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期待を裏切らないFR車
これまでも「期待させてくれるFR車」はいくつかあった。先代スカイラインや、アルテッツァ、S2000、少し前だとスープラなど、デビューする度に「どうか?」と思ったものである。しかし! 「こらいい!」と感激したクルマはゼロ。というか、乗って楽しいFR車って名車の誉れ高きR32スカイラインしか思い浮かばぬ。強いて言えば現行ロードスターあたりを評価したいけれど、も少しパワー欲しい感じ。やっぱりFRスポーツなら3速全開でテールスライドするくらいのイキオイが欲しい(ロードスターだと2速まで)。
アルテッツァやS2000のドコが好きでないのか? こらもう簡単。ハイパワーFR車の特徴であるテールスライドに起因する「制御不能状態」を極端に嫌い、安定性ばかり追求してしまっているからだ。結果、安全かもしれないが、面白くないFRスポーツになったのだろう。文字通り「角を矯めて牛を殺す」(角が危ないからと切ったら牛の良さも無くなってしまう、という意味)です。RX−8はテールが流れることを恐れていない。後輪駆動車のテールは流れるもの。だったらコントロールしやすくしてやろう、と考えたんだと思う。
ラグナセカの全開走行インプレ
2002年12月、先行試作車に三次のテストコースで試乗した。その気になってテール流そうとすれば、アクセルオフのタックインでも、アクセルオンのパワースライドでも見事に決まる。自由自在というヤツ。やっぱり後輪駆動車ってこうじゃなくちゃ! ロードスターにも言えることながら、マツダは後輪駆動車の「楽しさ」をよく知っていると思う。そのRX−8の最終試作モデルにアメリカ西海岸で試乗することが出来た。
まずはラグナセカ・サーキットの本コースでハンドルを握る。このサーキット、御存知の通りアメリカ屈指の難コースとして知られており「コークスクリュー」と呼ばれる名物コーナーが有名。頂上のコーナーで右ターンした、と思って欲しい。すると正面に全くコースは見えぬ。スキー場の急なゲレンデを少し離れた場所から見た感じ、と表現したら解っていただけるだろうか。
かといってアクセル踏まなきゃタイム出ません。どうするか? コースは見えないものの、目の前の大きな木(企業秘密なのでどの木か書けない)、を目安に「エイヤッ!」っと飛び出す。
その瞬間、ほとんど車輪から荷重は抜け(宙に浮いた状態だと思って欲しい)、その次に「どしゃっ!」っとばかり全荷重が4輪に加わる。そのタイミングで、今度はキツい90度の右コーナーをクリアしなければならない。ま、めちゃくちゃ意地悪かつクルマに厳しいコースだということ。ここを全開で走ろうとすると、相当しっかりした足回りでないとダメ。特にコントロール性の悪い後輪駆動車だと、コークスクリューに全開で飛び込むのは無理。というか、度胸だけで走ろうモノなら、クラッシュするのみ。
何を隠そうラグナセカは何十周か走ったことがある。したがって2ラップ走ったら、コースレイアウト&攻め方をハッキリ思い出した。となればコークスクリューでどこまで踏めるか、だ。3ラップ目、8割方のペースで飛ぶ。するとどうだ! 難なくクリア。というか余裕をタップリ残す。それなら、と4ラップ目にもはや全開! そうしたら気合いが先行してしまい、走行ラインを50センチくらい外したらしい。
飛んだ後の右タイトコーナーで大きくテール流れる。「おいおい! コークスクリューでテール流してる市販モデルなんて見たこと無いぞ」と思いつつもカウンターステア当てたら、割と容易に立て直せてしまった。他の雑誌で使っているシルバーのカウンター写真、全部ワタシである。写真撮っている平田氏が言っているのだから間違いない。こうなると信頼関係は万全。5ラップ目からフルアタックする。あまり知られていないことながら、ラグナセカはコークスクリュー意外にもシビレるコーナーが2つあり、いずれもアブナイ。
コークスクリュー手前の左高速コーナーと、コークスクリューから二つ目の超高速左コーナーだ。ここでもRX−8の優れたコントロール性に驚く。アクセル戻すとフロントのグリップが増してアンダーは消え、アクセル少し開ければ安定した姿勢になってくれる。後輪駆動車のお手本みたい。印象的だったのがロータリーエンジンの味。従来のロータリーエンジンはターボ過給されたものだった。いや正確に言えば初代のRX−7までノンターボのロータリーエンジンも存在したけれど、2代目から全てターボ仕様のみ。
モーターのようなレスポンスの新ロータリー『レネシス』
バブル時代までのイケイケ流概念からすると、ターボの方が「コンパクトでパワフル」というロータリーエンジンの特徴を引き出せると判断されたためだと思う。しかし今や「パワフルであること」と同じくらい環境問題は重要なテーマ。だったら両立させなければ、というコンセプトで開発されたのがRX−8に搭載される「レネシス」である。乗っているとなんだか懐かしい。実はターボ無しロータリーエンジンを搭載する初代RX−7のオーナーだったのだ。ターボを付けると、なぜかロータリー独特の味わいが薄れがち。しかしRX−8のエンジンときたら、誰でも解るような独特の回り方。
いわゆる「モーターのような」振動特性で、どこまで回してもスムース。ちなみにロータリー独特の音は、好き嫌いが分かれるんじゃなかろうか。私はハッキリと好きだ。アクセル全開にし、レッドゾーン(9千回転!)まで引っ張った時のエンジンフィールときたら、こらもう最高! 新世代ロータリーエンジンが持つもう一つの特徴は「レスポンスに優れること」である。ターボ付きロータリーエンジンのアクセルレスポンスは、マツダの技術者さえ「真っ先に改良したいポイントでした」。アクセル踏んでフルパワーになるまで、1秒くらいあるほど。
レネシスは「レスポンスがいい」と評価されるノンターボのレシプロエンジン以上に敏感。だからこそ限界コーナリング時だってアクセル操作でテールのコントロールも出来る。絶対的なパワーは「必要にして十分」(250馬力)だと思った。まだ絶対的な動力性能は公表されていないものの、おそらく0〜400m加速で14秒台。最高速240キロ程度の実力を持っているだろう。これだけ速ければ全く不満無し。というか、スポーツカーレベルの走りだと考えていい。 このところ元気になりつつあるマツダが新しい世代のロータリーエンジンを搭載した新型車をデビューさせてきた。『RX−8』と呼ばれる4ドアのスポーツカーで、自動車雑誌の話題を独占している。納車は4月からになるものの、すでに先行予約を開始。フル装備で240万円(標準グレード)というプライスが付く。果たしてどんなクルマなのだろうか? デトロイトまで行き取材した。
マツダは世界で唯一ロータリーエンジンを実用化したメーカーとして知られている。当時、ベンツやGMなど世界中の自動車メーカーが開発に着手したものの、耐久性や信頼性を確保出来ず断念。そんな中マツダは粘り、見事市販化したという経緯を持つ。トヨタや日産でさえ果たせていないル・マン24時間レースの総合優勝を飾ったことさえあるのだから凄い。
ロータリーエンジンに乗ったことのあるドライバーなら御存知だと思うが、普通のピストンエンジンと全く違いモーターのようにスムース。高回転まで回しても全く振動は出ない。しかし燃費が悪いという決定的な弱点を抱えていたため、スポーツカー(RX−7)のエンジンに特化。細々と生き延びてきたが、それも販売を停止されていた。
加えてマツダはバブル景気の時に拡大戦略を行い、大きな痛手を負いフォード傘下のメーカーになってしまう。マツダの技術者によると「当時、将来性が疑われれていたロータリーエンジンの開発担当者は数名というレベルになっていました」。厳しい情勢の中、マツダはロータリーを賢明に守ってきたのだ。
その後フォードの経営戦略によってマツダの業績は少しづつ回復。2〜3年前からフォードグループで販売する中小型車の開発を任されるほどの技術評価を得るようになってきた。同時に「ロータリーを復活させたい」という社内の声も大きくなったのだろう。かくしてロータリーエンジンを搭載した新型車の開発にGOが出る。
クーペのような4ドア車
コンセプトは写真を見て頂ければ解る通り「クーペのような4ドア車」だ。マツダが大規模な市場調査を行ったところ「スポーツカーに乗りたいけれど、家族で使うことを考えると難しい」という意見が非常に多かったと言う。それなら4ドアと同じ実用性を持つスポーツカーを作ろう、ということでRX−8の開発が始まった。
観音開きタイプのドアを開けてリアシートに座ってみると、予想外に快適。身長183センチのレポーターが楽に座れる。これなら4人乗ってロングドライブをすることだって可能。低燃費と評されてきたロータリーエンジンも、ターボを外して徹底的に改良することにより高いパワーをキープしたまま2リッタークラスのピストンエンジンと同等の燃費となった。
是非とも試乗して「誰にでも解る楽しさ」を確認してください
試乗車は250馬力エンジンを搭載する275万円のスポーティタイプ(6速マニュアルミッション)。1速にシフトしてクラッチを離すと予想以上に軽快。ロータリーエンジン独特の音と共に気持ちよく加速していく。やっぱりロータリーエンジンはスムースで気持ちいい。絶対的な動力性能は、完全にスポーツカーレベル。
エンジン以上に印象的だったのがコーナリングである。クルマ好きから支持されている後輪駆動を採用しているため、とても素直。ハンドルを操作すると意のままに向きを変えてくれるから楽しい。ゴルフクラブから包丁に至るまで「良い道具」に共通するのが「ガッシリしていてシャープ」というもの。RX−8も正しくこの味。
トヨタ・アルテッツァや、ホンダS2000、フェアレディZといった後輪駆動を売りにするモデルは、乗ってみると案外楽しくない。ところがRX−8のハンドルを握っていると、未だに多くのファンを持つ3世代前のスカイラインや、マツダ・ロードスターのような「誰にでも解る楽しさ」があるのだ。ぜひとも試乗車で試してみたらいかがだろう。
「200万円台で買えるスポーティ4ドア」と言えば、トヨタ・アルテッツァやホンダ・アコードの『ユーロR』が代表。しかし圧倒的に人気なのは、意外なことにレガシィB4である。アルテッツァやアコードと同等の価格ながら、ライバルより一段とパワフルなターボエンジンや、4WD、クルマ好きに人気のビルシュタイン社(独)製のショックまで付く。
したがってRX−8のライバルも、レガシィB4ということになると思う。良いライバルになるだろう。ただRX−8には240万円で買える210馬力エンジン搭載車もある。
40馬力低くなるが、5千回転以下のエンジンパワーは同等(5千回転以上で差が出る)。このエンジンできっちりスポーツカーらしい走りを楽しめる。グレードは240万円の『標準』と、210馬力の豪華仕様車である『E』(275万円)。そして250馬力の『S』(275万円)というラインナップ。おすすめは標準グレードだ。
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