やや地盤沈下気味だった4ドアのスポーティモデルだったが、アルテッツァの人気で急速に注目度は向上中である。そんならウチも、ということじゃないんだろうけど、結果的にオイシイ思いをしそうなのがレガシィB4。何たってアルテッツァにライバルとしてピッタリの4ドアセダンは存在しなかった。これ、どういった意味を持つか?考えて欲しい。雑誌としちゃ単独試乗より比較試乗の方がにぎやかで面白い。当然のこととしてレガシィB4の記事も増えるという寸法。
 しかもスペック的にレガシィB4はアルテッツァを圧倒している。アルテッツァの210馬力に対し、ターボ付きレガシィB4は280馬力! 車重は60sくらいしか変わらないため、動力性能はカンペキにワンランク上。それでいて価格は17インチホイールやビルシュタインショック、8スピーカーのCD付きオーディオ、MOMOのステアリングといった装備が全て標準の『RSK』で258万8千円。アルテッツァのZエディションは250万円なので、4WDとターボがタダでついてくるようなモン。

 これで乗って面白ければ、アルテッアァにとってマコトにイヤなヤツとなるワケね。前置きはこのあたりにしておく。試乗と行きましょう! RSKのコクピットに座り、ギアをロー。期待しつつクラッチミートすると、やっぱし格段に速い! 重いステーションワゴンボディでも十分速いのだ。60s軽いセダンが遅いワケない。アルテッツァに3リッターエンジン積めば、このくらい速いだろうなぁ、といったレベル。アクセル開ければ、どこの回転域からもグイグイ行く。
 1速とか2速だと瞬時にレッドゾーン飛び込み状態。3速くらいから鋭い加速を味わえるも、到達速度が速いもんだから公道だとなかなか全開できない。いや、そんなことせんほうがよかろう。こいつのハンドルを握ってると、矢でも鉄砲でも(このバアイ BMWのM3やポルシェなんぞを示す)掛かってきなさい気分。おそらく最高速は250q近辺で、0〜400m13秒台前半といったところか? さすがエインプレッサやエアンエボのような爆発的動力性能でこそないものの、普通に使える4ドア車としちゃ例外的にパワフル。

 ハンドリングはどうか? ポルシェに評価を頼んだということだが、この点についちゃ少し期待ハズレだった。もの凄くイイかと期待したせいもあるのだろう(もしかしたら天国みたいにキモちいいかと思ってたりして)。普通よりいいかな、程度。もしかするとポルシェというメーカー、4WDについてのノウハウが足りないのかもしれない。ワタシはむしろレガシィ・ツーリングワゴンの味付けを好む。4ドアって、なんだか奥行きが足りないような気がするのだ。スバル自身で仕上げればよかったのに。ま、それでもアルテッツァと比べれば速いし、コーナリング限界も高い。
 スタイルはアルテッツァよりオーソドックス。ただツーリングワゴンとフロントのイメージがやや異なる。聞けば、ボンネットの鉄板を作る段階でプレスを少しキツくしたとのこと。結果、ホリが深くなりイメージまで変わったらしい。ゴールドのボディカラーなど見ると、案外大人っぽくって悪くないかも。リアシートの使い勝手は先代から好評だったこともあり、なかなか広い。セダンとしてもマジメだ。
ATはハンドル部分にシフトスイッチを持つタイプ。4速ATながら、トルクバンドの広いターボということで、これまたパワフルに走ってくれる。ただ乗って楽しいの、ターボの方です。今回は試乗できなかったが、ノンターボの155馬力2リッターモデルもある。コッチは215万5千円。4WDのセダンを考えているなら、コストパフォーマンス高い。

 アルテッツァの独走かと思われた『スポーツセダン』というジャンルながら、突如伏兵が現れた。レガシィB4である。280馬力のターボエンジンとフルタイム4WDという”武器”を持ちながら、価格ほぼ同じ。WRCでの活躍などで、このところスバルのイメージは急上昇中。読者諸兄も気になっていることだろう。驚くのがネダンだ。アルテッツァ200RSの17インチタイヤ仕様より8万*千円しか高くない。10万円以上するビルシュタインのダンパーや、4万円相当と思われるモモのハンドルなど標準装備していることを考えると、二つのターボと4WDシステムはタダみたいなもの。
 もう一台がスカイラインGT−V。2、5リッターノンターボエンジンにマニュアルミション組み合わせ、さらに17インチタイヤで足回りを仕上げた。多少スタイルにモンダイあるも、車重1410sとアルテッツァより20s重いだけ。エンジンだって2**馬力で、トルクなどはむしろアルテッツァを凌ぐ。「FRの本家」的存在の日産が作ったアルテッツァの対抗馬とあって、これまた無視出来ない存在。スポーツセダン買うなら、やっぱり高い性能を持つクルマにしたい。そこで筑波サーキットとワインディングロード風のテストコースに3車を持ち込み、勝負させてみることにした。

●筑波サーキット まずはアルテッツァでコースインする。テスト日は若干濡れた路面が残っており、加えて高温多湿。条件としては良くないけれど、3車の比較という目的ならモンダイ無いでしょう。ちなみにワタシの筑波サーキットのラップタイム、そのクルマの実力の0、5秒落ちだと思って頂ければよい(0、5秒が削れないが、不思議なことにそれ以上遅れることもない)。アルテッツァ最大の難点は、パワー不足。いくら210馬力あっても、2リッターじゃトルクバンド狭い。車重も1390sで軽くない。インテグラのタイプRなど1***sで200馬力ある。1390sあったら、250馬力の2、5リッターくらい欲しいところ。
 足回りもイマイチだ。ワタシはアルテッツァのデビュー直後から指摘しているが、FRとしちゃ大いに不満。FRの魅力は「ガンガン攻めていける」である。つまりコーナーでアクセル開けて楽しくないとイケナイ。テール流せないんじゃFFでも同じでしょ? すでにアルテッツァに乗っているヒトは知っているだろうけど、2速フルパワーでもパワードリフトしないのだ。このあたり、ノーマルのハチロクに似ている。おそらくトヨタのテスターは、テールが流れることを嫌っているんだろう。逆にFFみたいな味付けのFRを好むなら、アルテッツァは素晴らしいクルマだと思う。

 対照的なのがスカイライン。コーナーでハンドルを切り込むと、気持ち良いくらいフロントはインに入っていく。絶対的なグリップレベルが高い感じ(アルテッツァはFF車のようにグンニャリした手応え)。そしてリアはフロントに追従していく。アクセルを踏まなければ、ほとんどニュートラル状態でコーナーをクリア出来るほど。攻めないドライバーなら、何のキケンも感じないままシャープなステアリングレスポンスだけ楽しめるだろう。コーナーでアクセル踏んだらどうか? このあたりが開発スタッフのウデの見せドコロ。スカイラインのバアイ、キチンとテールをスライドさせる。
 日産の開発陣はFR車の”ツボ”をキチンと抑えているワケ。だからハンドル握っていて楽しいのだ。アクセルを踏めば、攻めた走りも可能。これでカッコ良いボディと、もう少しパワフルなエンジンがあればアルテッツァに負けないスポーツセダンになったのに、と強く思う。今回のテストでラップタイムはアルテッツァに届かなかったけれど、有効なLSD(スカイラインはビスカスタイプなので、コーナー立ち上がりのトラクションがイマイチ足りない)さえ装着すれば勝てるに違いない。シルビアのシャシベースで4ドアセダンでも作ったらいいのに。

 レガシィB4は圧倒的にパワフルだ。280馬力のパワーと、**smあるトルクは、アルテッツァより70s重い車体をモノともしない。2速で立ち上がる1コーナーなど、アクセル全開した途端、4輪ともパワーでアウトに流れていく。意外だったのは、ステーションワゴンボディよりアンダー傾向が強いこと。最も新しいGT−B Eチューンと呼ばれるステーションワゴンに乗ると、面白いくらいよく曲がる。ドレドレとばかりセダンの前後重量配分をチェックすると、59対41。55対45のアルテッツァはもちろん、重い6気筒を積んでフロントヘビーなスカイラインの56対44より前が重い。ちなみにワゴンEチューンの重量配分は**対**となる。
 それでもコーナーの入り口でスピードコントロールすれば、パワーを活かしてグイグイ走る。R32のGT−Rと同じような特性だと思えばよろしい。加えて今回のテスト車は前日にナンバー取った新車。ブレーキの当たりも十分でなかったらしく、すぐフェード気味になってしまった。ランニングインを済ませば、1秒くらい速くなると思う。今回のタイムも、ブレーキとタイヤが冷えている1ラップ目のもの。3車のラップタイムは表の通り。ごく普通のオジサン向けセダン用エンジンを積んだスカイラインの健闘が意外であった。日産頑張って欲しい。

●ワインディングロード風テストコース アップダウンのあるコースで必要とされるエンジンは、ピークパワーよりトルクがモノを言う。太いトルクを幅広い回転域から出せるかどうかで勝負が決まる、と言い換えてもいい。といった点からすると、ターボや排気量のあるエンジン有利。しかも見通しの利かないタイトなコーナーでは、限界性能の高さなどほとんど意味を持たない。コーナリング速度高くても、危なくて性能をフルに発揮出来ないからだ。それより楽しくてコントロール性の高いハンドリングが好ましい。いや、それ以上にドライバーの趣味で評価は決まるかもしれぬ。
 ワタシはテールの流れを自由にコントロール出来るラリーカーのような味付けを好む。コーナー入り口でタックイン使ってテール少しアウトに出す。出口見えたなら、そこからアクセル踏んでフル加速する、という走り。FR車ならアクセル踏んでテール流れると、さらに楽しい。この3車で一台選ぶとすれば、迷う余地無くレガシィB4だ。スカイラインも楽しいが、もう少しパワー欲しいし、エンジンフィールも平凡。アルテッツァはリアの接地性が勝ち過ぎ。FF好きならモンクないだろうけど、FRファンにとっちゃ「違うだろ!」と言いたくなる。
 そろそろ結論を出そう。本来ならレガシィB4はライバル2車と価格帯が違ってないとおかしい。だって30万円相当するターボと20万円相当するハズの4WDをタダで付けてきているのだ。スカイラインの280馬力ターボは***万円する。そんなクルマを一緒に勝負させたなら、負ける方がヘン。ということで、売れ行き好調のレガシィB4にはキチンと理由あるんだな、ということがよ〜く解った。