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ホンダ

S2000

ドラマが足りない? S2000

 うおりゃ〜、S2000だーい! というわけで弟子新美にとって憧れのクルマであるS2000の登場です。幸せなことに今回たっぷり試乗することができました。昨年11月に2リッターから2,2リッターへと大きな変更を受けたリアルオープンスポーツはどんなクルマなのでしょうか。師匠を交えた対談もありますので、皆さんお楽しみください。ま、正直一番楽しんだのは僕なのかもしれませんけど(笑)。

新:いやー、S2000乗れるなんて最高です。僕にとっては憧れのクルマなんですよ。

永:僕もすごく楽しみ。今回の試乗車はVGS(速度によってステアリングの舵角と切れ角が変わるシステム。低速時は少しステアリングきっただけでも大きく曲がり、速度が上がれば普通と同じ感じになる)付きだから気をつけなきゃね。

新:んじゃ、最初は永田さんから運転どうぞ!

永:シートがいい! まぁ身長130cmの僕にはちょっと大きすぎるけど(笑)。

新:……。

永:ツ、ツッコミなし!? 笑うところなんですけど……。とりあえず163cmあるんだよ(怒)。

新:フロアマットにしてもシートにしても、赤色なのがやる気を出させます。赤色を見てやる気になるのは、なぜなんでしょう。牛だけでなく、動物はみな赤色に興奮するんでしょうか。

足元は赤一色! 興奮しません?

永:僕は別にそこまで興奮しないけど……。それにしてもVGS、低速だとスゴイ曲がるなぁ。

新:横から見てても分かります。こりゃ街中だと楽チン。

永:でも、車庫から道路に出るときとか、駐車場なんかでは気を遣う。いつもの感覚でステアリング切っちゃうと、どこかに擦ってしまいそうで怖い。

新:にしてもなぁ、せっかくのオープンカーなのに、雨模様なんて……。

永:止んでくれるといいね。

新:クローズドにしてると、意外と頭上空間あります。

永:横方向がタイトだから、なんか変な感じ。

新:運転していてどうですか?

永:2リッターモデルに乗ったことないから比較はできないけれど、今のところ低速でもそれなりにトルク出ていて、運転しにくいなんてことはないと思う。

新:2リッターモデルは低速トルクの無さが指摘されていましたから、それを改善してきたということでしょうか。

永:確かに低速トルクは豊かな感じ。2000回転くらい回せば走っていけちゃう。クラッチも重くないし、運転しやすいと思う。

新:い、いいなぁ。僕も早く運転したいッス!

ドラマは無くなるも、やはり高出力を発するエンジンです

永:今のところ気に入ってるのがこのミッション。剛性感ありながらも固さがなくて、気持ちよく入る。好みは色々だろうけど、僕はこういう感じが好み。

新:それにしても、なんでデジタルメーターなんですかね?

永:やっぱりレーシングカーを意識してるんじゃないかなぁ?

新:なるほど。お、そろそろ高速道路です。

永:料金所から制限速度まで全開で行ってみちゃおう。

新:あー、こんな感じですか。

永:劇的な加速ではない、と思っちゃう……。

新:確かに速いですけれど、上質というか、すんなり加速してしまって、ドラマチックな感じではありません。

永:僕もそう思う。スムーズな加速であって、ドカンという加速ではない。やっぱりホンダのVTECはハイカムになったら爆発的なパワー感が欲しい(5000回転くらいで切り替わる)。でも絶対的にはやはり速いね。

新:これ、2リッターモデルだとどんな感じだったかが気になるところです。2,2リッターの8000回転でも十分ですが、2リッターモデルの9000回転を味わってみたい! きっと官能的な音と、鋭い加速が堪能できるんだろうなぁ……。

永:う〜ん、気になるね! ただ、実用性は2,2リッターの方が高いはず。

街中でも楽しめます。快適性も高い。

新:乗り心地はいいです。

永:うん。硬いけれど、でも体にガツンとはこない。ダンパーがしっかりショックを吸収してくれてる。十分快適だと思う。

新:これなら街乗りでも遠出でも問題ナシですね!

永:風切り音は小さいし、直進安定性も抜群。ただステアリングのセンター付近に、どっしり感というか落ち着きが足りない気がする。

新:なるほど。

永:お待たせ! そろそろ交代しよう。

新:ヨッシャー! 雨も上がったことだし、止まったついでにオープンにしてみません?

永:いいね!

新:おぁー、やっぱり開放的!

永:何となく見られてる気がして恥ずかしい(笑)。

新:走ると頭のてっぺんに風が当たります。

永:頭頂部がフロントガラスの上に出てしまう感じ。新美君大丈夫?

新:何がですか?

永:いや、これだけ勢いよく風が頭頂部に当たるとさ……。……。

新:髪の毛が抜けるって言いたいんですか(怒)。大丈夫です! 親父が僕の年代だった頃の写真を見たのですけど、僕より髪の毛少なかったですもん。

永:ふ〜ん……(それが慰めになるのか?)。

新:確かにシフトはいい感じで決まります。でも、永田さんが言うほど僕はいいとは思えません。インプレッサのシフトの方がガッチリ決まって、しかも吸い込まれるように入るから好きですね。ラリーで乗った時、シフトするのが楽しくて仕方なかったですもん。永田さんはインプレッサのシフトの感じ知ってますか?

永:知らない(泣)。ズルイぞ!

新:へっへっへ〜。

永:S2000の加速についてはどう思う?

新:加速感はしっかりあるけれど、どうも熱くはなれないのは僕だけでしょうか。

永:う〜ん、サーキットとかもっと目一杯飛ばせる場所なら、もっと楽しめるだろうけど。

新:加速してみると、やっぱりマイチェン前のモデルが気になるなぁ。

永:まぁそれは仕方がないよ。でも、楽しいクルマに変わりはないと思う。

新:そうですね。

 と、なんだかんだ注文を付けながらも、楽しい楽しいドライブをしてしまいました。パワーウェイトレシオ5kg/psと、ドラマチックだろうがそうでなかろうが、絶対的に速いのがS2000です。オープンにして風を感じながらのドライブは最高! 続いては弟子2人と師匠の3人での対談。まだまだ続きますよ〜。

ホンダ根性見せてくれ!

永:やっぱりマイチェン前のモデルと現行とを比較してみたいです。

国:マイナーチェンジでスタイルが変わらなかったのが残念! ホンダの50周年記念で出したモデルなんだから、動力性能だけでなくスタイルでも「スペシャリティ」を演出してほしかったな〜。

新:具体的にはどうしたらいいと思いますか?

国:例えばブレーキキャリパーをカラーリングするとか、フロントだけでいいからデザインをもっとインパクトあるものにするとかさ。カッコだけで欲しいと思わせないと。

新:確かに、あまり存在感はないかも。

国:クラシカルかモダンかもはっきりしない。

永:エンジンについてはどう思います?

国:トルクが太くなったのは嬉しいけれど、高回転の伸びや気持ちよさを失ってしまった。重量大きくなってもいいから、2L以上ならやはりバランサーを付けた方がいいと思う。

永:バランサーなしではこれが限度なんでしょうか。

国:たぶんそうだと思う。2,2Lなら何とかガマンできるんじゃないかとホンダは思ったんだろう。ただバランサー付けると重心が高くなるというデメリットも出るのかも。前のモデルのエンジンを知らなければ、これでいいのかもしれない。

新:そう言われると、余計に前のモデルが気になります。S2000なんて、実用性を重視してないモデルじゃないですか。となれば思い切って実用性を無視してしまい、もっとドラマチックな雰囲気を作り上げて欲しかったです。スポーツモデルならシビックやインテグラのタイプRがあるわけですし。

国:確かにそうかもしれない。結局300万以上してしまうモデルなんだから、どうせなら思い切ってほしかったなぁ。尊敬されるモデルにしたらホンダの財産にもなるし。あまり売れていないからお金を掛けられないのかも。

新:今年に入ってからだと1月19台(少ない!)、2月92台、3月189台、4月66台。フェアレディZやRX−8が500台以上売れていることを考えると、やっぱり少ない。

永:台数を狙うのではなく、孤高の存在というか、もっと存在意義が強く感じられるモデルにしてほしかったです。多くの人に受け入れられるモデルではなく、「これぞホンダだ!」と感じさせてくれるクルマだったら良かったのに……。それにしてもVGS、便利です。街中だと本当に楽。

国:私みたいな脳天気系だと後輪駆動=パワースライド。VGSって1速や2速の速度域でテール流れたとき、カウンター当ててから戻すのが難しい。

新:なるほど、でもこのクルマでテールを流すのって、結構危ない気がするんですけど。

国:トリッキーだよね。テール流すよりグリップさせて走るほうがVGSに合っている。クラッチミートには神経遣わなかった?

新:僕はそうでもありませんでしたが……。

永:僕もそんなに難しいとは思いませんでした。

国:あらそう。それにしてもこのクルマ、もう少し粘り強く改良を加えて欲しい。ポルシェのボクスターなんか出たときは酷かったけど、いいクルマになったもの。

永:この際採算性は考えずに、ホンダには思い切ってほしかったです。

限界域ではトリッキー。正直怖いッス……。

国:ランエボとかインプより高価なのに、走りの質感はそこまで高くない。もっと運転してる人の満足度を上げるべきだと思う。

新:確かにランエボやインプとなると、厳しいですね。

国:ランエボやインプに乗ると技術者の意地を感じる。S2000だと感じない。まぁこれといったライバルがいないのもあるかもしれないけれど……。せっかく作ったのにもったいない。でもホンダ好きならS2000を買ってホンモンでしょう!

 と、まぁこんな感じで対談終了。3人とも一致するのは「もっと劇的に。もっと思い切ったセッティングを」という気持ち。NSXまでとは言わないけれど、もっとこだわりを感じさせるモデルにしてほしかった。そういう意味ではマイチェン前のモデルがより魅力的なのかもしれません。サーキットでのタイムはトルクある分現行のほうがいいかもしれないし、こと実用性ということになれば現行モデルが楽かもしれませんけど。とはいえ国産で本格的なオープンスポーツは数少ないから、S2000は貴重な存在。生産がいつまで続くかは分かりませんが、こういったモデルは無くしてほしくないものです。なお、試乗後に新美は「やっぱりデートするならS2000だな」と思いました。きれいな女性を横に乗せてドライブしたいです。あ、女性はロングヘアー限定で。風になびく髪が好きなもので。僕は風で髪の毛が抜けないか気になって落ち着かないかもしれないけれど(笑)。

レポート/新美瑛生&永田恵一