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12月25日
新型フォレスター発表!
<SUVらしさを増した3代目>
「SUVなのにどちらかというとステーションワゴンに近いスタイル。それでいて本格クロカンSUV顔負けの悪路走破性」という特徴を持つフォレスターが3代目となった。今回のフルモデルチェンジで注目すべき点の1つは、ググッと拡大されたボディサイズだろう。全長4560mm(旧型比+75mm)、全幅1780mm(+45mm)、全高1675mm(+85mm、ルーフレール非装着車の場合)、ホイールベース2615mm(+90mm)で、特に全高が目を引く。
全高の高めた理由について商品企画部門の方に聞いてみると「SUVの魅力を出すためです」とのこと。いろいろな部分で先代までのステーションワゴン的な全高に魅力を感じていた方もいらっしゃると思うが、輸出先での評価(月間販売目標台数は日本/2000台、輸出/1万台)や同じスバルのアウトバックとのバッティングを防ぐ効果などを考えれば納得できる変更といえるのではないだろうか。なお旧型に設定されていたクロススポーツ(1550mmのタワーパーキングに入れるようローダウンされた仕様)を用意する考えは新型では全くないようだ。
<何か似ていると思ったら>
さて新型フォレスターのスタイリングだが、「どこで見たことあるような顔なんだけど」と感じないだろうか? 発表会の最中に私は思い出せなかったのだが、帰宅後に今年4月にフェイスリフトしたアメリカ向けのトライベッカ(ヨーロッパ仕様のトライベッカはマイナー前のR2や旧型インプレッサの終盤モデルと同じスプレッドウィングスグリルのまま)と似ていることを発見。ヨーロッパ向けのトライベッカの顔がアメリカ向けと統一されていないところは「うーん」と思う部分もあるが、フォレスターの主な仕向け地であるアメリカ市場でトライベッカと兄弟分的なイメージを確立できれば狙いは的中といえそうだ。
アメリカンな顔付き
洗練されたサイドビューと伝統を継承したリアビューといったところか
インテリアは一見「インプレッサと同じじゃないか?」と思うくらいに非常によく似ている。細かく見ればメーターやスイッチ類、上級グレードに装備される木目調パネル、高さが増えたことにより容量を増したセンタートレイ(シフトレバー前の収納スペース)や質感を増したダッシュボードなど違いはあるのだが、逆に言えばそこまで観察しないと相違点を見つけられないというのも事実。ユーザーからはどんな評価を受けるだろうか?
インテリアは天地方向が増したインプレッサ?

左/イルミネーション付きの収納スペース、右/センターコンソールにはバッグも置ける
リアシート(リクライニング機構付き)とラゲッジスペースの広さの向上振りはちょっと感動ものであった。客観的に見れば同じクラスの平均レベルなのけど、旧型が「リアシートに大柄な人が長時間乗るのはちょっと厳しいのでは」という広さだったことを思えば、新型の進歩は評価できる。
足元も楽なリアシート、センターのテーブルにも注目
 
仮眠に便利なフルフラット、リクライニング機構も加わる
ボタン1つでリアシートを倒せる機能も備わるラゲッジスペースも、広さ自体はもちろんホイールハウスが小さくなったこともありレガシィツーリングワゴンに近い容量を確保している。リアシートとラゲッジスペースの拡大によりスキーやキャンプなどに行く足としての使い勝手は大きく進歩したといえる。
<ハード面は基本的にインプ譲りですが>
フォレスターは歴代インプレッサをベースとしたモデルであったのと同様に、新型フォレスターも現行インプレッサから採用されている「SIシャーシ」を使う。ちなみに、インプレッサよりホイールベースが5mm短いのはキャスター角の違いのためだという。シャーシ自体は部分的にインプレッサと違うパーツ(トレッド拡大によるフロントメンバーの変更、リアのダブルウィッシュボーンサスのアッパーアームなど)はあるものの、今まで通り「インプレッサをSUV化したもの」と考えていいだろう。
タイヤサイズはターボ車/17インチ、NA車/16インチで、ショックアブソーバーはインプレッサの標準車と同じくショーワ製とのことだ。インプレッサ譲りのしなやかな走りに期待したい。車重はNAエンジンのAT車で1450kgとMクラスのSUVとしては比較的軽い。
新型フォレスターのシャーシ関係で見逃せないのが、ついにというかスバルの登録車では初めてとなる電動パワステ(NA車のみ、サプライヤーはKYB)が導入された点だ。導入自体は燃費向上など時代の流れといったところなのだろうけど、いよいよスバルが電動パワステを使うようになったことにより、電動パワステを使ったハイテクデバイスの開発も一気に進むと予想できる(もちろんそのフィーリングにも大いに注目したい)。例えば、電動パワステとステレオカメラを使い走行中の情報収集する次世代ADA(来年発売されるレガシィに搭載予定)を組み合わせれば、比較的低コストでハンドル操作もクルマに任せられるクルーズコントロールの完成も近いのではないだろうか。

スバルの将来を担うSIシャーシ、熟成は進んでいるか?
エンジンは2リッター水平対向4気筒のNAとターボ。NAはDOHCになるというスクープが流れていたこともあり「レガシィ2.0Rのエンジンを低速重視にしたもの」と考えていた人も多いかもしれない。しかし、実際にはほとんど新設計となるEJ20系エンジン(新しい部品の比率は80%以上。ブロック以外ほとんど別部品。現行スカイラインからVQエンジンが名前とブロックは同じでも大規模な改良を受けたのと似たイメージ)で、具体的にはヘッド周りを中心とした大改良(NAエンジン/吸気側の可変バルタイ「AVCS」の導入、新設計のインテマニホールド、冷却関係、ターボエンジン/NAエンジンの改良に加えてタービンのレスポンス向上、インタークーラーの形状変更など)が施されている。
写真はNAエンジン
結果、NA/148馬力&19.5kg・m(レギュラーガソリン指定)、ターボ/230馬力&32.5kg・mとそれぞれ1520kg未満のAT車で13.8km、13.0kmという10・15モード燃費を実現。定評ある巡航燃費にも期待がかかる。さらに性能曲線を見るとNA、ターボともにピークだけでなく、日常的に頻繁に使う2000回転から3000回転あたりのトルクが分厚くなっておりかなり乗りやすい特性にチューニングされているのではないだろうか。なお、排ガス対応もNA/平成17年規制の75%低減レベル(星4つ)、ターボ/50%低減レベルとなっている。エンジン担当の方によればスバルの2リッター級フラット4はこのエンジンに随時移行していくようだ。
 
マフラーは全車左右二本出し、ターボ車にはSIドライブも装備される
トランスミッションは全車4速ATと5速MTの設定。インプレッサと同じくATが4速というのはちょっと時代遅れな感じもあるが、25日にスバルから発表されたリリースによれば「縦置きエンジンに使える小型車用CVTを2009年から搭載」という項目もあり、将来的にフォレスターのATとして使われることを期待したい(NA系にCVT、ターボや3リッター級のハイパワーエンジンに5速ATと使い分けるか? しかし、「小型車用」という排気量が明確なものではないので2リッター級エンジンに組み合わされるかは微妙かもしれない)。
4WDシステムはAT車がアクティブトルクスプリット方式(基本トルク配分はFF車に近いフロント6:リア4で、油圧多版クラッチを使い状況に応じてトルク配分は変わる。もちろん常時4輪にトルクが配分される)、MT車がオーソドックスなビスカスLSD付きセンターデフ方式だ。以前のターボ車の4WDシステムはリア寄りのトルク配分を基本とするVTD方式となっていたが、アクティブトルクスプリット方式に変更した理由に伺ってみると「SIシャーシの採用により全体的に曲がりやすいクルマになったためVTDシステムを使う必要がなくなったため」とのこと。コスト的に有利な面もあるのかもしれない。最低地上高が20mm上がったこともあり、フォレスターならではの「クロカン譲りの悪路走破性」はさらに磨きがかかっているに違いない。
4WDシステムと密接に関連する大きな話題として全車にVDCが標準装備化された点がある。滑りやすい道などでの事故防止に大いに貢献することに大歓迎なのはもちろん、VDCの採用により今までのリアビスカスLSDに代わってブレーキLSDが使えるようになったのも、制御の緻密さなど各方面にメリットは大きいだろう。
フォレスターがあればクロカンSUVは不要か?
<価格設定はクリスマスプレゼント的安さ!>
新型フォレスターのグレード体系はNAエンジンが2.0X、2.0XS、ターボエンジンに2.0XTという合計3種類。価格はAT車でそれぞれ204万7500円、220万5000円、257万2500円(MT車は5万2500円安)と全車4WDでさらにVDCが付くことを考えると一目見て激安である。激安価格でありながら、装備は一番安い2.0Xでもオーディオ以外フル装備状態。2.0XS、2.0XTならCDプレーヤーやクルーズコントロールまで付く充実ぶりだ。一番近いライバル車となるエクストレイルの2リッターと比べると、キャラクターが違うものの対応するグレード同士で20万円近く安いと思っていいだろう。
ディーラーオプションでトレーラーヒッチキットも用意される(11万2350円)
ただ、激安価格は嬉しいことながらスバル同士によるバッティングが心配だ。例えばインプレッサ20S(VDCはオプションでも装着不可、AT車で194万2500円)の購入を考えた場合、「10万円ちょっと払えばVDC付きで広くて、どこでも行けるフォレスターが買える」というチョイスも浮かんでしまう。同じようなことはフォレスター2.0XSとレガシィワゴン2.0i、フォレスター2.0XT対アウトバック2.5i対インプレッサS−GT(後半2つに関してはフォレスターの方が価格は安い方向だけど、装備は充実している傾向)でも想定できる。
もちろん、キャラクターは全く違うし購入する際には実売価格も関連するので余計なお世話になるかもしれないが、サイズさえ問題なければフォレスターの「安くて、十分以上に広くて、どこへでも行けてしかも一番新しい」という武器は非常に強力というほかないだろう。新型フォレスターが活気の戻ってきたSUV市場だけでなく、スバル車全体の売れ方にどう影響するか非常に興味深い。


身内まで絡んだ争いは起きるのか?
レポート/永田恵一
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