インプレッサの0〜400m加速タイムを見てくれ! 12秒19だぞ! 編集部から「今回が最終対決ですから思い切りやって下さい!」と言われたし、もし壊れても責任を取るとの言質まで得たから、ボクの持てるテクニックをフルに使ってトライしたんだけど、こんなに速いたぁ思わなかったぞ! もはやWRCのグリープA(95年から厳しい吸入空気量制限で270馬力くらいにダウンしている)に近いパフォーマンスを持ってると思う。
参考までに「壊れてもいいスタート」とは何か? 一つはクラッチミート。アクセル全開のままクラッチミートすると速いと思ってるかもしれないけど、そいつは間違い。ターボ車の場合、ブースト圧が最大になっている状態がベスト。そこでブリッピング状態からアクセル全開にし、回転リミッターに当たる寸前でクラッチをドカンと離す。後はアクセルを戻さないままクラッチをケ飛ばし、チカラ任せでシフトアップしてくのだ。

 市販車でこのテクを使うと、必ずどこかが滑るか壊れる(ランエボはクラッチが滑った)。シフトミスしてもオーバーレブでアウトだな。なぜインプレッサなら出来るか? やっぱり限りなくラリー車に近いからだと思う。特にシフトタッチは極上だ。ランエボ4も素晴らしいクルマながら、インプレッサSTiバージョンはワンランク競技車両の雰囲気に近いと思う!
 しかぁし! ジムカーナをやると、ランエボの優れた面が出てくる。考えて欲しい。今回テストしたクルマは、インプレッサが競技車両向けのRAをベースにしたSTiバージョン。ランエボは街乗り用のGSRだ。車両重量だって**s違うから、本来ならインプレッサ圧勝になっておかしくない。なのにジムカーナタイムはホンの少しの差で収まっている。どうしてだろうか?

 説明しよう。今回のコース、市販車の比較テスト用としちゃけっこう絶妙の設定。公道のように1速じゃフケ切り、2速を使うとなれば幅広いトルクバンドを必要とするようなコーナリングの連続なのだ。ヘアピンカーブと中速コーナーが連続するワインディングロードを想像して欲しい。したがってコーナリング速度だけでなく、エンジンのトルク特性も大きなファクターになってくる。
 こんな場面で頼もしいのがランエボのぶっといトルク。2速でパイロンをクリアし、アクセル全開にするとタイムラグ無しにグイグイ加速してしまう(GSRにのみ標準装備されるAYCの効きも非常に有効だった)。対するインプレッサは、2速だとトルク不足。かといって1速じゃシフトアップのタイムロスが出てしまう。もしランエボが90s軽い『RS』なら、今回みたいなコース設定だとインプレッサ苦戦か?

 そろそろ結論を出さねばなるまい! もし「限りなく競技車両に近いエボ」が欲しいなら、考えるまでもなくインプレッサだ。鬼のようにガッシリしたボディや、正確でダイレクトなシフトフィール、市販車殺しのクラッチ操作にさえ耐える駆動系を持つ。カンペキ市販状態での競技でもやればモンク無しに2リッター世界最強の座を奪えるだろう(限界領域でアンダーが強いのが唯一の弱点)。
 一方、ランエボは「未完の大器」だと思う。市販状態じゃシフトフィールやクラッチ容量に問題を抱えているものの、それでインプレッサに迫り、コース設定によっちゃ勝つほど。プレリュードは限界領域で問題を抱えるAYCも違和感無く、完全に使いこなしているように思えた。ランエボVまで不満が多かったハンドリングだって、限界領域の素直さはインプレッサ以上かもしれない。
 今回、改めて考えたんだけど、ドッチも飛び抜けて良いクルマだと思う。こんなに濃い個性を持ち、ポルシェ993やBMW−M3にも勝てるようなクルマが300万円以内で買えるなんて日本人は幸せだ!

PS・もしワインディングロードでライバル同士が出会ったなら、とりあえず相手のウデを確認してみましょう。速そうであれば、オトモダチになってね。この2車で戦うと超高い難易度になるからアブナイぞ!