このクルマ、現在コンパクトカーで最も優れた衝突安全性を持つとギョウカイで言われているモデルである。こう書くと「ヴィッツの方が新しいんでないの? GOAだし」と思うかも知れない。確かにヴィッツの衝突安全性は素晴らしいけれど、同じ条件で行われた衝突実験(最も過酷だと言われる64qでのオフセット衝突モード)の結果によれば、ロゴとイーブンか、ロゴ優勢といった感じ。少なくともワタシが見た限りロゴだと思う。ホンダって、そんなに凄い衝突安全性能を持っているのか? 持っているんです! 今やホンダの安全対応技術は世界一だと言われるほど。
ロゴのデビューは平成8年10月。開発している時点じゃ、まだホンダの社内でロゴの安全基準をどう考えるか決まっていなかったと思う。輸出するクルマについては、海外と同じ厳しい安全基準を導入。アコードなども日本で最も早い段階(先代アコードからアメリカ基準に対応済み)で側面衝突に対応させているが、その当時、日本国内でしか販売しないクルマは緩い日本の安全基準で良い、としていたのだろう。衝突安全性を強化すると、コストも車重も増えるためだ。重くなればコンパクトカーのメリットである低燃費性能を削る。コストアップにつながると、これまた価格競争力失ってしまう。どちらもコンパクトカーにとっちゃ致命的。
ところがホンダの社内に「ニホンジンもガイコクジンもイノチのネダンは一緒じゃい! キッチリとやったれ」と主張するリーダーが出てきたのだろう。突如、世界でイチバンの安全基準を持つべく動き始める。「やると決めたらやる!」というホンダらしさに火がついたらもうアカン。そらもう徹底的な意地を見せるハメになってしまい、ついには軽自動車まで世界トップ水準の64qオフセット衝突をクリアする始末。価格アップや、車重増も必要最小限に抑えることが出来たそうな。となるとモンダイはすでに販売しているロゴみたいなクルマをどうするか? だな。
安全基準を高めようとすれば、ボディの内部構造から変更しなければならない。つまりキホン骨格をいじらないと難しいのだ。こんなバアイ、世界的な傾向を見ると「とりえあずフルモデルチェンジまで何もしない」というのが大多数。というよりマイナーチェンジで車体構造まで変えて衝突安全性上げた、というケースは見あたらないかも。ボルボが850を70シリーズに変えたことと、トヨタがカローラをマイナーチェンジでGOAボディに昇格させたことくらいだ。この二つも、ボディ外観のイメージまで大きく変え、商品力を持たせた。ボルボなんかもフルモデルチェンジ扱いである。大宣伝した。
ロゴはな〜んにも変わっていないように思える。そうでしょ? フロントグリル形状をちょっとイメチェンした程度にしか見えない。実際、ボディを構成しているテッパンは同じ。でも中身は激変してるのだ。ほとんど作り替えた、といってよかろう。HR−Vや軽自動車に採用された『Gコントロール技術』を大幅に使い、何と世界でイチバン厳しい64qからのオフセット衝突に耐えるようにした。この基準、高い評価を得るとボルボなどの安全先進メーカーでさえ苦労するという難関。そいつをロゴのような量販車でパスするというのだからスゴイ。ちなみにロゴは今年からヨーロッパにも輸出されている。
ちなみにマイナーチェンジ前のロゴは、前面からフラットなバリアに50qで衝突した時だけの基準しかパスしていない。衝突評価ランクからするとマイナー前が5点満点の2点。マイナー後は5点になる。それくらい大進歩をしたワケ。具体的な御利益は「普通に運転している限り、死亡事故になる確立はヒジョウに低い」だ。95%の事故は55q以下で衝突したもので、残る5%の大半が居眠りや飲酒、暴走によるもの。したがってロゴのような衝突安全性を持っているモデルであれば「フツウに乗ってればまず死なないです」と言えよう。高額の保険に入るより安心というもの。
乗ったらどうか? 意外にもビックリするくらい良いクルマになっている。理由は「ボディ剛性が上がったから」に他ならない。衝突安全性を向上させるにはボディ強度を高めねばならぬ。グニャグニャのボディだと潰れちゃうもの。そいつが走りの味にも大きな影響を与える。ムカシからベンツやBMWのボディ剛性は高いと言われてきたが、高い衝突安全性を確保してきたことのボーナス。ロゴも衝突安全性を高めたら、キチンと「たいへんに質感の高いクルマになった」というボーナスが入った。参考までに書いておくと、マイナーチェンジ前のロゴは旧態已然とした日本製ベーシックカー。質感は低い。
実際、悪く言えばガタピシする今までのロゴと違い、走り出した瞬間からガッシリした安心感がある。荒れた路面を走ってもミシリともせず、サスペンションだけ忠実に路面を追従してる雰囲気。同じサイズのライバル車である『VWポロ』あたりと比べたって全く劣っていない、ばかりかロゴの方がイイと評価すべきポイント多し。ブレーキ掛けた時の安心感や、直進安定性までよくなってしまっているのだから。ヴィッツより乗り心地もビシッとしてる。景気のいいカイシャは違うねぇ、と思った。外観的にはナニも変わっていないように見える。しかし! トンデモナイくらいのコストを掛けているであるのだから。
ベーシックモデルに搭載されるエンジンは、1、3リッター4気筒の66馬力。1、3リッターエンジンとして考えるとショボイ。同じエンジンがヨーロッパに輸出されるロゴにも搭載されており、カタログ記載の最高速など調べてみたらAT仕様で145qとある。1000tエンジン積むポロやヴィッツ、マーチのパフォーマンスとほぼ同程度。といったことからすれば、66馬力エンジンを積むロゴは1000tと同じ存在か? どうやらホンダもその点を了解しているようで、価格設定はライバルの1000tと並ぶ。ヴィッツと比べても、似たような装備内容と価格。
クルマの解説をしよう。室内のスペースや使い勝手などは、このクラスの平均値。VWポロやオペル・ヴィータ、ヴィッツあたりと比べても、勝ったり負けたりする。ユッタリ座れる運転席&助手席と、コドモなら長距離ドライブも可能なリアシートを持つ。個人的にはヴィッツよりリアシートが広いと思うが……。負けているの、スタイルであろう。アッサリし過ぎてるのだ。せっかくマイナーチェンジしたのだから、思い切ったイメチェンをすればよかったのに。
ATはCVTである。マイナーチェンジで大幅に改良されており、よっぽど敏感なヒトで無い限り、スタート時に出るCVT特有の違和感ある挙動も気にならないだろう。もし心配ならディーラーで試乗させてもらうといい。その結果、どうしても気になるようだったら、サックリ諦めること。CVTのクセがイヤだと感じるヒトは、絶対慣れないからだ。スポーティに乗りたいなら、マニュアル仕様など選んだらいかがか? 最高速は152qに向上するし、ネンピもATより有利。
興味深いのが『TS』と呼ばれるグレード。4バルブ91馬力のハイチューンエンジンが搭載される。車重ほぼ同じで35%もパワーアップしてるのだからタマラない。高回転まで引っ張るとキモチよ〜く回り、キモチよく加速してくれるから嬉しい。TS専用のローダウンサス(10o車高を落としてある)のセッティングは良好。ワインディングロードを攻めると、シビックやインテグラのタイプR的なスポーティさ味わえた。こいつをさらに煮詰めれば楽しいと思う。
価格も適当。オーディオはオプションになるが、アルミホイールからエアロキット、バケットシートまでフルに装備して129万8千円。スポーティグレードとしちゃ、ニホンで最も安いかも。最近安くなってきたMD付きのオーディオと、インチアップホイール、お好みのエアロキットでもあれば、そいつも使って自分だけのイキなロゴでも付くってみて欲しい。クルマ好きなら楽しめる。