最後のコスモ

 なんとも贅沢なクルマが出たものである。サイズはほとんどベンツの560SEC。エンジンはレシプロに換算すると、4リッターにターボをつけたほどになる。したがって動力性能は強烈だ。カートップ誌によると、ATながら0〜400m加速タイムが13秒台をマーク! 最高速もリミッターを外せば軽く250qを超えるという。
 スタイルも悪くない。特に真横から見たときのプロポーションはなかなかで(正面は好き嫌いが別れると思う)、低いボディシェイプはジャガーXJ−S的なムードが漂う。
 が、乗るとやや評価が変わった。スポーティグレードであるSタイプは、280馬力という大パワーから逃げようとしている。箱根で走ると1速はすぐに吹けきってしまうし、2速はギアレシオが高すぎ、コーナーの立ち上がりでアクセルを踏むとレスポンスが悪い。ようするにパワーでテールが流れないようにしているのだ。
 ラグジュアリーモデルのEはというと、こちらはセルシオに匹敵するオーディオを持ちムード満点。本革シートも気分は良好だ。ところがサスペンションがハードだから、ゆっくり走ると乗り心地が悪くシラけてしまう。
 という具合いで、コスモの”売り”は高水準な走りでもなく、かといって良質な走りのムードでもない。このクラスのクルマというのは、やっぱり個性が強烈でなければ物足りないと思う。
 もしボクが知人に「新しいコスモはどう?」と聞かれたら、きっと「買いなよ! いいクルマだから。でもボクは買わないけどね」と答えるだろう。
 これがGT−RやZ、セルシオなら「お金があったらオレも絶対に買いたい!」になる。高価なクルマはサイフの紐をぶっちぎるような魅力が欲しい。