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3代目デミオ発表会
1)大変身を遂げた3代目デミオが登場!
マツダが本当に苦しかった96年に登場した初代デミオ&2代目デミオ(02年登場)は、いずれもマツダの予想を超える販売台数を記録してきた。3代目デミオは初代、2代目で好評だった「スペースワゴン」というコンセプトをガラリと変え、一般的なコンパクトカーに生まれ変わった。「デミオという車名からの思い浮かべるイメージとは随分変わった」という意見も聞かれる3代目デミオとはどんなモデルなのか? 今回も余すことなく紹介していこう。(永田)
2)大変身の理由は?
3代目デミオを見て「なぜ大きくコンセプトを変えたのだろう?」と思われた方は多いのではないだろうか。今までのデミオもスペースユーティリティの面で非常に優れており、大きな問題や弱点を抱えていたわけではない。このあたりについて開発を担当された鍵本さんに伺ってみた。鍵本さんによれば、「一番大きかった理由は燃費の向上などのためです。目標が2代目デミオのマイナス100kgでしたから、コンセプトでも思い切った変化が必要でした。もちろん、コンセプトをここまで変えるということに関しては社内でも大議論でした。あとは、今までのデミオで続けてきた“スペースワゴン”のコンセプトやサイズが、2代目デミオを出した時点では新鮮でしたが時代の移り変わりで今になるとやや中途半端になってきたこともあります」。
コンセプトの大幅変更に関しては様々な意見がありそうだが、メーカーとしては3代目デミオに大きな変化も盛り込みたいという思いで下した決断だったのだろう。もしかしたら、デミオが一般的なコンパクトカーに変わった分、2代目までのデミオのコンセプトを引き継ぐモデルが出ることも近い将来あるのかもしれない(ベリーサか?)。3代目デミオの変化に対する市場からの評価には、大きな注目が集まりそうだ。(永田)
舞台上に立つ開発責任者の水野主査、2代目デミオのエンジン開発にも携わっていたとのこと
3)スタイルも激変!
新型デミオのスタイリングをご覧いただきたい。見た瞬間に「凄くカッコいい」と思った人も多いのではなかろうか。いい悪いは別にしてここまでインパクトのあるスタイルは最近なかった。なお、サイズ自体は、全長3885mm(2代目から−40mm)×全幅1695mm(+15mm)×全高1475mm(−55mm)、ホイールベース2490mm(2代目と同じ)とダウンサイジングが図られている。
各部分ごとにスタイルを見ていこう。まず、フロント部分はRX−8やCX−7を思い出させる造形が特徴的だ。コンパクトカーでありながら、サイズ以上の存在感と精悍さ、ギュっと中身の詰まった塊感を兼ね備えている。フロントマスクは標準グレード用のものとグリルやバンパーなどが変更されるスポーツ仕様の種類だ。
上が標準仕様、下がスポーツ仕様
サイドビューはこちらもサイズ以上に伸びやかなフォルムと上下に設けられたキャラクターラインが目立つ。
リア周りは最近のハッチバック車でよく見られるボリューム感が印象的である。
リア周りもサイズ以上に立派
今回フルモデルチェンジで、非常に個性的なスタイルとなった3代目デミオは「スタイルでもディーラーにお客さんを呼べるクルマ」といえるのではないだろうか。(永田)
4)インテリアもスポーティな路線に
インテリアもエクステリアと同様にスポーティ。まず、目に付くのがインパネ近くに置かれたシフトレバーである。実際に運転席に座って手をかけてみると、シフトレバーがちょうど手を伸ばした位置に配置されており、非常に使いやすい。また、シフトレバーが前側に移動したことで、左右方向のウォークスルーが可能となっているのも大きなメリットといえるだろう。
使うのが楽しみになりそうなインテリア
インパネのデザインはスイッチ類やメーターなど丸を基調にされたものとなっており、今までのデミオの「質実剛健」といったイメージから、遊び心のある楽しいデザインに変更された。また、スイッチ類の配置も全体的に上に移動されているので、走行中の操作性も向上していると考えられる。
デミオのインテリアで見逃せないのが収納スペースの充実している点である。写真のマガジンラックのようにも使えるグローブボックスを代表に、車内で散らかりがちな小物を置くスペースが随所に設けられている。デザインはスポーティになっても、デミオらしい使いやすさや気遣いはそのまま引き継がれたインテリアといえるのではないだろうか。(永田)
休憩中などに読む雑誌や新聞を入れるのにも便利
5)コンセプトが変わっても、室内空間は十分以上
続いてリアシート、ラゲッジスペースを見ていこう。デミオがコンセプトを大きく変えたことで、「リアシートやラゲッジスペースの広さはどうなったのか?」という点を注目されている方も多いだろう。
リアシートは先代のような広々とした頭上空間こそないものの、コンパクトカークラスの平均以上の広さが確保されており、子供がまだ小さい家族向けのファミリーカーとしても十分使える。また、ドアの開口角度が大きいので乗り降りをしやすいのも有難い。
普通のコンパクトカーとして考えれば、十分以上に広いリアシート
ラゲッジスペースも先代ほどの広さでないが、それでもリアシートと同様にコンパクトカークラスの平均以上のスペースを持つ。一人&二人で乗るケースの多いユーザーだったら、問題を感じることはないだろう。なお、今までリクライニング機構など豊富な機能が備えられていたシートアレンジは6:4の分割可倒式のみとなっている。
大きな荷物を頻繁に運ぶのでなければ、不便はないだろう
室内空間は全体的に先代よりも若干狭くなっている。しかし、室内の広さを多少諦めたおかげで、ダウンサイジングや軽量化による燃費の向上など多くのメリットも生まれており、トータルで考えれば十分納得のいく室内空間が確保された。ユーザーからの評価はどうようなものになるか、大いに楽しみだ。(永田)
6)ミラーサイクルエンジンが復活!
3代目デミオのエンジンは、2代目デミオがデビューした際に開発された「MZRシリーズ」だ。基本となる標準エンジンは最高出力、最大トルクの発生回転数まで含めカタログ数値に変化はないものの(1.3リッター/91馬力、1.5リッター/113馬力)、エレキスロットルと呼ばれる電子制御スロットルの採用や各部のフリクション低減などの細かい改良が数多く施されている。
3代目デミオのエンジン群で目玉となるのが、新たに開発されたミラーサイクルエンジンである(ブロックは1.3リッターと共用)。ミラーサイクルエンジンとはバルブを閉めるタイミングを遅らせ(新型デミオの場合は吸気バルブが閉まるタイミングを遅らせている)、実際の排気量よりも少ない空気しか吸わずに、点火の際に大きく膨張する燃焼ガス(非常に高温)の力を利用してピストンを下始点まで押し下げ、実際の排気量分の仕事をさせるという熱効率に優れたエンジン。
かつてマツダがユーノス800で実用化し、ハイブリッドカーに組み合わせるエンジンとしてトヨタも使っているシステムである。熱効率に優れたエンジンにも関わらず、標準の1.3リッターエンジンとほとんど変わらない90馬力の最高出力を発生しながら、組み合わされるCVTや軽量化との相乗効果により23.0km/Lという優れた10・15モード燃費を実現した。パワーと低燃費を両立するシステムとして、今後更なる発展や展開を期待したいところである。
写真はミラーサイクルエンジン、見た目での違いは皆無
エンジンの部分で少し触れたように、マツダの登録車では初となるCVTも設定されている(ミラーサイクルの13C−Vと1.5リッター車)。このCVTは定評あるアイシン製。10・15モード燃費も1.5リッターエンジン+CVTで20km/l(標準的な15Cの場合。マニュアルの19.4km/lよりもいい!)と非常に良好だ。
マツダもいよいよCVTを投入!
販売上の量販グレードになると予想される1.3リッターの標準エンジン車には、オーソドックスな4速ATが組み合わされる。量販グレードにCVTを採用しなかった理由にはやはりコスト的な問題等もあったようだが、それでも10・15モード燃費はマニュアルと変わらない21km/Lと良好。「3代目デミオは燃費がすごくいい」という評判を得るのはほぼ間違いないだろう。(永田)
7)プラットホームも一新、楽しさはトップレベルか?
3代目デミオには、新設計されたプラットホームが与えられている。やはり、100kgもの軽量化を行うということで新しいプラットホームを設計することが必要不可欠だったのだろう。
このプラットホーム、軽量化と並ぶ大きな特徴はボディ剛性の強化に非常に気が配られているところだ。サスペンション取り付け部の補強やアンダーボディに付けられた補強バーなどボディ剛性向上のための対策が盛り沢山となっている。
色の付いた部分がボディ剛性強化のポイント
SPORTにはストラットアッパーの補強も施される
サスペンション形式は先代と同じフロント/ストラット、リア/トーションビームという比較的シンプルなものだが、今までのピニオンタイプからコラムタイプに変更された電動パワステのセッティングなどにより、今までよりもさらに楽しいハンドリングを実現しているに違いない。
また、3代目デミオのプラットホームは2代目デミオのものと同様にフォードでも使われるという。ただし、2代目の時にはフォードが主体となって開発していたのだが、3代目ではマツダ主体で開発が行われた。このことは、マツダの技術力の高さやマツダの完全復活を象徴する話題といえるのではないだろうか。(永田)
8)マイナス100kgに込められた技術とは?
3代目デミオの技術的な大きな特徴である軽量化が、どのようにして行われたのかを紹介していこう。
まず、大きい部分がボディシェルだ。車体剛性や衝突安全性の強化という重要量の面では不利な要素も多いため、従来の技術で設計すると、先代の237kgから244kgになってしまうと予想されていた。しかし、ボディ構造の最適化や高張力鋼板の採用などにより先代よりも22kg軽い215kgまで軽量化することに成功している。また、サスペンション関係でも全体で約13kgの軽量化が行われた(バネ下重要の軽減による乗り心地の向上にも貢献)。
その他の部分でも、薄型のラジエーター・電動ファンの採用(クーラント量が減ったことまで含んで1.66kg)、ハーネス関係(2.86kg)、排気系(排ガスのクリーンさはそのままで実現したフロア下触媒の廃止:2.5kg、1.3リッターではプリサイレンサーの廃止もされ5.0kg)など、以前のRX−7や現行ロードスターで「グラム作戦」と呼ばれた軽量化のような対策が施され、先代に対して100kgの軽量化に成功した。1.3リッターの標準的なグレードである13CのAT車の車重は990kgということなので、ヴィッツやスイフトといったライバルの近い成り立ちのグレード同士で比べると10kgから20kg軽いことになる。また、「車重が1トン未満」(重量税も安く済む)という部分でも新型デミオのインパクトは大きいだろう。
ありとあらゆる部分で軽量化が施されている
今回の軽量化は燃費向上を主な理由として行われたのだが、開発途中で100kg軽量化した先代デミオの試作車を作り、そのときに覚えた感動も大きな要因であったという。発表会で水野主査からあった「軽量化は裏切りません」という言葉は非常に印象的だった。
100kg軽い先代デミオ製作が開発における大きなターニングポイントだった
RX−7、ロードスター、デミオと引き継がれてきたマツダの軽量化技術が、今後出る新型車にも盛り込まれることを大いに期待したいところである。(永田)
9)価格設定はライバルを強く意識
3代目デミオには5つのグレードが用意される。
一番廉価なのが13F(112万5000円)である。しかし、このグレードはドアミラーやバンパーが黒い樹脂製でホイールキャップも装備されない法人需要向け。一般ユーザーには関係ないグレードと考えていいだろう。
実質的なベーシックグレードであり、最多量販グレードになると予想されているのが13C(4速AT、5速MTともに120万円)だ。このグレードは120万円という価格でオーディオまで付き、装備内容としては十分以上(タコメーターが付かないのはちょっと残念)。直接的なライバルとなるスイフトXG(119万7000円)、ヴィッツ1.3F(121万8000円)を強く意識した価格設定といえるだろう。また、13Cの1.5リッター仕様として15C(136万円)というグレードの設定もある。
やっぱり価格は1.3リッターのコンパクトカーの基本となる120万円前後
13Cの1つ上となるのがミラーサイクルエンジンとCVTを搭載する13C−V(131万円)だ。13Cとの装備差はオートエアコンとリアドアとリアゲートの着色ガラスくらいなので、ミラーサイクルエンジンとCVTによる差額はおおよそ9万円程度と考えられる。走行距離が極端に多いユーザーなら面白いチョイスだろう。
スポーティなグレードも2種類設定される。1.3リッターのスポーツグレードが13S(136万円)。このグレードにはエアロパーツ、15インチアルミホイール等が装備される(オーディオはオプション)。同じ価格で、外見は普通だけど1.5リッターエンジンを積む13Cも買えるので、ユーザーとしてはちょっと迷いどころかもしれない。
15インチアルミもなかなか似合う
そして、1.5リッターのスポーティグレードで最上級グレードに位置するのがSPORT(158万円)だ。SPORTには、13Sの装備内容に加えてディスチャージヘッドランプ、専用グリル、16インチアルミホイール(15インチにすることも可能)、専用チューンドサスペンション、大径ブレーキローターなどが装備される。初めからこのグレードを買うか、それとも標準的なグレードを買って自分好みにモディファイするか?を考えるのもなかなか楽しいのではないだろうか。
価格はどのグレードもコンパクトカーの平均値といったところだろう。ヴィッツ、スイフトなどに対して、新型デミオがどのような戦いを見せるかには大きな注目が集まりそうだ。(永田)
10)大変身を遂げたデミオは世界市場でも通用するか?
マツダが技術開発の長期ビジョンとして「サステイナブル“Zoom−Zoom”宣言」を3月に掲げて以来、初めての新型車となる3代目デミオの月間販売目標台数は5000台と設定されている。2代目までのデミオのような「何にでも使える」という多用途性はなくなったものの、個性的なスタイリングや低燃費、楽しい走り、意欲的な価格設定などによりこの販売目標台数は十分に達成できるものと考えられる。
発表会にはCMキャラクターの玉木宏さんの姿も
また、3代目デミオは欧州やオーストラリアへの輸出はもちろん、中国での生産も年内に開始される。3代目デミオが完全復活を果たしたマツダの更なる躍進の追い風となることと世界中で愛されるクルマになることを期待したいところだ。(永田)
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