDの組み合わせも出来るようになっている。雪道走る機会多いなら、25万円高の4WDを選ぶとよかろう(2,3リッターを含め、全グレードに25万円高で4WDが用意されている)。

 最後にインテリアなど。詳しいレポートは他のページを見て欲しいが、ワタシは大いに気に入っている。やっぱりサードシートの居住性を向上させたのは評価できよう。しかもスペアタイヤ床下に収納したにもかかわらず、オデッセイの得意ワザ「消えるサードシート」を残したのイイです。乗用車型ミニバンの良さは、ステーションワゴンみたいにも使えるあたりにあると思う。ジタバタ収納しなくちゃならないサードシートなぞ1BOXカーであって、乗用車じゃない。変化の少ないスタイルさえ気に入れば、太鼓判のミニバンであります。