マツダの人気車、デミオが初めてのマイナーチェンジを行った。気になっているヒトも多いだろうから詳細レポートをしてみたい。最も大きな変更点は、写真の通りスタイルだ。けっこう大がかりに換えている。フロントグリルとかガーニッシュ(リアも含む)だけに留まらず、フロントフェンダーやボンネットのプレスまで変更。イメージまで変わったと思う。特にフロント回りは、明らかに質感出た。従来型デミオと比べ、車格まで上がったような感じ。
ま、考えてみればデミオって、マツダ自身コレほどに売れると思ってなかったらしい。したがってデザインも仕上げも、やり残したブブンが多かったのだろう。興味深いのはフロントの5角形グリル(というかホームベースを前後に圧縮したような形状)。非常に似たデザインのグリルをホンダも採用しているけれど、両社依然として使い続けている。使い始めたの、ほぼ同時。よってマネッこでないことは間違いない。でもいつまでも同じ5角形じゃマズイでしょう。
オデッセイ出た後に発表されたデミオも5角形。この意地の張り合い、ドコまで続くのだろうか? ただデミオと5角形のグリルはちょっと相性悪いように見える。デザイン的にはイイのだけれど、5角形にこだわったため、バンパーとグリルの関係に無理が出てしまった。奥行き不足なのだな。マツダのデザイナーに聞いてみたら「最後まで苦労したトコロなんですよ」らしい。オーナーになったらグリルなんか換えると全体のイメージまで変わって面白いと思う。
ここまで外観いじったのだから、当然衝突安全性も向上させているんでしょう、と聞いたら、意外なことに「いいえ」であった。ボディ構造は換えていないらしい。つまり98年から適用される甘い日本の基準もクリアしていないということ。具体的に言うと、側面衝突とオフセット衝突には対応していないワケ。マイナーチェンジなので、新しい法規に対応しなくていいのだ。このあたりはユーザーの考え方次第ながら、マイナーチェンジでボディ構造まで換え、安全性向上を実現しているホンダと違う。
ボディ構造を換えると大幅なコストアップになるため今回は見送ったとか。この件、ジャーナリストとして書かないワケにいかないので明記しておく。つい先日までシートベルトしないで運転するヒトも多かったのだから(今でも締めないヒトは少なくない)、気にしないヒトは気にしないか? マツダの開発陣に聞くと「事実なので仕方ないです」と言っていた。参考までに書いておくと、従来型も衝突安全性は旧日本基準。それでも好調に売れていたので問題ないのかもしれない。
ここさえ忘れれば、後はモンクない仕上がり具合。当日はテストコースを解放してくれ、自由に試乗出来た。最初に乗った1、3リッターは、今回のマイナーチェンジでATを3速タイプから4速タイプに変更。乗るとやっぱり圧倒的に良い。従来の3速AT、街中で乗っていると不便なかったものの、高速道路じゃ回転上がりすぎて騒音が気になってしまう。4速ATなら巡航時の回転数は大幅に下がるため、快適快適。エンジンのトルク特性も改善されたような気がする。1,3リッターで十分走る、と思った。
1,5リッターになると一段と元気。デミオのボディサイズなら1,3リッターでピッタリくらい。同じ1,3リッターエンジン積む日産キューブの方が重いのだ。1,5リッターだと必要にして十分のパワー。テストコースの直線路(高速周回路じゃないのでそれほど長くない)では160qに届く。意外かもしれなけが、デミオはデビュー当時からハンドリング良かった。当時自分で書いた記事を探して読んでみたら「ハンドリングは素晴らしい」とある。その流れは変わっていない。
ハンドル切ればキチッと曲がるし、意識的にテールスライドさせることも可能。流れた後のコントロール性だって合格点を付けられる。デビュー当初、やや難あった乗り心地も改善されており、このクラスの平均値となった。ライバルの乗用車より広いラゲッジスペースや、それでいてタワーパーキングに入る車高などは変わっていないので、使い勝手からすれば優等生だと思う。これで衝突安全性をキッチリ対応していれば高く評価できたのに。経営判断だろうが……。
そうそう。このクラスでは初めてのスピン防止装置VSCも試してみた。ワザとコーナーにオーバースピードで突っ込んでパニック状態を作ったが、さすがにトッチラカラない。テール流れると即座にコーナー外側の前輪にブレーキ制御入り、見事バランスを立て直す。普通の路面だとめったに作動しないと思うが(作動した時は普通なら事故を起こしている。一回も作動しない方が望ましい)、雪道などに行くと重宝するだろう。雪道を走るチャンス多いヒトにぜひすすめておきたい。強い味方になってくれる。