このところヒット作に恵まれないのがマツダ。なかでもクロノスから始まった一連の兄弟車は、ボクらみたいなジドウシャ専門家でさえ名前が出てこない車種もあるほど。先日もマツダの人に「全部言えますか?」と聞いたら、やっぱりダメ(クレフを忘れた)。
 不調の理由はいくつかあるんだろうけど、最も大きいのはスタイルだと思う。スタイルというのは完全に趣味の世界だからして、凝れば凝るほど支持する人は少なくなるのだ。音楽を例に上げれば、アメリカンポップスや、TVドラマの主題歌みたいな無難な音楽なら多くの人に好まれる。
 なのに同じ音楽でもラップやヘビメタ、ド演歌、ポピュラーじゃないクラッシックなんかは、好きな人よりも嫌いな人がずっと多い。ファッションだって多くの人に受け入れられるものと、明らかに不快なものに分けられる。
 ジドウシャのデザインも同じこと。トヨタはTVドラマの主題歌路線で、割と多くの人に支持されるタイプ。なのに最近のマツダはヘビメタだったり演歌だったりと、ボクなんかは近寄ることさえ難しい。



 で、ランティスだ。このクルマのスタイルも、明らかに異質。一般の人には厳しいと思う。初めて見た時は、ズバリ気持ち悪かった。じゃ、今はどうかというと、やっぱり気持ち悪い。特に4ドアのリアビューはグランダムというアメリカ車にクリソツ。すでに嫌いなデザインとして頭の中に固定されてるから、受け付けない。
 クーペ(本当は5ドアHBなんだけど、マツダは4ドアクーペだと主張してる。5ドアHBは売れないというジンクスがあるのだ)も基本的にはダメ。でもこっちは少しだけ「好きになるかもしれない」という要因はある。
 ボクはラップが嫌いだけど、MCハマーだけは半分くらい好きな曲も混ざっている。ハマーのアルバムには、必ずメロディラインのあるラップ(ラップのファンは軟弱だと思うかも知れないね)が含まれてるのだった。
 ランティスのクーペもそう。全体のフォルムはぬるぬるの不気味デザインなんだけど、少しだけ『一般的なカッコよさ』みたいなものがある。ノーマルじゃ目立たないかもしれないけど、ボディを少しいじればいいのだ。

 このクルマ、2リッタークラスのFFでは日本で初めて16インチタイヤを履いてきた。タイプRを見ると、現状でも車高を少し落とすだけで迫力満点に見える。さらに17インチタイヤ&40タイヤなんか履かせの、グループAみたいにトレッドをギリギリまで広げの、ネガキャンを付けのすれば、すっごくカッコよさそう。
 さらにDTMバージョン(ドイツのグループAレース)みたいに大きめのフロント&リアスポイラーで付ければ、さらに迫力はアップ。F−1みたくストレートで火花を出す装置なんかを付けちゃうと完全にキマる!
 といった具合で、最近のマツダ車のなかでは群を抜いて面白そうな素材ではなかろうか。こいつを買ったら絶対にノーマルじゃ乗らないと思う。
 肝心のクルマはどうか? これまたよろしい! 感心したのは2リッターのV6エンジンだ。このエンジン、ポルシェの技術供与を受け、ヤマハから生産管理システムについてのノウハウを得ているとウワサされるだけあって、強烈にパワフルでスムース。

 ボディ重量は1200sと重くないこともあって、ギンギンに走る。リミッターをカットすれば、最高速は210qをオーバーするんじゃなかろうか?間違いなく2リッターNAでは日本で一番速いと思う。出来ればマニュアルで楽しんで欲しい。
 1、8リッターバージョンにも試乗してみた。2リッターに比べればパワーやスムースさで若干劣るけど、同じクラスのライバルよりは高い水準にある。性能を重視しない女の子なら、コッチで十分かもしれない。
 高く評価したいのがハンドリングだ。マツダで一番いい、というよりブルーバードや新しいアコード、ギャランと並び日本でトップクラスの足だと思う。16インチタイヤ装着車は少しハードな乗り心地だけど、あれだけのコントロール性と高い限界を持ってれば十分に許しちゃう。

 価格は手頃。16インチのアルミホイールや、エアコン等を標準装備する2リッターのタイプRで199万2千円。1、8リッターなら164万6千円(これもエアコンは標準装備)。なかでも2リッターは性能を考えると安いと思う。
 ちなみに来年から2リッターの4ドア車を使ったレースがグループAに変わって開催される。日産はプリメーラ、トヨタはコロナ、ホンダはフェリオを登場させるというウワサ。マツダは何かと言うと、ランティスなのだ。ランティスに搭載されるV6はイギリスで先行デビューしており(ユーノス500に搭載されてる)、最強のパワーユニットらしい。楽しみだぞ!
 ランティスの販売ディーラーは、オートラマとオートザムを除く全マツダチャネル。このなかで値引きと、キチンとしたアフターサービスを期待出来るのはマツダ店とアンフィニ店。クーペが気になる人は早速クルマを見に行ってみよう。