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走り出した瞬間から、良い意味で日産車さしさを感じさせる。何が日産車なのか? 答えは簡単。安心感があるのだった。先代キャラバンのライバル車、ハイエースの後継モデルであるレジアスは、5ナンバーサイズにこだわっている。使い勝手からすれば意味もあるのだろうけれど、走りという観点からすればイマイチ問題が残ってしまう。車高を考えると、やっぱり車幅が足りないのだ。つまり実用性と引き替えに、乗用車みたいな走行性能を諦めてしまったワケ。走行性能からすると、限りなく1BOXカーに近い。 ![]() 日産は走行性能も諦められなかったそうな。聞いてみると、コーナーで無理なハンドル操作をしても転倒しないよう、最大限の配慮をしたらしい。もちろん他の1BOXカー後継型ミニバンも、一応コケないようになっている。ただ対応方法は「転倒する速度に達しないよう、ハンドルを切っても曲がらなくする」というもの。性能を落として対処しているのだな。エルグランドは乗用車並みの走行性能を持たせようと努力した結果、スポーティなドライビングまでこなすようになった。これは乗ってみると即座に解ると思う。 ![]() エンジンは3、2リッター/ディーゼルターボと3、3リッター/ガソリンV6の2タイプ。ディーゼルターボは大幅に改良されたらしく、パワーも騒音&振動も納得出来るレベルに達している。ただニオイは相変わらずだし、黒煙もカンペキに無くすことは難しかった模様。騒音も気にならないレベルだと思うが、トヨタの3リッターディーゼルターボよりうるさいし、後で試乗したガソリンと比べれば圧倒的にアカン。サイフの負担を少なくするためには、依然として快適性と質感を犠牲にしなければならない。ユーザーのディーゼル離れは顕著。特に社会や環境を考えるようなヒトが軒並みガソリンを選んでいる(雑誌を読むようなヒトは環境に対する意識が進んでいるようだ)。練馬のにあるワタシの家の近所じゃ、ディーゼルは姿を消した。住宅の密集地で暖気などしようものなら、クレームが殺到するそうな。かくしてエルグランドも「ディーゼルの方が圧倒的に販売比率が高いだろう」というメーカーの予想を大幅に裏切り、ディーゼルとガソリンの販売比率は50対50だという。 乗ってみても「こりゃ絶対ガソリンがいい!」と思った。エルグランドのセールスポイントは「今までのミニバンよりワンランク上の質感」ということながら、ディーゼルに乗ると相変わらずグーガーとウルサイ。ドコが高級なんじゃい! と思う。ガソリンはホントに高級だ。何たってエルグランドのガソリンはV6。4気筒と違ってスムースである。走り出すと「ウ〜ン。こいつぁいい!」と言うレベル。 燃費もいいらしい。今回は計測するできなかったが、100km巡航ならリッター当たり8km程度まで伸びるそうな。ディーゼルも燃費がいいだろうとガンガン踏むと、リッター当たり5〜6kmまで落ち込む。ガソリン仕様車を買い、燃費を気にしながら大人しく走った方が安全だしカッコいいと思う。ガソリンも価格はお買得に設定されており、268万8千円から。 ![]() 加速性能はどうだろうか? スペックから見るとガソリンは170馬力/27、1kgで、ディーゼルが150馬力/34kgとなる。最高出力だけで判断すればガソリン優勢ながら、加速時に重要なのは最大トルク。34kgという数値は、4リッターくらいのガソリンエンジンに匹敵するのだ。実際、アクセルを踏んだ時の回転数は約2千回転だが、もはやディーゼルだと34kgのトルクを発生。一方、ガソリンの2千回転は、26kgでしかない。理論的に考えるなら、ディーゼルの方が速いことになる。 しかし、だ。同じ4WD仕様の実際に動力性能を計測してみると、ガソリンの0〜40km加速は4秒70。ディーゼルが5秒15となった(4WDセレクトスイッチは標準状態のAUTOモード)。しかもスピードが出れば出るほど、ガソリン優勢になっていく。いくつか理由は考えられるものの、決定的となったのは70kgの車重差か?どうしてもディーゼルって重くなってしまう。本来ならガソリン不利となるハズの発進加速も、軽い車重に助けられて良い成績を残した(2WDの場合、車重差が40kgとなる)。 乗り比べても思ったよりディーゼルのパワー感は低い。レジアスのディーゼルだと元気が良すぎるスタートダッシュからしてイマイチだし、高速の伸びもそれほどじゃなかった。150馬力あれば、も少し走ってもいいと思うのだが……。ガソリンは、ガソリンエンジンの割に低速からしっかりトルクを発生していて、気持ちいい。今回テスト出来なかった2WD車なら、1930kgの車体に3、3リッターエンジンを搭載する。965kgの乗用車(カローラクラス)に1、6リッターエンジンを搭載したようなもの。 ![]() ディーゼルもガソリンも同じブレーキシステムを使うため、本来なら制動距離の違いなど出ないと思う。70kgの車重差も、重い分だけタイヤのグリップが向上するのだ(消しゴムを強く押しつけると滑りが悪くなるでしょ?それと同じこと。荷重を増やすとタイヤのグリップ力も増える)。しかも40kmという低い速度からのブレーキングだと、フェード(過熱)などの影響もゼロ。トドメに計測誤差が±20くらい出るから、今回の制動距離は参考データくらいにしかならないと思って欲しい。 なぜ40kmからのテストしか出来なかったと言えば、時間の関係から十分な広いテストコースを確保出来なかったためである(近々、キチンとした状況でテストする予定)。5、2mという停止距離も、路面状況によって大きく左右されため、他車との比較など出来ない。データから解ることは、まぁ「普通に止まります」というくらいか。体感的どうかとなれば、これまた日産車らしくて好ましかった。特に気に入ったのが、事故パターンに多い障害物を避けながらブレーキングした時の制動力。 背の高いミニバンは、ハンドルを切ると大きくロール。傾いた内側のタイヤに掛かる接地荷重が極端に少なくなってしまう(ヘタをすると後輪の内側は路面から浮く)。すると簡単にロック。それをABSがブレーキの掛けすぎと判断するため、ブレーキ油圧を抜く。結果、制動距離が伸びる。エルグランドの内側輪は浮きにくいため(車幅があるため)、障害物を回避しながらの急ブレーキでも高い能力を発揮するのだ。やっぱりミニバンといえども、ある一定の走行性能は持っていないとダメだと思う。 顕著な差が出たのはアイドリング時。運転席での計測データをチェックすると、ディーゼル55dbに対し、ガソリン52、3dbとなった。2、7dbは音のエネルギーに換算すると**%差にもなるため、もうハッキリと解る違いだ。試しに信号待ちでのアイドリング中、エンジンを止めてみる。ガソリンは掛かっているときと大差なかったけれど、ディーゼルは静粛な空間が突如出現するくらいのイメージなんだもの。ディーゼルの1BOXカーに乗り慣れているヒトからすれば静かなエルグランドのディーゼルも、ガソリン乗用車と比べればウルサイ。 しかも騒音値には出ない振動も気になった。Dレンジでの信号待ちは、ガソリンだと大変スムース。ハンドルのブレがないのはもちろん、車体を震えさせる不快な振動もない。ディーゼルもハンドル振動はガマン出来る範囲内に収まるが、足下に伝わるディーゼル特有の振動を消すことは出来ないでいる。これまたディーゼル愛好家からすれば良好と判断されるレベルに収まっていると思うけれど、振動や騒音はやっぱり乗用車並みに抑えて欲しい。 走行時も同じこと。相当に静かだとはいえ、ディーゼルに乗っていると絶えず音階の「ド」音がつきまとう。ムカシの1BOXカーみたいに近い所での「ドー」じゃないまでも、快適でないことは間違いない。軽油とガソリンの価格差は今やリッター当たり20円くらい。燃費もディーゼルで景気よく走るなら、ガソリンでノンビリ走った方が良好。厳しい排気ガスが規制も始まりそうな気配(今年秋に決定する。乗用車ナンバーのディーゼル規制もありそう)なのだ。 ![]() エルグランドのライバルはレジアスかグランビアとなろう。操縦安定性からすれば、レジアスが2ランクくらい下。そしてグランビアよりホンの少しエルグランド優勢である。動力性能はガソリンなら3、3リッターのV6を搭載するエルグランドの勝ち。ディーゼルはイーブンだ。といったことから総合して判断すると、エルグランドの特徴は「良好な動力性能と操縦性能」ということになろう。それなら弱点って何かとなれば、ガソリン仕様車の経済性か? グランビア/レジアスに搭載される4気筒の2、7リッターガソリンは、燃費が良い上に車両価格も低く押さえられている。コストパフォーマンス派ならグランビア/レジアス。性能重視ならエルグランドでしょう。 すでに脱着式シートが認められているも、エルグランドは採用していない。時間的に間に合わなかったのだそうだ。したがって室内の使い勝手からすれば従来のミニバンと変わりないと思ってよかろう。またセカンドシートとサードシートは前後にスライドするけれど、微妙な調整が出来ない。ワンノッチで大きく前後してしまうのだ。運転席の前後スライドくらい細かく調整できたら嬉しいのに。でも広さからすれば必要にして十分。積極的に評価出来る部分はないが、不満を感じるポイントも無かった。 ラゲッジスペースはサイドシートの位置によって決まる。キャビンスペースを最大限に取ると(猛烈にレッグスペースは広い)、一泊用のボストンバック6つでいっぱい。ラゲッジを最大限に確保すれば、6つのゴルフバックやスキー6人分くらいの荷物は飲み込む。またサードシートを左右に跳ね上げれば、4名乗車で大量の荷物を運べる。超豪華装備のオートキャンプや、2週間の別荘長期滞在の荷物だってOKだろう。このラゲッジを一杯にしようとしたら、積み卸しでひぃひぃ言ってしまうな。 エルグランドのボディ構造は98年10月から欧州基準並みに強化される日本の衝突モードにも対応しているらしい。したがって現状のまま長く販売されると思われる。 ![]() |
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