アスティRSのカタログを見たときは、ホントに驚いた! だって凄いんだもの! エンジンはチタンのバルブを惜しげもなく使い、ハイカムまで入ってる。さらに30%も吸気抵抗を軽減するストレートポートや、ステンレスのエキマニと低背圧マフラー、水冷式オイルクーラー、軽量フライホイール&専用クラッチまで付く。ヘリカルLSDのオプションもあって、何と4万円高!
 足も強化ブッシュを始め、専用ダンパー、クイックなオイルポンプ流量一定型パワステ、15インチ用の2ポットブレーキで武装。遮音材を減らすなどして40sの軽量も行っている。トドメは139万円という激安プライス。エンジンだけだって60万円は掛かってるぞ! これだったらインテグラRをやっつけられるかもしれない、でございます。
 すぐさま三菱に電話して試乗車があるかと聞くと「RSは受注生産車なので広報車を用意していないんですよぅ」。あららら。でも、受注生産となると、ますます欲しくなるのがジドウシャ好き。それだったらいっちょ買ったろかい!ボクはどうしてもアスティRSが欲しくなってしまったのだった。面白かったのは値引き。ディーラーはRSの価値が解らないようで、10万円も引いてくれた。


 カラーはホワイトのままでもいいと思ったけど、それじゃインテグラRと同じ。つまらないのでカッティングシートでカタログと同じにしてみた(少し派手になり過ぎたと反省気味。これじゃ悪いことも出来ないもんなぁ)。さらにタイムアタックに備え、タイヤはライバルと同じポテンザRE010をチョイスする。ちなみにパワーウエイトレシオは*・**s/ps対5・89s/psと、接戦だ!
 テスト前、編集スタッフが清水大センセイにRSの説明をすると「こりゃインテグラRに迫るかもしれないな!」。なんせ前出パワーウエイトレシオも、RSがノーマルのアスティZRと同じ175馬力だったとした場合。RSはチューニングしてあるのだ。センセイも大いに驚き、期待したらしい(ボクは外国取材中だった)。
 いよいよテストだ! まず編集部佐藤クンのノーマルインテグラRでタイムアタック。結果は驚異の1分8秒**。ずいぶん速いじゃないの! 続いてRSでコースイン。これだったらRSなら8秒台前半か? と誰もが思ったそうな。しかし、である。ノンビリ走ってたように見えたセンセイ、5してラップピットイン。「こりゃ遅いよ! ダメ!」。どうやらホンキで走っていた模様。話を聞いた国沢光宏、妙にトホホの気分。


 カタログの超派手なスペックにつられてアスティRSを買ったジドウシャヒョウロンカだが、筑波でテストしてみたらトホホのタイム。清水センセイによれば「いろんなトコがダメ!」らしい。一度は落ち込むが……。

 もはやカンペキにキレたぞ! だって考えて欲しい。アスティRSはヘリカルLSDを付けたって143万円だ。しかも冷静になってみれば、あくまでモータースポーツのベース車両。以前テストしたGT−Rニスモがそうだったように、ノーマル状態じゃマッチングだって悪い。例えばエンジン。ハイカムを入れることにより、中回転域でのトルクが落ち込んでしまっているのだな。
 そこで15万円くらいの予算でモディファイすることにした。清水センセイから出た問題点は、1)エンジンは5千回転の部分でトルクの谷がある。2)タイヤの性能に足がついていっていない。の2点。こう書くと「お前だってジドウシャの評価は出来るだろ?」と言われそうだけど、困ったことに4月以降海外取材の連続。馴らしをやっただけで、ほとんど乗っていないのだ。当然、モディファイに取りかかる。とりあえず1)はコンピューターをいじり、可変カムの切り替えタイミングを変更。2)は車高を合法的な範囲内で下げようとも思ったんだけど、安直な手段に走らず、ストラットタワーバーの追加とダンパーの強化を行う。


 インディ500の解説でアメリカに行かなければならず、残念ながらモディファイしたRSにゃ試乗出来なかったが、今度こそ自信満々である! 電話でエンジンの状況を聞くと、トルクの谷は無くなり、快調だという。遠いアメリカで「インテグラRのタイムを大幅に更新したらどうしましょ? 逆に勝負を挑まれたりするとイヤだなぁ」と変な心配をしたりするのだった。
 テストが終わった時間を見計らって、インディアナポリスから日本に電話してみる。するとボクを慰めようとする口調で「0、077秒速くなったんですけど……」。明るい舞台がイッキに暗くなったような、自信あったテストなのに見事落第したような、絶対大丈夫だと思って「つき合ってね」と言ったら「お友達でいましょう」と返事されたような気分。
 筑波1ラップで0、077秒と言えば、わずか1、7mの差だぞ。しかも清水センセイによれば「ダンパーがウンコ。エンジンも谷は無いがパワーまでない」と酷評。この瞬間「もはや後戻りは出来ないな!」と覚悟を決めた。こうなりゃ意地だ。『諦めません勝つまでは』をテーマに、合法の範囲内でやったる! 次回のチャレンジを見とれ! 今度こそホンキになったぞ!