<ランカスター6>
アルシオーネSVX以来、久々の水平対向6気筒搭載車ということで大いに期待した『ランカスター6』ながら、結論から書くと「こら凄い!」じゃなかった。もちろん悪いエンジンということではない。圧倒的に違うのが、始動してから走り出すまでのスムースさ。水平対向4気筒だって走り出してしまえば、ほとんど振動を感じることはないです。でも始動時はエンジンがぶるるんと揺れるし、アイドリングも何だからゆさゆさしている雰囲気。アクセル踏んで回転数が上がり始める時だって、ゆらっとくる。ワタシは決して嫌いでないんだけれど……。
6気筒はそういったクセが全くといっていいくらい、ない。FRの6気筒(V6でも直6でもよい)と同じようにウルトラスムースに始動。アイドリングは安定している。そしてアクセルを踏んでもぷるぷるこないのだ。加速時はアクセル開度少なければ、遠くの方から「コーッ」という吸気音風の音が聞こえるのみ。フル加速すると一段と良い音になる。開発担当者に聞いたら、ここで良い音が出るよう苦労したとのこと。もっと驚くのが振動。ほとんど感じない、とい表現してもおかしくないんじゃなかろうか。
考えてみると水平対向は4気筒でも6気筒と同等以上にスムース。そいつに2気筒加えたのだから、さらにスムースになって当然であろう。イメージとしちゃV8よりスムースな感じ。12気筒に近い、というと大げさになるけど、まぁそんなもんだ。巡航時のエンジン音が聞こえないのにも驚かされた。加速から巡航に移るべくアクセル戻すと、エンジン音がす〜っと消えちゃう。100qくらいだと、エンジン音は聞こえないと行ってよい。う〜ん! 凄いんだけれどモノ足りなような気がするのはワタシだけだろうか。
ここまで読めば「いいじゃないの! ランカスター6」と思うかもしれない。ただ残念ながら悪いところあれば、書きたくなってしまうのがジャーナリスト根性。以下、不満と思われる点をツラツラ述べてみます。最初に「あれ?」と感じたのが補機類から出る騒音。アイドリング時、エンジン本体から出る音は非常に静かなんだけれど、エアコンのコンプレッサーのスイッチが入ったり、冷却ファン回ったりすると、やや気になる。オーディオ掛けてれば解らないくらいのレベルながら、エンジンが静かなだけに目立つのだな。
二つ目が乗り心地。他のメーカーもそうなんだけれど、4気筒で基本設計したクルマに6気筒エンジン搭載すると、必ず乗り心地悪くなる。オデッセイなども、やっぱり4気筒の乗り心地が良い。理由は簡単で、4気筒より重くなった分、足回りを堅くしなくちゃならないからだ。堅くすれば当然のごとく乗り心地は悪化。ここで精度の高いダンパー(例えばビルシュタイン。国産ならショーワ)使えばいいのだけれど、標準的なレガシィと同じダンパーメーカーだったりして。したがって、4気筒のランカスターの乗り心地をそのまんま悪くしたようになってしまった。
先代レガシィでGT−Bを立ち上げる時「乗り心地と性能を両立させるためにはビルシュタインが必要!」と英断し、これが大成功に結びついた。ランカスター6も、なんか秘密兵器を使えば一段と素晴らしいクルマになったと思う。いずれにしろ今度の6気筒は全くの新開発エンジン。先は長い。スバルらしく車体のマッチングを徐々に煮詰めていくだろうから、そう遠くない将来に素晴らしいクルマとなっているだろう。スムースなエンジンが好きなスバリストなら、今のままで十分に「凄い!」と思えますけど。
ランカスター6に搭載されている6気筒は、アルシオーネSVXの6気筒と全く違う。アルシーネのユニット、2,2リッターの4気筒に2気筒加えた6気筒だと思えばよろしい。つまり、現行レガシィと同じ系統のエンジンなのだ。ランカスター6のユニットは、エンジン系統そのものが違う。例えばエンジン長。2気筒加えただけなら、ググッと長くなる。でも新しい6気筒は、4気筒と比べて20o長いだけ。重さだって20sくらいしか変わらない。新しいだけに圧縮比10,7と高く=効率高いということ。またエキパイ途中に始動直後から有効に働く触媒を加え(排気バルブ出た燃焼ガスは2カ所の触媒を通過するワケ)、アメリカでLEVとしてに認定を受けられるようになった。日本でもJ−LEVというクリーンな排気ガス基準をパス出来る。将来的にはこの6気筒と共通の設計となる4気筒モデルが登場し、現行のEJ型と世代交代するのだろう。
<2000年GT−B>
今回のマイナーチェンジは「小さなモノを数多く」というヨーロッパ車の年改(いわゆるモデルイヤー)みたいな方法を採用している。ガラリと変わらないので、従来型に乗っているユーザーもショックを受けないで済むし、その割にキチンと進化出来るという上手な方法だと思う。インプレッサのバージョンアップみたいなものだと考えればよろしいです。以下、変わったブブンを順番に上げてみよう。
<ブレーキタッチの改善>レガシィの数少ない弱点だと言われているのがブレーキタッチ。効きそのものの問題でなく、踏んだときにスポンジーなのだ。スバルも問題点をとして対応をすすめていたらしく、先日行われたフォレスターで対策してきた。乗った途端「レガシィもコレにしてよ!」と思ったもんだ。その対応部品がレガシィにも採用されたということ。ブレーキ踏んだ瞬間のタッチは「グニャ」から「コツ」に変わっており、なかなか良い。100点と言うとコレで終わっちゃうかもしれないので、90点くらいを付けておきましょう。GT−VDCとランカスター系は、ブレーキローターそのものも1インチ大きくなり、キャパシティアップしている。
<タービンを変更>現行レガシィがデビューした時、新しいコンセプトの『斜流タービン』を採用しターボラグを大幅に減少させた、とスバルは言っていた。しかし技術は進む。今回、低回転側を担当するプライマリータービンを小型の通常型タイプに変更。これで斜流タービンよりレスポンスを向上させることに成功したそうな。なんで最初からそうしなかったのか、と聞いたトコロ「それが技術の進化なのかもしれませんね」だって。そりゃそうでした。低回転域のトルクが太くなれば、ギアレシオも高く取れる。新しいGT−Bは巡航時の回転数下がり、高速燃費で数%向上したという。併せてATの改良を行った結果、10・15モード燃費も良くなり、なんと! ターボ車と2,5リッター、2リッターSOHCエンジンは2010年の燃費基準に適合している。
<安全性の向上>側面衝突を一段と強化するためサイドピラー強化。さらにフロントバンパービームに5sもの構造部材を追加し、万全のオフセット衝突対応をしている。これでユーロNキャップは楽に四つ星。もしかすると今年から追加される5つ星に手が届くトコロにあるかもしれない。
<オーディオの変更>最初から「どうしてCDとカセットなんだよぅ!」と言っていたマッキントッシュのヘッドユニットが、やっとCDとMDになった。見た瞬間「これこれ!」と思いましたね! ウチのレガシィもマッキン付いてるけど、カセットの方、処女です。こうなったら最後までナニも掛けずに押し通そう!
<エクステリア>デビュー以来、GT−Bは早くも2回目の変更を受けた。最初は昨年のEチューンで、ボンネットをアルミ部材に変更。同時にボンネットのプレスラインをキツくし、シャープなイメージとなっている。これ、非常に効果合ったと思う。今回はバンパー形状とグリルを少しだけ変えた。ガラッと変わった印象こそないけれど、ジックリ見るとバランスが良くなってるでしょ? いつの間にかレガシィのカオが良くなってきている、のだ。スバルの戦略なのか?
<乗るとどうか?>写真を見ていただければ解る通り、もはや絶好調でしょう! 世界中探しても、これだけ楽しく走れるSWなんかない。効果絶大だったのは安全性向上のために入れた、フロントブブンの補強。これでフロントの剛性がググッと上がり、一段としっかりした手応えになった。むしろフロントって、今までリアに負け気味だったほど。それが新しいEチューンときたら、フロント勝っている。コーナー手前でタックイン決めればスポーツカーのごとくリア流せるし、流れた後のコントロール性たるや抜群に良い。
ギア比を高めたため追い越し加速が悪くなるのではないかと予想していたけれど、要らぬ心配だったようだ。従来型と全く同じような感覚で加速してくれる。これでギア比が高くなっているというのなら、燃費を稼ぐためにも多いに歓迎したい。100q巡航した時の燃費、リッター11qくらいまで伸びるとか。そうそう。タダでさえリアシートに3本設置された、チャイルドシート固定機能付き3点式シートベルトの他、ISOフィックス方式の固定アンカーもリアシートに2席分設置されている(全てのレガシィシリーズ)。いろんな面から考えると、やっぱりベストチョイスのSWとなりますね。
<毎年マイナーチェンジするのはなぜ?>
レガシィユーザーにとって気になるのが「ど〜して毎年のようにマイナーチェンジするの?」ということだと思う。確かに他車を見ると、マイナーチェンジサイクルって2年に一度。アコードワゴンなんか平成9年10月以来、2年半経って初めてのマイナーチェンジだもの。普通、新型車に切り替わると、その効果でしばらく好調な売れ行きをキープ出来る(もちろん成功したモデルチェンジのバアイ)。で、効果や話題性が少なくなってくる頃を見計らって少し手を加え、何とか次期モデルまでつなぐというカタチを取るワケだ。ただそれでもマイナーチェンジモデルが新型車の売れ行きを超える例は非常に少ない。例外中の例外と言えよう。
なのに、である。初代と2代目のレガシィの販売状況を調べてみると、トンデモナイことになっている! 最多販売年月が初代は92年7月。2代目に切り替わるの93年10月なので、マイナーチェンジしたモデルが売れているのだった。それだけでも珍しいのに、あらら。2代目レガシィの最多販売年月も97年3月。現行モデルのデビューは98年6月だから、これまた新型デビューの1年半前に最も売れた。タダでさえマイナーチェンジモデルが新型デビュー時より売れるのは珍しいのに、そいつを2代連続させている。このあたりにレガシィ人気の秘密はありそうだ。というのもこういった現象、日本でこそ珍しいけれど、外国に行くと当たり前。ポイントは「どんどん改良していく」というあたりにありそうだ。
スバルのバアイ、新しい技術が実用段階に差し掛かると、すぐに採用したくなってしまうのだろう。また「よくない」と指摘された場所も放置しておけない体質なのかもしれない。確かに評判良くないモノを2年間も売り続ける、というのは、技術者にとって複雑な心境だと思う。海外のメーカーは「イヤーモデル制」というのをとっており、毎年夏休み明けに改良を加えたモデルを出す。したがって何年たっても古くならないのだ。レガシィも今回の変更で衝突安全性は依然トップクラスをキープし、燃費でも時代の流れに乗れている。毎年の変更は大変かもしれないが、クルマの魅力をキープするという点では大いに役立っているのだった。
<レガシィB4>
今回の変更で最も良くなったのがセダンボディのB4。フロントの足回りを堅めすぎたせいか、SWと比べアンダー強かったB4なれど、乗ったらググッと素直になっているでないの! 「ボンネットをEチューンと同じアルミにしたくらいで、基本的にはバネもダンパーも変わっていないんですけど、フロントに補強バーを入れたため剛性が上がったのではないでしょうか?」と開発担当者もハッキリした原因をつかめていないらしい。このあたりがクルマ作りの難しさであり、楽しさかも。