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マツダ

MPV

MPV23T試乗レポート

(2月のNAモデルの試乗会で居住性、使い勝手など紹介したので今回は走りを中心にレポートします。)

標準タイプとスポーツタイプ、どちらの顔がお好みですか?

永:NAに一ヶ月ほど遅れて発売となったMPVターボ仕様の試乗です(4WDはさらに遅れてNA、ターボとも4月に発売される)。

国:発売前から受注の3割を占めているそうだからね。確かにクルマ好きだったらこちらに注目するよね。じゃあ行こうか。


注目のターボエンジン、6速ATは?>

永:隣に乗っていると「ターボ」っていう感じしないですね。

国:助手席でもそう思う? どうやらそれがメーカーの狙いであって、ターボを「パワーのため」というよりは「ゆとりのため」に使っている。よく使われる表現だけど「排気量が大きくなったような」フィーリング。

永:MPVとこのエンジン相性かなりいいですね。先ほど撮影のために乗りましたが、ターボ特有の「グアー」という不自然に引っ張られる感じがないので上品に感じます。NAに比べて「排気量が大きくなったよう」にトルクフルなので、中低速でアクセル開度少なくて済みますね(この日はNA車にも同じコースで乗せていただいた)。

国:それでいてアクセル踏めば速いでしょ。クルマ自体のコンセプトに沿っているのか高回転はそれほど回らないけど。上手なターボの使い方だと思う。これならターボのフィーリングを嫌う人にも受け入れられるね。燃費についてはまだ分からないけど、燃費良かったら文句なし。

ターボなのにターボらしくないエンジン。カバーの下にはインタークーラーが

永:MZRエンジンの良さはターボになっても引き継がれているようで、スムースです。それとターボと4WD車の特権ともいえる6速ATに注目している方も多いと思うのですが。

国:このオートマすごくいいよ。ショックはまったくないし、つながりもすごくいい(シフトアップした後、回転の落ちが少ないということ)。

永:JAIAの輸入車試乗会で乗ったゴルフの6速ATに似ています(後で伺ってみたらゴルフと同様にアイシン製だった)。Dレンジで走っていても何速で走っているか表示されるのもゴルフとソックリです。

国:この6速AT、絶対FF車にも欲しいよ。6速になれば燃費、加速性能ともにエスティマの2.4リッター+CVTに追いつけると思うんだけどなあ。

永:コストの問題などいろいろあるようですが今後に期待したいです。

国:あと、西湘バイパス(高速道路のような道路)を走って感じたのは乗り心地の良さだね。18インチという乗り心地に不利なタイヤなのに、当たりは硬くなくて収まりがいい。ドイツ車なんかに近い感じというか。

永:NAとの足回りの違いは、スプリングがターボ化による重量増に対応して硬くなっており、ダンパーも減衰力を上げていることだそうです。ダンパーの銘柄はNAと同様に日立(旧トキコ)と聞きました。タイヤが215/55R18というそれほど扁平ではないものを履いているのも、乗り心地にいい影響を与えているのではないでしょうか。

ローターにも注目! デカいです。

国:マッチングがいいんだろうなあ。やっぱりマツダは大径ホイール装着のクルマを仕上げるのうまい。RX−8やアテンザも標準的なホイールサイズよりも18インチタイヤの方が乗り心地いいもの。

永:「ハイパワーのミニバン」という共通点のある、新型エスティマの3.5リッターV6と比べてどちらが直線速いですか?

国:それはさすがにエスティマの勝ち。でも値段(MPV23Tは280万円、エスティマ3.5アエラスで321万3千円、それぞれFF車)を考えれば大健闘だよ。

永:そうですか、次はワインディングですね。

<ワインディングでシャシ性能をチェック!>

永:ワインディングにやってきました。ハンドリングいかがでしょうか?

国:マツダのDNAが大型ミニバンであるMPVにも引き継がれている。まず1850mmという全幅を生かしたワイドトレッド(1610mm、オデッセイで1560mm)のおかげでかなり限界高い。ハンドリング面でもハイパワー化の手段にターボを使ったメリットを感じられる。

永:どういうことですか?

国:フロントが重くなっていないってことよ。V6だとどうしてもフロントヘビーになりがち。フロントヘビーになると回答性悪化したり、アンダー出した場合の回復も遅くなって楽しくないのよ。だけどMPVにはそういう悪さが全くなくて楽しい。

永:なるほど。確かにエンジン開発の方もV6より4気筒+ターボの方が20kg軽いと言っていました。(ちょっとした感触のあと)今DSCの制御入りましたか?

国:うん。でも入るポイントも適切だし、入り方もマイルドでいい。モノによっては「ガツーン」って感じで入るクルマもあるから。

「DRIVER'S MPV」のキャッチコピーに相応しい走り!

永:ブレーキはどうでしょうか? かなり力を入れて作ったそうなんですが。

国:うーん、特に強い印象はないんだけどコントロールしやすくて効きもいいと思うね。言葉にしたら簡単だけど、こういう「操作しやすくて、信頼できる」ブレーキを作るのは大変だったんじゃないかな。

永:ローターサイズなんかもかなりおごられていてフロントはRX−8並みの320mm、リアに至ってはRX−8より大きい325mmとなっています。

国:これならフル乗車で山道下っても何の問題もないでしょう。

永:乗る前はFF車で245馬力、おまけにターボということで「もしかしたらジャジャ馬かもしれない」と想像していたのですが、そういう兆候すらありません。

国:スタートでアクセルをラフに踏んでもほとんどトラクションコントロールも働かないし。

永:実はスタート時に「ホイールスピン番長」のようなことにならないように、相当細かい制御をしてるそうです。具体的に言うと電子制御スロットルを利用してスタートの時はアクセルを絞ったり、1・2速のときは意図的にトルクを下げているんですよ。

国:なるほど。電子制御スロットルならではだね。ターボと並んで電子制御スロットルの使い方もうまい。

永:このクルマ、大きさ・重さを感じさせない”走りの楽しさ”を持っていますから運転好きなお父さんが買うミニバンにはいいですね。

国:走りならクラスナンバー1。いい買い物だと思う。

<MPVターボは超お買い得!>

国:このクルマ、280万円って安いよ。

永:NAで一番高いグレードは約260万円ですから、価格差は20万円です。しかし20万円差の中にはターボエンジン、6速AT、DSC、18インチホイール、隠し味の大径ブレーキローターまで付きますからね。

国:エイヤで言ってターボに関するパーツ以外ほとんどタダだね。

永:出血大サービスです。ベースグレードのエスティマやオデッセイ・アブソルートにちょっと足すとMPVのターボを買えるという言い方もできます。

国:MPV買うのならターボを強力にプッシュしましょう。


3列目はヒモを引っ張るだけで倒れます。床下に大きなモノ入れもあります。

<まとめ>

 MPV 23Tの良さは予想以上だった。爆発的なパワーはないけどターボを全域でうまく使ったエンジン、ターボエンジンを持て余さないようによくセッティングされたシャシ、そしてお買い得な価格など先代のMPVと同様に目立ちにくいかもしれないけど大穴のミニバンだと思う。

 先日、「新型MPVは発売後約1ヶ月で月間販売台数約2倍の5、500台を受注した」という発表があった。同じ発売後1ヶ月間で目標台数の約4倍にもなる26、000台を受注した新型エスティマに比べると「売れていない」と見てしまう人も多いと思う。しかし今後、私は今回試乗したターボモデルが牽引役となってMPVは確実に目標台数に近い販売台数を長い間キープするではないかと予想する。

 元気になったマツダが次はどんなクルマを出すか? 非常に楽しみである。

※あの配線に対策が!

ビニールテープよりはずっと良くなりました。

 NAモデルの試乗レポートで国沢師匠が「バッテリー配線の長さ調整のためにビニールテープが巻かれていて良くない」という指摘をしたのを覚えている方もいらっしゃると思う。それに対する対策がすでに行われたので紹介しよう。ビニールテープだった部分が布テープに変えられたのだ。これならだいぶ見栄えもいいし、先々切れる心配も少なくなったと思う。さらに今後新しい長さの配線を作るそうなので、そのときには完全に問題は解消される。

 問題に対してわずか1ヶ月で対応するという姿勢、素晴らしいと思う。このあたりからもマツダの勢いが感じられた。

レポート/永田恵一