長い間、ヒョウンカやってると、乗ってガッカリするクルマというのがある。期待値を下回る、というヤツ。逆にあまり期待してないで乗ったら凄くよかった、というクルマもあるから面白い。エクストレイルは典型的な後者。なんせ初めてハンドル握ったのって、発売後1ヶ月以上経ってからだもの(普通なら発表後、数日以内にテストする)。チャンスは何度もあったのだけれど、積極的に乗る気にゃならんかったのだ。期待せず走り出したトコロ、これがなかなか良いでないの! 大きなボディに2リッターエンジンだから鈍重だと思ってたらそうでなかった。
 むろんドカンと速くもないのだけれど、予想してたより元気走ってくれる。冷静になって考えてみれば、4WDの車重1400kgしかない。セレナのFFより200kg以上軽いだけでなく、プレーリー・リバティのFFより90kg軽いのであった! これだけ大柄なボディで軽いのだからタイしたもんだと思う。リッター12kmという10・15モード燃費は、2リッターの4WDとしちゃトップクラス。お正月休みに借りて燃費テストしてみたら、高速道路で90q巡航すれば、実燃費でもリッター11〜12kmくらい走った。やっぱりガソリン食わないクルマが好きです。
 エクストレイルに搭載される日産の『QR型』と呼ばれる新世代4気筒は(150馬力)、まだ高回転域でのスムースさなど物足りないものの、常用回転域のトルク太くて使いやすい。これまたテストコースのことながら、160kmくらいでの巡航など十分に快適。高速道路の追い越し車線の速い流れにも軽くついていける。そのバアイ、当然のごとく燃費は落ちますけど……。ま、今やムチャクチャ飛ばしてカッコいい時代でないと思う。ポットに入れた熱いコーヒーでも飲みつつ、みんなでワイワイ話しながら遊びに行きましょうや。
 驚いたのはハンドリング。今回も雪道のテストコースで自由自在にクルマ流して楽しんでしまったけれど、舗装路のコントロール性も抜群! 先日、一般道を模して作ったタイトなハンドリングコースなどガンガン攻めてみたら、楽しいのなんの! タックインを使えば思い切りテール振り回した走りも可能。4WDなのにアンダーステアを感じない。おそらくロールセンターの高さ最適に取り、リアサスの横剛性をキッチリ確保したんだと思う。このあたりは日産の意地か? ことハンドリングに関しちゃ依然として日本車トップクラスのノウハウを持っていると関心しきり。
 雪道での走破性も高い。エクストレイルの4WDシステムは、スタート時から後輪にも駆動トルクを伝達している電子制御式。スリップしてから後輪を駆動するスタンバイ式でないため、発進の瞬間から理想的なトラクションを掛けてくれる。今回もアイスバーンから圧雪、そして降ったばかりの新雪(なんと一晩に40cmくらい積もった!)までテストできたが、どこだってアクセル踏むだけでOK。特にアイスバーン登り坂途中からの発進や、バンパーの高さまで積もった駐車場から道路に出るまでのトラクション性能の高さは有り難かった。むろんスタッドレスタイヤですべて走れる。
 雪道でのハンドリングは基本的に弱アンダー。通常走行時がFFだからだ。スリップを関知すると後輪に駆動力を伝達。前輪の負担少なくし、姿勢を回復しようという挙動になる。スカイラインGT−RのアテーサE−TSと逆の制御だと思えばよろしい。ちなみにTVのCFで流れている雪道でのドリフトシーンは、FFモードでサイドブレーキ引いた時の挙動だろう。今回確認したから間違い無し! 写真のコーナーもFFモードでサイドブレーキ引いた。前述の通り流れた時のコントロール性は素晴らしく、何度だって同じコーナーで同じように流せるほど。
 使い勝手についちゃ説明するまでもない。ラゲッジスペースは洗える樹脂性。シートも撥水加工してあり、スノーボードやブーツに多少残った雪など気にせず積める。いや、大雪だった今回の取材だと、ジャンパーに積もった雪がビシバシ車内に落ちた。ただ移動する時はボードやスキー板を室内に積まないように。衝突したら車内で大暴れして乗員をキズ付けることもあるからだ。エクストレイルのルーフは1675mmと決して高くないので、キャリア買って屋根に積むこと。むろん4人座って全員分のグッズを楽に収納できる室内空間を持つ。
 ちょっと失敗したのはテスト車のスペック。ドアミラー凍り、ワイパーの根本に雪が貯まって苦戦した。もしエクストレイルで雪道を走るなら、必ず*万*千円出して寒冷地仕様を選ぶこと。ドアミラーヒーターと、ワイパー部の雪を溶かす『ワイパー・デ・アイサー』とリアフォグが着く。この3点さえあれば、どんな雪でも怖くない。「200万円で買える雪道エクスプレスとして評価すれば文句無しのナンバー1」と、すでにいろんな雑誌で書いている通り、やっぱり良いクルマだと思う。ちなみにエクストレイルはワンプライス値引き無し、ということだが、粘れば5万円引いてくれます。
 エクストレイルの4WDは『2WD』と『AUTO』そして『LOCK』の3つがスイッチ一つで選べる。普通に走るならAUTOのままでよろしい。エクストレイルの性能をフルに発揮してくれるだろう。2WDモードは燃費競争の時と(ホンの少し燃費よくなるらしい)、雪道でテール流す時にどうぞ。LOCKモードは急な斜面の上り下りなど、常に前後50対50の駆動力配分をした時に使う。そうそう。2WD車も雪道での駆動力を確保する『スノーモード』が標準装備されるのだった。