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3代目インプレッサ発表会
1)インプレッサがモデルチェンジ!
WRCのWRカークラス、PWRCクラスのベース車両として使われているWRX STIバージョン、ライバル車とはちょっと違った雰囲気などにより標準モデルも人気を集めていたインプレッサが約7年振りにフルモデルチェンジを受け、3代目モデルに生まれ変わった。今回発表されたのはWRXシリーズ以外の標準グレードで、ボディ形状も5ドアハッチバックのみの設定である。スポーツ派や競技車両としてインプレッサを使う方にとって注目の大きいWRX STIバージョンは遅れて登場するようだが、その基礎となる標準グレードはどんなクルマに仕上がっているのか? さっそく、ご覧いただこう。(永田)
2)コンセプトは「新快適スタイル」
3代目インプレッサの開発にあたっては、「SPORTY」、「CASUAL」、「COMPACT」の3つのキーワードを軸に「新快適スタイル」というコンセプトが掲げられた。このコンセプトは、インプレッサという1台のクルマを通してより生活を豊かなものにして欲しいという思いが詰まったものであり、「上質なクルマを目指した」と言い換えてもいいだろう。開発もスペックなどの数字に表れる部分よりも数字には表れないフィーリング面が重視されているようだ。
製品企画を担当された野尻さんにお話を伺うと、「今までのインプレッサには、正直パフォーマンスや絶対的な速さなどを重視しすぎていたという反省がありました。そのあたりを標準モデルに関しては、普通に感じられる“上質さ”や一般的な使い方をされるお客様に対して分かりやすい“良さ”というものを追求してきました」。
なお、ターゲットユーザーとライバル車は「ターゲットユーザーはクラスレスというか、エントリードライバーの方から、大きなクルマは不要と考えられる団塊の世代の方々まで幅広く乗っていただきたいと思ってします。ライバル車については、特に直接的なものは考えていません」とのこと。性格をガラッと変えたインプレッサがどんな評価を受けるか注目したいところである。(永田)
「インプレッサも大人になった」といったところか
3)激変したスタイル!
それでは新型インプレッサのスタイルを見ていこう。現時点では「いいとも悪いとも結論が出せないスタイル」と感じる方が多いのではないだろうか。しかし、スバル車のデザインの傾向として、「見慣れるとよく感じてくる」(過去のレガシィ、インプレッサなど)ということがよくあるので、時間が経つと違って見えてくる可能性は十分にありそうだ。発表会の会場でも「実車の方が写真よりもよく見える」とか「ディーラーオプションで用意されているグリルに交換すると結構カッコいい」といった意見が多く聞かれた。
ヘッドライトは鷹の目をイメージしたデザイン。ターボ車に付くエアインテークの張り出しはかなり小さくなった
テールランプにはLEDを採用
また、新型インプレッサのスタイルに関する大きな話題として、ドアを今までスバルの登録車の伝統であったサッシュレスドア(サッシュ:窓枠)から、一般的なサッシュ付きドアに変更したことが挙げられる。サッシュ付きドアに変えた理由については、「主にドアの開口角度を広げたかったため」とのこと。もちろん、スッキリと見えるところなどサッシュレスドアを好む方もいるだろうけど、上質なクルマを目指した新型インプレッサに関してはこの判断が正しいものといえるのではないだろうか。(永田)
走行中にドア周りから出る音の低減にも期待
4)インテリアも「上質なクルマ」として相応しいものに
インテリアもエクステリアと同様に、かなりクオリティの高いものになった。先代インプレッサのインテリアは、ペダルレイアウト等まで含んだドライビングポジションやシート形状、スイッチ類の操作性など機能的な部分では非常に優れていたが、色気や愛想のようなものには欠けていたと思う。
新型となってデザイン性や質感の向上、インテリアカラーの吟味(アイボリーとオフブラック)などにより、コンセプトに相応しいものに仕上げられたといえるだろう。また、実際に運転席に座ってみると、たっぷりとしたサイズのシート、調整幅の広いポジションなどにより「非常に運転しやすく、長距離ドライブでの疲労も少ないのではないか」という予感がする。
デザイン自体はオーソドックス。その分、飽きることなく長期間愛用することが出来そう
新型インプレッサは「インテリアも魅力の1つ」と評価されるクルマといえるのではないだろうか。(永田)
5)広くはしても、大きくはしません!
タイトルの「広くはしても、大きくはしません!」というのは、発表会の商品説明において開発責任者の竹内プロダクトゼネラルマネージャーが語った言葉である。実際、新型インプレッサのサイズは、先代のスポーツワゴンに比べて全長で50mm短くなっている(全幅、全高はそれぞれ45mm、10mm拡大された)。しかし、リアシートはホイールベースが95mm延長されたこともあって、座ってすぐに「おお、広くなった!」と感じるほどゆとりあるものになった。欲を言えば、もう少し着座位置が高ければもっと足元空間などもゆったりしたのでは?
と思うところもあるが、これだけの広さが確保されていれば不満を感じる人は少ないだろう。
ドアも大きく開くため、後席へのアクセス性も良好
ラゲッジスペースもサスペンションの張り出しが少なくなり(サスペンション形式の変更による効果)、ハッチバックでありながらかなり広く使いやすい。ちょっと気の早い話だが、新型インプレッサをベースに使うと予想される次のフォレスターの室内空間にも期待が持てそうだ。
スキーの足としても十分使える広さを確保
新型インプレッサは「大人4人+人数分の荷物を積む」という使い方にも十分対応してくれるだろう。(永田)
6)エンジンは熟成を重ねたフラット4
新型インプレッサに搭載されるエンジンはもちろんスバル伝統の水平対向4気筒、1.5リッター、2リッターSOHC、2リッターターボの3種類が用意される。
まず、1.5リッターエンジンから紹介しよう。新型インプレッサ用に搭載される1.5リッターエンジンは、昨年6月の先代インプレッサの一部改良で登場した「EL15型」で、先代までラインナップされていた「EJ15型(SOHC)」は廃止となった。新型インプレッサの登場を期に燃費の向上(10・15モード燃費で比較すると、2WDの旧型スポーツワゴン:15.2km/L、新型:16.6km/L)、燃費とも関連する各部のフリクション低減などが行われている。
2リッターSOHCは燃費のよさで定評あるレガシィ2.0iと同じもので、目立つ変更部分はないようだ。
そして、最も多くの改良を受けているのが2リッターターボである。主な改良点は
・電子制御スロットル、等長等爆エキゾーストマニホールド、可変バルブタイミング機構「デュアルAVCS」等の採用
・インタークーラーの形状変更
などとなっている。どのエンジンも、豊かな個性とトップクラスの性能を持っているといえるだろう。
写真は2リッターターボ、インテークマニホールドは樹脂製に
3種類のエンジンと組み合わされるトランスミッションは、1.5リッターと2リッターターボにスポーツシフト付き4速ATと5速MT、2リッターSOHCがスポーツシフト付き4速ATのみである。発売時期の新しいモデルのATは5速以上の多段ATか無断変速のCVTが主流となっており、新型インプレッサの4速ATというのは、ちょっと古いような感じもする。そのことを敢えて伺ってみると、「段数を増やすと変速も頻繁になるというデメリットもあります。逆に、広いパワーバンドを確保できれば少ない段数で、変速も少なく出来るメリットもあり、新型インプレッサのエンジンはパワーバンドが広いため、重量なども総合して4速ATがベストと判断しました」とのことであった。
4速ATとのマッチングはいかに? 燃費を重視するECOモードも装備
駆動方式はこちらもスバル伝統のAWDシステムを中心に、1.5リッターには2WDの設定もある。
AWDシステムはAT車がアクティブトルクスプリットAWD(前後基本トルク配分60:40から100:0から50:50まで配分、先代のターボ車のAWDシステムは45:55の前後基本トルク配分から、状況に応じてトルク配分を変化させるVTD−AWD)、MT車はビスカスLSD付きセンターデフ方式(前後基本トルク配分は50:50)だ。雨天や降雪時だけでなく、直進安定性の向上などにもメリットの多いAWDのインプレッサを選べば、どんなときでも力強い相棒となってくれることは間違いないだろう。(永田)
7)シャシーも上質な乗り味を追求
新型インプレッサには「SIシャシー」(SIはSUBARU Inteligrntの意味)と呼ばれる新設計のシャシーが採用された。このSIシャシーについて、車体設計部の植島さんに訊ねると「このシャシーはフロントがレガシィに近いもの、リアは新しいダブルウィッシュボーンのサスペンションを使っていることからもお分かりになるようにまったく新しいものです。インプレッサは2代目モデルまで4輪ストラットでしたが、3代目については快適な乗り心地やスペース効率なども考慮し、リアサスペンションはダブルウィッシュボーンとしました。また、フロント部分がレガシィと近いことで、エンジン搭載位置を下げることも出来ました」。
続いて、フロントがレガシィに近いということを聞いたので「リアサスペンションにレガシィのマルチリンクサスペンションをお使いになるというお考えはなかったのでしょうか?」という質問をすると、「重視したポイントである快適な乗り心地と関連するのですが、インプレッサについてはなるべくストローク量を長く取りたいということが大きな課題でした。そうしていくと、レガシィのマルチリンクサスペンションだとちょっとストローク量不足を感じるところもあり、新しいダブルウィッシュボーンサスペンションを投入しました」とのことだった。
新設計のダブルウィッシュボーンサスペンション、サスペンションの取り付け位置にも注目
また、実験担当の田中さんにもお話を伺うと「コンセプトともリンクしますが、パフォーマンスよりも質というかドライバーが感じるフィーリングを重視しました。簡単に言ってしまうと、クルマでの移動が楽しくなるような乗り味を目指したといったところです」。
新型インプレッサは長期間に渡って、乗るたびに「いいなあ」と感じる高い満足感を味わえるクルマに仕上がっていることが期待できそうだ。(永田)
8)ボンネットはスチール製に、その真意とは?
少々マニアックな話題となるが、レガシィ、インプレッサ、フォレスターというスバルの乗用車は廉価版のグレードにまで軽量化のためアルミ製のボンネットを採用してきた。このようなこだわりこそスバルの大きな魅力であった。しかし、新型インプレッサのボンネットはスチール製である。このことに関してはいろいろな捕らえ方があると思うが、ボンネットの材質を変えた経緯をシャシーについて伺った植島さんに聞いてみた。
植島さんによると、「ボンネットをスチール製にした主な理由は、歩行者保護の関連と修復コストの面です。最近、歩行者保護に関する法規が一層厳しくなり、万一人をはねてしまった際のクルマ側への要求も高くなっています。『だったら、アルミの方が柔らかくていいじゃないか』、という意見もあるかと思います。しかし、アルミだと柔らかい分ボンネットの下にある固いエンジンに干渉するような感じになり、歩行者へダメージを与えてしまう可能性があります。もし、アルミボンネットのまま歩行者へのダメージを軽減しようとすると、どうしても厚みが増して重くなります。そうなると、スチールボンネットとアルミボンネットで重量差がそれほどなくなってしまうのです。修復コストというのは、単純にアルミパーツの方が直す際に高くつくので、お客様に大きなご負担をかけてしまうということです。以上のことを踏まえて、スチールボンネットの方がアルミボンネットよりも利点は多いと判断し、今回はスチールボンネットに変更しました」
ここまで深く考えられた理由があれば、スチールボンネット化を否定的に見ていた方も納得できるだろう。
また、新型インプレッサはスチールボンネットとなったが、ボディ構造の見直しによる20kg程度の軽量化、日本車では高級車にならないと採用しているモデルが思いつかない開いたボンネットを支えるためのダンパー(ステーの場合が多い)を使っており、違った角度からスバルらしいこだわりを感じることが出来るのではないだろうか。(永田)
ダンパーのおかげでボンネットを開ける際に要る力は、アルミ製とほぼ同等
9)価格設定は意外にお買い得
新型インプレッサの標準グレードには、3種類のエンジンに対してそれぞれ1グレード(1.5リッター/15S、2リッターSOHC/2リッターターボ/S−GT)が用意される。15Sから詳細を紹介していこう。
ベースとなる15S(2WDのATで151万2000円)でも、オーディオ以外はフル装備となっており、十分満足のいく仕様となっている。3種類設定されるパッケージオプションのどれかを選ばないと、HIDライトなどのメーカーオプションの選択の自由性が狭くなるものの、リーズナブルな価格でインプレッサの魅力を味わうことができる。パッケージオプションはお好みで選べば良いだろう。
売れ筋と予想される15S
2リッターSOHCの20S(AWDのATのみの設定:194万2500円)は16インチホイール、4輪ディスクブレーキなどの違いはあるが、ほぼ15Sに準じた装備内容となっている。
そして、最上級のS−GT(AWD+MT車で246万7500円)である。こちらもこの価格の中にHIDライトや“GT”のグレード名に相応しいクルーズコントロール(20SにパッケージオプションのCパッケージTを選ぶとオプション設定がある)まで含まれており、買い得感は高い。
今や貴重な存在であるMT車は、シフトの節度も良好
新型インプレッサは何をライバル車種と考えるか難しいところだが、比較的近い成り立ちのアクセラと位置付けの似たグレード同士で、2リッターエンジンのインプレッサがAWDであることまで加味して価格を比較すると、新型インプレッサの価格はどのグレードもアクセラよりも安いと判断することが出来る。
・アクセラ15C(インプレッサ15Sに対応:165万円)
・アクセラ20F(インプレッサ20Sに対応:198万円)
・マツダスピードアクセラ(FF車、インプレッサS−GTに対応:241万円)
インプレッサのライバルと想定されるアクセラ
新型インプレッサの競争力は、上質な内容を比較的安い価格で味わえるという面でも高そうだ。(永田)
10)スバルの未来は新型インプレッサが握ってる!
インプレッサといえば、やはり気になるのがラリーやレースといった競技のベース車両としても使われるWRXだろう。発表会では詳細は明らかにされなかったが、標準グレードとは別の開発チームの手により現在開発中とのこと。エンジンパワーがどこまで向上するか? 4WDシステムの進化など気になるポイントが満載。宿命のライバルであるランサーエボリューションとの対決にも大きな注目が集まるに違いない。
また、アメリカ仕様には設定のあるセダンボディは、当面追加はない模様。しかし、ユーザーからの要望次第では意外に早い時期の日本導入も考えられそうだ。
アメリカではこちらが主流
さて、日本での新型インプレッサの月間販売目標台数は2500台(年間3万台)、グローバルでは年間12万台とのこと。世界中から受け入れられることを目標に開発された、新型インプレッサの海外での評価にも注目したい。
新型インプレッサの発表会が、昨年富士重工の新社長に就任した森氏にとっては始めての発表会となったわけだが、森社長からはすでに公開されているディーゼルエンジン、多人数乗用車の投入等を通して「スバルは変わります」というメッセージが熱く語られた。その第1弾となる新型インプレッサの販売次第で、スバルの将来は大きく左右されるといっても過言ではないだろう。新型インプレッサが、販売不調に悩むスバルにとって救世主になるか? 大いに興味深いところである。(永田)
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