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1月23日

ブルーバード シルフィ 試乗レポート

「ブルーバード」の名にふさわしい車格に

国沢師匠(以下「国」):ずいぶん立派になったねえ。                

弟子永田(以下「永」):全長が165mm延長され、全高も65mm高くなっていますから。

国:前のシルフィはサニーベースの「シルフィ」だったからね。これでやっとブルーバード の「シルフィ」になったワな。

永:とりあえず“車格感”ではライバル車に見劣りしなくなりました。個人的に5ナンバー幅を守ったことは評価したいです。

国:シルフィのユーザーにはそういう人が多いと思うよ。日本の道では5ナンバー幅が使いやすいのは事実だし。

永:デザイン自体はどう思われますか?

国:最近の日産車に多いけどサイドはカッコいい。

永:“サイドは”と限定されるのは……。

国:ライト形状がちょっとねえ。後ろも何かに似ている。

永:私も同じ意見です。ライトだけでも形状を変えたらかなり良くなると思うのですが。

国:最近の”日産顔”はルノーみたい。日本人のツボを外してるような気がしてならない。

試乗レポート1 2リッター編(試乗車は20M)

永:どうでしょうか?

国:よくできたいいクルマだと思う。

永:共通のシャシを使うラフェスタやセレナと比べていかがですか?

国:話にならないくらい良くなっているね。まずエンジン。面白い性格のエンジンではないけど、4500回転くらいからの不快な振動や騒音がなくなっている。これだったら全開加速のときに(CVTなので)ずっと高回転キープされても問題ない。

熟成されてきたMR20DEエンジン           アーシング!

永:エンジンはだいぶ良くなったようですね。ハンドリングはいかがですか?

国:ハンドリングもエンジン同様に良くなっているよ。

永:先ほど撮影のためにワインディングロードを走りましたが、意外と軽快な身のこなしでした。ちゃんとステアリングレスポンスが伝わってくるので、安心感もあり見た目や事前の情報から想像するより楽しいですね。

国:少し攻めてみたけど破綻はなかったでしょ。少し日産らしさを感じるかな。

想像よりずっと楽しいハンドリング

永:乗り心地、いいと思うのですが?

国:ラフェスタとかはきれいな路面では良かったけど、道が荒れると途端にドタバタした感じになってしまった。でも、シルフィは道路のつなぎ目なんか通っても悪くないよ。当たりが柔らかくていいね。

永:日産車ではお馴染みの「ニップルコントロールショックアブソーバー」にプリロードを付加した機構が付いた好影響でしょうか?

国:多分そうだろうね。ここまで良くなったので、揺れの収まりが良くないのが惜しいな。

永:「ボヨン、ボヨン」みたい動きですか?

国:そう。ダンピング不足ってやつだね。

永:音も静かなので快適ですね。

国:後席も広いし、ファミリーカーに使うには十分合格点だと思う。

売り物であるインテリア。皆さんはどう評価されますか?

試乗レポート2 1.5リッター編(15M Four)

国:普通に乗っている分には1.5リッターでも十分かな。

永:今日の試乗車はe−4WDなのでFF車より90キロも重いのに十分走ります。ギアレシオの変更等はないようです(1.5リッターは普通の4速ATとの組み合わせ)。

国:1,5リッターも2リッターと同じ方向性で良くなってる。

永:1.5リッターのノートは乗ったことがありますが、全然いいですね。

国:このエンジンも熟成が進んだと思う。4WDより軽いFFなら4人乗車する機会が頻繁にない限りこれで十分じゃないかな。

国:乗り心地、2リッターとちょっと違うね。

永:具体的には?

国:こちらの方は当たりが硬い感じ。その代わりに収まりがいいと思う。タイヤ銘柄と太さが違うからかな?(2リッターは195幅のヨコハマアスペック、1.5リッターは185幅のトーヨーJ35)。

永:1.5リッターが販売の3割を占めると日産では予想しているそうです。ただ、価格設定にちょっと疑問があります。

国:このクルマいくらなの?

永:FF車で話を進めますが15Sというグレードで178万8500円です。ライバル車となるプレミオ15Aはオーディオが付いていませんがほぼ同じ装備で168万円です。

国:10万円近く違うんだ。高いね。

永:でも20Sという一番安い2リッターが192万1500円で買えるんです(少し装備も良い)。

国:じゃ1,5リッターと2リッターの差って自動車税が年間5500円高くなるのと燃費の低下分だけ? だったら2リッターの方がオススメかな。燃費の話題が出たけど、この1.5リッター燃費いいと思う。

永:高速道路を走ってみたところ、カーナビの燃費計によると90キロペースでリッター18キロ、100キロなら16キロくらいですね。

国:渋滞のない一般道ならトータル16キロくらい走りそうだね。

永:でも、トヨタ車は2000年に出たカローラあたりからこのくらいの燃費は簡単に出せましたけど……。

燃費は合格点以上

試乗後の対談から

 試乗会では乗る前か乗った後にメーカーの方とお話を伺うのが恒例になっている。今回は7人のエンジニアの方に話と1時間ほど話をすることができた。まず国沢師匠の「ゴーン体制になって以来、クルマ好きの支持を受けなくなっているじゃないでしょうか?」という話題から始まった。日産のみなさんは“クルマの出来がよくなかったのでは”と気にされていたが、師匠の「出来が悪いということはまったくないです。目立つ点がないだけ。」という回答に少し安心していらした。しかし「発表された当初は好調だけど新車効果薄れたころの日産車よく見られる“息切れ”が心配。シルフィに機能的な問題点はまったくありません。それだけに、いいクルマを作ってもし売れないとなったら日産はどうしたらいいんだ? となってしまうんじゃないでしょうか」。

 さすがに日産の方は困った表情に。この状況を打破するには師匠も私も「日産としての明確な方向性、個性を出すべき」という意見を伝えた。ちょっと厳しい意見を言ってしまったが、日産の皆さんは口には出さないけれど「やりたいことが出来ないんです」と顔に書いてあるように思えた。実際「危機感はあります」という答えも……。この状況を変えるには1月20日のトップにあったように経営陣が方針を変えるしかないのではないだろうか。この日総勢7人もの方と話をして改めて感じたことは、クルマ作りというのはたくさんの人の手で行うとても大きな規模のチームワークだということだった。頭に思い描いた通りのクルマを作るというのは本当に大変なことです。

日産エンジニアの皆さん

まとめ

 2代目となったシルフィは40代後半や奥様や子離れした夫婦をターゲットに開発されたという。では、そのユーザー層がこのクルマを買いたくなるような特徴って何か? 日産の開発陣は「インテリア」だと判断。チカラを入れてきた。具体的な部分を挙げると、座り心地の良い前後シート。トートバッグやセカンドバックが入るセンターコンソールボックス。排気ガスの濃度を検知して内外気を自動で切り替えるエアコンの採用である。けれど私も師匠と同様に「いいクルマだけど、個性がない。買いたくなるような魅力が欲しい」です。チカラを入れたインテリアがこのクルマの個性なのはよく分かるのだけど……。今の状況だとクルマを買うときにユーザーは「特に目立つ点がないなら、トヨタやホンダの同じクラスのクルマでもいいか。値引きも大きいし(最近日産車の値引きは少ない傾向)」となってしまうと思う。

 この状況を打破するには、メーカーの方とのお話でも出たことだが「日産車ならではの個性や特徴」を出していくしかないと思う(失敗する可能性もある)。実際、強いキャラクターを持っているマツダ、スバル、輸入車というのはクルマ好きから強い支持を受けているし、15年くらい前(Z32フェアレディZやR32スカイラインあたり)の日産車は今でもクルマ好きの記憶からなくならない。未だに乗っているユーザーもたくさんいるのだ。新型シルフィを含めた最近の日産車が10年後も愛されているか、となったらどうしても「?」マークが付いてしまう。「クルマ好きはターゲットにしていません」ということかもしれないが、そういうユーザー層ほどトヨタ車への信頼が高い。それに目立つ個性がないということはとても寂しいことだと思う。

 こういった意見、もちろんクルマ好きから見た評価。最近販売が落ちている日産車(12月の販売台数ランキングのよると日産で一番売れたのは16位のノート。こんなことははじめて見た)にいいニュースを届けることができるか? マーケットからどういう反応を受けるのかじっくり見守りたいと思う。昔は「ブルーバードが日産のバロメーター」という言葉があったくらいなのだから。

 

レポート/永田恵一