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12代目スカイライン試乗レポート

永:今年、日産から出る唯一の新型車であるスカイラインに試乗する日がやってきました。

新:先代のV35は大きな物議を醸しましたが、なんだかんだいってもやはり新型スカイラインへの注目は高いですね。

国:いろいろ意見はあるだろうけど、とにかく乗ってみよう。

永:V35には本当にガッカリしましたから、「V36がどのくらい“スカイラインらしさ”を取り戻りしたか?」に注目したいですね。

<250GT TypeV>

永:最初の試乗車は2.5リッターエンジンの250GT TypeVです。

新:走り出してすぐに感じるのは乗り心地がいいことですね。「硬めで引き締まっているんだけど、当たりは硬くなくて収まりがいい」という理想的なタイプです。これは大きなギャップを乗り越えても同じ印象です。

国:乗り心地の良さにはダンパーも大きく関係しているね。フーガで評判のいいデュアルフローパスショックアブソーバー(日立系のトキコ製)を採用したのが効いてる。それからボディ剛性がV35よりもずっと上がっているせいでしょう。いやあ、本当に快適だよ。

永:これだけ強いボディを持ちながらもライバルとなるレクサスISやBMW3シリーズと比べて、同等の車重に押さえられているのは高く評価できます。スカイラインの方が全長も長いですしね。よくこれだけの重さに抑えてくれました。

新:実質的に新開発となったVQエンジンは非常にスムースですね。今は3人乗車ですが、平坦な道を走っている分には力不足をまったく感じません。

永:7500回転という高回転まで回して、2.5リッターNAとしてはトップクラスとなる225馬力を発生している。だから「もしかしたら、上に振った分で低速が薄くなっていないか?」なんて変な心配をしていたんですが、そんな心配はまったく無用でした。

国:乗った第一印象はすごくいいよ。これがワインディングに行ってどうなるか、すごく楽しみ。

実用十分な2,5リッターエンジン

<ハンドリングのチェック>

国:いやー、久しぶりに往年の日産車のような、楽しさを感じさせるクルマに出会ったねえ。こんな楽しい日産のFR車はR34のスカイライン以来。

新:隣に乗っていても安心感がものすごく高いです。

永:峠道によくある大き目のギャップを乗り越えても、ボディとダンパーの良さのおかげでヘッチャラですね。

国:姿勢制御装置VDCの介入の仕方も、お節介じゃないから邪魔にならない。北海道のテスコースで走った時はテールの流れ方もマイルドでテールスライドのコントロールもしやすかった。ここまでいいとお世辞じゃなく世界最高のFR車って言い切ってしまいましょう。

永:そこまでいいんですか? 早く乗りたいです。

国:じゃあ、交代。

永:はい。ここまで期待を持って乗るクルマって久しぶりな気がします。

ストラットアッパーの補強も入念。剛性感高いです

国:どう?

永:ここまでいいと思ってもいませんでした。なんか今は興奮していて、何がいいの
かよく伝えられないんですが。

新:そんなにいいんですか?

永:やっと我を取り戻しました。まずいいのはステアリングに伝わってくるフロントの安心感とフロントタイヤのインフォメーションの正確性ですね。クルマとクルマからの情報を信頼しながら走ることが出来ます。すいませんが、もう一回り運転させてください。

新:永田さんがワインディングでこんなこと言うなんて初めてですね。

国:これが新型スカイラインの良さを象徴する言葉だと思う。

永:運転が楽しくて、ずっと乗っていたいんです。正直、乗る前は「ラグジュアリーなセダンかなあ」と思っていた部分もあったんですが、これは紛れもないスカイラインです。では、交代で。

素直なハンドリング。楽しすぎるぞ!

新:ハイ。ああ、なるほど。2人が言っていることがよ〜く分かります。簡単に言っちゃうと「超楽しいです!」。意のままに操れるし、だから不安感もない。

国:どこかに移動する時間が楽しい時間になるよな。

永:私はこれだけ楽しいと「体が元気になるな」と思うくらいです。

新:エンジンは山道だとディーラーで試乗したときと印象が違いますね。

国:どんな風に?

新:ディーラーで味見した時は普通の平坦路で乗員も男性2人(僕と営業マン)と女性1人だったので、高回転のパンチもそこそこあるなあと感じたんです。でも、今日は勾配のあるワインディングで男性3人(210kg分)という状況。ちょっと辛さを感じます。

永:自分はスムースでいい音(全開加速していく音はノーマルマフラーとは思えないほど素晴らしい)を聞かせてくれるんだけど、パンチとか強いドラマ性はないかなと感じました。

国:3人乗りで登りだと少し厳しいかな。エンジンとATに関しては、トヨタのV6(スカイラインより10馬力低い215馬力)+6速ATの勝ち。

2,5リッターだと山道は少し厳しいか?

永:これは中速のトルクが足りないことに加えて、ギア比が合ってない(ワインディングだとほとんど2速ホールド状態)からではないかと思います。シャーシがいいから余計にそう感じさせるのかもしれませんけど。

新:中速トルクの増強か6速AT化を強く願いたいところ。販売戦略として2,5の存在は解るのですけど、6速ATにして欲しかった。そうしたらもっと楽しくなるのに。

永:加えてずっと2速ホールド状態だと嫌なのは、シフトダウンのときに回転を合わせてくれる「シンクロレブコントロール」(04年秋発売のフーガあたりから採用されている)の空吹かしをあまり味わえないからというのもあります。3速に入ってくれないと2速にシフトダウンできないですから(笑)。

新:しかし……これは本当に気持ちいいですね。レクサスISもよく曲がりますけど、あちらは自然な感じでなくて、何だか人工的。スカイラインの方がリニアに、そして安心して攻められます。

永:あんまりいいから、シフトダウンのときの「ブアン」っていう音を聞きたいために必要なくてもセレクトダウンしちゃうくらい。実は「とりあえずマニュアルはなしか」と少しばかり肩を落としていたのですが、「シンクロレブコントロールがあればATでもいいか」って錯覚するくらいです。もちろん、本心ではMT設定を希望していますけど。

<350GT TypeSP>

4WAS装着で、さらにハンドリングに磨きがかかります

永:2台目の試乗車は「走りのスカイライン」本命モデルとなる350GT TypeSPの4WAS付きです。

※4WASは簡単に言ってしまうと、ステアリングギアレシオの可変化と後輪の操舵(ハンドルを切った向きと同じ方向のみ)を行うシステム。

国:これも北海道のテストコースで試してみたよ。ワタシはコッチが好き。

新:乗り心地はタイヤが18インチになるのと固めのスポーツサスペンションになったせいで、初期のあたりがちょっと硬め。けれど、きっちり減衰してくれてるから不快ではありません。

国:全然許容範囲内。優秀、優秀。エンジンもさすがは3.5リッターで、2.5リッターに比べるとアクセル開度が少なくて楽チンだ。

永:さあ、再びワインディングにやってきました。

国:一言で言うと「2.5リッターよりも、1ランク切れ味を増した」って感じかな。

新:4WASはどうですか?

国:ハンドル切る量少なくなるし、リアも回り込んでくれるから運転していてかなり楽。じゃあ交代。

永:おおおぉぉ、3.5リッターエンジンは低速も強力ですが、それ以上に3000回転から5000回転あたりの中速トルクが強烈ですね。音の良さと回り方に息の長いドラマ性を感じるところはトヨタの3.5リッターよりも好みです。

新:なんか顔がすごく生き生きしてますよ? いやー、楽しそうだなぁ。

永:だって楽しいんだもん。やっぱり4WASはあった方が速く走れて、楽でいいですね。15万円程度で付けられますから、お勧めです。できれば2.5リッターにも付けられるようにして欲しいですね(現状では350GT TypeSPとSのみのオプション設定)。ちなみに高速道路で試したところ、2速から1速へのシフトダウンは60キロくらいから可能でした。もちろん、シンクロレブコントロールも3速から2速にするときよりも、大きくブリッピングしてくれます。では、交代で。

新:はい。ああ、やっぱり山道走るなら3.5リッターですね。予算があれば絶対3.5リッターがいいと思います。4WASは乗り始めて最初は違和感ありますけど、すぐに慣れます。感想としてはお二人と同じで舵角が少なくなるんで運転楽だし、初期応答も鋭くなるんで楽しいです。いつまでも乗っていたいですね。ステアリングフィールもリニアかつクリアで最高っす。

3,5だと全体にトルク太くなり元気に加速してくれます。

永:ここまでいいと、このシャーシを使うであろう次のGT−RやZにおのずと期待してしまいますね。他に不満な点はありますか?

国:ちょっと、パドルシフトの感触が良くないかな。

永:私はすごくいいじゃん、と思ったんですが。個人的にはすごく良かったから感じてしまったのでしょうけど、MT設定と肩のホールドがいいシートが欲しいなと思いました(アメリカには、そのような仕様もあるらしい)。

<350GT TypeS>

永:最後の試乗車は350GT TypeS(18インチタイヤ、4WASなし)です。

国:乗り心地はさっきの4WAS付きよりも柔らかめ目セッティングになっているらしくて、こっちのがいいね。

新:師匠のレガシィGT(Aタイプ、当時の3.0R用のショックに交換)と似たフィーリングに感じます。

国:そうだね。意外と似ているかもしれない。

永:街乗りや高速クルージングが多くて、ワインディングを走る機会は多くないというユーザーにはベストのセッティングではないでしょうか。

国:4WASなしのクルマに乗り換えてみると、4WASの恩恵はすごく大きいことが解るね。

新、永:ハンドル操作忙しくなりますね。

国:やっぱり、4WASを選べるグレードを買う場合には選んでおくべきってことですな。

バッテリーをボンネット後方に搭載! 気を使っています。

<インテリアの評価は?>

永:走りばかりを見てきましたが、インテリアについて話し合いたいと思います。

新:高級感の演出はなかなかいいのではないでしょうか。特に200万後半から300万円が売れ筋のクルマとしては、値段相応の質感あると思います。

国:すごく印象に残るインテリアではないけど、フーガなんかに比べるとナビ周りの作りとかアルミ調のパネルや木目の感じとかが良くなったよ。

こなれてきた感じのインテリア。上手になってきました

永:なんでか分かりませんが、革シートがよく似合うクルマですね。個人的な意見を付け加えると、メーターがマツダや三菱のクルマに似ているなと思いました。リアシートはどうでしょうか。

新:決して広くはないです。広さを求める方にはフーガをどうぞといったところ。でも、常時4人乗るわけではないスポーツセダンとして見れば十分でしょう。もっとスポーティさを求めるなら、クーペも出ますし。

国:包まれ感も適当でスポーツセダンらしいと思うな。

永:広くはないけど、ISよりもずっと広いですから十分合格ではないでしょうか。

国:話は変わるけど、オプションのBOSEのオーディオは最高だね。

永:音のクリアさとパンチのバランスが最高だと思います。

新:最近は「本当にこれBOSEなの?」って感じる自動車用BOSEもありますけど、スカイライン用は本物ですね。低音のメリハリが素晴らしい。

永:さすが、スカイライン専用設計ですね。

新:これで12万円くらいなら買いです。

国:ぜひ装着をお勧めします。

<やっぱりスタイルが一番の弱点>

日本にグラマラスはいらない?

永:ここまでスタイルのことはあえて話題に出しませんでしたが、避けては通れませんからご意見をお願いします。

国:スカイラインと思わないで、インフィニティG35として見ればいいんじゃないかな。でも、スカイラインだと思うとスカイラインらしくはないワな。

永:「スカイラインらしさって何か?」という議論は収拾が付きませんから置いておくとして、ぜひ1度R32かR34を所有してみたいと考えている私も「悪くはないけど、スカイラインらしくはないな」と思います。

新:まだクルマ歴が短く、スカイラインに強い思い入れのない僕にはなかなかいいと思います。フーガと似ているけれど、フーガより野暮ったさがなく、スタイリッシュに感じました。リアも北米メインと考えればボリューム感とかグラマラスでいいと思います。実際、僕の友人(女性)はスカイラインを見て「カッコイイ!」と評しておりました。

国:フーガの名前が出たけど、デザイン似せ過ぎだよなあ。間違える人も結構いるらしい。

永:私もフーガを街で見ると「あれはフーガだったよな」と確認するようになりました。フーガに似ているのもそうですけど、ちょっとシルフィっぽいってのも問題だと思います。ついでに今日気づいたのですが、横から見るとISに似た雰囲気もありますね。

新:「メーカー内でデザインに統一性を持たせる」というも理解できなくはないですけど、最近の日産車って基本的にカッコよくないのが問題だと思います。

国:カッコ良くないねえ。でも、本来スカイラインとして作られていなかったV35が、インフィニティG35としてアメリカに渡ったらヒットしたのを踏まえたら、デザインがアメリカ向けになるのはやむを得ない。デザインについては諦めるしかないな。

永:個人的には中身があそこまでいいなら、「デザインは目をつぶろうか」という気持ちも少しあります。グリルとかライト、リア周りをスカイライン風にアレンジしたら「日本向けのスカイライン」になりませんかね。

国:このデザインはそういう小手先の手当てでは対応しきれないと思う。

<まとめ>

 デザインは別として、レポートをここまで読んでいただくと新型スカイラインのハード面は文句の付けようことが分かっていただけると思う。特に走りの楽しさについては歴代スカイラインの中でベスト3に入る仕上がりである。個人的にはスタイルはこの際我慢して、MT設定さえあれば「ちょっと欲しいかも」と感じる。

 ただ、新型スカイラインでちょっと残念だったのは走り以外では新しさがなかったことだ。これだけ走りがいいのは素晴らしいのだけど、例えば「群を抜いて軽い」とか「これだけよく走るんだけど、メチャクチャ燃費がいい」という部分があれば21世紀を走るクルマとして文句なかったのではないだろうか。

 しかし、一部では「日産の量産ハイブリッド一号車はスカイライン」になるという噂もあるように、このあたりのことは先々になれば意外と心配はないのかもしれない。

 あとは、このスタイルが日本市場でどんな評価を受けるか? ということだけだと思う。もし余力が出来たら、この中身のまま「日本人の考えるスカイラインの内外装」を与えてもらえないものだろうか?

レポート/永田恵一・新美瑛生