特選街より。そのクラスのおすすめ車選び。

○こういっては失礼だが、今回の投票でナンバー1になったのをみても解る通り、意外に良く出来たクルマである。まずスタイル。BMWの5シリーズに似た雰囲気ではあるけれど、ジックリ見れば全然違う。非常にシャープながらボリュームがある、という上手な仕上げだ。特にボディ側面のラインは、たくましさを感じるほど。空力処理もしっかり行った結果、CD値は0、28と良好。高速燃費を稼ぐのに役立つだろう。
 安全性の向上はどのメーカーにとってもメインテーマの一つ。全世界に輸出されるディアマンテの場合、非常に厳しいと言われる3つの基準をクリアしている。簡単に紹介すると、@アメリカで要求される56qからの正面衝突。A50q側面衝突、そしてBヨーロッパの50qオフセットクラッシュモードをクリア。日本で施行される50qの正面衝突モードなど朝飯前だ。ドアロックは衝突と同時に自動解除される機能まで付く。



 エンジンも豊富なバリエーションを持つ。最もパワフルな3リッターユニットは、ノンターボながら実に270馬力を発生! NSXでもAT用は265馬力なのだ。その他、普通の3リッターは230馬力。2、5リッターも200馬力を引き出す。技術的に評価したいのは、世界初のリーンバーン6気筒。非常に難しいと言われた大排気量&多気筒エンジンのリーンバーンをあっさり実現してきた。しかも特別なグレード用でなく、ディアマンテの最量販グレードのために作ったのだから凄い! つまり安く大量に作れるということである。このエンジンも最高出力は175馬力を確保。高速道路のクルージングならリッター当たり12qに届く。
 ATは三菱御自慢のファジィ制御。Dレンジに入れておけば、下り坂に差し掛かると自動的にシフトダウン。エンジンブレーキまで勝手に掛けてくれる。25S以上に組み合わされるスポーツモード付きATは、何と5速タイプ。このAT、多板クラッチを使った世界最新鋭のATで、スポーツモードを使えばマニュアルに匹敵する速さでシフトチェンジを行う。スポーティな270馬力とのマッチングは最高だと思う。量販グレードのリーンバーンは4速タイプのファジィ制御仕様。燃費を最大限向上させるためのロジックも組み込まれており、10・15モード燃費は11、2qとミドルクラスの1800t4気筒並。

 足回りも悪くない。サスペンションは最新のメカニズムである4輪マルチリンクを採用。この形式、乗り心地と操縦性を両立出来るため、新型車はこぞって使っている。さらにブッシュ(サスペンションとボディの接合部に使われるゴム部品)やアライメントを大幅に見直した結果、アッパークラスに匹敵する静粛性を実現できた。細かい部分ではABSが4チャンネルになったり、上級グレードにタイヤの空気圧低下警報を標準装備するなど、技術的に可能と思われる機能を全て投入しているのも凄い。

×そんなに良いクルマなら売れるだろうと思うのだけれど、どうにも調子よくない状態。ハードとしての完成度からすると、現行モデルより格段に落ちる従来型より売れていないのだ。売れない理由は二つ考えられる。一つ目が販売力。アッパーミドルクラスというのは、ほとんど訪問販売。つまり付き合いの長い顧客に売っていかねばならない。しかし三菱のディーラーはユーザーとの付き合い方がトヨタや日産と比べ浅いようで、ドンドン逃がしてしまう傾向。二つ目はクルマに”色気”がないこと。優秀なんだけれど、決め手を持っていない。せっかくの270馬力エンジンも、有効に使っていないのだ。それこそBMWみたいに、スポーティなイメージを作り上げればいいのに、と思う。

  ディアマンテワゴン

○このクルマ、本来はオーストラリアでのみ販売される計画だった。だから現地生産なのである。さて。オーストラリア人は大量の荷物を載せるためSWを選ぶ。したがってスペースはヨーロッパのLクラスSWに負けていない。リアタイヤはホイールアーチ分しか室内に出っ張ってないし(しかも実にコンパクト)、前後方向も余裕はあって183pボクでもタテ方向に寝れた。二人だけならこのスペースをベットにすることだって無理ではない。いや、総体的にスペース効率がいいため、子供が小さいうちなら親子4人で寝ることだって可能だ。オートキャンプファンなら、実に有難いスペースだと思う。ちなみにスペアタイヤはフロアの下にある。
×じゃ、まったく問題がないかというと、そうでもない。残念だったのはリアシートの座面が固定だという点。写真を見ても判るように、リアシートは背もたれの部分しか倒れない。それでもスペースは充分なんだけど、他車みたいに座面まで畳めればさらによかったと思う。チェックしてみたところ、工具さえあればリアシートの座面を取ることは出来る。もし二人だけで出かけるなら、ここを加工してフラットにしてしまったらどうだろう。
 静粛性やハンドリングはセプターワゴンに負ける。セプターの場合、すべての速度域で高級サルーンであるウィンダムと同じくらい靜か。ディアマンテワゴンは120qくらいまでなら充分なレベルながら、それ以上では少しずつ騒音が気になってくる。ハンドリングもシャキッとしたコーナリング性能より、巡航時の乗り心地を狙ったもの。リアサスにリジットを使うため荒れた路面ではバタツキが出てしまう。
 売れ行きもあまり芳しくなかったようで、次期型の生産計画は未定らしい。もし欲しいと思うなら、早めに購入しておくことをすすめる。249万円で買える『30V』は、3リッターエンジン搭載車のなかで最も安い。