マツダ ベリーサ

マツダ

ベリーサ
・エンジンは★★★★&平成22年度燃費基準+5%達成でグリーン税制対応(e−4WDは★★★★のみ)。
・しっかりマツダ印の5ポイントグリルなんです。
・サイドミラーはなんと可倒部以降がRX−8と同じ!

↑違和感ないモンですね

《ベリーサ試乗レポート》

●深みのあるシンプルさこそハイクオリティの証

〜出発前の羽田空港にて〜

師:まだ乗ってないからイメージとしてなんだけど、“ベリーサ”う〜んなんだよ。
山:いきなりネガティブですね。あんまり良いクルマには思えないということですか?
師:資料なんか見る限りじゃ積極的に「乗りたい!」って気にならなかった。
山:ボクはテレビCMを見て、結構期待できるクルマなんじゃないかと思って注目してたんですけど、その直感が正しかったのかを確かめるために、敢えて予備知識無しで来ました。
師:じゃあ後で聞くから、マツダの人にちゃんと取材しといてね。

 資料によると、ベリーサとは“verita(イタリア語で「真実」)”と“satisfaction(英語で「満足」)”からなる造語で、「真の充足」という意味が込められているとのこと。クルマの特徴は、丹念な作り込みによる高い質感と、マツダらしい「運動性能の良さ」を持った新しいタイプのコンパクトカーとある。

 さて、師匠のう〜んは試乗後どう変わるのやら。

○和製コンパクトは上質なライフスタイルを演出できるのか?

〜いざ試乗開始〜

師:このクルマのコンセプトってどんな感じなの?
山:コンパクトカーにも上質な仕上げをすることで、上級車のようにリラックスして乗ってもらおうということらしいです。
師:購買層のターゲットは?
山:30歳代の子供のいないカップルや、50歳代などの子供に手のかからなくなった夫婦がメインですね。前者はモノ選びやライフスタイルにセンスの良さを求める場合が多く、後者は家族や仕事の事情などでセダンやミニバンなどいろいろなクルマを乗り継いできたけど、これからは手軽に乗れるクルマにしようというところにマッチさせてます。特に後者についてはクルマを見る目も養われていますから、そういう厳しい人達から見ても十分満足できる仕立ての良さが自慢だそうですよ。
師:なるほどね〜。トヨタにもヴィッツベースで洗練度を高めた“イスト”ってのがあるけど、アチラは50歳代をターゲットユーザーにしてない。
山:確かにイストってかなり若者意識強い感じしますし、ヴィッツより割高にもかかわらず売れてますよね。ただ、大きく異なるのは、イストはエントリーカー的意味も大きいという一面を持っているのに対し、ベリーサはベースをデミオとしつつも確実に他のコンパクトカーよりもワンクラス上の車格を狙っているということです。

師:その狙いは半分当たってて、半分ハズしてるかも…。
山:どのあたりがそう感じますか?
師:まずは当たってるブブンから。車内の質感は凄くイイ! 新型ミニのような雰囲気を漂わせてるというか、ヨーロッパのコンパクトカーと比べても決して引けをとらない。目隠しして運転席まで連れてこられてステアリング握ったら、もう手放しで褒めちぎると思う。

ただし! その状態から降りて外観を見た瞬間「???」ってなる。この外観には少し疑問を感じるよ。

山:個人的にはそんなに「???」ってほどじゃないですけど、デザインコンセプトが分からないと…?
師:だってね。人を見るときもそうだけど、お客さんがクルマ買うときにまず目に入ってくるのは外見なんだよ。テレビCMを見たときやディーラーの横を通ったときに「あっ! あのクルマ乗ってみたいなぁ」と思わせなきゃお客さん寄り付かないでしょ。

山:単純に訴えが伝わるデザインの方が良かったということですか?
師:そう。ちょっと伝わってこないんだよ。これじゃあディーラーの前に置いてあっても認知度低いと思う。せっかく内装がシンプルでクオリティ高いんだから、もっとトラッド(王道という意味で)なデザインを採用したほうが、良かったんじゃないかなぁ。
山:後姿はドッシリと安定感あるように見えますけど、“顔”は好みが分かれるかもしれません。
師:かと言って『ミニ』みたいなファニーな表情を出すのは日本人には難しいだろうから、クルマに興味のないひとが見ても「カッコイイ!」とか「カワイイ!」って一言で表現できる分かりやすいデザインでイイと思う。
山:これまでのアテンザ、アクセラ、RX−8、デミオってみんな似たイメージのマツダ顔してましたよね。
師:だからこそベリーサの存在意義は大きいワケ。その4車種(社内的にはフェイズ3と言う)でマツダは復活してきたんでしょ。『Zoom−Zoom』って言いながら元気のいいクルマを作るメーカーとして世界的評価も高くなった。で、いよいよ新たな段階へ! ってときの一発目で難しいクルマを出しちゃったかも。
山:でも乗ってみると「さすがマツダ!」って思っちゃいましたけど。
師:乗ってもらうまでに時間がかかるんだよ。いくら関東の人が納豆ウマイ! 血液サラサラにも効果アリ! って言っても、関西の人にはあのネバネバがヤダっていう先入観があるから、消費量は飛躍的に伸びないでしょ。でも、実際関西の人でも勧められて納豆食べてハマッタって人はたくさんいる。クルマもおんなじで、乗れば良さが分かるのに乗ってみようっていう動機を引き出し難い見た目じゃ、買う側が「良い!」と気付くまでに時間がかかる。そうこうしているうちに「売れてない」って評判が出てくるし、他社も同じようなコンセプトで売れるデザインのクルマを開発してくるから、余計に分が悪くなっちゃう。
山:最低2年はこのままでしょうからねぇ。
師:乗ってもらうための戦略をどう立てるかが、明暗を握ってるんじゃないかな。

○走りの良さはまさにマツダDNA
山:さっきも少し触れましたけど、運転してみるとつくづくしっかり作ってあるなぁと思ったんですけど。
師:コンパクトカーの中じゃデミオのハンドリングがナンバーワン! ってずっと書いてきたけど、基本的な特性は同じだね。ただ、より路面追随性が上がってるよ。
山:ダンピングが効いてるってのはこういうことなんですか?
師:効いてるね〜。コンパクトカーじゃライバルなしでしょ。イストなんか道路に細かな継ぎ目があると結構バタバタとボディまで振動するけど、ベリーサは「しっとり」って感じでしっかりダンパーが機能して強い入力を和らげてる。185/55/R15なんていう乗り心地には不利とも思えるほど剛性のあるタイヤを履いてるけど、車内の上質な雰囲気を全く壊してない。テネコ製のダンパーを使ってるんだけど、このクラスのコストに見合うダンパーは日本のメーカーじゃ作れないよ。

山:ステアリング切ってもとっても素直な動きですよね。
師:一言で言うと「分かりやすい」。一般的なクルマと比べて、ややギヤ比がクイックなのかもしれないけど、切れば切っただけクルマの向きが変わる感じだから、思い描いたラインをきっちり走れる。人間の慣性に近いセッティングになってるよ。ただし、コーナーリング時のタイヤノイズが目立つかな。まあこれはトーヨータイヤ全体に言える弱点なんだけどね。
山:それはボクもちょっと気になってました。タイヤはデミオのスポルトとまったく同じ銘柄だそうです。
師:まっすぐ走ってるとビックリするくらい静かだから余計に際立っちゃうのかもしれない。
山:音楽かければ気にならないですよね。
師:全然気にならない。
山:なら問題ないんじゃないですか。このクルマを買う人にドライブを無音で楽しむって人はいないと思いますよ。
師:そりゃその通りだ! でも、タイヤ替えればもっともっとスバラシイ乗り味になるだろうよ!

○ファミリアサイズでカペラの空間
山:質感も上々ですけど、車内も広いと思いませんか?
師:広いよ! 大の大人4人でも余裕しゃくしゃくでしょう。
山:話によると社内的にはファミリアサイズでカペラの空間を実現したとのことです。1.5リッターのサイズのまま2リッター級のスペースって具合です。
師:デミオとどこが違うの。
山:まずフロントウインドの角度(Aピラー)を3度立たせてます。なんで3度かというと、ワイパーユニット設置部の設計変更をしないで済むギリギリが3度だったということです。でも、あまり角度をつけすぎると上方視界が悪くなるので、幸か不幸かちょうど良かったとデザイン担当の方がおっしゃってました。

師:なるほどね〜。たった3度でも随分と立ってるような感じだよ。ああ、確かにデミオよりバックミラー遠いわ。手を伸ばして調整しようとすると良くわかる。
山:Bピラーの絞りも少なくなってるんですよ。屋根に向けてより垂直に近い形で伸ばすことで、車内の開放感を向上させているそうです。
師:結構ボディいじってんだ。もっとカンタンに作ったのかと思ってたよ。見直しちゃうね。
山:ただ、ラゲッジルームはデミオほど広くないです。まあ、もともとコンパクトワゴンという位置付けのデミオですから、容量に不満ということはないと思いますけど。それよりも、リアゲートの開口面積が小さくなったことで、ボディ剛性がカナリ上がってるそうです。
師:あの正確なハンドリングと落ち着きのある走りは、剛性の高さのたまものでしょ。
山:他にもドアを完全なる2重構造にして遮音効果を上げたり、ガラスの板厚もアップしてます。そのおかげで、走行中の静粛性が高いんでしょうね。あと、ドアを閉めたときの密着感ある音は高級感あってイイですよ。それから、シートバックはアテンザなんですけど、シートに厳しい師匠の印象はどうですか?

師:普通だね。ただ、ヴィッツなんかと比べれば数段いい。プリウスとおんなじくらいかな。
山:ボクはコンパクトカーじゃナンバーワンかなと思いますけど…。ちなみに座面はデミオのものを前後に伸ばしてモモの部分のサポート性を上げてあるそうです。
師:体格の差があるからシートって難しいけど、大きいシートを採用したのは大正解。これなら、ロングドライブもイケるでしょう。

レザーパッケージはハーフレザーシート(運転席大型アームレスト付)、ウッドパネル、レザー&ウッドステアリングがセットで9万円ナリ


○ゼッタイ付けたいミュージックHDD
山:装備面で気になるのはメーカーオプションのミュージックHDDですね。
師:コレただのCDプレーヤーじゃないの?
山:この中に20GBのハードディスクを内蔵していて、約3000曲も録音できちゃうそうです。
師:そりゃすごいね〜!

山:CDアルバムに換算すると約300枚っていうんですから、一般的な人なら家中のCDが全部コレに入っちゃいますよ。
師:でも、そんなにいれても選曲とかどうすんの?
山:カテゴリーやアーティスト別に曲名などで検索できるんです。このリモコンを使って、必要事項を入力することができるんですよ。もちろん、電源のオン・オフからボリューム調整までほぼ全ての操作ができるので、後席からの操作もラクラク。なんで今までこういうのメーカーオプションに無かったんでしょうね。

師:で、いくらなの?
山:税抜き6万5000円です。

師:6万5000円ならアリだね。DVDはダメなの?
山:それをやるとコストが跳ね上がるらしいです。
師:やっぱり。


山:でも、標準はラジオとCDの2スピーカーですよ。上質なライフスタイルを演出するクルマには寂し過ぎますから、ゼッタイ付けたいですよ。
師:クルマの中がCDだらけにもならないしね。
山:社外品ならあるんですけど、ナビ機能と一体になってたりして高いんです。ボクはこういうの待ってました。しかも、エンジン停止してドアロック状態でもCD一枚分くらいなら録音できるということなんで、買い物に行きがてらレンタルCD屋さんに寄って、買い物してる間に録音。帰り道で返却なんていうのもできます。時間を有効利用したい人には打ってつけですね。
師:ちなみに、ナビはいくらなの?
山:駐車時にガイドラインの出るバックモニターなどが付いて24万5000円。しかも、ナビを付ければミュージックHDDは5万円になります。
師:とすると、標準状態で146万円だから、総額180万円くらいだねぇ。
山:そうです。DSC(横滑り防止装置)を付けてもプラス5万円。もっと高いのかと思ってましたけど、イスト(1.5S Lエディション:147万円。ナビ23万7000円。VSCはトラクションコントロールもセットで8万円)あたりとガチンコなんですよ。
師:24万5000円のナビはちょっと高いから社外品選ぶとして、コレだけは是非設定してもらいたい! って装備があるんだよねぇ。それは“クルーズコントロール”。ここまでクオリティ高く作り込んだんだから、クルコンくらいあってもいいと思う。

山:確かに、クルコンのスイッチが付いていても「そこだけ高級」っていうミスマッチ感ないかも知れませんね。

○良さをアピールできれば未来は明るい

師:モノの良ささえ伝わればヒットする可能性あるね。
山:価格が高くなるという点ではヴィッツとイストの関係と同じかもしれませんが、ヴィッツとイストにデミオとベリーサほど車格の“差”は感じられません。ベリーサはデミオと比べて明らかにワンランク上ですし、イストと比べれば2ランクくらい質感高いと思いますよ。
師:そんな感じだね。フィエスタも同じシャーシ使ってるけど、フォードグループになってからは、ヨーロッパ修行の成果がハッキリ出てる。しっかり長く付き合えばどんどん良いところが見えてくるかもしれない。実際今日乗ってみてう〜んって感じより、今後どう売れるか期待して見てみようって思った。もしかしたら、街でベリーサを良く見かけるようになったら、あの外観も「イケてる」って判断されるようになるかもしれないしさ。
山:あっ! そう言えば、北海道まで行ってカニ食べずでしたね。やっぱ日帰りって忙しいです(涙)。