ワタシのHPに来ている方の中には、セルシオのユーザーや、セルシオをオーダーして待っている人、そしてセルシオの購入を考えている人などがいる。意外なことにセルシオに興味ある人の大半は、シーマを気にしているようなのだ。確かに排気量やボディサイズなどシーマの方が勝っているし、価格設定なども同じ。迷って当然かもしれない。トヨタにとっても強烈なパンチだったようだ。ここまでセルシオを慌てさせたのだからシーマの開発チームは凄い! しかかし。『車格』からすれば、明らかにワンランク違う。なんせシーマの車台(シャシ)はセドリックなのである。
 乗ればハッキリ解る。というのも高級車の場合、乗り心地と繊細なハンドルの手応えを両立させるため、コスト掛かっても能力的に優れるWウィッシュボーンやマルチリンクをフロントに使う(セルシオはWウィッシュボーン)。しかしセドリックのシャシを使うシーマはそこまで変えられず、コストパフォーマンス重視のストラット式のまま。セドリックの開発陣もそのあたりを承知しており、ライバル車としてBMWの5シリーズやベンツEクラスを御指名している。ちなみにセルシオのライバルは、ベンツSクラスとBMW7。

 あまり知られていないことながら、ボディサイズやエンジンの排気量など、どうにでもなってしまう。大きなボディに大きなエンジン積むアメリカ車が典型例。極論を言えば、ローレルに4500ccエンジン積んで大きなボディと組み合わせればシーマと同じ排気量とサイズにクルマを作れるのだ。シーマの場合、前述の通りセドリックと同じ車台に大きなエンジンと大柄なボディを被せたもの。したがってセルシオとシーマを乗り比べれば、専用の車台やサスペンションを奢られたセルシオの方が明らかに質感高い。
 したがって「セルシオよりいいか?」と聞かれたらアッサリと否定する。つまりシーマの持ち味はセルシオやベンツSクラスのようなラグジュアリーセダンでなく、BMW540i的なスポーティサルーンなのだ。そう考えるとハンドリング重視の足周りや、セルシオより一回り狭い室内スペースも理解できるというもの。そこさえ理解できれば、シーマって素晴らしい。スタイルもセルシオより押し出し利くし、4,5リッターの大パワーエンジンだってアクセル踏めばワクワクします。

 また、シーマの大きなセールスポイントになっている燃費だが、あまり期待しないでおくこと。スムースな走りを追求した結果、70km以上になれば希薄燃焼モードにほとんど入らない。100kmくらいで希薄燃焼モードと通常モードがヒンパンに切り替わるとギクシャクするのだ。希薄燃焼して燃費を稼げるのは街中が中心。むしろ空気抵抗大きいため(セルシオCD=0,26。シーマCD=0,30)、高速燃費はセルシオより悪いと思う。さらに排気ガスのクリーン度で負けているなど(セルシオ☆三つ。シーマ☆一つ)、技術レベルから評価するとセルシオに届いていない。
 じゃ魅力ないか? そんなことありません。ヒネたヒョウロンカはウルサイこと言うが、普通のユーザーであればベンツEクラスやBMW5シリーズだって素晴らしいと感じるだろう。シーマの開発陣はベテラン揃いだからして、そう簡単にゃ弱点を出さないように仕上がっている。個人的に最も大きなインパクトを受けたのが『レーンキープサポートシステム』と呼ばれる自動操縦装置。現時点では道路交通法で手放し運転を認めていないため、宣伝などで積極的に紹介することも出来ないらしいが、性能的に評価すればカンペキな手放し運転出来る。

 車両運送法と道路交通法は全く違う法律。車両運送法では100km以上出るクルマも問題けれど、道路交通法では禁止されている。それと同じこと。具体的な説明をしたい。フロントグリルの中央部には『ミリ波レーダー』と呼ばれる、けっこう本式のレーダーが埋め込まれている。このレーダー、軍事技術を使ったもので極めて高性能。1秒間に200回も前方を探っているという。これで前方のチェックを絶えず行う。オートクルーズモードにすればレーダーが作動。自車より遅く速度で走る先行車に追いつくと、自動的に一定の車間距離をキープする。
 もし先行車がブレーキ掛ければ、1秒間に200回も車間距離の計測を行っているため、瞬時にこちらも自動でブレーキが掛かるからたいしたもの。車線を見ているのはルームラー上部に設置されたCCDカメラである。人間の目と同じように白線を判別。自車の位置を測定して、その情報をコンピューターに流す。右や左に寄ると、コンピュータは「元に戻れ」という信号をハンドル部分に装着されたモーターに送り、車線をキープするというシステム。つまりカメラで車線を見、レーダー使って前を監視しているのだ。

 日産の技術者によれば「キツいカーブや低速度でも自動運転することは技術的に出来ますが、運輸省の認可が降りず断念しました」という。現在のシステムだと、急なカーブや強い横風を受けると自動運転は解除されてしまう。また、セット出来る速度は65〜100kmの範囲。でもハンドルから力を抜いても、自動的に車線中央を走ってくれるのには感激した。もしシーマを買う予算があれば、ぜひともこの装置を付けてみたらいかがだろうか。このためにシーマ買ってもいいな、と思う。今年のカーオブザイヤー、ワタシは特別賞か本賞かドチラかに入れます!