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三菱自動車

デリカD:5

デリカD:5発表会

1)古豪復活に向け、デリカD:5発進!

パジェロが優勝を飾った今年のダカールラリーのサポートカー、東京オートサロンなど発売前からメディアへの露出も多かったデリカD:5が正式に発表された。デリカといえば2代目と3代目の「デリカスターワゴン」や、先代の「デリカスペースギア」など“オフロードもガンガン走れるミニバン”というところに熱烈なファン層がいたモデルとしても知られている。5代目となる「デリカD:5」はオフロードでの性能はそのままに、ミニバンとしての魅力も持つことを目的に開発されたという。13年振りにフルモデルチェンジを受けたデリカD:5がどんなクルマか? じっくり見ていこう。(永田)

2)コンセプトは“「ミニバンの優しさ」と「SUVの力強さ」の融合”!

デリカD:5の開発コンセプトは表題にも書いたように「ミニバンの優しさ」と「SUVの力強さ」の融合だ。このコンセプト、普段はミニバンとして使い、週末にはデリカならではのオフロード&雪道の走破性を生かしていろいろなところへ遊びに行って欲しいという願いの現われなのだろう。世界中探してもデリカD:5のようにSUV並みのオフロード性能を持つミニバンなかなかないので、非常に貴重な存在といえる。

デリカD:5がターゲットとするユーザー、想定するライバル車について商品企画部の篠崎さんに伺ってみた。ターゲットとするユーザーは「やはりファミリー層ですね。具体的なイメージとしては小学生くらいのお子様がいる、アクティブな行動を好む方を想定しています」。“家族で乗るクルマ”というところでは他のミニバンと同じだが、デリカD:5の場合はそこに「目的を選ばないで済む」という魅力も加わり、ライバル車とは一味違った存在となりそうである。

オプションを駆使すると、よりアクティブなD:5を作れます

ライバル車については「ボックス型のミニバンは大まかに5ナンバークラス(ノア、セレナ、ステップワゴン)と3ナンバークラス(アルファード、エルグランド、エリシオン)に分類されますが、デリカD:5はその中間を狙っています。ですので、D:5と価格が近いからということでお客様が名前の上がったクルマと比較することはあるでしょうけど、直接的なライバルはないと考えています」。ちなみに同じ三菱でオフロードでも使えるミニバンとしてグランディススポーツギアの存在もあるが、このことに関しては「D:5とグランディススポーツギアでは全高、乗車定員(D:5が8人、スポーツギアは7人)が違いますし、オフロード走破性の差も大きいのでバッティングはないと思います」とのことだった。

ライバルがいない、という珍しい位置にいるデリカD:5は将来以前のデリカやパジェロのような高いステータスを持つクルマとなっている可能性も十分ありそうだ。(永田)

3)デザインも超個性的

世界にライバルがいないコンセプトで開発されたデリカD:5はデザインも非常に個性的だ。デザインコンセプトは「高機動」。最低地上高を高く取ったことを利用しクルマが浮いているように見えるデザインとしたところや前後のバンパー下部に装着されるカバーをデザインのアクセントに使うなど、「機能と見た目を兼ねたデザイン」になっているところは高く評価できるのではないだろうか。デザイン自体もデリカらしいワイルドさと堂々した感じをうまく出している上にとても個性的だ。うまく言葉に出来ないけど、とても魅力的なデザインだと思う。

高いロードクリアランスをスタイル上の特徴として上手に使っています

ボリュームあるリア周り

デリカD:5のデザインの特徴の一つに、樹脂製のフェンダーを使っていることが挙げられる。樹脂フェンダー(僅か1.7kg、片手で軽々と持てるほど)をスチール製のフェンダーと比べ1枚で4kgの軽量化を実現。樹脂製フェンダーについて開発を担当された伊藤さんに話を伺うと「長年研究を重ねてきましたが、ようやく商品化にこぎ着けました。樹脂は本来スチールと比べると、かなりコストが高いです。しかし、コストダウンのためフェンダーを一体成形で生産する(部品点数を減らすため)などの対応を行い、コストはスチール製のフェンダーと同等となっています」。この話にはビックリされた方もいるのではないだろうか。今後についても「樹脂製のパーツは、軽量化以外にも事故の際の歩行者保護やちょっと当てられたくらいだったら復元力があるので傷にならない、といったメリットがありますからリアゲートなどにもどんどん拡大採用していきたいですね」。

見た目で樹脂とは分かりません。

軽量で見栄えもいい上にコストも変わらない樹脂パーツの登場は本当に喜ばしいと思う。次はどのパーツが樹脂製になるか? 楽しみだ。(永田)

4)SUVテイストも盛り込まれたインテリア

インテリアも外見と同様にデザインに機能を盛り込んだ非常に使いやすいものとなっている。「道具っぽさ」をうまくデザインに生かしている、と言ったところ。例えば、丸型のエアコンと4WDのモード切替のスイッチはデザインとしても面白いし、操作もしやすい。このように機能とカッコよさが兼ね備えられているデザインというのはなかなか少ないのではないだろうか。

SUV的なワイルドさも兼ね備えているインテリア

運転席に座ってみると「シートが大きく、非常にゆったりとしている。視界もいいので運転もしやすそう」と感じた。実際に走ってみないと分からないが、この印象だったら長距離ドライブでも疲労は少なそうである。

もう1つ、デリカD:5のインテリアの特徴として、グローブボックスの大きさ、機能を挙げておこう。グローブボックスは上下2段式となっており、上段には500mlのペットボトルが3本も入る(おまけにエアコンの送風を利用した保冷、保温機能付き)。主に車検証などを入れたりするグローブボックス下段はそれほど大きいわけではないが、なんとD:5のグローブボックスは上段と下段の仕切り板を外すと1つに繋ぐことも可能なのだ。グローブボックスを上下一体の状態にすると、2リッターのペットボトルを2本立てて収納することもできる。アウトドアに行った際などには、非常に嬉しい機能となりそうである。(永田)

冷蔵庫代わりにもなるグローブボックス

5)乗せてもらう立場になっても嬉しい2列目、3列目!

続いて、2列目、3列目シートを見ていこう。まず、2列目はシートが非常に厚く、シートバックも十分な高さが確保されており好印象。足元空間も広いので、多人数がD:5に乗って長距離ドライブに行くときにはやはり2列目シートが特等席となりそうだ。3列目は2列目に比べると、やや座り心地で劣る感じもする。それでも、空間としてはかなり広いので3列目シートを使う機会が多いユーザーでも十分満足できるだろう。

乗員全員が快適に過ごせそうな室内

ミニバンで大切なシートアレンジ(仮眠に便利なフラットシート、3列目収納)についても紹介しておこう。フラットシートは1列目と2列目、2列目と3列目を繋ぐ形で可能だ。1列目から3列目までをフルフラットにしなかったのは、おそらくシートとしての機能を優先した結果だろう。3列目の収納方法はライバルとなるボックス型ミニバンでも多く使われている、跳ね上げ式である。

写真は3列目シートを前に出した状態

D:5の室内空間の設計においてのエピソードについて、クルマ全体のパッケージングを担当された江口さんに聞いてみると「デリカはオフロードも走れなければなりませんから、最低地上高(先代モデルとなるデリカスペースギアに比べて20mm上がっている)の確保が必要でした。その上でミニバンとしての使いやすさやスペースも重要ですから、全高は抑えながら室内高も大きく取りたい、という相反する要素を両立させるのが大変でした」。ちなみにD:5の全高は大きく最低地上高を確保しながらも、ノアやセレナといったライバル車なみの1870mmに抑えられている。このことは三菱の持つ高い技術力の象徴と言えるのではないだろうか。(永田)

6)シャーシはアウトランダーの進化バージョン!

デリカD:5は05年秋に登場し、好評となっているアウトランダーのシャーシをベースに使っている。サスペンション形式も同じで(フロント:ストラット、リア:トレーリングアーム付きマルチリンク)、アウトランダーからの変更点は簡単に言ってしまえば「ミニバンになったことへの対応」といったところ。具体的な変更点はリアのショックアブソーバーのサイズ拡大、リア周りのスペース確保のためにスプリングとショックアブソーバーの別体化(アウトランダーは一体)などが行われた。きっと、ボックス型ミニバンとは思えないくらいの走りを見せてくれることだろう。

このシャーシがD:5の走りを支える!

デリカD:5はボディ剛性強化のために「リブボーン(肋骨の意味)フレーム」というボディ構造を採用した。このリブボーンフレームについて開発担当の渡辺さんに伺ってみると、「リブボーンフレームというのは、展示してあるホワイトボディ(写真参照)の赤く塗られた部分に張力の強い鉄板を採用したり、ピラーとルーフの結合部を“閉断面”とすることによって"キャビンを包み込む”(包み込むところが肋骨に由来)ようにボディ剛性を重量増なしで大幅に向上させたものです」。リブボーンフレームにより、開口部が大きく、ボディ剛性の確保をやりくいボックス型ミニバンを重量増なしでボディ剛性強化できたのは本当に素晴らしいことだと思う。ボディ剛性向上はD:5の乗り味、質感の向上にも大きく貢献しているのではないだろうか。(永田)

赤い部分がボディ剛性向上に大きく貢献!

7)パワートレーンはよりオフロード志向に

デリカD:5はエンジン、トランスミッション、4WDシステムといったパワートレーン系もアウトランダーと同じものを使う。しかし、ミニバンボディになったことやよりオフロードでの走破性を重視している点に対応して多くの変更が加えられている。

エンジン、トランスミッションから紹介しよう。エンジンはアウトランダーから搭載されている2.4リッター4気筒の「4B12型」で、トランスミッションはCVTだ(上級グレードにはパドルシフト付き6速スポーツモードも追加される)。エンジン、CVTの変更点は

・エンジン:吸排気系の構造変更、電子制御スロットルのセッティング変更

・CVT:ソフトウェアの変更、冷却系の強化

などとなっている。なお、指定燃料はレギュラーである。

発表されない細かい改良にも期待

4WDシステムはFFで走る「2WDモード」、前後駆動配分を最適に制御する「4WDオートモード」、後輪への駆動力を多く伝える「4WDロックモード」を持つ電子制御タイプを使う。エンジン、CVT関係よりもアウトランダーからの変更箇所が多い。4輪駆動システムの実験を担当されている田中さんによると(田中さんはパジェロの実験に携わられている)、「アウトランダーよりも車重が重くなっている点やオフロードで使われるケースが多いことに対応して、全体的に後輪への駆動力を多めに配分しています。加えて、ASC(姿勢制御装置、D:5には全車標準装備)もオフスイッチも新たに用意しました。ぬかるみなどから脱出するケースではホイールスピンを許容した方がいいケースもありますので」。

D:5は悪路走破時に重要なアプローチアングル、デパーチャーアングルもSUV並みに確保されている上、パジェロに近いレベルの厳しい走行実験(ダカールラリーのサポートカーも含む)を受けているそうで、相当タフなクルマに仕上がっていると予想できる。雪道、悪路での走行が多いアウトドア派にはきっと力強い相棒となってくれることだろう。(永田)

パジェロなどの本格SUVが走るコースだってヘッチャラ

8)三菱自慢のオーディオもあります

アウトランダー以降に発売された三菱車にはロックフォード社(アウトランダー、パジェロ)や自社製のハイグレードサウンドシステム(eKワゴン)といった素晴らしいオーディオが設定され、好評となっているのに続いてデリカD:5にも「ロックフォードフォズゲートプレミアムサウンドシステム」が用意された。

展示車で視聴してみると、相変わらずの素晴らしい音質と迫力を兼ね備えており、しばらく車内で音楽鑑賞でもしていたいな、と感じるくらいものだった。D:5用の「ロックフォードフォズゲートプレミアムサウンドシステム」について、担当の五味さん(アウトランダーやパジェロのロックフォード社製のオーディオも開発)にいろいろ伺ってみると、「D:5の前に出したパジェロは、同じロックフォード社のオーディオでも“アコースティックデザイン”というブランドを使っています。対してD:5とアウトランダー用は“プレミアムサウンドシステム”というものです。2つのブランドはクルマのキャラクター(アクティブなアウトランダー、D:5、落ち着いた雰囲気のパジェロ)によって使い分けています」。

続いて、D:5用の「ロックフォードフォズゲートプレミアムサウンドシステム」を完成させるまでの苦労については「とにかく、スライドドアに16センチの大型スピーカーを組み込んだり、サブウーハーをどこに置くか? といったスペース的な課題が大変でした。最終的にはボディ設計の方の配慮により、うまく配置することができましたが(笑)」、とボックス型のミニバンにこのオーディオを組み込むのはかなり大変なことだったようだ。

D:5用の「ロックフォードフォズゲートプレミアムサウンドシステム」は最上級のG−Premiumに標準装備、G−NAVI packageに12万6千円のオプションとなる。D:5を買う際にはぜひ装着しておきたい装備である。(永田)

ロックフォード社製オーディオのシンボルともいえるサブウーハー

9)価格も戦略的!

デリカD:5のグレード体系は261万4500円の「M」からの設定となっている。装備内容は一番安い「M」でもASCを含め一般的なフル装備状態となっており、付いていないものはオーディオくらい。このグレードをベースに自分好みにモディファイしていくという作戦もなかなか面白い。

メインとなる「G」は標準の「G」と3つのパッケージが用意される。標準のG(277万2千円)はMに対して、18インチホイール、「リラックスルームイルミネーション」(間接照明)、ディスチャージヘッドライトなどが追加される。差額に見合った価値があると言えるだろう。その上の「G―POWER PACKAGE」(288万7500円)になるとパドルシフト、クルーズコントロール、助手席側電動スライドドア等が加わる。Gとの差額10万5000円でこの装備はバーゲンプライスだ。どうせ新車を買うのだったら、このグレード以上が狙い目なのかもしれない。

その上にはHDDカーナビが装備される「G−NAVI PACKAGE」(313万9500円、メーカー側ではこのグレードが一番人気と予想)と“なんでも付いている状態”となる「G−PREMIUM」(341万2500円)が設定される。ただ、「ロックフォードフォズゲートプレミアムサウンドシステム」は純正カーナビが付く「G−NAVI PACKAGE」以上のグレードを選ばないと装着できないので注意して欲しい。

価格面は直接的なライバルがないため比較しにくいが、2.4リッターエンジン+4WDというD:5と比較的近い成り立ちをしているステップワゴン24Zの4WDで281万4000円、アルファードやエリシオンなどの2.4リッターエンジン+4WDも320万円程度することを考えれば、「オフロードも走れる」という付加価値を持ったデリカD:5の価格設定はかなりお買い得なのではないだろうか。(永田)

こんなサンルーフもオプションで用意されます(12万6000円)

10)07年新車第1弾にふさわしいインパクトでした

取材を通してデリカD:5の将来的な展開(FF車、アウトランダーの北米仕様にあるV6エンジン、キャプテンシートなど)について、開発担当の方に伺ってみた。答えは「どれも検討中(FF車は意外に早い時期に出るかもしれない)」とのこと。三菱側でも設定の検討はしているようなので、先々はかなり広いバリエーションになる可能性もありそうである。

今年の初めての新車となるデリカD:5はいかがだったでしょうか? デリカD:5は似た感じのクルマが多くなっているミニバン市場で「ライバルがいない、代わりになるクルマがない」という大きな武器を持っており、ユーザーから強い支持を受ける予感がします(すでに月間目標販売台数の2300台の約1.5倍となる3400台を受注済み)。今年はランサーのモデルチェンジもあり、復活に向けて勝負の年である三菱にとってデリカD:5が強い持ちゴマになることは間違いでしょう。どのくらいの販売台数を記録するか大注目です。今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。(永田)

パジェロとともにダカールラリーを戦ったサポートカー。ランサーのサポートカーにも似合いそうです