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2代目eKワゴン発表会
<三菱の孝行息子がフルモデルチェンジ!>
今回「新車速報」で紹介するのは、秋の新車ラッシュのトップバッターとなった2代目eKシリーズである。2001年秋に登場した初代モデルは特に目立つ部分があったわけではないけど、全高を立体駐車場に入る1550mmに抑えるなど使いやすさを売りにしたクルマで、約5年間のモデルサイクルで49万台を販売するヒットモデルとなり、一躍三菱の軽自動車シリーズの主力モデルへと成長した。また、eKスポーツ、eKアクティブといった派生車種や「オッティ」の名前で日産へOEM供給されていたことも記憶に新しい。
ほぼ5年振りのモデルチェンジを受けた2代目モデルも基本的にはキープコンセプト。しかし、開発にあたっては“「便利」「安心」「気持ちいい」の進化・深化”が合言葉となり、幅広い顧客に受け入れられるようなクルマとなった。今日も2代目ekシリーズの「進化・深化」を1つづつ詳しく紹介していこう。(永田)
写真は売れ筋となりそうなeKワゴンのMグレード
<外装はキーコンセプト>
外装を見てみましょう。写真をご覧になれば分かる通り、外装はキーコンセプト。先代eKシリーズのアイデンティティを強く感じさせるデザインであります。乗降性、そして居住性を確保するために背の高いデザインとなりながらも立体駐車上の利用に配慮しているあたりは、日常の使い勝手に多いに役立つでしょう。
一方、使い勝手とは別にデザインそのものはいい意味で「スマートさ」を感じさせるものとなっています。「女性」とか「若者」とか、特にターゲットを絞るわけでなく、世代・性別を問わずに好まれるようデザインされたエクステリアは、狙い通り多くの人に受け入れられやすいもの。でもだからといって主張の弱いものではなく、一目見て「eKシリーズだ」と分からせるものだし、「シンプル・クリーン・ベーシック」をテーマとしているだけあって、爽やかさを感じさせてくれるものでもあります。
特徴として取り上げたいのは、軽自動車として初めてテールランプにLEDを採用していること。開発者の葛西さんによれば、LEDは省電力・長寿命なだけでなく、ブレーキを踏んでから点灯するまでの時間が早いとのこと。つまり、ブレーキに対してランプが素早く点灯してくれるということですね。何でも60km/hの状態でブレーキを掛けた時、点灯するまでの時間を距離で考えると、従来のバルプより4mほど手前の時点で点灯してくれるそう。4m。軽い追突なら防げてしまう距離ですよね。
面白かったのがハイマウントストップランプとの比較。ハイマウントストップランプはLEDでないため、テールランプより点灯するタイミングが若干遅い。実際ブレーキを踏んでもらったところ、キチンとタイムラグがありました(笑)。ちなみにリヤスポイラーに付くランプはLEDとなります。(新美)
内装は大幅変更!
先代の面影を色濃く残すエクステリアに対し、インテリアはガラッと変わっています。まずコラムシフトだった先代に対し、新型はインパネシフトを採用。何でもコラムシフトは一部の女性や年配の方々から「使い方が分からない。もしくは使いにくい」といった意見が多く聞かれたそう。また単純にデザインという意味でも、コラムシフトは見た目が良くないと判断した結果、インパネシフトになったそうです。
一方、新型は先代と同じセンターメーターを採用している。ステアリングの影にならない限界の位置まで運転席側に設置することにより、視線移動が少なくて済むようにしています。インパネ自体も質感高くなっており、スイッチ類の操作性もまずまず。全体的に「大幅進化」と言えるものではないでしょうか。
最後に居住空間。背の高い新型eKシリーズだけあって、開放感は抜群。後席も十分なスペースが確保されており、十分以上の居住空間。特に嬉しいのが横方向の余裕が出来たこと。先代は若干横方向に狭さを感じた。新型は横方向の空間も確保されており、より快適な居住空間となっています。シート自体は特筆すべきものではありません。可もなく不可もなくといったシート。ただシート生地が「エコテックス企画100」の、アレルギー誘発物質を抑制するものとなっているのは朗報。i(アイ)に引き続いての採用であります。それから、後席は左右独立のリクライニング機構を備えるほか、前方に倒して荷室を拡大することもできます。(新美)
前席を一番後ろまで下げても足下空間十分!
<磨き上げられた2本のエンジン>
新型eKシリーズは3気筒SOHCのNAとターボの2本。中には「今年出たアイに搭載された新しいエンジンが流用されるか?」と考えていた方もいらっしゃったかもしれないが、新型eKシリーズのエンジンは従来と同じ3G83型の改良版。「なぜ、せっかく作った新エンジン(3B20型)を積まなかったのだろう?」と思ったので関係者の方にそのあたりの理由を伺ってみた。すると「新エンジンはリアミッドシップ構造のアイに積むために45度後方に傾斜させて搭載しています。現状では通常の積み方には対応していないので、eKシリーズには使えませんでした。もう1つ社内的な事情として、間もなく発売されるアイのNA仕様にNA化した3B20型エンジンを一番先に積みたかったという点もあります」とのお答え。ただ、将来的には3B20型エンジンを積むこともあり得るそうだ。
改良された3G83型エンジンはスペック面ではほとんど旧型と同じとなっている。しかしながら、ATも関連した燃費(従来型より10・15モードでだいたい1kmほど良くなった)、静粛性、環境性能(具体的には触媒の小型化、貴金属を使う量の低減)の向上が施された。新しさには欠けるけど、ekワゴンが実用域で中心に使われることを考えれば、クルマの性格に見合った性能が確保されていることは間違いないだろう。(永田)
写真はターボエンジン。どのくらい進歩しているか楽しみです
<充実のポケット>
内装で特筆すべきなのが、色々な所にポケットなど小物入れを設置していること。幅広い層から人気がある軽自動車ですけど、その中でも特に女性から人気というのは否定できない事実。女性には嬉しい小物入れ充実でしょう。具体的に紹介させて頂きます。まず運転席正面に設けられた大型アッパーボックス。先代比3倍にもなる4,5Lの容量を持ちます。
運転席前のアッパーボックス。容量たっぷりです
次に、ステアリング下辺りにあるアンダートレイ。手帳などを入れるもヨシ、ボトル式ガムやら化粧ポーチを入れてもOK。折り畳み傘なんかも入るので、何かと重宝しそうですね。
ステアリング下の小物入れ。折りたたみ傘も収納可
助手席側にも跳ね上げ式のグローブボックスを設置。容量も先代比2倍の4,7Lと、運転席前のアッパーボックスと同じく大容量化されております。またグローブボックス下のアンダートレイも大きい。ティッシュボックスどころか、小型ハンドバッグまで入りそうな大きさであります。もはや小物入れではなく「大物入れ」か?
た〜っぷり入ります。逆に何も入ってないと寂しいくらい(笑)
もちろんこれらだけではなく、先代でも人気だった「プチごみ箱」も設定。もちろんドリンクホルダーだって充実している。前席はドアトリムに、後席はアームレストにそれぞれドリンクホルダーが設置されております。
この位置でもドアミラーへの視界は遮られません
特に華やかというわけではないけれど、真摯に使い勝手の向上を追求している内装には、非常に好感が持てます。あればあったで便利な装備ばかりですから、実際に購入するとその有難みを大きく感じられるはずです。とはいっても、ポケット類が多すぎたら、何をどこへ置いたか分からなくなってしまう恐れもあったりして(笑)。
(新美)
<シャーシも改良版です>
エンジンが従来型の改良版であるのと同じように、シャーシも先代のものを改良したものだ。つまり、見えないところは先代とだいたい同じと考えて差し支えないだろう。しかし、そうと言っても必ず何か進歩しているはず。単刀直入に「走りの面で一番良くしたかった部分はどこでしょうか?」と商品企画の方に伺ってみた。すると「改善したかったのは乗り心地ですね。そのために従来型でeKクラッシィに使っていたややコストのかかったショックアブソーバーを採用しました」とのご回答。日本では「コストと耐久性が最優先」となることが多く、ショックアブソーバーにコストをかけたというのは数少ない例だ。
もう1つ目立つのが、パワーステアリングだ。最近の軽自動車では燃費向上のために電動タイプをよくケーズが多いのだけど新型eKシリーズはコンベンショナルな油圧タイプ。「アイで新しい電動パワステがあるのにどうして?」と思ったので聞いてみると「シャーシを先代からキャリーオーバーしたので、使えなかったというのが本音です。でも、今では電動の方がコストも安いので、将来的に変わる可能性はあるかもしれません」と答えていただいた。
ここまでお話を伺って感じたのは「eKシリーズの性格を考えれば、必ずしも新しいメカニズムを使う必要もないな」ということ。信頼性が確立されていて、コスト的に安ければそれでいいじゃないかと思った。しかし、安全性の改良(人を跳ねてしまった場合のダメージを軽減するための歩行者保護構造の採用など)のように本当に重要なことはしっかりやっているあたりはとても立派。eKシリーズは取捨選択や割り切りが上手に出来ているクルマである。(永田)
eKスポーツにはヤンチャな部分も期待したい!
<電動スライドドアはお得!>
さて、新型eKシリーズの大きなトピックスがeKワゴンに「電動スライドドア」が採用されたこと。「電動スライドドア」の採用は、軽自動車として初であります。スライドドアについて、開発者の京藤さんにお話を伺いました。京藤さんによれば、電動スライドドアの採用はアンケートによる市場調査がきっかけであったそう。「ヒンジ式だと子供が勢いよくドアを開けて、隣のクルマに傷を付けたり、歩行者や自転車とぶつかったりして危ない」「風の強い日は、ヒンジ式だと風で押されるドアを支えるのが大変」など、電動スライドドアを求める声が多数寄せられたとのことです。
電動スライドドアにより簡単にドアを開閉できるほか、乗降性も向上。開口幅530mm、開口部高さ1005mmのおかげで、楽に乗り降りが可能です。開口部の広さに
、インナーレール式(ドア側にスライドレール式を設置する方法)が大きく貢献しています。またスライドドアを開けた状態でもドア後端がボディ後端より出ておらず、どこかにぶつける恐れがないのも隠れた工夫ポイントです。
広い開口部。乗降性抜群であります
開発にあたって苦労した点を尋ねたところ、「軽自動車の小さいドアを、電動化するのに苦労しました。やはりスペース的にキツイものがありましたので。特にインナーレール式という形で電動化するというところが難しかったです」。なるほどなるほど。
今回電動スライドドアが採用されているのは後席左側。両側への採用は考えなかったのかというと、重量や価格の面を考えて見送ったそう。重量を見ると、片側だけでヒンジ式に比べ20kg増。両側になったら40kg増。車両重量800〜900kgの軽自動車には、無視できない数字であります。また価格も電動スライドドア採用車は5万2500円高(税込み)。両側にしたら10万5千円高となってしまう。車両本体価格の1割も高くなってしまいます。見送るのも頷けますね。
これならどこかにぶつける心配なし!
京藤さん曰く「電動スライドドア採用で5万円ほど高くなりますが、価格的にはバーゲンプライスだと思っています。エスティマなどでは、手動スライドドアを電動にするだけでそれだけかかってしまう。新型eKワゴンはヒンジ式をスライド式にし、さらに電動となって同じ値段なのですから、安いと言えるはずです」と、電動スライドドアのコストパフォーマンスを強調。
運転席前面のスイッチ、そしてセンターピラー上部に取り付けられたスイッチで開閉ができるだけでなく、イージークローザーや挟み込み防止機能も備えて5万円ですから、確かにコストパフォーマンスは高いですよね。(新美)
<軽自動車No.1なオーディオ!>
新型eKシリーズの大きな特徴が、オーディオにとても力を入れていることです。ここまで軽自動車が普及してくると、当然市場の軽自動車に対する欲求は高くなる。先ほどもアンケート調査を行ったと述べましたが、その中で「軽自動車でもいい音楽を聴きたい」との意見が多かったとのこと。よって「軽自動車にもいい音楽を」と、オーディオ類に力を入れているのです。
新型eKシリーズの用意されるオーディオシステムは計3種類。純正/オーディオ本体が高性能になったもの/本格的なサウンドシステムの3種類です。中でも素晴らしいのは最上級の「ハイグレードサウンドシステム」(オプション。電動スライドドア装着車は選択不可)です。6ポジション、8スピーカーを採用したこのシステムのトータル出力は360Wとハイパワー。「アウトランダー」で採用されたロックフォードフォズゲートプレミアムサウンドシステムのノウハウも生かされているそうです。具体的にどんな工夫が施されているのか。安定した高音質を実現するのに欠かせないのがデッドニング。軽自動車という小さなクルマでデッドニングを行うのはなかなか大変ですが、新型eKでは「NIシート」という制振・遮音効果のあるシートをドア内部に内臓して対応しています。またリスニングポイントも最適化。1Hz刻みのチューニングを実施して、音的に歪んでいる部分を消去したり音の足りない部分はブーストするなどして調整しています。
フロントにはツィーターが装着されます
実際にこのシステムを搭載したモデルで試聴してみましたが(曲はエルビス・コステロの“She”。映画「ノッティングヒルの恋人」で主題歌となった曲ですね)、軽自動車としては素晴らしい音を実現しておりました。どちらかというと、温かみを感じさせるというよりは、クリアなサウンドを追求したチューニングがされていると感じました。
トヨタのbBでもそうですが、最近「車内で音楽を聴く」ことを重視したクルマが増えつつあります。渋滞など運転にうんざりした時は、音楽がとてもいい気分転換になる。いいオーディオで自分の好きな音楽を聴く。最高ではありませんか! (新美)
<お値段も頑張りました>
ここで新型eKシリーズのグレード構成、価格帯を紹介しよう。ベースとなるeKワゴンのグレードは基本的に2つ。ベーシックなM(3速ATで96万6千円)と上級のG(4速ATで105万円)で、それぞれにMSとGSという電動スライドドア仕様が5万2500円高で用意される。MとGともにCDプレーヤーまで付いており、基本的な装備に不満はないだろう。では、大きな違いは何かというと4速ATとABSだ。この2つで差額8万4千円(ABSはMにも3万6750円で装着可能)となっている。もちろん4速ATの方がいいに決まっているのだけど、もし街乗り中心というならMにABSを付けて100万円少々(できれば100万円にして欲しかったけど)という仕様で十分だろう。なお、Mには5速MTも用意されており、こちらは91万500円だ。ちなみにeKワゴンの価格はライバルとなるワゴンR、ムーヴと比べると格段に安い。また1つ、軽自動車を選ぶときの有力な選択肢が増えそうである。
eKシリーズのもう1つの顔であるeKスポーツはNAエンジンのXが126万円、ターボエンジンのRが136万5千円の価格設定(それぞれ4速AT)。こちらもライバルより安い傾向の価格設定だ。XとRの差額が10万5千円と比較的少ないことを踏まえると、もし、eKスポーツを購入する場合にはターボエンジンのRを基本に考えた方が満足感は高そうである。(永田)
すでにこんなeKもあります
<厳しい軽業界でも十分やっていけそうです>
eKシリーズといえば、気になるのがロードクリアランスの高い「eKアクティブ」、レトロなスタイルの「eKクラッシィ」といった派生車種の展開だ。このあたりを商品企画担当の方に伺ってみると「現状では何も計画されていません。でも、将来アクティブやクラッシィの形かは分かりませんけど、モデルサイクルの途中のテコ入れのために何らかの変り種が出る可能性はありますね」との答え。2代目eKシリーズではどんな変化球が来るか、今から楽しみである。
最後はこのサイトのご意見番、自動車評論家の国沢光宏氏の意見でまとめることにしよう。国沢氏は「ワゴンR、ムーヴといったライバルに比べて安いのがいいねえ。メカニズムもやや古いけど完成されたものを使っているから安心感あるし、価格は安いのに安っぽくないのも嬉しい。試乗を楽しみにしています」というコメントだった。
少し言葉が悪いけど、2代目eKシリーズも初代モデルと同様に期待以上に活躍してくれることは間違いなさそうだ。今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。(永田)
発表会にはCMキャラクターの江角マキ子さんも駆けつけました
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