ストリームが売れている。発表後2日目の土曜日にディーラーを覗くと、大いに賑わっているでないの。聞いてみたら「すでに年内の納車は確約出来ない状況なんです」という。まぁ売れるのも解るワな。だって1700ccのフル装備車で169万8千円だもの。しかも乗用車と同じような燃費。こうなると気になるのが「本当に良いクルマなのかどうか?」だ。早速試乗レポートしてみたい。
最初にハンドル握ったのはベーシックな1700ccの『L』。1310kgのボディに130馬力(ワタシは意地でもkw表示にしない。全然イメージ出来ないもの)を積む。Dレンジをセレクトして走り出すと、予想していたより活発! パワーウエイトレシオで比べると、100kg重くて135馬力のイプサムよりいいのだ。ライバルの2リッターモデルと比べれば、169万8千円って安いと思う。しかもボディサイズ一緒。
個人的にエラく気にいったのが発進のスムースさ。ホンダに限らず、アクセルの動き渋いとスタート時に飛び出す感じになってしまう。「スタートと停止時の滑らかさフェチ」にとってみると、辛抱タマらない。試乗後に聞いたのだけれど、ストリーム親方も同じ意見の持ち主。ナンと! アクセルワイヤーにテフロン加工までしまったそうな。おかげで気持ちよく試乗出来ました。
エンジン音やATの仕上がりなども満足出来るレベル。ホンダ車としちゃ「気持ち5千回転以上の騒音が賑やかかな?」とも思えるけれど、ライバルメーカーの4気筒よりスムース。100km巡航時の静粛性も高く、サードシートに座ったヒトとの会話も楽しめる。正直なハナシ、新鋭i−VTECじゃなくたって十分。テストコースで試乗した時は、メーター読みで175kmくらいまで出た。
ハンドリングも素直。最近のホンダ車は「限界だけ高めれば良い」という考え方から「どんな路面でも破綻しないようにしたい」という方向になっている。ストリームの味付けは正しくその通り。ハンドルを切るとロールするけれど、腰がある。つまりピョコンとイッキにロールしないのだ。フランス車的な粘りとでも表現しておく。もちろんテール流れた時のコントロール性、新型シビック同様に楽々の『優』評価。
お次はいよいよi−VTEC積む『iS』。HIDヘッドライトやアルミホイール、エアロキットなど標準装備するスポーティなグレードとなる。期待しつつ走り出すと、ウワサ通りトルクが太い! 1700ccと同じくスムースなアクセルを踏み込むと「グイ!」という感じで動き出す。さすがに低速トルクを重視しているというだけあって、軽々と動く感じ。エンジンもスムースだ。
ただムチャクチャ速い、というワケじゃない。1420kgのボディに154馬力は、マーク2の2リッターと同じようなパワーウエイトレシオである。でも今までミニバンと言えば、乗用車より動力性能で劣っているというのが普通。走りはある程度諦めるめなければならなかった。でもストリームの2リッターなら、全くストレス無く走ってくれる。いや、乗用車より速いか?
0〜400m加速の社内データを聞いたら、17秒後半。リミッター無しの最高速は190kmを超えるそうな。こらもう2000ccクラスの乗用車そのものでしょう! ややこしくなったが「期待するとコンナモンカだけれど、ミニバンとして評価すれば凄くパワフル」くらいをイメージしていただければよかろう。驚くのが10・15モード燃費。これだけの動力性能持つのに、2000ccセダンよりいいのだから。
以上アクセル全開のハナシ。2000〜4000回転の常用回転域でのトルク感はエンジン担当者によれば「今までの2リッターより10%くらい勝ってます」。イメージとしちゃ2200ccエンジンか? 1700ccだとアクセル大きめに開けないとダメな坂も、軽々と登って行く。1700ccで満足出来ると思ったけど、2000ccに乗ってしまったらコッチだ。やっぱりパワーあると快適。
特に6名乗車して高速道路のアップダウンある区間など走った時なんか、余裕が全く違う。しかもi−VTECは5速ATと組み合わされているため、巡航時の回転数低い。長距離ドライブを好むユーザーなら、20万円高くても(同じ装備内容のLとiLの価格差)2000cc選ぶ価値がある。また、高回転まで引っ張った時の騒音レベルは1700cc以下。やっぱりバランサー付きのエンジンってスムースだ。
そうそう。開発段階で苦労したという透過音(i−VTECは排気側が後ろ。騒音源であるエキゾーストはドライバーと隔壁1枚しか離れていない)は、気にならなかった。ということで今回デビューした新鋭エンジンながら、最初から高い仕上がりを持つと評価してよろしかろう。今後が楽しみ。肝心の燃費は、きっと次号で計測するに違いない。ホントに燃費良ければさらに評価上がる。
おっとハンドリングの評価を忘れていた。興味深いことに乗って「あれれ?」なくらい1700ccとイメージが違う。フランス車的な1700ccに対し、ドイツ車風なのだ。ハンドル切ると明らかにしっかりしており、挙動もシャープ。タイヤサイズが1回り大きいのに加え、それに見合ったダンパーとリアにスタビ付くせいかもしれない。乗用車とスポーティカーくらいの差がありますな。
じゃどっちがいいかとなると、こらもう好みの問題。しなやかな足好きなら1700ccだろうし、キビキビ走りたいヒトはiSがよかろう。その中間にあるのが2000tの『iL』。もし自分でストリームを買うなら、このグレードを選ぶ。やっぱり20万円でi−VTEC+5速ATになるなら欲しい。ちなみにiLは189万8千円。イプサムや値引きゼロでディンゴのエクシード買うよりリーズナブルである。
さて、ここで気になるのが身内のライバルであるオデッセイ。2300ccの『S』は212万5千円。しかし値引き一声30万円! 182万5千円になるってこってす。ストリームのiLは5万円くらいの値引きだろうから、むしろオデッセイ安かったりして。どう? 迷うでしょ? ここで「オデッセイはボディが大き過ぎ。もっとコンパクトでいい」と考えるなら、即座にストリーム買おう。
室内のスペースなどもオデッセイに負けていないし、動力性能だってストリームが優勢。ただクルマは理屈じゃない。「やっぱオデッセイでしょう!」と思うなら、それもよし。「あんたならどうする?」と聞かれたら答えに窮す。毎日の足として使うならストリーム。たまの日曜日に乗るのであれば、より遊びの雰囲気強いオデッセイじゃなかろうか? いずれにしろ魅力的なクルマだと思う。
景気がイイ時は「クルマは大きくなくっちゃ!」だったけれど、今や環境の時代。コンパクトでガソリン喰わないクルマも「カッコいいなぁ」と感じるようになってきた。かといって車内狭いのも困る。使い勝手はミニバンで、乗るとキビキビ走って燃費良いクルマ出たらいいな、と思っていた、ら、ホンダからピッタリのクルマが出てきでないの! 資料読むと「こらいいぞ!」。以下、ジックリ説明しましょう。
クルマのサイズはイプサムと非常に近い。スペック見たら全長4550mmはイプサムの4530mmより2cm長いだけ。車幅同じ1695mmで、高さが3cm低い1590mm。偶然の一致かもしれないけれど、2リッター同士なら車重だって1410kgで同じ。これはもうデビューした時からイプサムとカチンコの勝負になること必至。当然ながらイプサムのライバルとなっているディオンも巻き込まれるワな。
搭載されるエンジンは2タイプあり、1700ccが新型シビックに搭載されているのと同じ130馬力VTEC+4速ATの組み合わせ。そしてついにデビューしたホンダ御自慢の最新鋭エンジン、2000ccのi−VTEC154馬力に、このクラス初のこれまた新開発となる5速ATを組み合わせた気合いのパッケージ。興味深いことに10・15モード燃費はいずれも14,2km/リッターで、燃費自慢のGDI搭載するディオンより優れたカタログデータだったりして。
以下詳しく分析してみたい。気になる走りから行く。ホンダによれば1700ccは「実用上満足出来るパフォーマンスだと思っています」。0〜400mのタイム聞いてみると18秒台中盤。こらもうイプサムやディオンの2リッターとイーブンだ。ライバル2車、2リッターながら135馬力で、車重1400cc前後。ストリーム1700は130馬力の1310kgだから、パワーウエイトレシオじゃ同じようなデータになる。
これといった特徴のないエンジンながら、信頼性高く燃費も良い。これまでの例から推測すると、実用燃費計は10・15モード燃費で並ぶ2000ccよりいいと思う(ホンダのエンジン担当者によれば、どんな状況でも同じくらいの燃費らしい。ワタシは少し疑っている)。ファミリーユースや通勤の足として使ったりするのであればこのエンジンでいいんじゃなかろうか。4速ATとの相性も悪くないと思う。
2000ccはライバルより2ランクくらい元気である! というのもこの新鋭エンジン、従来の2000ccと比べ10%程度トルク太いらしい。つまり2200ccと同等のパワー&トルクを発生するってこと。テストコースで全開にしたならば205km以上に達するそうな(速度リミッターが付いていないテスト用車両の場合)。ただ猛烈にパワフルか? と聞かれたら「そこまではいかん!」と答えておく。
ホンダはi−VTECを「トルクフルなエンジン」だということでアピールしたいらしい。確かにエンジン単体で評価すれば素晴らしいかも。しかしジドウシャって、エンジンと同じくらい車体とのマッチングが重要なのだ。ホンダのF−1エンジン見ても解る。2000ccとしちゃ強力なエンジンなのかもしれないが、1400kgを超える車体に搭載したら「ちょっとパワフル」くらいのレベルになってしまう。
むろんミニバンの中ではダントツ。これまた0〜400m聞いたら「18秒を切ります!」。ということなら17秒台後半だろうか。こらもう1800〜2000ccクラスの乗用車と同じくらい走るということ。205qという最高速と合わせて考えれば、もう「ミニバンだから遅い」という考え方をしないでいい。くどうようだけれど、ディーラーなどで試乗するときは過大な期待をしないように。ミニバンなんか走らないだろう、とナメて乗るべき。
また、i−VTECは燃費自慢でもある。アクセル開度少ない時だとリーンバーン(稀薄燃焼。ランプ類は点灯しない)モードとなり、限りなく直噴に近い燃費となる。さらに5速ATだから、走行速度やアクセル開度により最適のギアを選択可能。結果、1700ccと全く同じ10・15モード燃費(14,2km/リッター)となった。イプサムの11,6km/リッターや、ディオンの13km/リッターを圧倒。
i−VTECはリバースヘッド(後方排気とも言う)を採用しているけれど、一般に出がちな透過音も全く問題ないレベル。エンジンで最もウルサイのはエキゾーストパイプだからして、リバースヘッドだと車内と仕切1枚隔てただけである。トヨタの1ZZも対策に苦労したそうな。にもかかわらずコンベンショナルな1700ccより静か。新エンジンとして考えると、最初から相当高いレベルに仕上がっていると思う。
新しい5速ATも仕上がり上々。これまでホンダのエンジンって世の中を基準とすると逆回転だった。バイク用のエンジン使ってクルマ業界に入った名残らしい。i−VTECを設計するにあたり「やっぱ正回転だよな」となったとか。この決断により、これまでのATを使うことが出来ぬ。だったら良いATを作ってやろう、ということになったと言う。ボンネット開けたら「あらら!」1700cと2000ccでミッションの向きが違う。
100km巡航は燃費稼ぎ、静粛性高めるためギア比を高く取り、5速100kmで2300回転ほど。このクラスじゃダントツに静か。巡航燃費もイイに違いない。個人的に「大いに気に入りました!」なのがアクセル操作のスムースさ。最近のホンダ車、アクセルの動き渋い傾向。ストリームのチーフエンジニアも「スムースフェチ」だそうで、アクセルワイヤーをテフロン加工してる。試乗したならスムースさを味わって欲しい。
ハンドリングもストリームが気合いを入れたブブン。ドライビングポジション自体「ほとんど乗用車」といってよかろう。ワインディグロード走れば、シビック5ドアのノリ。シビックのページで書いた通り、この新しい世代のシャシはバランスがいい。ストリームも気持ちよく曲がり、全くストレスを感じさせないハンドリングを持ち、姿勢のコントロール性も素晴らしい。なんせ「日本のニュルブルックリンク」と呼ばれるホンダ鷹栖のテストコースで走り込んでいる。
空気抵抗計数CD値=0,31。さすがストリーム(流れ、という意味)のネーミング通り、ボディ後部の車高を低くし、空気の流れをスムースにしている。このCD値はインサイトを除くホンダ車のなかで最も低い。空気抵抗が大きくなりがちなミニバンでは、100km巡航するとタイヤなどの「転がり抵抗」より空気抵抗の方が大きくなってしまうため、普通の乗用車以上に空気抵抗減らす意味は大きいのだ。
室内はどうか? コンパクトなボディサイズだから、と期待しないで室内に入ってみたところ、正直言って驚きました! 予想外に居住性いいのだ。サードシートに座り込んでたら、ストリーム親方の藤原氏が「少し走らせてみましょうか?」というので、コース一周してもらう。すると「こら快適快適! 2時間くらいなら平気ざんす」。インテリアデザインが上手なのか、狭さを落ち着き感として使っている感じ。
感心したのがセカンドシートの質。ライバルと比べクッション厚く、座り心地良い。24cmも前後にスライドするから、大柄な男性がゆったりと座れる。センターアームレストだってデガいぞ! セカンドシートの着座高はフロントシートより若干高く、座った時の眺め良好(サードシートはさらに高く見通し良い)フロントシートとセカンドシートの着座位置が同じだと、なんだか窮屈な居住空間になってしまう。
この手のクルマ紹介にゃお約束となるシートアレンジを紹介しておく。サードシートは簡単に床下に消えてしまうため、ステーションワゴンのようにして使ってもよろしい。セカンドシートが前後に24cmスライドするので、サードシート畳んだ時のラゲッジスペースはお好みに応じてセレクト出来る。セカンドシートの折り畳みも左右分割可能で、この状態だとかなり長い”荷物”を飲み込む。
最後におすすめグレードを。コストパフォーマンスを重視するなら、169万8千円の『L』。オートアエコンからCD付きオーディオまで、必要と思える装備がほとんど付いている。同等の動力性能持つイプサムより25万円も安いのだからお買得。パワフルなミニバンがお望みだとすると、こらもう2000ccでしょう! 自分で買うならディスチャージドヘッドライトや、アルミホイール、革巻きハンドル付きの『iS』(209万8千円)にします。