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平成16年11月1日
《レガシィ3.0RspecB試乗レポート》
2003年5月にデビュー(2003−2004日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞)し、同年9月に3リッターモデルを追加するなど、ラインアップ充実を図ってきたレガシィに、3リッターエンジンと6速マニュアルトランスミッションを組み合わせた“3.0RspecB”が追加された。
かねてより評価の高いフラット6とインプレッサに採用されている6速マニュアルミッションのコラボレーションは、レガシィにどんな魅力をプラスしたのかレポートします。
○操作性アップで街中でもラクラク
淀みないフラット6としっかりキマる6MTは街乗りスピードでも十分楽しい!
山崎(以下:山) スバル車のAT比率は国産車全体のそれ(95.1%:2003年自販連調べ)と比べて断然低い(75%程)ですけど、3リッターエンジンにもマニュアルを設定するというのはやっぱりヨーロッパ市場を睨んだ決定ですか?
国沢(以下:国) そう。ヨーロッパじゃマニュアル車が商品として“普通”。道路状況なんかからしても、日本ほどATじゃなきゃ疲れちゃうっていうケースも少ないし。
山 国内ではかなりマニアックな組み合わせだと思いますよ。良い意味でスバルにしかできないというか、スバルだからできたというか・・・。
国 3リッタークラスの乗用モデル(スポーティモデルを除く)でマニュアルミッションを積んだクルマは国産じゃ廃れちゃったし、だいいち現状を考えれば一部のスポーツカー以外にマニュアルを設定することはそのままコストアップに繋がる。頼みの綱のスポーツカーだってお寒い状況の中、しっかりとマニュアルをラインアップしてくるところは大いに評価したいね〜。
山 しかも、このシフトレバーの操作感はまさにホンモノって感じじゃないですか。一般的なマニュアルモデルだと結構グニャグニャしてるのが多いですけど、しっかりと節度感あります。
国 インプレッサのSTiに積んでる6速がベースになってるからシフトの剛性感は抜群。マニュアル志向の強いヨーロッパで売るとなると、シフトフィールって重要なポイントとなる。逆に言うと、ヨーロッパ車のマニュアルミッションの操作性が良いのは、それを育てる土壌があるってこと。中途半端じゃ受け入れられないってこと。
山 けど、正直言ってインプレッサのシフトって個人的にはあまり好きじゃないんですよ。「ゴリッ」としてるじゃないですか。渋滞の街中だとクラッチを含めて結構“体力”が必要だし、ストロークもカナリ短いから何度かシフトミスしたことあります。特に初めて乗った時は左コーナーで強い横Gがかかると、度々2速から5速に入っちゃいました。自分を弁護させて頂ければ、馴れの問題かもしれませんが…。
国 6速ミッションに共通する味付けの難しさだね。6速オーナーのほとんどはそういう経験あるんじゃないかな。かく言うワタシもこの前のラリーでシフトミスしちゃいました。
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山 でも、この6速マニュアルはインプレッサより数段イイですね。すごく扱い易くなってます。ゲートが切ってあるようにしっかりとストロークしますし、操作力もラクラク街乗りできるレベルです。とは言え、一度2速から5速に入れましたけど…。
国 レバー比なんかを適正化してあるから、気持ちよくシフトできるようになってる。レガシィのキャラクターはあくまでGT。インプレッサみたいな戦闘機じゃ、気持ち良いを通り越しちゃうことも少なくないから。そう意味でこのミッションを評価すれば、国産ナンバーワンでしょう。乗れば乗るほどタッチが手に馴染むから積極的にシフト操作したくなる。欲を言えば、もう少し(ニュートラルへの)リターンスプリングが強くても良いかな。そうすれば、よりシフトミスし難くなると思う。
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インプ比で前後左右各10mmほどストローク増
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山 スバルの方も「まだ新車だから多少ゴリッとするかもしれませんが、距離を重ねるうちにカチッと決まるようになります」と言ってましたから、オーナーはきっと楽しいと思いますよ。
国 このフィーリングならヨーロッパでも十分評価されるでしょう。
○BMWの背中が見えた『ボクサー6』
山 6速ミッションと組み合わせてみると、改めて3リッターのフラット6エンジンの滑らかさが際立ちますね。エンジン自体は「マニュアル化に合わせて適正化した程度」ということですが、確実にATモデルより気持ち良さが伝わってきます。
国 私もそう思う。この3リッターエンジンの完成度ってやっぱり高い! レガシィの3.0R用に開発された新しいエンジンだけど、アルシオーネSVX用がベースになっていた従来の6気筒とは違って高回転域までめちゃくちゃスムーズ。
山 2速で引っ張ってタコメーター見てビックリ! って感じですよね。音だけで判断するとまだまだイケそうなのに、7000回転のレッドゾーン直前までいってたりしますから。感覚的には直6エンジンに近い感じです。
国 直列6気筒も水平対向6気筒も回転サイクルが“完全バランス”になる理想的なエンジンだからね。だからこそ、高回転域でもフィーリングの悪化が少ないってワケ。
エンジン特性に大きな変更は無し。 レブリミットの7000回転まで一気に吹け上がる!
山 マニュアルで乗ったことないですけど、BMWの3リッター直6と同じくらい良い感じしますよ。330iにある6速マニュアルと同じくらい走りますか?
国 近いけど、さすがにそこまではいってないね。スペック的にはレガシィが250馬力(31.0kgm)で330iが231馬力(30.6kgm)だけど、パンチ力あるのはやっぱりBMWの直6。車重の差(330i:1500kg、レガシィツーリングワゴン3.0RspecB:1490kg、B4は1470kg)はほとんどないから、スバルにはもう少し頑張って欲しいかな。現状だとBMWに10%くらい届いていない感じ。
山 ちょっと変に聞こえるかもしれませんが、いささかスムーズ過ぎるってことないですか? そのスムーズさが物凄く高いレベルなのは間違いないんですよ。ただ、もう少し演出があってもいいかなぁって思うんです。回転フィールがドラマチックじゃないというか、回す程にゾクゾクするような……。
国 それが、低いギアで引っ張ってタコメーター見てビックリってことに繋がってるんだよ。エンジンが“良い子”過ぎるのかもしれないね。頑張ってるのに涼しい顔を装ってるというか、クールな性格というかさ。
山 スバルの方は「とにかくスムーズさを感じて欲しいから、あらゆる音を消す努力をしました」っておっしゃってましたね。それはすごく難しいことだと思うんですけど、あえてマニュアルを選ぶクルマ好きの人達にとっては、多少“咆哮”を聞かせてもいいと思うんですけど。
国 確かにそれは言える。今度の3リッターはカムとバルブリフトを可変する(AVCS+ダイレクト可変バルブリフト)んだから、高回転域はもっと演出してもいい。それがクルマとの対話になると思う。先日マイチェンしたインテグラタイプRのVTECなんか、デビュー当時のVTECと同じようにハイカムに切り替わるとしっかり音を演出する味付けに戻してきた。マイチェン前のインテRはやっぱり音を抑えてたけど、今度のモデルはまたビートを聞かせるようになってるのよ。気持ちのいいエンジンには心踊る演出が必要だというホンダの判断だろうけど、コレってすごく大事。
山 レガシィはタイプRじゃないですから、インテグラみたいにガーン! っていう感じじゃなくて、クォォォー! って感じの吸気音に迫力を付けて欲しいですね。排気音は上げられないですから。
国 おそらくバルタイやリフトに手を加えて、多少吸気抵抗にもなっているであろう消音構造を“聞かせる音”を放つように改良すればBMWにも負けないエンジンに仕上がると思うよ。
○硬派なB4とアウディに近いツーリングワゴン
山 新型レガシィになってよく話題になることに乗り心地とハンドリングのバランスみたいなところがありますよね。ワゴンとしてはあり得ないくらい鋭いハンドリングを持つGTspecBの乗り心地なんか、年改でタイヤを柔らかくしたことなんかも効いて多少マイルドになったとは言え、まだカナリ硬派な印象じゃないですか。3.0Rに乗ったことある人な分かると思うんですけど、「これでも十分引き締まってるな」って感じでしたから、今度の3.0RspecBの乗り心地について気になる人は多いと思うんですよ。
国 タイヤはGTspecBと同じ18インチ(215/45R18)だから、バネ定数とビルシュタインダンパーの減衰力をどう変えてきてるかがポイント。ATモデルの3.0Rはスポーティなワゴンを謳うレガシィにとってイイ線いってるアシだと思うから、specBとなってどうなったのかは興味ある。
低速域で少々硬さを感じるB4だが、ソリッド感高いハンドリングは路面状況が掴みやすい。
山 で、初めはセダンモデルのB4に乗ってみましたが、なんだかターボのGTみたいな乗り心地ですよ。
国 これだと一般的な人には「やっぱりレガシィ硬いなあ」と思われるかも。ビルシュタインダンパーなのに動き初めが渋くて、細かな入力に対して少々ゴツゴツした感じがする。
山 ところが、ワゴンの3.0RspecBに乗ると1つ目のコーナー曲がっただけで「全然イイ!」って印象に変わりますよね!
国 もうアウディ(A4アバント)に相当近いところまできてるんじゃないかな。路面状況がきちんと伝わってくる適度に締まっていて、さらにストロークに奥行きがある。B4で感じたゴツゴツ感も気にならないレベルにまで抑えられてるよ。
山 その辺もスバルの方に確認してみたんですが、ミソはフロントダンパーの減衰力とボディ構造にあるようです。ATモデルの3.0RはB4もワゴンも同じダンパー(前後同士で共通)を使っているそうで、これは3リッターモデルで言うところの“ソフト”ということでした。それに対し、3.0RspecBを作るにあたりB4は前後とも“ハード”な特性を与え、ワゴンの方はリアのみB4と同じハードで、フロントは3.0Rと同じソフトを使ってるんです。
こんな楽しい移動手段があれば、オトナの休日を満喫できます。
国 ってことは、リアに関しては20kg重い(リア部分が重い)ワゴンにB4(3.0R)と同じダンパーを採用してるから、結果的には減衰力を下げてることになるね。しかも、ボディ剛性もワゴン不利だから、適度なヨレも加わったおかげでしなやかな印象になってるワケだ。対するフロントはダンパー自体がソフトだから、当然当たりも柔らかい。もともと優秀なレイアウトのおかげで高速コーナーも安定してるし、前後バランスはレガシィシリーズでコレがベスト。このレベルなら「文句なし!」って感じ。
山 GT系の乗り心地に抵抗あった人にもきっと受けるんじゃないかと思いますよ。しかも、GTにはない6速マニュアルですからね。自分がレガシィ買おうとした場合、最終的には3.0RspecBにすると思いますよ。GT系のターボはエンジンパワーを使い切れない場面が多いですけど、3.0RspecBは運転してる感覚がターボより強いってのが決め手です。
国 ネックは燃費。ターボの方がまだ10〜20%くらい良いから難しいよね。ただ、いくらAT比率が95%越えでも、ホントはこんなクルマ欲しい人多いじゃないかな。素直な操縦性は大いに悩む価値があるほど魅力的。
山 これでクルーズコントロールとテレスコピックが付けばバリュー・フォー・マネー的には完璧ですね。
国 ヨーロッパ仕様にはクルコン付いてるんだから、日本仕様で外しちゃったのは残念。いくら利用頻度が少ないとは言え、マニュアルだってクルコンあった方がいい。コスト的にも電子制御スロットルだからスイッチ加える程度だし。テレスコはレガシィシリーズ全体における徹底した軽量化のために付けなかってって話でしょ。
機能性と質感が絶妙なバランスのコクピット。上品なスポーティさはアウディに通じる。
山 どうもテレスコ付けようとすると、伸縮ジョイントを採用するステアリングロッド自体で約1kg重量が増えるみたいです。そのくらい大したことないと思われがちですが、約1kg増量しただけでも、それを支持する部分に伝わる振動は相当違うということでした。つまり、各部にテレスコ機能に対する対策や剛性アップを施すと、せっかくの軽量化の意味が無くなると言うことから採用が見送られているそうです。ただし、やっぱり市場からの「なんでテレスコないの?」という問い合わせは多いそうですよ。「将来的には考えなくてはならないかもしれません」とスバルの方も話していました。
国 将来的と言えば、GT系の6速マニュアルはどうかな?
山 今のところ明確な開発スケジュールはなさそうですね。「トルクがあるので、6速搭載が急務ではない」というような回答でしたし。もしかしたら、現行レガシィの最後の隠しダマなのかもしれません。
国 スバルくらいの規模のメーカーは常にトピックスを掲げていないと存在感を出せない。例えカー・オブ・ザ・イヤーを獲ったレガシィでもね。毎年改良したり、折をみて魅力的な追加グレードを発表したりするのはそのため。でも、それはスポーツカーを熟成していく過程と同じように、常に良いクルマにしようというメーカーの気持ちの現れだから、今後のレガシィにも期待して良いんじゃないかな。

パワーの出方が自然だからワインディングロードが「チョー気持ちいい!」
3.0RspecBにはターボエンジンを搭載するGT系のような刺激は無い。ただし、動力性能が貧弱か? というと、ハッキリ言って想像以上に速い。常用の範囲ではまるで真空状態の中でドライブしてるのかと思うくらいシフトアップ時のスピードの乗り方に抵抗がなく、ふとメーターを確認すると「おっとっと!」という感じなのだ。これは最近のBMWやアウディに通じる感覚で、自分の運転技術が上がったかのような安心感を伴いながら、無理なくアベレージスピードの高い走行ができる。また、6速ミッションの洗練度についても、クルマ選びの際に大きな問題となるであろうマニュアル車の煩わしさを“小さな問題”に変えてしまうくらい心が洗われる気がした。
レガシィを選ぶ上でひとつのキーポイントになること間違いなしのGTspecBと3.0RspecB。燃費よりもドライビングプレジャーを堪能したいと思う気持ちが強ければ、3.0RspecBの存在が際立つと思う。
Text:山崎 裕正
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