「シルビアが大がかりなマイナーチェンジをするらしいぞ!」というウワサを聞いたのは昨年秋のことだった。売れまくった先代シルビアの後継モデルとして登場した『S14』の売れ行きがイマイチのため「強力なテコ入れをしなくちゃ」と、日産は考えたのだろう。確かに現行シルビアは厳しい状況。旧型と同じボディのまま売られている180SXにさえ追いつかれる始末だ。アベニールやプレーリーみたいに、マイナーチェンジで販売を倍増出来れば万々歳である。

 ところが、だ。発表されたマイナーチェンジモデルの資料をチェックしてみたら、変更されたのは主としてフロントマスク。2リッターターボとしては少し物足りない220馬力のエンジンや(今や2リッターターボの平均的パワーは240〜260馬力)、ソフト過ぎると評価されている足回りなどもホンの少ししか変わっていない。S14シルビアの売れ行き不振を、日産はフロントマスクに原因があると判断したのだろう。というワケで、余り大がかりなマイナーチェンジじゃなかった。以下、変更されたポイントを説明してみたい。

 日産のプレスリリースによれば、変更されたポイントは4つある、と書いてあった。1)ダイナミックでスポーティなスタイリング。2)楽しい”走り”の演出。3)快適性・実用性の向上。4)安全への配慮(いずれも原文のママ)。というもの。具体的にはどんな内容になっているだろう?
 まず1)。これは写真を見て欲しい。これまでのフロントマスクは先代と似たイメージで、やや迫力に掛けた。そこで「シャープな印象を与える薄型のプロジェクターヘッドランプ、スポイラー風の処理を施したフロントカラードエアロバンパーなどの採用により、ワイド&ローを強調するスポーティなフロントビューを実現した」そうだ。確かにイメージは随分違う。ディーラーで実車を見たけれど、ドレスアップカー的な雰囲気。

 サイドビューは「サイドシルプロテクターとメッシュタイプの15インチアルミホイールで躍動感を与えようとしました」。ただしサイドシルプロテクターが付くのはエアロ系だけ。BBS風15インチホイールもQ,sにのみ付く。ノーマルのK,sは鉄ホイールで、エアロパーツの類(リアスポイラーも含む)といったものもナシ。オーディオ関係まで一切付かないのだ。逆に考えると、ノーマルK,sって、ドレスアップのために設定されたグレードだと思われる。
 リアコンビの違いになると、もはや熱烈なシルビアファンにしか解るまい。なんでも水平基調の段差を付けたのだと言う。エアロ系は新設計の大型リアスポイラーが迫力。「けっこうイメージが変わったなぁ」と思うか「全然変わらないじゃないの!」と思うかは読者諸兄に判断を任せる。

 2)の楽しい”走り”の演出は、4本スポーツタイプのステアリングと新デザインのシートに換え、スピードメーターを楕円から円形にしたのがデザイン上の変更点。走りもリアショックの最適チューニングとボディ剛性の向上、マフラー内部構造のチューニング(ターボ車のみ)を行い、シャープでスポーティな走りを追求したそうな。このなかではリアショックの変更とボディ剛性の向上が楽しみ。意外に大きな味の違いになっているかもしれない。その他、NAはフロントブレーキをベンチレーテッド化するなど、見えない部分のモディファイも行っている。

 3)はケンウッドサウンドシステムの価格見直しがメイン。細かい部分までピックアップすると(あまり変わってないので、細かい部分もクローズアップして解説しましょうかね)、様々なカードを入れるケースや、キー連動室内照明システムといったものも追加された。プレスリリースで4)の部分に書かれていたのは「ABSをエアロ系に標準装備する」のみ。事実上変更ナシと思っていいだろう。

 どのグレードがおすすめか? K,sエアロとK,sの価格差は20万円。なのに、これで16インチのアルミホイールとABS、オーディオ、リアスポイラーまで含むエアロキット、革巻きハンドルという大きな装備差となる。特にエアバック対応の革巻きハンドルは高いぞ! 常識的に考えるなら、誰だってエアロを買うに違いない。オーディオなど、取り替えるつもりでもエアロがお買い得だ。しかし自分好みのクルマに仕立てないなら、潔くK,sってのもよろしい。

 Q,sとエアロの価格差は、ググッと広がり38万円。なのに装備の違いを見ると、むしろK,sより少ないではないか。Q,sはどっちもアルミが標準装備されるのだ。となればコッチは絶対に標準グレードを買うべきだろう。38万円あれば、アフターマーケットで出ているカッコいいエアロキットと、オーディオくらい買える。というワケで、ボクのイチオシはノーマルのQ,s。こいつを買って好みのクルマに仕上げましょう。