とりあえずスタイルについてのハナシは後にして、試乗といきましょう! まず迷うことなく『20K』とネーミングされた250馬力ターボ車を御指名。もちろんマニュアルミッションである。重くもなく軽くもないクラッチ踏み込み1速に送り込む。スタートすると、おお! けっこう軽快やんかぁ! 車重1370sと従来型より若干重くなっているため、多少トルク不足を感じるかと思ったら全然そうじゃない。考えてみれば改良されたEJ20ターボは、最大トルク34smもある! ノンターボエンジンなら3,4リッター級の排気量と同等のトルク。
しかも低回転域からトルクを出しており、2千回転回っていると、すでに2,5リッターノンターボエンジンの最大トルクが出てる。3千回転くらいまで引っ張って走れば、簡単に交通の流れをリード出来てしまう。アクセルレスポンスも大幅に良くなっており、ターボエンジン特有の気むずかしさはない。嬉しいことにトランスミッションの取り付け剛性が高くなったせいか、シフトも気持く決まる。シフトフィール悪いとマニュアルミッションは疲れるだけ。インプレッサみたいなシフトフィールなら大歓迎だ。
エンジンと共に走り出してすぐ感じるのがボディ剛性。スバルにとっても自信作らしく、試乗する前に何度も「ボディ剛性高くしましたから」と言われた。こういった自信のコトバ、珍しくないことなので軽く流して聞いたが、こりゃホントにガッシリしてるぞ! ボディの剛性”感”というのは計測したり表現したり出来ないものの、乗ればハッキリ解る。荒れた路面を通過した時、剛性感無いクルマだと、ドラミングといって、どこかが振動してしまう。インプレッサはドラミングしない。従来型も決して剛性低いボディでなかったけど、新型は明らかに一段とガッシリしている。
と感心してるウチ、テストコースに到着。いっちょ全開してみますか! フル加速でワタシら「オールージュ」(スパ・フランコルシャンサーキットにある有名なコーナー)と勝手に言ってる難所に飛び込む。左に曲がりながら急な登り坂が始まり、140kmくらいでハンドル切り込むと外側2輪フルバンプ。軽くドリフトしながら「ぐしゃぁぁっ!」と沈み込む。その直後、今度はジャンピングスポットになっており、ほとんど宙に浮く。接地してフルバンプ。続いて左の高速コーナーが待つ。ニュルブルックリンクにも負けない厳しさ、だと思う。
足回りの仕上がりが悪いクルマだと、最初の左高速コーナーのフルバンプでタコ踊りしてる間にジャンプし、もはや収拾付かなくなる。ここを新しいインプレッサで攻めると、いいじゃないですかぁ! サスペンションがぐわしゃっ! っと沈み込んでもバランスが崩れない。流れた状態でもハンドルを切ればキッチリ車体は反応し、バランス崩したって一発で収束するのだ。20Kというグレード、STiバージョンのように過激な性格付けでないと聞いていたんだけど、そうでもないぞぉ? そこらのスポーツモデルなど相手にしないくらいスポーティである。
130〜150kmでクリアする高速コーナーもバランスがいい。アクセル戻してハンドルを切ると、リアはじんわりと流れる。このくらいで止めよう、と思えばホンの少しカウンターステア当ててやればよい。それだけでビタッとスライドは止まり、揺り返しも無いときた。それほど硬い足回りじゃないのだけれど、なぜか腰があって乗りやすいのだ。タイヤのグリップもちょうどいい感じ。これ以上食いつくと、おそらく公道じゃオーバークオリティになってしまいそう。かといってグリップ弱ければ不満になる、そんなレベル。
低中速コーナーはどうか? 写真のコーナーが典型例。ここ、3速全開なので、110kmくらいだと思う(残念ながらメーター見てるヒマないです)。進入でアクセル戻すと、注文通り前輪荷重となってアンダーゼロ。逆にテールアウトの姿勢になる。そこからアクセル開けていくと、理想的なコーナーの脱出だ。ワタシの場合、ラリードライバーのように、一段と深いドリフトアングル付けるのが好きだから、写真のように少しオーバーアクションでコーナーに飛び込む。このくらいスライドさせた方が安心だから。
言うまでもなくスライドするとコントロールが難しくなるクルマもあるけど、インプレッサ(スバルは全般的にレベル高い)なら全然平気。コーナー出口見えたらアクセル全開! すると4輪に駆動力が掛かり、流れはピタッと止まる。そこから3400ccのノンターボエンジンに匹敵するトルクにより、リアのシュアトラックLSDがガッチリ作動。FR車のようなテールスライド姿勢をキープし、次のコーナー向けて強力な加速体勢に移っていく。いやいやいやいや楽しいです! すっかりワゴンだってこと忘れてた。
そうそう。ブレーキも素晴らしく良くなった部分。従来型インプレッサのブレーキって、聞きそのものは納得出来る水準にあったが、あまり誉められたタッチでなかった。いわゆる「スポンジー」な踏み心地だったワケ。スバルも認識しており、全社を挙げて対応中とか。マイナーチェンジしたフォレスターで大幅に改良されたが、新しいインプレッサはさらに良くなっている。カッチリしたタッチで、ブレーキ力のコントロールもたやすい。そんなこんなで、感心しまくりながら試乗会のベースに戻り、いよいよ避けて通れない議題に取り組まねばなるまいでしょうな。スタイルです。
読者諸兄はどう思うだろう。ワタシのHPの掲示板に寄せられた反応を分析すると、大きく三つに分けられるようだ。一つは言うまでもなく完全否定的な「やっちまったぁ〜!」というもの。『てんでダメ派』とでも分類しておきましょう。「次期型インプレッサは凄くカッコいい!」と期待してたヒトほどガックリ度合い大きいみたい。実際、新しいインプレッサのスタイルって、非常に理解しにくいと思う。少なくとも見た瞬間「カッコいいぞ!」と感じるようなデザインでないんじゃなかろうか。このタイプのヒト、現行レガシィの時も大勢居たなぁ。
二つ目にごく少数派ながら「カッコいいね」と『全面肯定』するヒトがいる。異性に対する趣味と同じで、ストライクゾーン広かったり、変わった評価をするヒトもいるんだ、とやや尊敬に近い感想。もし最初からカッコいいと思えるのなら、インプレッサを即座に購入すべき。スタイル以外の弱点は皆無に近いから。そして最も多かったのが「ヒドイと聞いていたけど、実車見たらそれほど悪くない」という『判断先延ばし派』。比率にすると、順番に3対1対6くらい。これまた意外なことに、レガシィの時と同じくらいなのだ。
アンタはどうなのよ! と聞かれれたら『判断先延ばし派』と答える。というのも、実車を見る前に「凄くヒドい!」なるサジェッションを受けていたから。史上最悪、くらいのイメージを持って実車見ると「それほど悪くないじゃん!」なのだ。スバルのデザインというのは不思議。現行レガシィも先代レガシィも、考えてみれば初代レガシィも、いやいや初代インプレッサだってデビューした時は酷評に次ぐ酷評だった。それが最終的にフルモデルチェンジまでカンペキに商品力を維持してしまったのである。こら大したデザインだと思う。
今度のインプレッサも、正直なトコロ依然馴染めていない。でもセダンのWRX見ると、少しづつ違和感なくなりつつある。アカンアカン! スバルの作戦にハマったらアカン。サイドビューなどお気に入りに近かったりして。これで10月末くらいにピュアスポーツモデルであるSTiバージョン出て、来年1月にWRカー(WRC初戦モンテカルロラリーでデビュー)すると「カッコいいなぁ」と感じてしまう可能性も。そしたらワゴンだってカッコ良く見えるんだろうなぁ。で、4〜5年、フレッシュさを維持するんだと思う。
インテリアの方は上手にまとまっている。従来型より一回り大きなクルマというイメージ。実際、インテリアボリュームも大きくなった。中でもリアシートのレッグスペースは、ハッキリ違う。従来型だと身長183cmの運転手が座ると、レッグスペースはほとんど無い。新型ならレガシィに限りなく近いレッグスペースを残す。着座位置高くなったのも有利に働いているようだ。個人的にはターボ用のシートが大いに気に入った。この「イカシート」(イカみたいな形状だから)、国産車のシートとしては異例にフィット感高い。
何でも「レカロに交換されないようなシートを作ろう!」という狙いで企画されたらしい。左右のフィット感抜群によく、座り心地も快適。ヘッドレスト一体型型だから、安全性も高いと思う(体格によって調整しなくて済むため)。多少シートレールをいじればレガシィにも付くかもしれぬ。早速ワタシのレガシィGT−Bに付けてみようかと思った。付けたら価格と装着方法をレポートします。ラゲッジスペースは従来型より使い勝手が良くなったけれど、インプレッサに広いスペースを期待するユーザーは少ないか?
2台目に試乗したのは157万3千円の『I,sスポルト』(アイズと読む)。1500t100馬力のFFで、女性ユーザーを意識したグレード。MOMOのステアリングや2DINのオーディオ、エアロキットなどを標準装備しており、20Kなどと比べても見劣りしない。さすがにエンジンパワーやコーナリング性能は20Kみたいにゃいかないものの、ボディの剛性感や質感は全く同じ。BMWやアウディのベーシックグレードをイメージしていただければいいと思う。
3台目は20KのAT。レガシィと同じスポーツシフトを採用しており、ゲート横の前後セレクトと、ステアリング部分にあるボタンでマニュアルシフトが出来る。ワインディングロードを走ってみると、車重軽くて低速トルクあるせいか、レガシィよりレスポンスいい。特にワインディングロードで多用する2速と3速のシフトはギア比も適当で楽しかった。イチオシはマニュアルミッション車ながら、ATをお望みならコッチでもスバル車らしさが堪能出来ると思う。
以上、ざっと新型インプレッサを紹介した。印象に残るのが20Kの走り。これほどスポーティかつキビキビ走るSWは今まで無かったような気がする。レガシィも素晴らしいSWだけど、持ち味からして違う。戦闘機に例えれば、レガシィは双発でパワフルなF18ホーネット。インプレッサが小回りの利くF16ファイティングファルコン。スキーならレガシィGSでインプレッサはSL。スノボだとアルペンとフリースタイル。そんなイメージです。
<ワゴニストより>
最初は大いに戸惑ったスタイルだが、考えてみればスバルっていつもそうだ。先代レガシィも現行レガシィも先代インプレッサだって、デビューした時は酷評されたもんである。いや、新しくなるにしたがって、デビュー直後の評判が悪くなっていく。現行レガシィの時なんかボコボコに叩かれたもんなぁ。新型インプレッサは現行レガシィに負けていない。いや、スバル史上始まって以来の”激しい”デザインかも。ただ残念なことにワタシは慣れつつある。インターネットで意見聞くと、慣れ始めているヒトが大いので驚く。スバルのデザインって凄いのかもね。
さて、クルマ好きにとって興味の対象は、ズバリ20K。近所の足に使うなら1,5リッターエンジン積む『I,s』というチョイスもあるだろうけど、スバルと言えばやっぱり走る楽しさがないとね。期待しつつハンドル握ると、やっぱ裏切られません! 20Kは250馬力で、従来型WRXの10馬力増し。しかもドッカンターボでなく、常用回転域から太いトルクを発生する。最大トルク34kgmだからして、3400ccのノンターボエンジンと同等のパフォーマンスを想像してくれればよかろう。アクセル踏むと1370キロという重量を全く感じさせず、グイグイ加速!
テストコースを攻めると、お見事なバランスでないの! ややタックインをキツめに掛けてコーナー飛び込めば、きれいにインを向く。そこからアクセル踏んでやると、理想的な姿勢で立ち上がる。コーナーの曲がり込みがキツイ時は、ブレーキまで使ってタックイン。自由にテール流せるので、お好みに応じてスライド量コントロールして楽しもう。先代以上にテールのコントロールが簡単になったため、もはや自由自在。とてもじゃないけどステーションワゴンに乗っている感じがしない。もちろんテール流すまで攻めなくても、新型インプレッサの持ち味は堪能出来ると思います。
ナニがいいといえば「ボディ剛性」につきる。クルマの基本はボディ剛性で、これあればもの凄く高級なイメージに仕上がるし、無いと安っぽくなってしまう。いわゆる「高級車」と評価されるクルマの多くは高いボディ剛性持ち、安い日本車を含め評価低いモデルでボディ剛性高いクルマは見たことない。インプレッサのボディ剛性たるた、レガシィを凌ぐほど。新しいのだから当然という意見もあろうが、やっぱりコンパクトなクルマでも手抜きしないというスバルの”意地”を強く感じた。これでも少しラゲッジスペース広いと満点なんだが……。広さ欲しければレガシィ買えって?
1500cc搭載車はフィールダーやシビックなど、同じクラスに続々ライバルが出てくる。FF車同士の比較だと、勝ったり負けたりか? も少し具体的に説明すると燃費や動力性能で少し負け、ボディの剛性感やインテリアの質感で勝ち。1500cc買ったら標準装備のホイールをスタッドレスタイヤ用などに回し、一回り太いタイヤ装着したい。1500cc車の標準タイヤ、なんだかスバルとしちゃ物足りないスペック。やっぱりスポーツイメージ強いメーカーなんだから、期待に添った味付けやスペック持っていて欲しいと思います。
気になるSTiバージョンは、今の時点で予定ないそうな。もちろん4ドアセダンには10月末に追加されるが、ワゴンボディのSTiは無い模様。でも20Kのパフォーマンスで十分過ぎると思う! 速度リミッターカットすれば230km以上出る上、0〜400m加速もマニュアルミッション車なら楽に14秒代前半に入る(気温など条件良ければ13秒代か?)。そうそう。ミッションはATとマニュアルから選べるが、ワタシのおすすめは楽しくて15万円も安いマニュアルの方。マニュアルの方が乗ってて面白い。しかも燃費だっていいから2重におトク。ぜひとも試乗してみてちょうだい!