スバル フォレスター

スバル

フォレスター

平成17年3月25日

★平成17年1月27日マイナーチェンジ

《フォレスター試乗レポート》

 “全進化”とCMで謳っているとおり、フォレスターが大きなマイナーチェンジを受けた。兼ねてから評価の高い走行性能はどんな進化を遂げているのか? 今回は念願の等長等爆エキゾーストシステムを採用するなど、ターボモデルよりも注目すべきトピックスを持つNAモデル(2.0XS、スポーツシフト4AT)に試乗してきました。

○出力特性の適正化で軽快感アップ

カドが取れ滑らかなラインで構成するフロントマスク。一回り大きく見えるようになった。

山崎(以下:山) 出力的には3馬力しか上がってない(140ps/19kgm、旧型は137ps/19kgm)ので、そんなに体感的な差を感じられないんじゃないかと思って試乗してみたんですが、特に街中のようなストップ&ゴーが多いシチュエーションだと明らかに違いますね。
国沢(以下:国) 低速域のパワーの出方が凄く良くなった。1つの理由としては、エルグランドの2.5リッターモデルも同じようなセッティングで非力さを感じさせないようにしているのと同じ様に、電子スロットルの制御をピックアップレスポンスを重視する方向でセッティングしていることが上げられる。レガシィも全車電子スロットルを採用していることからもわかるように、スバルはアクセル開度とパワーの出方について真面目に研究していると思うよ。
山 ドライブ・バイ・ワイヤーとかスロットル・バイ・ワイヤーとかいくつか呼び方がありますけど、中には踏み始めの領域がちょっと過敏過ぎるようなのもあったり、逆にマニュアル車なんかでシフトダウンの際ブリッピングしようとアクセルをあおっても思いのほか反応が鈍かったりと、ドライバビリティ面にやや問題ありと思えるようなのもありますよね。正直言って余り感覚的に気持ち良いレスポンスを持ったバイ・ワイヤーって少ないと思います。

低速域のパンチ力がアップした2リッターNAエンジン。

国 その点で言えばフォレスターの電制スロットルは「リニア」という表現がぴったり。きちんとペダルストローク量にリンクしてるから、街中で余計な気を使うことも無いしハーフスロットルくらいまではキッチリパワーがついてくる。まあ、それ以上の領域になっちゃうとターボエンジンのような絶対的なパワーがないから踏んでも“伸び”はあまり無いけれど、旧型に比べてれば確実に力強いスタートダッシュが決められるようになったよ。これならターボじゃなくても良いかなって思う。
山 MC前のフォレスターにはよく乗る機会があったんですが、それと比べるとエンジンの回転フィールが明らかに軽快です。排気効率アップを狙って等長エキマニを採用した効果は十分に体感できますよ。特にふん詰まり感があってこもり音が発生していた3000回転くらいまでの領域はかなりスムーズになったと思います。
国 エンジン音も小さくなったし、パワープラントの洗練度はフルモデルチェンジ級。初代フォレスターにNAの2.5リッターモデルがあったけど、低速の力強なんかそれと比べても全然引けをとらないし、フィーリング面でも現行レガシィに近い上質さを持ってる。燃費だってエクストレイルやCR−Vと同じ条件で比べたら(avの5月号をご参照のこと)フォレスターが一番良かった。レガシィで実証済みながら、スバル車は燃費が悪いってい言われることはもうないでしょう。

○フットワーク面も正常進化

コントロール性は国産車トップクラス

山 豊かなサスペンションストロークからくるコントロール性の高さはフォレスターの持つ大きな特徴でしたけど、マイナーチェンジされて乗り心地まで良くなりましたね。
国 凄くシャッキリした感じ。以前までは自然にストロークするんだけれども多少フワフワしたところがあって、状況によってはユルさを感じるときもあった。細かな凸凹が続くような道だと足元がブルブルしてたでしょ。その辺りがだいぶ改良されてて、ビシっとダンピングが効くようになった。
山 前の印象だと60km/hくらいで道路にある突起なんかを超えると、サスペンションアームのブッシュが大きく動くような感じがありましたから、その振動がシートやステアリングを伝わってきてあまり気持ち良くなかった。新型はその辺がかなり改善されていると思います。新たにフロントはサブフレーム構造とした上でリバウンドスプリング内蔵のダンパーを採用したり、リアはSTiバージョンを開発する際に追加したクロスメンバーを装着して剛性アップを図っているとのことですが、これらがよい仕事をしてるらしく感覚的には超軽量ホイールに交換してバネ下荷重が軽くなったような乗り味になったと思います。
国 そういった感覚はハンドリングにも好印象をもたらしていて、しっかりとしたステアリングの操作性と切り始めのダイレクト感の向上に繋がってる。ハイペースでワインディングロードを走っても本当に気持ち良いよ。クロスオーバーSUVとして悪路走破性も視野に入れている以上車高の高さはいた仕方ないんだけど、それがネガティブに働ずにドライバーにクルマの動きをきちんと把握させる要素として最大限活かせてる。コントロールして楽しむことを勉強するには最適の1台だと思う。
山 傾向としてはリアのスタビリティが上がったような気がしますね。いままでのフォレスターは結構簡単にリアがドリフトアウトしてオーバーステアになりましたが、今度のはしっかり粘るようになってます。理想的なニュートラルステアなんじゃないでしょうか?
国 多分振り回して遊ぶような乗り方をする人ならマイナーチェンジ前のモデルの方が「簡単にテールを流せるから好き」ってなるだろうけど、きちんとしたテクニックを持っている本質的なクルマ好きなら絶対に新型が気に入るはず。きちんとしたコーナーリング姿勢を作れれば思い通りに操れることは変わらない。シャーシ性能が上がってドライバーが限界付近を掴み易くなっているし、スライドもグリップ感を伴いながら徐々に発生するからより安全に楽しめると思う。決して保守的になっていないよ。

○所有満足度高いインテリア

17インチホイールが全体のシルエットを引き立てる。サイドミラー内蔵ウインカーも標準装備。

山 試乗した2.0XSはいわゆるセカンドグレードなんですが、これだけ各所がブラッシュアップされて、17インチタイヤ(215/55R17)まで標準装備して(2.0Xのみ215/60R16)217.35万円(東京地区)はかなりお買い得だと思います。ちなみにHIDライトとナビは全車オプション扱いです。
国 それでも、MOMOの本革巻きステアリングを始めATセレクトレバー(スポーツシフト&シフトポジションインジケーター付)とハンドブレーキレバーも本革だし、クリーンフィルター付きフルオートエアコンや100WのCD&AM/FMチューナー一体オーディオ(4スピーカー)なんかまで標準装備でしょ。この価格で世界最高レベルの4WD(リアにはビスカスLSDも入る)モデルが買えると考えれば十分リーズナブル。
山 使い勝手の面でもアンサーバック機能付電波式リモコンドアロック(ハザードランプ・オフディレイルームランプ連動)やキズや汚れに強いハード加工のラゲッジ(タフカーゴ)など、機能性の追求も見逃せません。ただ、1つ気になったのがシートの座りごこちです。新たに撥水加工を施したファブリック地(運転席ダイアル式スーパーシートリフター付)のシートになったんですが、イマイチ形状が良くないと言うか不必要な硬さを感じるんですよね。多分、小柄な人が座ったら余計にそう感じると思いますが……。
国 シートは日本車の永遠の課題みたいなところ。特に撥水加工を施したという素材的にも座りごこちを追求するには難しいものを使ってるから、慣れ不慣れを含めて考えてもまだ改善すべきところはある。とは言っても、インテリア全体としては雰囲気凄く良くなったよ。
山 クオリティーの高さを感じる質感になりましたよね。より乗用車に近くなったというか、現行レガシィで大幅に質感アップしたインテリアの仕立て具合がフォレスターにも活かされているような気がします。

内装色はベージュ(ブラックもあり)。前席シートバック形状の見直しにより後席の居住性が向上。

国 ダッシュパネルなんかも味気ないプラスチックっぽさが上手に処理されて手触りも良くなった。これくらい品良くまとまっていると毎日乗っても満足度高いと思う。
山 個人的には使い慣れないせいかATのシフトレバーの操作性がもう少し良いと思うんですよ。位置的に上から握る感じになるんですが、その割りにリリースボタンが手のひらで押せない作りになってるんですよ。個人差
(座高が高い人は特に)もあるでしょうが設計通り親指で押すように握るにはちょっと不自然な角度から腕をもっていかないといけない感じになります。欲を言えばゲート式にスポーツシフトを組み合わせているレガシィのATセレクターがあるんですから、それを流用して欲しかったですね。
国 まあコストな問題もあるから何がなんでも良いものばかり盛り込むわけにもいかないでしょう。どうせ流用するなら5速ATも一緒にした方が生産性は高いだろうし、しないならあくまでインプレッサベースで構成した方が効率的なクルマ作りができるんだからさ。
山 確かにマニュアルのように頻繁に操作するものじゃないですから、あまり気にしない人にとっては些細なことかも知れませんが・・・・・・。まあ、噂によればこのフォレスターをベースにしたSTiバージョンもあるということですので、コストよりもドライビングプレジャーを追求したフォレスターがどんなこだわりを持って登場するかに期待したいです。
国 STiバージョンについてはまだ何も情報が無い状態だけれど、前回のモデルは楽しさの塊のようなクルマだったから、もし新型があるとするならばポルシェカイエンのようにダイナミックな走りに加え、プレミアムモデルとして他を圧倒する存在感を持ったSUVを目指して欲しいと思う。

リア周りにも細かく手が入れられ、より都会の雰囲気に溶け込む洗練度の高い雰囲気となった。

 マイナーチェンジされたフォレスターのエクステリア、特にフロントマスクについてはおそらく良し悪しの意見が分かれるだろう。スタイリッシュになったと感じる人もいれば、ボクの友人などは「グリル周りがダースベイダーみたいで……」とあまり好意的ではないようだ。しかし、実際に運転してみると論じるべきは外観ではないということがはっきりと分かった。もちろん、クルマにとって見た目が大きな商品力となっていることは否定しないし、マーケットにおいてスバルがその点で逆境に立たされ、マニアックなクルマのイメージができてしまったこともまた事実。けれども、「乗れば良さが分かる」がスバル車の歴史の中で繰り返されるうち、近年それが少なからずブランド性を帯びてきたとは思わないだろうか?
 カエル顔のスポーツカーが美の代名詞ともなるフェラーリと双璧を成すブランドとして認知さる大きな要因は、一貫して走りを大真面目に追求する姿勢が育て上げたものに他ならない。そんな風に考えながらフォレスターのステアリングを握っていると、共に水平対向エンジンを使うメーカーどうしということ以上に、クルマとしての本質を日々追い求めるスタンスにこそ相通じるものを持っているのではないかと思った。

Text:山崎 裕正